第45回 日本SF大賞発表のお知らせ
第45回 日本SF大賞を『宝石の国』市川春子氏 (講談社)、特別賞を『銀河風帆走』宮西建礼氏 (東京創元社)、功績賞を楳図かずお氏・住谷春也氏・山本弘氏が受賞
平素は格別のお引き立てを賜り、厚くお礼を申し上げます。
一般社団法人日本SF 作家クラブでは 、ピクシブ株式会社 ・ 株式会社ブックリスタ協賛のもと、日本SF大賞を主催しております。
このたび第 45 回日本SF大賞が決定いたしましたので、お知らせいたします。
【大賞】
『宝石の国』市川春子 (講談社)
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【特別賞】
『銀河風帆走』宮西建礼 (東京創元社)
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第 45 回日本SF大賞は、2023 年 9 月 1 日より 2024 年 8 月 31 日までの間に発表されたSF作品の中から、もっとも優れた作品に贈られるものです。
2025 年 2 月 15 日、Zoom で行われた選考会(選考委員:池澤春菜・大森望・斜線堂有紀・立原透耶・林譲治の各氏。なお、自作が候補に選出された池澤委員は書面での参加)の結果、受賞作は以上のとおり決まりました。
なお功績賞が、故・楳図かずお氏、故・住谷春也氏、故・山本弘氏に贈られます。
【功績賞】
楳図かずお(漫画家)
住谷春也(翻訳家)
山本弘(作家)
大賞受賞作には正賞として賞状とトロフィー、副賞として賞金 100 万円が贈られます。また、特別賞には正賞として賞状とトロフィー、功績賞には正賞として賞状と記念品が贈られます。
贈賞式は、2025 年 4 月 26 日(土) 、代官山 蔦屋書店にて開催されるイベント「SFカーニバル」内で行われ、日本SF作家クラブ公式 YouTube にてオンライン配信いたします。
日本SF作家クラブ公式 YouTube
https://www.youtube.com/channel/UC-zZT661Iyh_df6AX07IkgA
「SFカーニバル」4 月26日& 27日開催
公式X(旧ツイッター)アカウント https://x.com/SF_CARNIVAL
受賞者プロフィール
【大賞】
市川春子(いちかわ・はるこ)
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生年出身地等非公表。2006年、短編「虫と歌」でアフタヌーン四季賞2006年夏の四季大賞を受賞し、月刊アフタヌーン誌上にてデビュー。09年、同作を表題とする短編集『虫と歌 市川春子作品集』を刊行し、第14回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。12年から連載を開始した長編漫画『宝石の国』が、17年にテレビアニメ化。他の著作に、『25時のバカンス 市川春子作品集II』(11)、『三枝先生』(22)、画集『愛の仮晶 市川春子イラストレーションブック』(17)などがある。
【特別賞】
宮西建礼(みやにし・けんれい)
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1989年、大阪府豊中市生まれ。京都大学農学部資源生物科学科卒業。2013年、「銀河風帆走」で第4回創元SF短編賞を受賞。24年に同作を表題とした短編集を刊行し単著デビュー。共著に『京大吉田寮』(19)がある。
【功績賞】
楳図かずお(うめず・かずお)
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一九三六年生まれ。和歌山県出身。奈良県で育ち、小学四年生で漫画を描き始め、中学高校と漫画を描き続け、高校三年生で『別世界』「森の兄姉」をトモブック社から単行本として出版しデビューする。『森の兄妹』は水谷武子との競作で『ヘンゼルとグレーテル』を漫画にしたも、『別世界』はSFだった。以後、貸本漫画の分野で作品を発表して人気を得る。一九六一年に貸本短編誌『虹』に発表した『口が耳までさける時』で「恐怖マンガ」という言葉を使い、一九六五年発表の『ねこ目の少女』『へび女』のヒットで“ホラー漫画の神様“としての人気を確立していく。一九七二年から『週刊少年サンデー』で連載した『漂流教室』は第二十回小学館漫画賞に輝き、楳図かずおの名前を大きく世間に広めると共に、滅亡した世界のビジョンを見せてSF漫画の世界に存在を強く印象づけた。続く『まことちゃん』の大ヒットで、ギャグ漫画家としての人気も確立した後、活動の舞台を青年誌に移し、一九八二年から連載の『わたしは真悟』でロボットの意識に関するテーマに挑み、一九九〇年から連載の『14歳』では人類の未来と滅亡について描いて、緻密で独創的な絵と共にSFマンガの歴史に残るビジョンを提示した。