アボット: カレトラ+アイセントレス併用療法と、標準的HIV治療法を比較する臨床試験で有効性のプライマリーエンドポイントを達成

アボット ジャパン株式会社

アイセントレスとの併用試験として初めてとなるPROGRESS試験で未治療HIV感染者に対する48週間投与の有効性を確認
***このプレスリリースは、2010年7月19日(米国現地時間)に米国にて配信したものを翻訳したものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。本資料(英文)についてはhttp://www.abbott.comをご覧ください***


[2010年7月19日、オーストリア・ウィーン] アボットは本日、抗レトロウイルス薬未治療成人HIV感染者におけるアボットのプロテアーゼ阻害剤カレトラ® (ロピナビル/リトナビル)とメルク社のインテグラーゼ阻害薬アイセントレス® (ラルテグラビル)の併用療法を、標準的治療法であるカレトラとヌクレオチド/ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTIs)ツルバダ® (テノホビル/エムトリシタビン)の併用療法を比較する臨床試験の第48週の所見を発表しました。
 
有効性データは、96週間にわたるPROGRESS (PROtease/InteGRasE Simplification Study)臨床試験の前半48週間のデータです。

同試験の有効性のプライマリーエンドポイントは、ウイルス量が検出限界未満となった患者の割合が標準治療法群と同程度となることと設定して行われています。結果は、オーストリア・ウィーンでの第18回国際AIDS会議で発表されました。

PROGRESS試験の結果を発表した著者であり、モンペリエ大学医療センター(フランス)の感染症熱帯疾患科のジャック・レイネス(Jacques Reynes)教授は、「PROGRESS試験の第48週での試験結果は決定的な内容ではないものの、カレトラ+アイセントレスを併用するヌクレオシド温存HIV治療法は、HIV療法を開始する患者に対する新たな治療の選択肢となる可能性を示唆する内容です。今回の結果は、新クラス薬剤の研究をさらに進め、新たな併用療法を検討する推進力となります」と述べています。

HIV感染の治療に用いるレジメンでは、6クラス約20種類の薬剤が用いられます。未治療患者に対しては、NRTIを2剤とPIまたは非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)を併用する治療法が標準的です。

PROGRESS試験は、96週間にわたる国際多施設共同非盲検試験で、約200例のHIV感染者を対象としています。PROGRESS試験結果の解釈には、注意が必要です。第48週までに得られた主な所見は、次の通りです。

• HIV-1 RNA量が40 copies/mL未満(「検出限界未満」と定義)となった患者の割合は、カレトラ+アイセントレス併用例、カレトラ+ツルバダ併用例とも同様でした。
• 免疫反応の改善度(CD4+T細胞数の増加を指標)の平均は、両群とも同程度でした。
• 安全性と忍容性を試験薬と関連する有害事象(中等度~重度)の発現率などで検討したところ、両レジメンの成績は同程度。脂質上昇(コレステロールとトリグリセリドの上昇)の発現率は、カレトラ+アイセントレス群の方が高値でした。

アボット 開発部門 感染症担当のディビジョナル バイス プレジデントで医師のスコット・C・ブラン(Scott C. Brun)は、「カレトラは現行のプロテアーゼ阻害剤の中でも最も広く研究が行われている薬剤の一つで、アボットは新たな抗HIV薬との併用療法を探り、新たな治療の選択肢を広げることが重要と考えています。PROGRESS試験は、新レジメンの背景にある機序を解明してHIV感染者の方々に新たなアプローチを提供するための一歩であり、アボットのHIV研究への継続的な取り組みを示す活動の一つです」と述べています。

■PROGRESS試験について
• PROGRESS試験は96週間にわたる非盲検臨床試験で、抗レトロウイルス薬未治療患者を対象にカレトラ+アイセントレス併用療法とカレトラ+ツルバダ併用療法を比較します。
• PROGRESS試験に用いるアイセントレスは、メルク社が提供しています。

