青森県東方沖地震で「緊急大地震予報」を初出動、犠牲者ゼロに貢献

 12月8日の青森県東方沖地震Mw7.6(最大震度6強)をアプリ「ゆれズバ」で直前予知・予報。「緊急大地震予報」を運用開始以来初めて発動し事前通知・大規模拡散することで、犠牲者ゼロに貢献

ブレイン

 地震予報サービスを手掛けるブレイン(静岡市)は、震災での人的被害と社会的損害を抜本的に軽減するため、M7級以上の大地震が予知・予報された際に緊急でこれをスマートフォン及びパソコンへ、プッシュ型で事前通知する無料サービス「緊急大地震予報」を、本年4月8日より運用開始しました。

 今般12月8日に発生した青森県東方沖地震Mw7.6(最大震度6強)の直前に、アプリ「ゆれズバ」でこの大地震を予知・予報するとともに、「緊急大地震予報」を運用開始以来初めて発動し事前通知・拡散することで、当該M7級大地震による犠牲者ゼロの達成に寄与し貢献しました。

【緊急大地震予報開発の経緯、目的】

 能登半島地震発生から約2年が経過した現在、震災関連死を含む犠牲者が約700人に達しており、直前予報は果たされたものの多くの尊い命が失われる結末となりました。これは現状では地震予報配信数が絶対的に不足しており、予知情報が被災地域へ十分に行き渡っていなかったことが大きな要因でした。また気象庁発表の緊急地震速報は、揺れが強い震源域周辺では間に合いませんでした(図1)。

 能登半島地震でのこのような結末と教訓をきっかけとしまして、ブレインでは特にマグニチュード(M)7級以上の大地震予報の配信規模を1000万人程度に拡大し、国民の皆様へ火急的速やかに拡散展開し、効果的な地震防災対策に結びつけることを目的として、新規通知サービス「緊急大地震予報」をリリースしました。

図1 能登半島地震の緊急地震速報(警報)発表地域及び主要動到達までの時間(出典:気象庁ホームページ2024年1月1日)

【緊急大地震予報の内容、通知方法】

 この「緊急大地震予報」は、大地震が予知・予報された際に緊急で、地震発生の1週間~2週間程度前までにこれを、スマートフォン及びパソコンへ向けてプッシュ型で事前通知する無料サービスであり、本年3月6日から供用開始し機能改良を経て4月8日より本格運用を開始致しました。

 「緊急大地震予報」が通知される媒体は、全国に広く普及し稼働率が高いスマートフォン端末及びパソコン端末(Googleブラウザ、Yahooブラウザ)です。各媒体へ通知される予報画像例として、図2にM7級大地震予報及びM8級巨大地震予報を示します。

図2 緊急大地震予報画像(左図:M7級大地震予報、右図:M8級巨大地震予報)                    ※本図はサンプル画像であり、実際に大地震予報が発表されたわけではありません。

 仮にM7級大地震(又はM8級巨大地震)が予報された場合、M7級(又はM8級)予報対象地域(予報円)が原則として1ヶ所又は2ヶ所指定され、予報対象地域及びその周辺地域を中心として緊急大地震予報(第1報)が通知されます。通知を受けたユーザーは、まずご自身の在住地が大地震の予報対象地域であることを認識し、迅速・的確な事前準備及び初動対応が可能となります。

 その上で通知画像をタップ又はクリックすることで、アプリ「ゆれズバ」のダウンロード画面に直行し、これをダウンロードし「最新予報閲覧」をインストールすることで、予報対象地域及び発生地震履歴などの詳細情報が閲覧可能となります。一連の操作でアプリのダウンロードまでは無料です。

 その後、全国へ向けて緊急大地震予報(第2報)が通知され、通知を受けたユーザーは当該地域への不要不急の出張・観光・帰省を控える、或は予報対象地域に在住する家族や取引先へ連絡する、或は企業・団体においてはBCP(事業継続計画)発動を準備するなど、様々な事前準備態勢や迅速な初動対応力が強化されました。

【青森県東方沖地震予知・予報の経緯、大地震予報内容】

 北海道北部及び東北地方北部の観測点では、10月30日より地磁気・地電流のやや大きな異常が発現し、東北地方北部(同沖)でM6級の中規模地震発生が予知・予報されました。この結果11月4日から三陸沖及び青森県東方沖で最大Mw6.8を含むM5級、M6級中規模地震が合計33回大規模群発しました。

 その後12月3日に更に大きな地磁気・地電流異常(図3)が発現し、また当該地域においてグーテンベルグ・リヒター則による「b値」が0.2前後に低下したため、これらの群発地震が前震活動でありより規模が大きい本震が発生すると判定されました。

 これらにより青森県東方沖を中心とした東北地方北部(同沖)において、M7級の大地震発生が予知されたとして、12月8日12時22分にアプリ「ゆれズバ」で臨時大地震予報(図4)を配信しました。

図3 地磁気異常の観測波形(北海道北部観測点2025年12月3日(UTC))
図4 「ゆれズバ」臨時地震予報(2025年12月8日12時22分配信)

