金沢大学の研究グループが、「アスタキサンチン」に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防・抑制作用があることを発見!
富士化学工業株式会社(本社:富山県中新川郡上市町横法音寺55 代表取締役社長:西田光德)と金沢大学は、アスタキサンチンの非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する有用性について共同研究を行なってまいりました。
このたび、金沢大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授の研究グループは、NASHの予防・抑制に、今が「旬」の食材のサケやカニに含まれる赤い色素「アスタキサンチン」が有効であることを世界で初めて明らかにしました(図1)。今回の成果から、アスタキサンチンに、生活習慣の改善以外に治療手段が確立していないNASHの治療薬への応用が期待されます。
国内患者数が2,000万人と推定され、肝臓の生活習慣病といわれる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓に脂肪が沈着した単純性脂肪肝、炎症を発症しているNASHに分類されます。このうち、患者数が300~400万と推定されるNASHは5~20%が肝硬変や肝がんへと進行します(図1)。一方、病因が複雑であるため、NASHの治療薬開発は遅れています。近年の臨床試験では、ビタミンEに比べて優れた成績を示すNASH治療薬は存在しません。本研究グループは、脂質の過酸化抑制がビタミンEの250~500倍強いとされるアスタキサンチンに着目しました。
NASHを引き起こす高コレステロールの餌をマウスに3ヶ月間与え、高コレステロールの餌にアスタキサンチンを混ぜて与えた群と比較しました。その結果、アスタキサンチンを混ぜた群は混ぜないグループに比べて、生活習慣病やNAFLDの基盤にあるインスリン抵抗性が弱まり、肝臓の脂肪沈着が約50%減少し、脂肪肝になりにくいことが明らかとなりました(図2)。さらに、脂肪蓄積によって生じる脂質過酸化(酸化ストレス)が80%以上抑制され、炎症を引き起こすマクロファージ(クッパー細胞)を炎症性のM1マクロファージから抗炎症性のM2マクロファージに変換することで、脂肪肝からNASHの発症が抑えられることが判明しました(図3)。
次に、NASHを発症させたマウスに、餌をアスタキサンチンを混ぜたものに切り替えて検討しました。その結果、餌を切り替えたグループでは、切り替えていないグループに比べて、肝硬変につながる肝臓の炎症や線維化が80%近く改善し、治療効果を示すことが判明しました(図2)。
本研究では、NASHの発症予防および抑制作用をビタミンEと比較検討し、アスタキサンチンにはビタミンEに比べ優れた、強いNASHの予防・抑制効果があることが明らかとなりました。
さらに臨床試験によって、NASH患者において、肝臓の脂肪蓄積が抑えられていることも確認されました。
使用素材:富士化学工業製アスタキサンチン(アスタリール50Fオイル)
本研究の一部は、平成23年文部科学省の「アスタキサンチンを用いた次世代型機能性食品の開発を目的とした生活習慣病予防効果の検証」の助成を受けて行われました。
本研究の成果は、「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。
雑誌名:Scientific Reports
論文名:Astaxanthin prevents and reverses diet-induced insulin resistance and steatohepatitis in mice:
A comparison with vitamin E
(アスタキサンチンはマウスのインスリン抵抗性と脂肪肝炎を予防・抑制する:ビタミンEとの比較検証)
著者名:Yinhua Ni, Mayumi Nagashimada, Fen Zhuge, Lili Zhan, Naoto Nagata, Akemi Tsutsui, Yasuni Nakanuma, Shuichi Kaneko, Tsuguhito Ota
(倪銀華, 永島田まゆみ, 諸葛芬, 詹莉莉,長田直人,筒井明美, 中沼安二,金子周一, 太田嗣人)
アスタキサンチンを混ぜた高コレステロールの餌を与えたマウスの肝臓(右)
脂肪沈着(上)線維化(下)が抑制された。
■アスタキサンチンとは
カロテノイドの一種で、サケ、エビ、カニなどの赤い色素として知られている。藻類等が紫外線から生体を守るために体内で産生し、それを食物連鎖により様々な生物が生体防御物質として体内に摂り入れていると考えられている。