■カレトラについて
カレトラの使用について
カレトラ® (ロピナビル/リトナビル)は、プロテアーゼ阻害剤であるロピナビルとリトナビルを含有する抗HIV-1薬です。本剤は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)感染症の患者における治療効果を高めることを目的として、他の抗HIV-1薬と併用します。14日齢未満の小児における本剤の安全性と有効性は不明です。

カレトラは、HIV-1感染やAIDSの根本的治療薬ではなく、他人へのHIV-1の伝播を阻止する薬剤でもありません。カレトラを服用している場合でも、日和見感染をはじめとするHIV-1感染に伴う病態が現れることがあります。

ロピナビルやリトナビルなどのカレトラの成分に対するアレルギーのある患者は、本剤を服用しないでください。カレトラと一部の薬剤を併用すると、重大な問題や死亡、カレトラのHIV抑制効果の低減などが現れることがあります。カレトラを服用する患者の一部では、膵炎や肝障害が現れ、死に至ることがあります。心拍障害、トリグリセリドやコレステロールの大幅な上昇、糖尿病、高血糖、体脂肪の変化や血友病患者における出血の増加が現れることがあります。抗HIV薬の投与開始前からHIV以外の感染がみられる患者では、カレトラの投与中に感染症の増悪が現れることがあります。詳細については、「重要な安全性情報」をご覧ください。


処方情報の内容は国により異なります。カレトラに関する詳細については、処方情報をご覧ください。
• カレトラ配合錠は、冷蔵不要で食事時間に関係なく服用できる初で唯一のプロテアーゼ阻害剤の配合剤です。食事時間と保管温度は、抗HIV薬を用いる上で重要な要素であり、開発途上国では特に大きな要素となります。
• 米国ではカレトラ配合錠は2種の用量の製品が承認されており、新たに治療を開始する成人患者や抗レトロウイルス療法の経験のある患者のそれぞれに適した選択肢を提供し、用量を柔軟に設定することが可能です。
• 米国食品医薬品局(FDA)は、2000年9月15日にカレトラの早期アクセスを承認しました。今年は承認10周年にあたります。カレトラをはじめとするプロテアーゼ阻害剤は、今日のHIV併用療法の重要な要素として用いられています。2000年以降の10年間にはHIV治療における画期的な革新が数多くなされ、医師や患者がより多くの選択肢を持てるようになりました。


■アイセントレスについて
• アイセントレスは、インテグラーゼ阻害剤と呼ばれる新クラス薬剤で、同クラス内で最初に承認された医薬品です。
• アイセントレスは、成人の未治療例と既治療例に対して他の抗HIV-1薬と併用で用いる薬剤として承認されています。アイセントレスの小児における安全性と有効性は確立していません。
• アイセントレスは、インテグラーゼと呼ばれる酵素を阻害してHIV-1のDNAがヒトDNAに入る段階を阻止することで作用を発揮します。インテグラーゼを阻害することにより、ウイルスが増殖して新たな細胞に感染する活動が弱まります。


■カレトラの重要な安全性情報
カレトラは、ロピナビル、リトナビルなどの本剤の成分に対するアレルギーをもつ患者には投与しないでください。カレトラの服用例で発疹が現れることがあります。一部では重度の発疹が現れることがあります。以前に抗HIV薬で発疹が現れたことがある場合やカレトラの服用中に皮疹が現れた場合は、患者は医師に知らせる必要があります。

■薬物相互作用
薬物相互作用の現れる薬剤の一覧を次に示します。可能なすべての組み合わせについて検討されているわけではないので、患者は現在服用中か服用を予定する医薬品はOTC薬、ビタミン剤、ハーブ製品を含め全て医師に伝える必要があります。

カレトラとの併用で重大な問題や死亡が現れるおそれのある医薬品:
エルゴタミン(カフェルゴット®等)、ジヒドロエルゴタミン(D.H.E. 45®等)、エルゴノビン(Ergotrate®)、メチルエルゴノビン(Methergine®)などの麦角アルカロイド製剤、 トリアゾラム(ハルシオン®)、ミダゾラムシロップ剤、ピモジド(オーラップ®)、ロバスタチン(Mevacor®)、シンバスタチン(Zocor®)、リファンピン (Rimactane®, Rifadin®, Rifater®, or Rifamate®)、シルデナフィル(レバチオ®) (肺動脈性肺高血圧症の治療に用いる場合のみ)、 アルフゾシン(Uroxatral®)、セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort, セント・ジョーンズ・ワート) 含有食品。
*:上記製品については、一部国内未発売のものが含まれます。