【緊急大地震予報の発動、結果】

 「緊急大地震予報」は臨時大地震予報配信の前日12月7日11時00分より、運用開始以来初めて発動されました。予知・予報された地震規模がM7級であったため、図2左図のM7級緊急大地震予報画面が配信されました。1日目は被災想定地域である北海道、青森県、岩手県の3県へ集中的に配信され、2日目の12月8日は全国向けに一斉配信・拡散されました。

 この結果、12月8日23時15分頃、青森県東方沖でモーメントマグニチュードMw7.6(気象庁マグニチュードMj7.5・最大震度6強)が発生し、津波は岩手県久慈港で最大波高70cmが観測されました。発生した地震の時期、場所、規模は、何れも予報の範囲内でした。

 これらにより、「ゆれズバ」での直前予報と「M7級緊急大地震予報」の通知・拡散、ならびにこれら含めた被災地における種々の事前防災対策などにより、現時点で当該大地震による犠牲者(直接死及び災害関連死の総計)ゼロが達成されました。

 なお2日間での合計配信時間は約36時間であり、Google向け及びYahoo向けの総配信件数は422.6万件でした。これは全国の成人人口の約4%に相当します。今回は緊急大地震予報の初出動であったため配信費用を通常の半額に抑制し、3日間(72時間)の期間を約1.5日間(36時間)に短縮しました。したがって、配信費用を満額とし期間を3日間(72時間)とすれば総配信件数は1690万件程度と予測され、目標とする3日間で1000万人(全国の成人人口の約10%)の大規模通知・拡散を実現する目途が立てられました。

【予測される効果、今後の展望】

 「緊急大地震予報」により、大地震が予知・予報されてから概ね3日以内、即ち地震発生の1週間~2週間程度前までに拡散規模を1000万人程度(全国の成人人口の10%程度)に拡大する目途が立てられました。更に通知・拡散する地域を大地震が予知・予報された地域及びその周辺地域に限定することにより、同一の拡散規模でより高密度に大地震予報を行き渡らせることが可能となりました。SNS上での再拡散や口コミなどによりその大地震情報は、被害が想定される地域の皆様のほぼ大半に行き渡ると予測されます。

 ここまでの認知・拡散が展開され、これを避難や備蓄などの的確な地震防災行動へ効果的に結び付けることで、緊急地震速報が間に合わない震源域周辺であっても、震災に対する事前準備態勢や初動対応力が大幅に強化され、犠牲者を抜本的に減らしゼロに近付けるための基礎体制が構築されました。

 特に今回の青森県東方沖地震は比較的陸域に近い場所で発生した海溝型大地震であったため、最大震度6強の非常に強い揺れが発生し、気象庁発表のM7級大地震を警告する緊急地震速報(警報)は、強い揺れの発生地域に対して間に合いませんでした。

 したがって、アプリ「ゆれズバ」による臨時地震予報と「緊急大地震予報」の組合せにより、今回のようなM7級・最大震度6強の大地震に対しても、犠牲者を一人も出さずに済むための一助となり、地震防災上で有効なスキームとしての先例となりました。  

 これらの地震防災スキームを、今後全国で発生する大地震・巨大地震や被害地震に展開することにより、国民の皆様の命と安全と安心を守り続け、北海道地震、能登半島地震を最後として震災での犠牲者ゼロを目指し、やり遂げてまいる所存です。

(以下ご参考・追加ご説明資料)

【地震予知・予報の方法、経緯】

 ブレインは、地震学に加え電磁気学、音響学、振動工学、破壊力学などを複合し、地磁気・地電流異常、低周波音及び前震活動からなる3種類の地震前兆を総合的に分析・判定する高精度な地震予知法「3種前兆地震予知法」を開発し、2016年より予知結果を全国のエンドユーザーに向けて、メールやアプリにより配信する地震予報ネットワークを実用化しました。

 3種類の前兆現象のうち、低周波音は地震発生の1ヶ月~2ヶ月程度前に発生するため、中長期地震予知に適用し、地磁気・地電流異常は1週間~2週間程度前に発生するため、短期地震予知に適用します。前震活動は地震発生の数時間~数日程度前に発生するため、直前地震予知ならびに発生した地震がその後収束するか、あるいは更に規模が大きい本震につながるかの判定に用います。

【地震前兆現象の原理(地磁気・地電流異常)】

 地磁気・地電流の異常(図5)は、トラフや断層を構成する岩石が破壊する直前に「圧電効果」と呼ばれる原理により発生することが、岩石破壊実験や各種地震観測などにより確認・検証されています。

 この現象は、岩石破壊現象の前駆過程(破壊過程そのもの)であるため、地震発生とほぼ100%の相関性があり、前兆現象として必要十分条件と言えます。これを前兆現象として採用することで地震の1週間から2週間前までの短期予知精度が大幅に向上しました。

