Interbrand “Best Global Brands 2009” 「ブランド価値」によるグローバル・ブランドランキングTOP100 を発表
(※詳細は別紙 https://www.prtimes.jp/data/corp/92/b21e3d093587c03c0bdf7f6bc761e91e.pdf)
<Best Global Brands 2009ハイライト>(※ランキング一覧は別紙 https://www.prtimes.jp/data/corp/92/69a01685e6e2157ad61af6ac30d55f74.pdf)
■グローバルのトップブランドにも、多大な影響を及ぼした世界同時不況昨年秋以降の「金融危機」に端を発した世界同時不況は、グローバルのトップブランドにも大きな影響を及ぼしています。右肩上がりで成長してきたトップ100ブランドの「ブランド価値」の合計金額は、この1年で555億ドルの価値(前年比4.6%減)が減少する結果となっています。しかしながら、同時期での世界の株式時価総額合計の下落率(前年比28.2%減)と比較すると、その減少率は緩やかであり、グローバルのトップブランドは、不況下においてもそのブランド価値を維持していることを示唆しています。
■大きくブランド価値が減少した金融業界のグローバルブランド不況の影響を強く受けたのは、金融、自動車、電機業界であり、特に金融はMerrill Lynch、 AIG、INGの3ブランドがランク外となり、UBS(72位 前年比50%減)、 Citi(36位 前年比49%減)、 American Express(22位 前年比32%減)、Morgan Stanley(57位 前年比26%減)と多くの金融ブランドがその「ブランド価値」を減少させています。
■不況下においてもブランド価値を高めたインターネット関連ブランド一方、不況下においてもブランド価値を高めたのは、インターネット関連ブランドです。Google(7位 前年比25%増)は、来るクラウド社会に向け、インターネットブラウザChrome、携帯ソフトAndroidなど更にサービスの幅を広げており、2005年のランキング入り以来、4年連続でブランド価値を向上させた結果、Toyotaを抜いて7位となりました。その他、小売店の淘汰が進む中、その需要を多様な商品の扱いにより取り込むことに成功したAmazon.com(43位 前年比22%増)、iPhoneなど顧客層を広げる戦略を次々と打ち続けるApple(20位 前年比12%増)がブランド価値を増加させています。
■新興国でのブランド浸透に成功している食品業界のグローバルブランド他の業界のブランドが不況の影響により軒並み価値を下げる中、食品・飲料関連のブランドも価値を上げています。食関連の事故が起きる中、品質や安全性を重視した消費者が、信頼感の高いグローバルブランドを選択することも要因となっていますが、新興国での成功も大きな要因のひとつとして考えられます。中国とケニアに研究拠点を新設するなど新興国に集中投資を進めているNestle(58位 前年比13%増)、米国以外での売上高が60%を越えるWrigley(51位 前年比10%増)、アジア市場で成功しているHeinz(48位 前年比9%増)、Danone(60位 前年比10%増)、Budweiser(30位 前年比3%増)、KFC(61位 前年比3%増)など、好調な食品・飲料関連ブランドは、着実に新興国へのブランド浸透に成功しています。
本年度のランキングにおいては、金融関連ブランドがランク外になる一方、Burger King(93位)、Cambell's(100位)など食品関連ブランドが新たにランクインしています。
<アジアブランドのハイライト>
■不況下においても着実にブランド価値を高めたNintendoアジアブランドは全体的に苦戦しつつも、日本7ブランド、韓国2ブランドと前年と同数のブランドがランクインしました。アジアブランドで唯一価値を上昇させたのが、Nintendo(39位 前年比5%増)で、昨年に引き続きWii、DSのグローバルでの販売増を背景に着実にブランド価値を高めています。
■構造転換が迫られる電機関連ブランド電機関連ブランドは、不況の影響を受け軒並みブランド価値を下げています。Sony(29位 前年比12%減)は先進国市場における不況の影響を受けブランド価値が大きく減少しました。今後、新経営陣のもとで各ビジネスセクター間のシナジーによる成果が期待されています。主力の複合機とプリンターが不振となったCanon(33位 前年比4%減)は、新しいビデオカメラの上市などは評価されているものの、ブランド価値が減少しました。
薄型テレビおよび携帯電話での地位を強固にしたSamsung(19位 前年比1%減)とPanasonic(75位 前年比1%減)は、他の電機関連ブランドが大きくブランド価値を減少させる中、価値の維持に成功しています。Panasonicは、日本国内でのNationalブランドからPanasonicへのスムーズな統合、グローバルでの”Eco idea”戦略の推進など、不況下においても着々とグローバル戦略を進めています。
■世界同時不況の影響を大きく受けた自動車ブランド自動車ブランドでは、TOP10ブランドであるToyota(8位 前年比8%減)は、初の赤字決算となるなど世界同時不況の影響を大きく受けました。一方、環境関連の戦略は着々と進めており、新プリウスの上市など、今後も業界を牽引していくと見込まれています。Honda(18位 前年比7%減)は、4輪車は不況の影響により大きく売上を落としているものの、新興国市場を中心とする2輪車の販売が成長を支えています。大型SUVやトラックを持たないラインナップは、小型車の需要が増えるグローバル市場の流れの中で、非常にアドバンテージとなると考えられます。Lexus(96位 前年比12%減)が、高級車需要の落ち込みにより大きく価値を落とす一方、Hyundai(69位 前年比5%減)は、米国での大型キャンペーンや新車投入により健闘しています。
