安藤忠雄氏によるギャラリートーク開催!in 文化庁国立近現代建築資料館
9月23日まで湯島の文化庁国立近現代建築資料館で開催中の「安藤忠雄初期建築原図展」。本展の特別企画として、7月23日に安藤忠雄氏ご本人を招いてのギャラリートークが開催されました。【企画展詳細】http://nama.bunka.go.jp/
二回とも会場は満席に
文化庁国立近現代建築資料館「安藤忠雄初期建築原図展―個の自立と対話」http://nama.bunka.go.jp/
■ギャラリートーク第一回(12時30分開始)
進行役:川向正人(当館主任建築資料調査官、東京理科大学名誉教授)
ゲスト:安田幸一氏(東京工業大学教授)、国広ジョージ氏(国士舘大学教授)、城戸崎和佐氏(京都造形芸術大学教授)
■ギャラリートーク第二回(14時開始)
進行役:川向正人(当館主任建築資料調査官、東京理科大学名誉教授)
ゲスト:中谷礼仁氏(早稲田大学教授)
- 手書きの図面、コンピューターの図面
左から川向正人氏、安藤忠雄氏、安田幸一氏、国広ジョージ氏、城戸崎和佐氏
左から川向正人氏、安藤忠雄氏、中谷礼仁氏
安田「手描きの図面には、修正した筆跡が残っていますよね。今の図面はCADやBIMを使うから、痕跡がすべて消える。設計者の熱意を感じ取ることができない。」
国広「この図面(コシノ邸)のブルー、何度も塗り重ねてこの色になっている。これは安藤さん流だと思う。」安藤「コンピューターの図面で熱意を伝えることは非常に難しいですよ。でも、コンピューターから手作業に戻すのも難しいでしょう。」「何度も持ってきて描いて…手で描くのはしんどいけど、おもしろいですよ。(建築家は、図面を通して)人間と会話せにゃならん。うちの事務所はチームで作業しているから、お互いの考えていることがわかる。コンピューターは一人で完結してしまうからやっかい。」
城戸崎「震災があったとき、電気が使えないからみんな手描きで図面をひきました。今でも現場では手描きの図面が必要になる。」
中谷「様々な種類の図面を一枚に合わせますよね。僕は本でしか見たことがなかったので、原図の時点からやられていることに本当に驚きました。レイアウトを間違えると原図は大変なことになる、ということをこれだけやられた。それも分かりやすい。一発で分かる。」
- 手描きの図面と「熱意」について
川向氏「安藤さんの図面をよく観て。描き方が違う。構成が違う。これはすごく大切なことです。」
中谷「良い手描きの図面は、どんなものですか?つまり芸術作品でもあるけれど、大工さんがちゃんと読まなければならない。」
安藤「大工さんが見るものでもあるし、自分たちが見るものでもある。なにより「熱意」があるものには、必ず食い違いもある。食い違いある図面の方が良いですよ。スーッといくと心に引っかからない。心に引っかかる図面が良いと思うんですよ。」「我々の熱意というもの、想いというものを伝えなければならない。向こうも自分たちの想いを伝えなければならない。コンピューターではできない。」「(図面を手で描く際)下手は下手なりに情報量が高くて良い。なぜなら間違っているところがわかるから。今は情報量が低い社会に生きていると思う。情報量がないものをあると思って、勘違いしながら一生懸命やってる。(その危うさを)自覚しないといけない。」
- 「ない」からひろがる可能性
- 学生へのエール
学生からの質問に答える安藤氏
安藤「私は大学にも行ってないし、建築の教育を受けたわけじゃない。建築を始めようとしたとき、まずは観て触ることから始めた。建築を観て触って、自分のものにする。奈良や京都に行って、建築をスケッチする。自分の想いがスケッチになる。参考書の代わりに建築がある。」「一流企業に入るより、卒業したらどんどん海外に出てみた方がいい。熱意さえもっていればやっていける。どんなところでも生きていけるというパワーを持っていってほしい。」
安藤氏から若い世代への期待を感じるギャラリートーク。終了後には、抽選で参加者に自筆本などが渡された
安藤氏の熱意がこもった貴重な手描き図面の数々。9月23日(月・祝)まで文化庁国立近現代建築資料館で観ることができます。
会期:2019年6月8日(土)~9月23日(祝・月)
開館時間: 10:00~16:30
開館日:会期中無休
入場料:平日は入館無料。湯島地方合同庁舎正門よりご入館ください。※土日祝の入場及び都立旧岩崎邸庭園と同時観覧の場合は、旧岩崎邸庭園入園料(一般400円)が必要となります。
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