キッチンの火災予防と安全対策
家に取り残された幼い子供たちが、ちょっとした不注意が引き起こす火事により焼死してしまうという痛ましい事件がしばしば報道されています。火災の発生しやすい気候となる時季を迎えるにあたり、Underwriters Laboratories(以下、UL)では、火災予防思想の一層の普及を図り、もって火災の発生を防止し、死傷事故や財産の損失を防ぐ、という目的のもと、様々な実験やデータ提供等を行っています。
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平成18年の火災発生件数の推移を見てみると、秋から冬にあたる、第1期(1月~3月)と第4期(10月~12月)の合計は、29,224件で、春から夏の第2期(4月~6月)と第3期(7月~9月)の合計、24,052件の1.2倍となっています(平成19年6月28日付総務省消防庁発表報道資料より)。
【住宅火災における出火原因内訳】
平成19年第1期(1月~3月)に発生した火災について、種別ごとの出火原因を調べると、建物火災9,135件にあっては、「こんろ」1,459件(16.0%)、「たばこ」1,047件(11.5%)、「放火」836件(9.2%)、「ストーブ」801件(8.8%)の順となっています(平成19年6月28日付総務省消防庁発表報道資料より) 。
こんろ使用時の火災事例としては、下記のようなものが挙げられます。
■居住者が煮物をしている最中、居間でうたた寝をしてしまい、時間の経過とともに出火
■グリルで鶏肉を焼き上げた後、こんろの火を消し忘れ外出したことから、グリル内の油かすが発火し、出火
上記以外にも、こんろ使用時の火災の原因として、てんぷら油がかなり大きな割合を占めます。てんぷらを揚げる時の油の古さも発火温度を左右する条件のうちの一つということが分かっています。
このように、日常生活のちょっとした気のゆるみ、無意識が火災の発生につながっているのです。身の回りに危険が潜んでいることを常に意識し、特に火を扱う機会の多い、キッチンでは、しっかりとした防火対策を取ることが重要です。
【米国のケーススタディから見る火災予防】
てんぷら鍋による火災は、日本独特のものですが、米国にもてんぷら鍋に良く似た、“Turkey Fryer”という七面鳥を揚げるための鍋があり、クリスマスシーズンには、その火災の危険性が度々呼びかけられています。
ULでは、下記の写真にある通り、“Turkey Fryer”を使用した火災の危険性を測る実験を行った結果、その危険性の高さから、いかなる“Turkey Fryer”も、認証をしないことを決めました。使う必要がある場合には、細心の注意のもと、下記の点を必ず意識するよう、ULのスポークスマン、ジョン・ドレンゲンバーグが呼びかけています。
・油の入れすぎに注意する。油を入れすぎると、鍋に揚げたい素材が入った際にこぼれ、引火し火災の元となる。
・半解凍の素材を油に直接入れると、鍋の中の油が吹きこぼれやすくなり、同じく引火し火災の元となる。
・加熱防止装置をつけずに加熱を続けると、無意識に発火点に達し、火災の可能性が高まる。
・鍋の持ち手、ふた、取っ手などは、非常に熱くなっており、重度のやけどを引き起こす可能性がある。
【こんろによる(主にてんぷら鍋)火災予防法】
ULは、消費者がこれらの鍋を使用する際に、火災予防のため、使い方に間違いがないか何度も確かめ、細心の注意を払うことを推奨しています。また、具体的に気をつけるべき点として、下記の6点を挙げています。
・転倒防止のため、鍋が平らな状態で使用すること。
・火をつけたまま、決してその場を離れないこと。加熱中は、発火の可能性を常に意識し注意深く火元を見ていること。
・子供やペットを火元に近づけないこと。調理が終っても数時間が油が熱いため、使用後も注意が必要である。
・吹きこぼれを防ぐため、油の入れすぎに注意すること。
・なべのふたや取っ手に触れる際、必ず防火処理の施されている厚手の鍋つかみを使用すること。
・消火器を身近に用意すること。火災が発生してしまったら、消火器を使用し、決して水で消火しないこと。炎上中の油に水をかけた瞬間、爆発的に燃え上がり、炎を浴びて、顔や手をやけどする恐れがあります。
【ULについて】
Underwriters Laboratoriesは、独立した非営利の製品安全認証機関で、設立以来1世紀以上にわたり、幅広い製品に関して試験を行うとともに、種々の安全規格の制定にも寄与しています。ULでは、年間1万9千種類を超える完成品、部品、材料、システムの評価を実施し、毎年7万1千社が製造する210億個もの製品にUL認証マークが付与されています。ULは全世界66ヶ所の実験・認証施設を含め、世界各地に子会社、関連会社、協力会社のネットワークを有しており、 104カ国の顧客にサービスを提供しています。詳しくは、 www.UL.com/newsroom をご覧下さい。
ULの日本法人であるUL Japanでは、日本のSマークや北米市場向けのULリスティングから、欧州のGSマーク、CEマーキングや中国のCCCマークまで幅広い適合性評価サービスを提供しております。また一般企業のみならず、公共機関、行政機関に対するサービスも提供しており、世界各国のEMC・電波規制に対応したEMC測定・評価サービス、ISOなどのマネジメントシステム審査登録サービスも行っております。詳しくは、 http://uljapan.co.jp/ をご覧下さい。
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