ULが海上貨物輸送の安全対策技術に関する日米合同実証実験に協力
年間数千万個にのぼる米国向け海上コンテナ貨物の地球規模での追跡が可能に
概要
・UL Japanが「海上貨物追跡タグシステム」(Marine Asset Tag Tracking System:MATTS)構築に向けて技術ノウハウを提供
・日本の国土交通省および米国国土安全保障省の委託を受け、100個のコンテナを対象に通信能力信頼性実験を実施
・実験対象の貨物を横浜港から海路にて米国カリフォルニア州まで、さらに陸路で同中西部まで追跡
製品安全試験・認証の分野で世界トップのUnderwriters Laboratories (以下ULと略す)は、本日、年間数億トンにのぼる米国向け海上貨物の安全強化を目的とした「海上貨物追跡タグシステム」(以下MATTSと略す)の構築に関する検討作業に技術的支援を行うことで合意したことを発表いたしました。
太平洋を往来する海上貨物の量が極めて多いことから、日米間の海上輸送ルートが第2段階のシステム統合実験の対象に選ばれ、この実験では、コンテナに無線ICタグを取り付け、出発港での貨物船への積み込みから洋上輸送、到着地での積み下ろしにいたるまでを追跡します。ULは、日本の国土交通省および米国国土安全保障省に協力し、100個のコンテナに取り付けられた無線ICタグの通信能力評価を担当しております。これらのコンテナは平成19年4月28日に米国カリフォルニア州に向けて日本を出港し、今月中に最終目的地である米国内の内陸施設に到着予定です。
MATTSは、米国国土安全保障省国土安全先端研究計画局(Homeland Security Advanced Research Projects Agency: HSAPRA) が2003年12月にスタートした中小企業技術革新制度 (Small Business Innovation Research: SBIR) の一環として、資金援助を行っているいくつかのプロジェクトのうちの一つです。国土安全先端研究計画局では、国土安全保障省科学技術局および国内核物質探査局が管轄する中小企業技術革新制度の管理運営を行っています。同制度の目的は、連邦政府が推進する研究開発プロジェクトに革新的な技術を有する中小企業の参画を促し、併せて国土安全対策に関する革新的な具体策の実現に向けて産業界の貢献を求めることです。
『日本は米国の重要な貿易相手国であり、米国にとって日本からの海上コンテナ貨物の輸入量は第2位です。UL Japanが日米合同のこのような国家安全保障プロジェクトに参画できることを誇りに思います。MATTSは、米国国土安全保障省の要請に基づいてULが参画している「日米安全安心科学技術協力イニシアティブ」を始めとする、いくつかの重要な公共安全プロジェクトのひとつであります。これらのプロジェクトを支援することは、ULのグローバル公共安全ミッションの趣旨に適うものです。』と、ULの火災・安全・信号部門統括部長クリス・ハスブルックは述べています。
UL Japanは、1万キロにおよぶ海上・陸上輸送途上でコンテナが様々な環境条件にさらされる中で、MATTSが正しく作動するかを検証するために電磁的両立性 (EMC) 試験を実施しました。予備試験は成功を収め、貨物コンテナは米国ロサンゼルス港、ロングビーチ港に面するサンペドロ湾に向けてすでに横浜港を出港し、到着後貨物列車ないしはトラックにて米国中西部の施設まで輸送されることになっています。そこで、無線ICタグを回収し、最終的な評価試験が行われる予定です。
MATTSの技術概要
海上輸送システム (Marine Transportation System: MTS) と呼ばれる、全世界をカバーする海上貨物輸送インフラは、世界経済の根幹をなすものです。全世界の貨物の約9割は海上輸送で運搬されています。しかしながら、コンテナ貨物が自由に行き来できるということは、とりもなおさず、海上輸送システムにおいてどちらもおろそかにできない安全性と効率性の両立を難しくしています。そこで、コンテナ単位で、安全性の監視と位置確認を可能とする技術と、それを集中的に指揮統制できるインフラの両方を整備、稼働させることが、グローバルなサプライチェーンの安全性確保と、サプライチェーンマネージメントのさらなる効率化の実現のために求められているのです。
貨物の安全性、状態、位置に関する情報を入手することによって、複合輸送業界は、テロ対策、盗難防止、監査証跡の確保、付保貨物のセキュリティ監視、潜在的な脅威に対する早期警戒機能といった一連のメリットを享受することができます。本格稼働時には、MATTSは、船舶搭載衛星送受信機、コンテナにとりつける無線ICタグ、安全なインターネットデータ処理センターなどから構成されます。無線ICタグは、超小型センサー、データ記録用コンピュータ、無線送受信機、慣性補正機能付きGPS追跡システムが小型で安価な筐体に一体化されたものです。タグに内蔵された慣性式位置検出機能は、GPSからの信号が途切れたり、マルチパスの影響を受けたりした場合でも、正確にコンテナの現在位置を特定できるようになっています。
