自動化モビリティのビジネスコンテストM-BIC 2023の各賞決定!最優秀賞は「Smart Guiding Dog」

全国から参加する14の学生チームが、ワークショップでの学びや、企業・中央省庁の参加者との議論を経て共に作り上げた、自動化モビリティを活用した10年後の革新的ビジネスプランを提案しました。

10月7日(土)、東京大学駒場リサーチキャンパスコンベンションホールにて「モビリティを活用したビジネス・イノベーション・コンテスト(M-BIC)2023」の最終審査会が開催され、最優秀賞、優秀賞(2チーム)、デジタル庁モビリティ班特別賞、BOLDLY特別賞が選出されました。
このコンテストは、自動運転やドローン等の自動化モビリティの技術を、社会をより良く未来をより面白くするための手段と捉え、それを活用した新たなビジネスプランを提案し競うイベントです。全国12校の大学・大学院・高専から集まった14チームの学生を中心に、企業や省庁から多くの方にもご参加いただき、ワークショップにて約3ヶ月に渡る議論によりアイデアを深めてきました。最終審査会では自動化モビリティならではの価値を活かして社会を変革する様々なアイデアが披露され、各賞の発表と表彰が行われました。
本コンテストは一般社団法人モビリティ・イノベーション・アライアンスが主催し、東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構と名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所の共催、内閣府及びデジタル庁の後援、9社の企業協賛を得て実施しました。

▼コンテストに関する情報は、公式webサイトやSNSで発信しています。

M-BIC 2023 公式webサイト:https://m-bic.jpn.org/2023

X(旧Twitter):https://twitter.com/mbic_official

Facebook:https://www.facebook.com/mbic.official

会場写真会場写真

最終審査結果

  • 最優秀賞(副賞:賞金20万円):Smart Guiding Dog

提案チーム:TMI 2 Students(堀 涼、松高 亜樹)

現状、盲導犬を必要としている人に対して,圧倒的に盲導犬の数が少ない。また、盲導犬1匹を育てるのにかかる費用は750万円近く、コストが高い。そこで本ビジネスプランでは、盲導犬ロボットで盲導犬を代用することを提案する。これによって、費用を削減し、盲導犬の数(ロボットを含む)を増加することが可能。さらに、既存の盲導犬のビジネスモデルをそのまま活用することで確実に利益を創出することが可能。高機能電動車椅子を販売しているWHILLが実際にかかった開発費・運営費を参考し、我々のビジネスも3年で黒字転換可能であると試算している。

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<審査員講評>

(株式会社オープンハウスグループ 総合推進本部 事業開発部 前田 翠 様)

 今回の採点基準は5点ありますが、特にそのうちの3点(社会や顧客の生活・体験の変化の大きさや描写の具体性、新規性・進歩性、自動化されたモビリティを使用する必要性)について、審査員共通で非常に高く評価されていました。私個人としても、盲導犬とモビリティを繋げられたその発想や、かつそこに共通する技術的な要素を分解されているところに素晴らしさを感じました。加えて盲導犬業界の課題をきちんと整理し、業界の収益構造や、ベンチマークにする企業まできめ細やかに考えられていたのも素晴らしかったと思います。また、発表の中から、盲導犬業界をなんとかしたい、困っている人を助けたいという「愛」が伝わってきました。そのような気持ちも、プレゼンの良さとして非常によく反映されていたと思います。

  • 優秀賞(副賞:賞金10万円):高速道路での自動運転・隊列走行を活用した高速バスビジネス

提案チーム:大阪高専バスターズ(甲斐 真之介、原田 匠、益川 雄貴)