 全国18ヶ所の予報対象地域区分(予報円)及び18ヶ所の観測点配置を図6に示します。

図5 地磁気・地電流異常の原理
図6 予報対象地域区分(予報円)、観測点配置

【地震予報の実績、精度】

 3種前兆地震予知法の採用により地震予知・予報の精度が大幅に向上し、2016年熊本地震以降に国内で発生したM5.0以上又は最大震度5弱以上の地震に対する予報成功率は、2025年11月30日現在で95.1%でした。最大震度7又はM7級大地震の主な予報成功事例は、以下となります。

・2016年 熊本地震(Mj7.3、最大震度7・試行段階)

・2018年 北海道胆振東部地震(Mj6.7、最大震度7)(*1)

・2021年 宮城県沖地震(Mw7.0、最大震度5強)

・2022年 台湾島東部地震(Mj7.3、最大震度6強)

・2024年 能登半島地震(Mw7.5、最大震度7)(*2)

・2025年 青森県東方沖地震(Mw7.6、最大震度6強)

 北海道胆振東部地震において、最大震度7(改正メルカリ震度階級Ⅹ以上)の大地震が短期予知・予報されたのは、世界的に前例がなく初の事例です(*1)。

(*1)1975年に中国・遼寧省で発生した海城地震Mw7.0は、発生当日に直前予知・予報されましたが、最大震度は改正メルカリ震度階級Ⅸ(気象庁震度階級6強相当)でした。

(*2)能登半島地震は最大震度7の予知・予報事例として2例目です(静岡地震防災研究会調べ)。

【3種前兆地震予知法の特徴】

 本地震予知法の特徴は、従来よりギリシャで供用されているの「VAN法」とは基本的に異なり、地震前兆波形の周期特性及び振幅量を中心パラメータとした、比較的簡明な原理及び予知ロジックに基づく独自手法です(*3)。

 ギリシャでは「VAN法」による地震情報が公的機関より公表されていますが、概ねM5.5以上の地震が予測された際に1年に1回程度公表される不定期予報であり、予報成功率は60%~70%と報告されています。予報成功率が90%を超える高精度な定期地震予報の実用化は、世界的に前例がなく初の事例です((*3)、静岡地震防災研究会調べ)。

(*3)本リリースは2023年度日本地震予知学会で発表済みの下記論文より抜粋加筆したものです。

「地中電磁波による高精度地震予知法の開発と適用:その1全体概要」,日本地震予知学会2023年度学術講演会予稿集pp23-17(43MB)

https://www.eqpsj.jp/docs/2023EqPSJabsract.pdf

【緊急大地震予報の通知・拡散方法】

 緊急大地震予報の配信方法は、大地震が予報されてから3日以内に1000万人規模へ効率的に拡散するため、Googleアプリ広告とYahooディスプレイ広告を適宜併用して配信・通知します。図7にスマートフォン上でのGoogleアプリ広告の配信媒体例(GooglePlay、検索広告、YouTube広告、ディスプレイ広告)、図8にYahooディスプレイ広告の配信媒体例を示します。

 ユーザーが各通知画面に効率的に到達するために、全国のユーザーが過去にGoogle検索或いはYahoo!検索で使用した地震防災関連で頻度の高いキーワード群を抽出し、カスタムインテント機能(Googleブラウザ向け)及びキーワードターゲッティング機能(Yahooブラウザ向け)などを適宜活用することで、地震防災に関心があるユーザー向けへ迅速かつ効果的に予報配信を行います。

図7 スマートフォンでの配信媒体例(Google検索、Googleディスプレイ)
図8 パソコンでの配信媒体例(Yahooディスプレイ)
写真1 ブレイン代表・内山義英

 「ブレイン地震予報」、アプリ「ゆれズバ」について更にお知りになりたい方は、下記URLのホームページ、TV動画、ネット記事などをご覧ください。

① ブレインホームページ

https://www.brain-s.com/

② BSフジTV ガリレオX第207回(地震は予知できるのか ~大地震予報のゆくえ~)

https://www.youtube.com/watch?v=dM7HuCChKEQ

③ 文教速報デジタル版(地震予報アプリを開発 ブレイン・内山義英代表の奮闘 「被災者の命を守り、犠牲者をゼロにしたい」)

https://bunkyodezi.com/research/17208/

④ PR TIMES(能登半島地震から1年 大地震予報の結末と教訓)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000154247.html

⑤ PR TIMES(命を守る【緊急大地震予報】を事前通知・大規模拡散)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000154247.html

 ブレイン代表者のプロフィール、職務経歴などについて更にお知りになりたい方は、下記URLのプロフィールをご覧ください。

⑥ 講演依頼.com https://www.kouenirai.com/profile/4277/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


関連リンク
https://brain-s.com
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

ブレイン

0フォロワー

RSS
URL
https://www.brain-s.com
業種
サービス業
本社所在地
静岡県静岡市葵区紺屋町8-12 内野ビル4F
電話番号
054-270-9820
代表者名
内山義英
上場
未上場
資本金
4078万円
設立
2016年07月