【自動車業界の動向】前述のアジアの自動車ブランドと同様に、グローバルにおいても自動車ブランドは軒並みブランド価値を下げています。しかし、各国政府の新車購入補助政策などに支えられて、直近の売上高は回復に向っているブランドも多く、ビッグスリー所有のHummer、Jaguar、Land Roverなどのブランドが売却され、各社のブランドのポートフォリオにも影響が出ています。
その中で、熾烈な開発競争が繰り広げられている環境対応車では、先行する日本勢が環境に優しいイメージを築いており、Mercedes-Benz(12位 前年比7%減)やBMW(15位 前年比7%減)はディーゼル車の更なる展開やハイブリット車の投入により、その後を追う状況にあります。
一方、Ferrari(88位 前年比±0%)は、唯一価値を維持したブランドであり、積極的な新型車展開と店舗戦略により、不況下においても東欧、日本、中国市場など多くの地域で売上を伸ばしています。
<Best Global Brands 2009 のブランド価値評価について>■CRITERIA FOR CONSIDERATION 評価対象基準
本ランキングはグローバルな事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするもので、その上位100ブランドを公表しています。
その評価対象として、以下の基準を満たす企業・商品を抽出し、評価をしました。
• 各種財務情報が公表されていること
• 起源国以外での海外売上高比率が3分の1を超えていること(2008年度実績)
• B to Bブランドであっても、グローバルで一般に認知されていること
• ブランドが顧客の購買行動に影響を与えていること
■Methodology 評価方法インターブランドのブランド価値評価手法は、財務力、ブランドが購買意思決定に与える影響力、そしてブランドによる将来収益の確かさ、という観点からブランドを評価します。証券アナリストが事業の価値を分析評価するのと同じように、「将来どれくらい収益を上げると予想されるか?」という視点に基づいて、ブランドを分析し評価します。評価は、具体的に以下の3つの分析によって構成されています。
「財務分析」 - 企業が生み出す利益の将来予測を行うまず、ブランドが冠された事業の現在および将来の収益を予想します。そして、その売上から営業費用、税金、そして投下資本に応じた資本コストを差し引き、将来の経済的利益を算出します。本分析は、公開されている企業情報を、将来予測は、2009年6月末時点でのアナリストによる予測値を基にしています。
「ブランドの役割分析」 - 利益のうち、ブランドの貢献分を抽出する
財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析します。
本評価においては、ブランドが消費者の購買動向に果たす役割について、インターブランドが過去20年に渡り実施した5,000を超えるブランド価値評価実績のデータベースを活用し、業界別にベンチマーク分析を行います。そして、業界ベンチマークを基にして、独自の調査・分析により個別ブランドの“ブランドの貢献分”のスコアを算出します。
「ブランド力分析」 - ブランドによる利益の将来の確実性を評価する
ブランド力の分析は、市場でのロイヤリティ、消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測り、ブランドによる利益を割り引いて現在価値に換算するものです。この評価は、ブランドのリスクを判断する体系的な手法であり、市場でのブランドのポジション、消費者の認知・好感度、イメージ、ブランドに対するサポートといった、ブランドに関わるさまざまな観点で評価を行ないます。評価されたスコアは、それに対応した「割引率」へと変換され、その「割引率」で将来のブランド利益を割り引くことで、ブランド価値が算定されます。
※「ブランドの役割分析」、「ブランド力分析」は、公表されているさまざまな報告書等を使用して行っており、弊社グローバル各オフィスの専門コンサルタントの多面的な評価を踏まえ算定されています。
<インターブランドについて>
インターブランドは、1974 年に設立された世界的なブランドコンサルティング会社です。世界26 カ国・38のオフィスを通じ、世界的に展開している企業をはじめ、さまざまな組織・団体に対し、ブランディングに関する多様なサービスを提供しています。‘Creating and Managing brand Value’のミッションのもと、戦略的な視点とクリエイティブの視点の両面から「ブランドを創り、その価値を高め、維持し、評価する」という一連のサービスを提供し、クライアントのもっとも価値ある資産であるブランドの価値向上をサポートしています。その事業内容は、ブランド価値向上に向けた戦略の立案、ネーミングやデザイン開発などのクリエーション、さらにはブランド価値の社内外への浸透・定着の支援に至るブランドマネジメントまで多岐にわたっています。
近年、日本企業の多くは、これまで競争優位の源泉となってきた品質、技術力、価格競争力などによる差別化が困難になるという非常に大きな課題に直面しています。そのため、新たな競争優位の源泉として、「ブランド」に注目し、その価値を高めることを目的にブランドマネジメントに積極的に取組まれています。インターブランドは1984年より世界に先駆けて、企業の視点(財務)と顧客の視点(マーケティング)の両面からブランドの価値を金額に換算する手法を開発し、これまでに5,000以上のブランドを評価してまいりました。さらに、「ブランド価値」の重要性を認識して頂くことを目的として、1999年より毎年、全世界のブランドを対象とした“Best Global Brands”を発表しています。
インターブランドについての詳しい情報についてはhttp://interbrand.com/jpをご覧ください。
以上
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お問い合わせ株式会社インターブランドジャパン
担当 : 中村正道 ・ 畠山寛光
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