慣性補正機能付きGPSの主たるメリットは、港やコンテナ船側で個々のコンテナの位置情報記録を行う必要がないということです。コンテナにとりつけられた無線ICタグは、何ら外部からの助けを必要とせず、自ら刻々と現在位置を記録していきます。コンテナの現在位置とその履歴は、インターネットゲートウェイ機能を有する船舶ないし港から2キロ以内にタグ付きコンテナが近づけば、情報として取り出すことができます。位置報告用のネットワークを構築するために、各コンテナ船には、一体型の低コスト衛星送受信機が装備されます。また港にはインターネットで結ばれた低コストのゲートウェイが設置され、リアルタイムでコンテナの特定・追跡を行い、在庫管理が容易となります。
海上貨物に関する統計データ
世界海運評議会 (http://www.worldshipping.org/)によると、800隻を超える大型外航船(そのほとんどはコンテナ船)が、年間延べ22,000回以上米国の港に寄港しています。一日平均60回の頻度です。 また、5万個を超える輸出入コンテナ貨物の出し入れが米国の港で日々行われており、入荷したコンテナは港から直接鉄道ないしトラックに積み換えられ、その後は、小口単位で、工場、卸業者、小売店、そして一般消費者に届けられます。
定期貨物船の積み荷の大半は金属製のコンテナに収められて輸送されます。コンテナは、積載地で封印され、その状態のまま、船、トラック、鉄道で目的地まで運ばれ、そこで初めて封印が解かれます。コンテナは、国際通商で扱われるほとんどすべての一般貨物にとって梱包箱と輸送途上の倉庫の役目を果たしています。コンテナ貨物の標準積載単位は、20フィートコンテナ換算(TEU)ですが、実際には容量がその2倍の40フィートコンテナが多く用いられています。
国際コンテナ貨物の輸出入は全米116の港を介して行われていますが、その全物量の85%は上位10港で荷扱いされています。具体的には、西海岸ではカリフォルニア州ロサンゼルス港、オークランド港、ロングビーチ港、ワシントン州シアトル港、タコマ港、東海岸およびメキシコ湾岸では、ニューヨーク港、サウスカロライナ州チャールストン港、ジョージア州サバナ港、バージニア州ノーフォーク港、ヒューストン港です。
米国のコンテナ貨物貿易は上位25カ国との取引が全体の85%を占めています。(全物量2,747万3千TEUのうち、2,317万6千TEUが上位25カ国とのもの) 2006年の米国の海上コンテナ貨物の輸出入量は、日本とのものが165万1千TEUで中国(1,027万5千TEU)に次いで第2位、以下台湾(107万2千TEU)、香港(107万1千TEU)、韓国(104万1千TEU)の順となっています。(出所:米国運輸省海運局 (http://www.marad.dot.gov))
ULについて
Underwriters Laboratoriesは、非営利の製品安全認証機関で、設立以来1世紀以上にわたり、幅広い製品に関して試験を行うとともに、種々の安全規格の制定にも寄与しています。ULでは、年間1万9千種類を超える完成品、部品、材料、システムの評価を実施し、毎年7万1千社が製造する210億個もの製品にUL認証マークが付与されています。ULは全世界66ヶ所の実験・認証施設を含め、世界各地に子会社、関連会社、協力会社のネットワークを有しており、 104カ国の顧客にサービスを提供しています。詳しくは、 www.UL.com/newsroom をご覧下さい。
ULの日本法人であるUL Japanでは、日本のSマークや北米市場向けのULリスティングから、欧州のGSマーク、CEマーキングや中国のCCCマークまで幅広い適合性評価サービスを提供しております。また一般企業のみならず、公共機関、行政機関に対するサービスも提供しており、世界各国のEMC・電波規制に対応したEMC測定・評価サービス、ISOなどのマネジメントシステム審査登録サービスも行っております。詳しくは、 http://uljapan.co.jp/ をご覧下さい。
問い合わせ先(米国)
Joe Hirschmugl
Media Relations Supervisor
Global Communication Services
Underwriters Laboratories
Phone: +1 847 664-1508
E-mail: Joseph.F.Hirschmugl@us.ul.com
問い合わせ先(日本国内)
與芝加寿世(Kazuyo Yoshiba)
PR Consultant, Platinum Inc.