日本における高速バスの特徴として、さまざまな運行会社が格安かつきめ細やかなサービスを提供しており、激しい競争を繰り広げていることが挙げられる。しかしながら道路状況に合わせた定時運行の確保や長距離の緊張を伴う運転を強いられるなど、労働環境は非常に厳しいものがあり、恒常的に人員が不足している。そこで,乗降地付近は従来通りのバス運転とするが,高速道路下では先頭車両を有人運転、後続車両を追従自動運転させ、異なる行先のバスを隊列走行させることにより、運転手不足の解消・労働環境の改善、ならびに高速バス利用者の行先の選択肢を増やし利便性を向上させるといった社会的効果を目指す。

 既にあるサービスとの違いは、高速道路下では複数の行先の高速バスを隊列走行させて自動運転を前提に運行すること。強みは、高速道路下に限定しても、有人運転から自動運転へ移行することができれば、運転業務の負担が減少し、また、高速バス利用者の行先の選択肢が増加し利便性が向上すること。弱みは、長蛇の隊列走行により、車線変更や高速道路への合流において交通快適性が損なわれる可能性があること。

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<審査員講評>

(株式会社アーバンエックステクノロジーズ 代表取締役 前田 紘弥 様)

 大阪高専バスターズの皆さんは、発表のアイデアが面白かったと感じました。トラックで行っている隊列走行というアプローチを、バスに適用したらどうなるかという発想をしていました。その説明によって、実際にこのような未来が来るのだろうなと感じることができましたし、ぜひこのプランを実行して欲しいと思いました。ビジネスを進める上で、どうしたら良いかわからないときに取るアプローチの一つとして、アナロジーで考えるということがひとつの定石だと思います。このチームは、そのような上手な考え方で発想されていたのが印象的で素晴らしいと思いました。

  • 優秀賞(副賞:賞金10万円):SSTS ~Smart Spot Taxi Service~

提案チーム:東工大瀬尾研(石井 優輝、小田 紘生、林 和磨、藤川 喜紀)

本サービスは,地方都市における公共交通の空白地域に導入するサービスであり、コンビニ等のSpot間を移動する自動運転タクシーである。利用者はスマートフォンアプリで配車予約が可能。料金は公共交通機関より高いが既存のタクシーより安く、所要時間はタクシーより長いが公共交通機関より短い。自動運転技術を利用することで運転手が不要になり、待機時間による運転手の拘束が無くなり、さらに車内プライバシーが確保される。国土交通省が進める道路データの拡充に伴い、容易にサービス提供範囲を拡大できる。サービス開始7年後には損失を回収できる見込みとなっている。

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<審査員講評>

(株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ プリンシパル 野村 直児 様)

 起業家が投資家から投資を受ける際、熱意や覚悟などは非常に重要ですが、東工大瀬尾研のプレゼンにはこれがあったと思います。私も日々ベンチャー投資をしており、そのような熱意や覚悟が非常に大事だということを感じています。提案をしていただいたSSTSというサービスには、出資を受けるために一番大事な、行っていることのスケールの大きさや、市場規模のポテンシャルを感じさせるところがありました。SSTSは地方からサービスを開始していくというご説明でしたが、プレゼンを聞いていて地方なら実現できるのではないかと納得できました。更に、ゆくゆく2040年くらいには「三大都市圏」に参入するということが明記されていました。どのような形で参入するかはまだまだわからないかもしれませんが、そこまでやりきれると市場規模的にも大きいですし、我々自身の生活がガラッと変わると思います。それに加え、「やり切る」という力があると、投資家からお金をいただけると思います。何年後になるかわかりませんが、ぜひまたお会いできれば嬉しいです。

  • デジタル庁モビリティ班特別賞:Smart Guiding Dog(最優秀賞との重複受賞)

提案チーム:TMI 2 Students(堀 涼、松高 亜樹)

デジタル庁モビリティ班特別賞デジタル庁モビリティ班特別賞

<審査員講評>(デジタル庁統括官付 参事官付 主査 宇佐見 潤 様)