カレトラと併用する際、用量の変更が必要となる医薬品:
エストロゲンを含む経口避妊薬(ピル)、パッチ型避妊薬、 ニロチニブ (Tasigna®)、 ダサチニブ(スプリセル®)、アトロバスタチン(Lipitor®)、ロスバスタチン (Crestor®)、 エファビレンツ(Atripla® and Sustiva®)、ネビラピン(ビラミューン®)、アンプレナビル (Agenerase®)、ホスアンプレナビル (レクシヴァ®)、ネルフィナビル(ビラセプト®)、フェニトイン(Dilantin®)、カルバマゼピン(テグレトール®)、フェノバルビタール、シルデナフィル(バイアグラ®)、タダラフィル(シアリス®、アドシルカ®)、バルデナフィル(レビトラ®)、リファブチン(ミコブティン®)、フルチカゾン吸入剤(Flonase®)、サルメテロール(セレベント®)およびサルメテロールとプロピオン酸フルチカゾンの配合剤(アドエア®)、コルヒチン(Colcrys®)、ボセンタン(トラクリア®)、フェンタニル (Duragesic®, IonsysTM, Fentora®) およびメタゾン。
カルバマゼピン(テグレトール®およびEpitol®)、フェノバルビタール(Luminal®)やフェニトイン(Dilantin®)とカレトラを併用する場合は、カレトラの1日1回投与を避けてください。
*:上記製品については、一部国内未発売のものが含まれます。

シルデナフィル(バイアグラ®)、タダラフィル(シアリス®)、バルデナフィル(レビトラ®)などの勃起障害治療薬をカレトラと併用すると、問題が生じる危険性が上昇します。
これはこれら薬剤との相互作用で血圧低下(めまいや失神)、視覚の変化、4時間以上持続する勃起などの副作用の発現率が上昇するおそれがあるためです。このような副作用が現れた場合は、医師に直ちに連絡してください。

カレトラ配合内用液には多量のアルコールが含まれています。メトロニダゾール(Flagyl®)やジスルフィラム(Antabuse®)の服用中か服用予定のある患者は、医師に相談してください。これらの薬剤をカレトラと併用すると、重度の悪心や嘔吐が現れることがあります。

カレトラは重篤な副作用を引き起こす場合があります。

カレトラは全ての方々にとって適切な薬剤となるわけではありません。患者は現在ある疾患などを全て医師に知らせる必要があります。

心拍や心臓の電気的活動の変化がカレトラの服用中に現れることがあり、これにより重篤な心障害に至ることがあります。このような副作用のリスクは、心拍障害その他の心疾患の既往がある患者や、心拍に影響を及ぼす医薬品をカレトラと服用している場合に上昇するおそれがあります。めまい、ふらつき、失神や心拍異常が現れた場合は、医師に直ちに連絡してください。

肝障害:カレトラの服用中に肝障害が現れ、死に至る場合もあります。血液検査で肝障害を示す値が得られることがあります。B型肝炎やC型肝炎などの肝疾患の患者がカレトラを服用すると、肝疾患が悪化することがあります。食欲減退、皮膚や眼の黄疸、暗色尿、白色便、皮膚そう痒や腹部痛などが現れた場合は、医師に直ちに連絡してください。

膵炎:カレトラの服用例で膵炎が現れており、重篤な膵炎や死亡が現れるおそれがあります。膵炎の病歴のある患者は特に膵炎の発現率が高まります。悪心、嘔吐や腹痛などの膵炎の症状が現れた場合は、直ちに医師に連絡してください。

免疫再構築症候群:カレトラなどの抗HIV薬の服用開始後に現れることがあります。服用開始前から存在していた重篤な感染症の症状・徴候が現れる際にこの現象が現れます。免疫再構築症候群が現れた場合、追加の治療が必要となる場合があります。