Phone: 03-5572-6073
Email: k-yoshiba@vectorinc.co.jp
・UL Japanが「海上貨物追跡タグシステム」(Marine Asset Tag Tracking System:MATTS)構築に向けて技術ノウハウを提供
・日本の国土交通省および米国国土安全保障省の委託を受け、100個のコンテナを対象に通信能力信頼性実験を実施
・実験対象の貨物を横浜港から海路にて米国カリフォルニア州まで、さらに陸路で同中西部まで追跡
製品安全試験・認証の分野で世界トップのUnderwriters Laboratories (以下ULと略す)は、本日、年間数億トンにのぼる米国向け海上貨物の安全強化を目的とした「海上貨物追跡タグシステム」(以下MATTSと略す)の構築に関する検討作業に技術的支援を行うことで合意したことを発表いたしました。
太平洋を往来する海上貨物の量が極めて多いことから、日米間の海上輸送ルートが第2段階のシステム統合実験の対象に選ばれ、この実験では、コンテナに無線ICタグを取り付け、出発港での貨物船への積み込みから洋上輸送、到着地での積み下ろしにいたるまでを追跡します。ULは、日本の国土交通省および米国国土安全保障省に協力し、100個のコンテナに取り付けられた無線ICタグの通信能力評価を担当しております。これらのコンテナは平成19年4月28日に米国カリフォルニア州に向けて日本を出港し、今月中に最終目的地である米国内の内陸施設に到着予定です。
MATTSは、米国国土安全保障省国土安全先端研究計画局(Homeland Security Advanced Research Projects Agency: HSAPRA) が2003年12月にスタートした中小企業技術革新制度 (Small Business Innovation Research: SBIR) の一環として、資金援助を行っているいくつかのプロジェクトのうちの一つです。国土安全先端研究計画局では、国土安全保障省科学技術局および国内核物質探査局が管轄する中小企業技術革新制度の管理運営を行っています。同制度の目的は、連邦政府が推進する研究開発プロジェクトに革新的な技術を有する中小企業の参画を促し、併せて国土安全対策に関する革新的な具体策の実現に向けて産業界の貢献を求めることです。
『日本は米国の重要な貿易相手国であり、米国にとって日本からの海上コンテナ貨物の輸入量は第2位です。UL Japanが日米合同のこのような国家安全保障プロジェクトに参画できることを誇りに思います。MATTSは、米国国土安全保障省の要請に基づいてULが参画している「日米安全安心科学技術協力イニシアティブ」を始めとする、いくつかの重要な公共安全プロジェクトのひとつであります。これらのプロジェクトを支援することは、ULのグローバル公共安全ミッションの趣旨に適うものです。』と、ULの火災・安全・信号部門統括部長クリス・ハスブルックは述べています。
UL Japanは、1万キロにおよぶ海上・陸上輸送途上でコンテナが様々な環境条件にさらされる中で、MATTSが正しく作動するかを検証するために電磁的両立性 (EMC) 試験を実施しました。予備試験は成功を収め、貨物コンテナは米国ロサンゼルス港、ロングビーチ港に面するサンペドロ湾に向けてすでに横浜港を出港し、到着後貨物列車ないしはトラックにて米国中西部の施設まで輸送されることになっています。そこで、無線ICタグを回収し、最終的な評価試験が行われる予定です。
MATTSの技術概要
海上輸送システム (Marine Transportation System: MTS) と呼ばれる、全世界をカバーする海上貨物輸送インフラは、世界経済の根幹をなすものです。全世界の貨物の約9割は海上輸送で運搬されています。しかしながら、コンテナ貨物が自由に行き来できるということは、とりもなおさず、海上輸送システムにおいてどちらもおろそかにできない安全性と効率性の両立を難しくしています。そこで、コンテナ単位で、安全性の監視と位置確認を可能とする技術と、それを集中的に指揮統制できるインフラの両方を整備、稼働させることが、グローバルなサプライチェーンの安全性確保と、サプライチェーンマネージメントのさらなる効率化の実現のために求められているのです。
貨物の安全性、状態、位置に関する情報を入手することによって、複合輸送業界は、テロ対策、盗難防止、監査証跡の確保、付保貨物のセキュリティ監視、潜在的な脅威に対する早期警戒機能といった一連のメリットを享受することができます。本格稼働時には、MATTSは、船舶搭載衛星送受信機、コンテナにとりつける無線ICタグ、安全なインターネットデータ処理センターなどから構成されます。無線ICタグは、超小型センサー、データ記録用コンピュータ、無線送受信機、慣性補正機能付きGPS追跡システムが小型で安価な筐体に一体化されたものです。タグに内蔵された慣性式位置検出機能は、GPSからの信号が途切れたり、マルチパスの影響を受けたりした場合でも、正確にコンテナの現在位置を特定できるようになっています。