非常に強い抗酸化力を持ち、光老化の原因となる活性酸素を消去する力はビタミンCの6000倍、脂質の過酸化抑制力は、ビタミンEの1000倍といわれている。
このたび、金沢大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授の研究グループは、NASHの予防・抑制に、今が「旬」の食材のサケやカニに含まれる赤い色素「アスタキサンチン」が有効であることを世界で初めて明らかにしました(図1)。今回の成果から、アスタキサンチンに、生活習慣の改善以外に治療手段が確立していないNASHの治療薬への応用が期待されます。
国内患者数が2,000万人と推定され、肝臓の生活習慣病といわれる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓に脂肪が沈着した単純性脂肪肝、炎症を発症しているNASHに分類されます。このうち、患者数が300~400万と推定されるNASHは5~20%が肝硬変や肝がんへと進行します(図1)。一方、病因が複雑であるため、NASHの治療薬開発は遅れています。近年の臨床試験では、ビタミンEに比べて優れた成績を示すNASH治療薬は存在しません。本研究グループは、脂質の過酸化抑制がビタミンEの250~500倍強いとされるアスタキサンチンに着目しました。
NASHを引き起こす高コレステロールの餌をマウスに3ヶ月間与え、高コレステロールの餌にアスタキサンチンを混ぜて与えた群と比較しました。その結果、アスタキサンチンを混ぜた群は混ぜないグループに比べて、生活習慣病やNAFLDの基盤にあるインスリン抵抗性が弱まり、肝臓の脂肪沈着が約50%減少し、脂肪肝になりにくいことが明らかとなりました(図2)。さらに、脂肪蓄積によって生じる脂質過酸化(酸化ストレス)が80%以上抑制され、炎症を引き起こすマクロファージ(クッパー細胞)を炎症性のM1マクロファージから抗炎症性のM2マクロファージに変換することで、脂肪肝からNASHの発症が抑えられることが判明しました(図3)。
次に、NASHを発症させたマウスに、餌をアスタキサンチンを混ぜたものに切り替えて検討しました。その結果、餌を切り替えたグループでは、切り替えていないグループに比べて、肝硬変につながる肝臓の炎症や線維化が80%近く改善し、治療効果を示すことが判明しました(図2)。
本研究では、NASHの発症予防および抑制作用をビタミンEと比較検討し、アスタキサンチンにはビタミンEに比べ優れた、強いNASHの予防・抑制効果があることが明らかとなりました。
さらに臨床試験によって、NASH患者において、肝臓の脂肪蓄積が抑えられていることも確認されました。
使用素材:富士化学工業製アスタキサンチン(アスタリール50Fオイル)
本研究の一部は、平成23年文部科学省の「アスタキサンチンを用いた次世代型機能性食品の開発を目的とした生活習慣病予防効果の検証」の助成を受けて行われました。
本研究の成果は、「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。
雑誌名:Scientific Reports
論文名:Astaxanthin prevents and reverses diet-induced insulin resistance and steatohepatitis in mice:
A comparison with vitamin E
(アスタキサンチンはマウスのインスリン抵抗性と脂肪肝炎を予防・抑制する:ビタミンEとの比較検証)
著者名:Yinhua Ni, Mayumi Nagashimada, Fen Zhuge, Lili Zhan, Naoto Nagata, Akemi Tsutsui, Yasuni Nakanuma, Shuichi Kaneko, Tsuguhito Ota
(倪銀華, 永島田まゆみ, 諸葛芬, 詹莉莉,長田直人,筒井明美, 中沼安二,金子周一, 太田嗣人)
高コレステロールの餌を与えたマウスの肝臓(左)
アスタキサンチンを混ぜた高コレステロールの餌を与えたマウスの肝臓(右)
脂肪沈着(上)線維化(下)が抑制された。
金沢大学 プレスリリース http://www.kanazawa-u.ac.jp/university/prstrategy
■アスタキサンチンとは
カロテノイドの一種で、サケ、エビ、カニなどの赤い色素として知られている。藻類等が紫外線から生体を守るために体内で産生し、それを食物連鎖により様々な生物が生体防御物質として体内に摂り入れていると考えられている。
非常に強い抗酸化力を持ち、光老化の原因となる活性酸素を消去する力はビタミンCの6000倍、脂質の過酸化抑制力は、ビタミンEの1000倍といわれている。
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