血中脂質濃度(トリグリセリドとコレステロール)の大幅な上昇:カレトラの服用例の一部で認められています。プロテアーゼ阻害剤によるトリグリセリドやコレステロールの上昇により心発作や脳卒中などの合併症の長期的な発現率は現時点では不明です。

重篤な糖尿病や高血糖の新たな発症または悪化:カレトラなどのプロテアーゼ阻害剤の服用例の一部で重篤な糖尿病や高血糖の新たな発症または悪化が認められています。カレトラの服用中に喉の渇きや尿量の増加が現れた場合は、医師に連絡してください。

体脂肪分布の変化:抗HIV薬の服用例の一部で体脂肪分布の変化が現れています。この原因や健康への長期的影響は不明です。

出血傾向:カレトラをはじめとするプロテアーゼ阻害剤にて治療中の血友病患者の一部で出血の増加が現れています。

経口避妊薬やパッチ型避妊薬を使用中の患者は、カレトラの服用中は避妊効果が低下する可能性があるため、別剤形の薬剤を追加するか別の避妊法を追加する必要があります。カレトラの服用中の避妊法について医師と相談してください。

カレトラの胎児に対する影響は不明です。妊娠中の女性や妊娠を計画中の女性は、医師に相談してください。

カレトラを服用中の妊婦(米国内)は、Antiretroviral Pregnancy Registry (妊娠中の抗レトロウイルス剤の使用に関する症例登録研究)への参加方法について医師と話し合ってください。登録研究では、母子の健康状態の追跡を行います。「米国で実施中のAntiretroviral Pregnancy Registry」

カレトラの服用中の母乳は避けてください。母乳を介したHIV感染が現れる可能性があり、また乳児にカレトラの重篤な副作用が現れるおそれがあります。

カレトラの主な副作用:下痢、悪心、腹部痛、脱力感、嘔吐、頭痛、胃不調などが現れることがあります。これ以外の副作用が現れるおそれがあります。

カレトラの長期的影響は不明です。



アボットについて
アボットは、HIV感染症の流行開始時よりHIV/AIDS研究をリードしてきました。1985年、アボットは世界初のHIV抗体検査を開発・上市し、以来HIV検査のリーディングカンパニーとして開発を続けています。アボットのレトロウイルス検査と肝炎ウイルス検査は、世界中の献血スクリーニングの半数以上で用いられています。治療薬の分野では、2種のプロテアーゼ阻害剤を開発しました。
 
科学への貢献の一環として、アボットとAbbott Fundは開発途上国に1億ドル以上を投じ、医療制度の強化、HIV/AIDSの小児のサポート、HIV検査・治療の開発などの重要分野を対象としたプログラムを展開し、途上国のHIV/AIDS患者の生活を改善する活動を行っています。アボットのHIV/AIDSプログラムについては、http://www.abbott.com/HIVAIDShttp://www.abbottglobalcare.orgをご覧ください。

米国イリノイ州シカゴに本拠を置くアボットは、広範囲のヘルスケアに基盤を置く世界的規模の会社であり、グループ総従業員数83,000人を擁し、世界130カ国で営業活動を行っています。その事業内容は医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断薬、診断機器の分野における研究・開発、製造、マーケティングそして販売と多岐にわたっています。日本国内では、従業員 約2,200人が医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断薬、診断機器、ビジョンケア製品の製造開発、ならびに販売とマーケティングに従事しており、東京、福井、千葉に拠点を置いています。アボット ジャパンのプレスリリースは、http://www.abbott.co.jp、アボット本社のプレスリリースは、http://www.abbott.comをご参照ください。

*** ツルバダはGilead Sciencesの登録商標です。

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ビジネスカテゴリ
美容・健康

会社概要

アボット ジャパン株式会社

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業種
製造業
本社所在地
東京都港区三田3-5-27 住友不動産三田ツインビル西館
電話番号
03-4555-1000
代表者名
武知 秀幸
上場
未上場
資本金
22億6600万円
設立
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