一九九五年の『14歳』連載終了後、漫画家としては休筆状態に入ったが、タレントとしてテレビや雑誌に登場するようになって、赤と白のボーダーシャツを着た姿で多く人前に登場した。この頃から作品の映画化が相次ぎ、『楳図かずお恐怖劇場』『猫目小僧』『おろち』といった映画が公開。二〇一四年公開の『マザー』では原案・脚本・監督も務めた。画業への評価も高まり、二〇一八年に『わたしは真悟』がフランスで開催の第45回アングレーム国際マンガフェスティバルで遺産賞に選ばれ、二〇一九年には文化庁長官表彰を受賞した。二〇二二年開催の『楳図かずお大美術展』で二十七年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO小さなロボットシンゴ美術館』を発表し、この作品で二〇二三年に第27回手塚治虫文化賞で特別賞を受賞。二〇二四年十月二十八日に八十八歳で逝去。
[プロフィール作成:タニグチリウイチ]
住谷春也(すみや・はるや)
一九三一年生まれ、群馬県出身。日本のルーマニア文学者でミルチャ・エリアーデ作品の翻訳で知られる。旧制松本高校文科乙類(ドイツ語専攻)を経て五三年東京大学東京大学文学部フランス文学科卒業。出版社勤務のかたわらルーマニア語の学習を始め、東大文学部にも出入りするようになりロシア語やルーマニア語を専門とした直野敦教授から学び、共訳で『東欧民話集 ルーマニアの民話』を刊行する。直野門下のスラヴ文学者・沼野充義氏とも知己を得て、沼野氏や波津博明氏の紹介で非英語圏 SFファンが参加していた同人誌『イスカーチェリ』を知り、ルーマニアやフランスのファンタスチカ(SF、ファンタジー、幻想小説、ホラー等を総称)の翻訳・紹介を執筆し始める。八六年に出版社を退社しルーマニアに移住。ブカレスト大学文学部博士課程で学び、八七年からは日本語を教え始める。ブカレストからルーマニア・ファンタスチカの様子や、八九年に起こったチャウシェスク政権崩壊をもたらしたルーマニア革命の様子を日本にリポートする。九〇年ブカレスト大博士課程修了。以後、『ホーニヒベルガー博士の秘密』(直野と共訳)、『19本の薔薇』『令嬢クリスティナ』といったミルチャ・エリアーデの作品を翻訳。二〇〇三年から〇五年には『エリアーデ幻想小説全集』全三巻を直野との共訳で刊行した。ほかにイオン・ミハイ・パチェパ『赤い王朝 チャウシェスク独裁政権の内幕』、ミルチャ・カルタレスク『ぼくらが女性を愛する理由』『ノスタルジア』、ギョルゲ・ササルマン『方形の円』、チェーザル・ペトレスク『白クマのフラム』などを翻訳した。八五年にリビウ・レブリャーヌ『大地への祈り』で日本翻訳家協会文学部門最優秀賞を受賞。〇四年にルーマニア文化功労コマンドール勲章を受章、〇七年ルーマニアのナサウド市名誉市民となった。訳業そのものののみならず、日本における東欧ファンタスチカ翻訳の土壌を土壌を生み出した功績は大きい。二〇二四年六月九日、九十三歳で死去。
[プロフィール作成:高野史緒/リライト:タニグチリウイチ]
山本弘(やまもと・ひろし)
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一九五六年生まれ、京都府出身。ゲーム創作集団「グループSNE」の創設に参加。〈ゴーストハンター〉シリーズの小説『ゴーストハンター ラプラスの魔』『パラケルススの魔剣』、〈妖魔夜行〉シリーズの小説、『ソード・ワールドRPG』のリプレイや短編小説、コンシューマーゲーム『サイバーナイト』のストーリー設定などで活躍。こうしたゲーム関連の業績をまとめた『山本弘 ウォーロック大全』や「GMウォーロック14号」を二〇二四年に刊行。並行して、SF作家として一九八九年に『時の果てのフェブラリー─赤方偏移世界─ 』なども刊行した。グループSNEから独立後は、SFを中心にしつつミステリや児童書、青春小説などへと活動の幅を広げた。小説では二〇〇四年『神は沈黙せず』を刊行して第二十五回日本SF大賞候補となり、二〇〇六年の『アイの物語』は第二十八回吉川英治文学新人賞候補になった。二〇一一年刊行の『去年はいい年になるだろう』で第四十二回星雲賞の日本長篇部門を受賞、二〇一六年にも「多々良島ふたたび」で第四十七回星雲賞日本短編部門賞を受賞した。著作としてほかに『MM9』『C&Y 地球最強姉妹キャンディ』『BISビブリオバトル部』『名被害者・一条(仮名)の事件簿』『怪奇探偵リジー&クリスタル』などがある。SF啓蒙、疑似科学批判などエッセイ、ノンフィクションも多く手掛けた。二〇二四年三月二十九日に六十八歳で死去。
[プロフィール作成:友野詳/リライト:タニグチリウイチ]
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