乳酸菌飲料の継続的な飲用による 高齢者の“QOL”改善の可能性を確認
高齢化が進む愛媛県上島町(かみじまちょう)で産島学連携研究 第72回日本公衆衛生学会(10月23~25日/三重)にて発表
【背景】
当社では、人々の心とからだの健康に役立つ商品・技術を提供することを目指し、乳酸菌や微生物を活用した研究を行っています。特に当社独自の乳酸菌を活用した乳酸菌飲料については、発酵過程で生成される機能性成分の研究や、発酵で生まれる香りの研究など、多くの研究を行ってきました。
今回、50年後の日本の高齢者比率に近いとされている愛媛県越智郡(おちぐん)上島町(かみじまちょう)岩城島(いわきじま)(※2)の住民の方々、および特定非営利活動法人しまの大学(愛媛県越智郡上島町、代表理事:村上律子)にご協力をいただき、高齢者を対象とした乳酸菌飲料の中期的な継続飲用による心身の健康度への影響について、健康関連QOL尺度SF-8™(※3)やアンケートを用いた予備調査を実施しました。
【調査概要】
目 的 :乳酸菌飲料の継続飲用による心身の健康度への効果を検証すること
方 法 :
・ 希釈タイプの乳酸菌飲料(希釈時150ml)を自身で希釈して調製し、1日1杯を8週間継続飲用する。
・ 2週間ごとに参加者全員が集まる集会を開催し、体感効果等を話し合うコミュニケーションの場を設ける。
・ 評価は飲用開始時、4週後、8週後に実施。
対 象 者 :愛媛県・上島町岩城島在住の60歳以上の男女33名(男性13名、女性20名、平均70.7±6.3歳)
調査方法 :① SF-8™(健康関連のQOL尺度) ② 体調アンケート
調査期間 :2012年10月2日~11月27日
【結果】
調査開始時と継続飲用8週後の比較において、SF-8™の尺度では、「心の健康」で有意な上昇が認められ(p<0.05)、「全体的健康感」、「活力」、「日常役割機能(精神)」の複数の項目で上昇の傾向(p<0.1)が認められた(図1)。
また、精神面の総合的な指標である「精神的サマリースコア」で上昇の傾向(p<0.1)が認められ、特に精神面のQOLについて向上が示唆された(図2)。
【結果 つづき】
【結論】
乳酸菌飲料を継続飲用することで主観的健康感が上昇し、飲用をきっかけとした住民の集まる場を設けることにより、高齢者の孤独感が解消する可能性が示されました。
また、毎日自分で飲料を希釈調製するなどのルーティンワークや日々の生活の目的を持つことにより、心の健康など精神面のQOL向上が期待できる可能性が示されました。
今後は、今回の調査結果を参考として、当該地域全体で長期的な研究を行い、高齢者のQOL改善効果の検証を進めてまいります。
【参考】
(※1)QOL
英語でquality of life の略で、「生活の質」の意。
人々の生活における物理的な豊かさだけでなく、精神面を含めた生活全体の豊かさを含めた概念。どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえることから、近年注目を集める研究分野となっている。
(※2)愛媛県越智郡(おちぐん)上島町(かみじまちょう)
愛媛県と広島県の県境、瀬戸内海に浮かぶ離島25島(うち6島が有人島)から構成される町で、人口は約7,200人、世帯数は約3,700戸とされている。厚生労働省の研究班の調べでは、「2060年には、日本の人口の40%が65歳以上となる」と予測されているが、上島町の65歳以上の人口は2012年2月末時点で40%に上っており、約50年後の日本人口の縮図と考えられている。
(※3)SF-8™
米国のJohn Ware博士らによって開発された健康関連のQOLを評価するための調査票で、日本語版は認定NPO法人健康医療評価研究機構から提供されている。8つの尺度(①身体機能、②日常役割機能(身体)、③体の痛み、④全体的健康感、⑤活力、⑥社会生活機能、⑦日常役割機能(精神)、⑧心の健康)に対応するスコア、および身体的健康と精神的健康をあらわす2つのサマリースコアを算出することができ、高齢者のQOL評価を短時間で行えるため、疫学調査などで国際的に広く用いられている。
<本件に関するお問い合わせ先>
アサヒグループホールディングス株式会社 広報部門
電話:03-5608-5126
<お客様からのお問い合わせ先>
カルピス株式会社 お客様相談室
フリーダイヤル:0120-378-090
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