 デジタル庁モビリティ班でも様々なモビリティを扱っております。現在は、「歩く」から「飛ぶ」まで扱っており、ドローンや自動運転もその中に含まれています。一方、モビリティ班のいままでの議論の中では、盲導犬をスマートドッグにするという視点は無く、非常に斬新だと感じました。また、プレゼンテーションに関しても、背景をしっかりと定量的に抑えられながら検討されており、さらに分析も詳細にされているということが高評価につながりました。デジタル庁モビリティ班特別賞を受賞されたお二人には、ぜひデジタル庁にご来訪いただき、モビリティ班と議論をさせていただければと思います。

  • BOLDLY特別賞:高速道路での自動運転・隊列走行を活用した高速バスビジネス(優秀賞との重複受賞)

提案チーム:大阪高専バスターズ(甲斐 真之介、原田 匠、益川 雄貴)

BOLDLY特別賞BOLDLY特別賞

<審査員講評>(BOLDLY株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 佐治 友基 様)

 内容も非常に良かったですが、提案アイデアに含まれている「乗務員の年収を50万円アップする」という志が特に良かったと思います。イノベーションは、産業や業界の破壊だけが趣旨ではありません。自動運転やMaaSが普及しても、企業や資本家だけが潤い、一方で現場のユーザーや労働者が潤わなければ、産業としての意味が大きく損なわれると考えています。バス業界は、いまバスドライバーの給料が低いということで本当に問題になっています。昔は車掌さんが行っていた業務も含めてワンマン運行で仕事しても、車内の乗客までチェックしながら運行する義務を負っても、給料が下がっていくし労働時間は減らない。これを変えることができ、これまで地域や運送を支えて来た人々に、自動運転という武器を与えた結果として、仕事の生産性が上がって、給料が上がって、家族と過ごす時間も増えて、幸せになったらどんなに素晴らしいか。交通をもう一度成長産業にすることができたらどれだけ素晴らしいかとプレゼンを聞きながら思いました。今回のイベントのコンセプトにも自動運転で「社会をより良く」ということが掲げられています。大阪高専バスターズのプレゼンに垣間見えた「社会をより良く」していく気持ちに期待をしたいと思いました。


提案ビジネスプラン / チーム名一覧(カッコ内はチーム名)

詳細は公式webサイトをご覧ください:https://m-bic.jpn.org/2023/

・NO GIVING UP MOBILITY -貨客混載も兼ねた自動運転マルチUDモビリティ(TCUチーム西山研)

・DRIVE THROUGH NOW(Driven By YAMASAKI Lab.)

・Kodomobi(Kuu)

・分散保有型ロボットタクシーRoboCa(Twin Peaks)

・WEB-B: 運送ドローンのセンサープラットフォームとしての利用提案(MEIJOバード)

・SSTS ~Smart Spot Taxi Service~(東工大瀬尾研)

・SKYBANNER(Ça va!)

・acleisure(BORDER)

・高速道路での自動運転・隊列走行を活用した高速バスビジネス(大阪高専バスターズ)

・自動運転×教育歴史ツアー(多摩SEEDS)

・自動運転車の子育て支援Smove Helper(はとぽっぽ)

・Smart Guiding Dog(TMI 2 Students)

・ムーベスト(Green)

・モバイル フリーマーケット(ECPLAB)


コンテスト概要

●コンテストの課題

  • コンテストの課題は「自動化されたモビリティを活用した10年後の革新的ビジネスプランを提案してください」です。「自動化されたモビリティ」とは、人が運転・操縦せずに、公の空間(車道/歩道/空/海)を移動できる物体を指します。典型的な例は、レベル4以上の自動運転車や、ドローン、歩道上を移動する自動車いすや宅配ロボットなどです。

  • また、10年後の社会における様々な前提は、提案チームにて自由に設定し、現在の法制度の中では実現出来ない提案でも構わないというルールです。これによって、あるべき未来、作りたい未来からバックキャストして、新たな法制度の提案や既存制度の変更提案、または課題の提示などがなされることが期待されます。