慣性補正機能付きGPSの主たるメリットは、港やコンテナ船側で個々のコンテナの位置情報記録を行う必要がないということです。コンテナにとりつけられた無線ICタグは、何ら外部からの助けを必要とせず、自ら刻々と現在位置を記録していきます。コンテナの現在位置とその履歴は、インターネットゲートウェイ機能を有する船舶ないし港から2キロ以内にタグ付きコンテナが近づけば、情報として取り出すことができます。位置報告用のネットワークを構築するために、各コンテナ船には、一体型の低コスト衛星送受信機が装備されます。また港にはインターネットで結ばれた低コストのゲートウェイが設置され、リアルタイムでコンテナの特定・追跡を行い、在庫管理が容易となります。
海上貨物に関する統計データ
世界海運評議会 (http://www.worldshipping.org/)によると、800隻を超える大型外航船(そのほとんどはコンテナ船)が、年間延べ22,000回以上米国の港に寄港しています。一日平均60回の頻度です。 また、5万個を超える輸出入コンテナ貨物の出し入れが米国の港で日々行われており、入荷したコンテナは港から直接鉄道ないしトラックに積み換えられ、その後は、小口単位で、工場、卸業者、小売店、そして一般消費者に届けられます。
定期貨物船の積み荷の大半は金属製のコンテナに収められて輸送されます。コンテナは、積載地で封印され、その状態のまま、船、トラック、鉄道で目的地まで運ばれ、そこで初めて封印が解かれます。コンテナは、国際通商で扱われるほとんどすべての一般貨物にとって梱包箱と輸送途上の倉庫の役目を果たしています。コンテナ貨物の標準積載単位は、20フィートコンテナ換算(TEU)ですが、実際には容量がその2倍の40フィートコンテナが多く用いられています。
国際コンテナ貨物の輸出入は全米116の港を介して行われていますが、その全物量の85%は上位10港で荷扱いされています。具体的には、西海岸ではカリフォルニア州ロサンゼルス港、オークランド港、ロングビーチ港、ワシントン州シアトル港、タコマ港、東海岸およびメキシコ湾岸では、ニューヨーク港、サウスカロライナ州チャールストン港、ジョージア州サバナ港、バージニア州ノーフォーク港、ヒューストン港です。
米国のコンテナ貨物貿易は上位25カ国との取引が全体の85%を占めています。(全物量2,747万3千TEUのうち、2,317万6千TEUが上位25カ国とのもの) 2006年の米国の海上コンテナ貨物の輸出入量は、日本とのものが165万1千TEUで中国(1,027万5千TEU)に次いで第2位、以下台湾(107万2千TEU)、香港(107万1千TEU)、韓国(104万1千TEU)の順となっています。(出所:米国運輸省海運局 (http://www.marad.dot.gov))
ULについて
Underwriters Laboratoriesは、非営利の製品安全認証機関で、設立以来1世紀以上にわたり、幅広い製品に関して試験を行うとともに、種々の安全規格の制定にも寄与しています。ULでは、年間1万9千種類を超える完成品、部品、材料、システムの評価を実施し、毎年7万1千社が製造する210億個もの製品にUL認証マークが付与されています。ULは全世界66ヶ所の実験・認証施設を含め、世界各地に子会社、関連会社、協力会社のネットワークを有しており、 104カ国の顧客にサービスを提供しています。詳しくは、 www.UL.com/newsroom をご覧下さい。
ULの日本法人であるUL Japanでは、日本のSマークや北米市場向けのULリスティングから、欧州のGSマーク、CEマーキングや中国のCCCマークまで幅広い適合性評価サービスを提供しております。また一般企業のみならず、公共機関、行政機関に対するサービスも提供しており、世界各国のEMC・電波規制に対応したEMC測定・評価サービス、ISOなどのマネジメントシステム審査登録サービスも行っております。詳しくは、 http://uljapan.co.jp/ をご覧下さい。
問い合わせ先(米国)
Joe Hirschmugl
Media Relations Supervisor
Global Communication Services
Underwriters Laboratories
Phone: +1 847 664-1508
E-mail: Joseph.F.Hirschmugl@us.ul.com
問い合わせ先(日本国内)
與芝加寿世(Kazuyo Yoshiba)
PR Consultant, Platinum Inc.
Phone: 03-5572-6073
Email: k-yoshiba@vectorinc.co.jp