日本初の「春画展」開催に合わせ、『美術手帖』10月号は“女子のための”春画特集。
『美術手帖』10月号は「女子のための入門!春画」特集。巻頭は春画をテーマに、蜷川実花が壇蜜を撮り下ろし。辛酸なめ子・峰なゆか・ろくでなし子が参加する春画講座では、女性目線で春画の見どころや面白さを指摘。また春画にまつわる豆知識も紹介し、現代の視点から自由な春画の楽しみ方を提案する。展覧会前に読んでいけば、作品体験が一味変わりそうな内容だ。
9月19日(木)から東京・永青文庫でいよいよ開幕する「春画展」。2013年に大英博物館で初めて春画だけの展覧会が開催され人気を博し、とくに女性が数多く集まったことでも話題となった。日本展はその里帰りともいうべきものだが、国内で本物の春画が並ぶ展覧会が美術館で開かれるのはじつは初めて。しかも開催までにはほとんどの美術館が会場として場を提供するのを拒むという紆余曲折があった。その裏には、どうやら春画への偏見や、性器表現をタブー視する態度があるようだ。
この特集では、そうした偏見をまずは取り払おうと、春画は男女や女同士、あるいは大勢で一緒に見て楽しむものであったり、嫁入り道具に使われたりと、日常生活でいかに親しまれていたかといった基礎知識を師岡とおるのイラストとともに紹介。
また現代のポルノやアダルトビデオとはちがって、春画は「笑い」の要素が満載だという点に注目。辛酸なめ子、峰なゆか、ろくでなし子が参加する「オトナ女子の春画講座」では、「エロとダジャレ的な笑いを結びつける感覚」や「性的興奮のためというより、自然に笑えてしまう」といった春画のユーモラスな点を3人が自由な発想で次々と指摘する。また春画を見ていると「平和な気分」になったり、大らかさやめでたさへの感覚はいまの日本を活性化させるのに必要!」といった意見も飛び出し、新たな春画の見方を提案している。
エロに笑いを見出す日本独自のセンスは、編集者・都築響一も指摘するところだ。同氏のインタビュー記事では、春画からAVや劇画など現代のエロ文化まで、「世の中のいろいろなものを平等な視点で見ることができれば、それだけ楽しいことが広がる」との意見も。
ほかに現代の画家である会田誠・山本タカト・木村了子3作家による鼎談、春画展必見の名品セレクションや、原寸大豆判なども収録。「自分ならどんなふうに春画を楽しもう?」「どんな発見ができるだろう?」と、自分なりに春画の面白さを見つけたいという思いが湧いてくるような特集となっている。
<特集内容>
・SPECIAL PHOTO SESSION 蜷川実花×壇蜜
・これだけは見ておきたい!「SHUNGA 春画展」名品セレクション
・オトナ女子の春画講座:辛酸なめ子×峰なゆか×ろくでなし子
・会田誠×山本タカト×木村了子「現代美術における性表現とタブー」
・都築響一インタビュー「春画から読み解く、ニッポンのエロスの行方」
・美術史家・木下直之が語る、性表現をめぐる規制はどう変わったか?
・アーティストが選ぶマイベスト春画:蔡國強・横尾忠則・タカノ綾
・Q&Aで解説! 春画を楽しむための基礎知識
・海外の春画研究者・アンドリュー・ガーストルに聞く、江戸時代の女性像とは?
・春画コレクター・浦上満に聞く、春画の買い方、楽しみ方
・綴じ込み付録:原寸大豆判/展覧会・イベント情報
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<特集以外の記事>
・大盛況のうちに閉幕した「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」を徹底レポート!
・写真家レスリー・キーがファッションブランド・GIVENCHYをまとった秋元梢を撮り下ろし!テーマはクリムト。
・森美術館で個展を開催中のディン・Q・レにインタビュー
・小説家・津村記久子の書き下ろし新作「真夜中をさまようゲームブック」
美術手帖10月号 9月17日(木)発売
定価 1600円+税
発行元 美術出版社
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美術手帖公式サイト http://www.bijutsu.co.jp/bt/
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