●コンテスト参加資格

  • 大学生・大学院生・高等専門学校生の方(応募時30歳未満まで)

  • 日本語または英語でのプレゼンテーションができる方

  • 2名以上の学生及び顧問の先生のチームで応募ができる方

●審査員

  • 前田 紘弥 株式会社アーバンエックステクノロジーズ 代表取締役

  • 宇佐見 潤 デジタル庁統括官付 参事官付 主査

  • 前田 翠 株式会社オープンハウスグループ 総合推進本部 事業開発部

  • 野村 直児 株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ プリンシパル

  • 佐治 友基 BOLDLY株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

  各審査員の経歴等の詳細は公式ウェブサイトでご確認ください。https://m-bic.jpn.org/2023

●主催・共催

  • 一般社団法人モビリティ・イノベーション・アライアンス

  • 東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構(UTmobI)

  • 名古屋大学未来社会創造機構モビリティ社会研究所(GREMO) 

●後援

  • 内閣府

  • デジタル庁 

●協賛

  • プラチナスポンサー:BOLDLY株式会社

  • ゴールドスポンサー:株式会社三菱総合研究所 /三井住友海上火災保険株式会社 / 株式会社ネオキャリア / イーブイ愛知株式会社 /先進モビリティ株式会社 / 三菱地所パークス株式会社

  • シルバースポンサー:株式会社エクセイド / ホンダモビリティソリューションズ株式会社

●フォローアップ協力

  • 一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ 

●協力府省庁(ワークショップへの参加等)

  • 内閣府、警察庁、デジタル庁、総務省、経済産業省、国土交通省(都市局、道路局、自動車局) 

●スケジュール

  • 2月1日 プレエントリー受付開始

  • 4月1日 エントリー受付開始

  • 5月22日 エントリー締切

  • 5月31日 書類選考により参加チーム決定

  • 7月1日 第1回ワークショップ(東京開催)

  • 8月25日 第2回ワークショップ(東京開催)

  • 9月7日 第3回ワークショップ(名古屋開催)

  • 9月21日-22日 第4回ワークショップ(オンライン開催)

  • 10月7日 最終審査会(東京開催)

主催者について

一般社団法人モビリティ・イノベーション・アライアンス(英語名:Mobility Innovation Alliance Japan)は、内閣府・戦略的イノベージョン創造プログラム(SIP)第2 期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の取組みの一環として行われた、23 大学の学術関係者と公的研究機関等の連携体である「モビリティ・イノベーション連絡会議」の活動を引継ぎ、「移動の革新に関する技術開発や社会実装を起動する会員主導の団体」となることを目指して設立されました。会員の学術関係者とともに、新たなモビリティの社会実装に向けた政策提言や、国際会議・ワークショップの企画・運営や海外研究機関との連携研究活動の調整、地域でのセミナーやアイデアコンテストの開催などの活動を通して、新たなモビリティの実現に寄与することで、社会経済・学術研究に貢献していきます。

設立日:2022 年7 月1 日

所在地:〒153-8505 東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学生産技術研究所内

理事長:天野 肇(前ITS Japan専務理事、元東京大学客員教授)

副理事長:須田 義大(東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構 機構長、教授)

理事:内村 孝彦、大口 敬、三好博昭、森川高行 監事:星野 大紀

公式ウェブサイト:https://mobilityinnovationalliance.org/

2022年度活動報告書(概要版):https://mobilityinnovationalliance.org/wp-content/uploads/2023/06/FY2022_activity_reportsummary-1.pdf
 

(本件に関するお問合せ先)

一般社団法人モビリティ・イノベーション・アライアンス 事務局(鈴木、梅田、長谷川)

E-mail: miaj-sec@its.iis.u-tokyo.ac.jp

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会社概要

URL
https://mobilityinnovationalliance.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都目黒区駒場4-6-1 東京大学生産技術研究所Cw501
電話番号
-
代表者名
天野肇
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年07月