気象情報を用いたビッグデータ解析で食品ロス削減の期待が高まる!~【中間報告】 天気予報で物流を変える ~

 一般財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:繩野克彦)は、2014年7月より天気予報で物流を変える取り組みとして食品ロス削減・省エネ物流プロジェクトを実施しています。この度、昨年12月に開催した第2回委員会での検討結果を中間報告として発表致します。なお、本事業は経済産業省の「平成26年度次世代物流システム構築事業費補助金」(※1)において採択されています。
 今回の中間報告では、株式会社Mizkan(本社:愛知県半田市)の販売している季節商品(賞味期限は長いものの特定の季節に需要が集中する商品)の冷やし中華つゆを対象に需要予測手法の検討を行いました。対象期間は2009年から2014年、対象地域は南関東(東京・埼玉・千葉・神奈川)としました。


◆季節商品:冷やし中華つゆの売上予測結果
 季節商品である冷やし中華つゆの市場規模の売上を解析した結果、従来の統計手法と比較して、日本気象協会独自の需要推定統計手法では寄与率がおよそ1.6倍に向上することが確認されました。
 従来の気温による回帰式の統計手法では決定係数0.59でしたが(図1)、日本気象協会独自の手法では、気温以外の「気温による消費者心理の転換点予測」や「実効気温」などを考慮することで決定係数が0.97に向上しました(図2)。なお決定係数とは、統計式によって求められた値が実際の売上をどの程度説明できるか(寄与率)を表すもので、決定係数が0.97の場合は97%の売上を気象をもとにした当社独自手法で説明できることを意味しています。
 また、本統計手法とアンサンブル(※2)予測を組み合わせることで、市場規模と連動性の高いMizkanの商品の発注量も予測でき、当初の目標であった5%を超えて余剰生産量(食品ロス)が一定量削減されることが示唆されました。
 

         使用データ:インテージSRI 2009年1月から2013年12月 冷やし中華つゆ 販売個数


 市場規模データは株式会社インテージ(本社:東京都千代田区)の全国2,953店舗のPOSデータをもとに拡大推計した全国小売店パネル調査SRIの販売量(個数)を利用しました。


◆主要な中間成果
 今回対象とした冷やし中華つゆの売上は市場規模の売上と連動しており、市場規模の予測手法を利用することにより対象商品の売上が予測可能となりました。今回の検証を踏まえると、気象情報を用いた需要予測を行うことで食品ロス削減の効果が大いに期待でき、不要に発生している二酸化炭素削減につながる可能性が高まりました。主な検討内容は以下のとおりです。

(1) 気象予測手法の検討
 長期予測は気象庁の1ヶ月アンサンブル予測に加えて、ECMWF(ヨーロッパ気象局)のアンサンブル予測を利用することで精度が向上することが確認されました。

(2) 需要予測手法の検討
 売上予測では、気温以外に①気温による消費者心理の転換点予測、②実効気温などを考慮した当社独自の需要推定統計モデル手法が有効であり、精度が高い予測となることが分かりました。

(3)食品ロスの検討
 開発した需要推定統計手法を用いて株式会社Mizkan(本社:愛知県半田市)の一商品の需要予測を行ったところ、当初の目標であった5%を超えて余剰生産量(食品ロス)が一定量削減されることが示唆されました。


1.本プロジェクトの概要
 食品の物流では一般的に、食品メーカー(製)・卸売事業者(配)・小売事業者(販)の各社がそれぞれ独自に、気象情報や各社が持つPOS(販売時点情報管理)データなどに基づいて需要予測を行っています。しかし、製・配・販各社が需要予測で用いるデータは十分に共有されているとは言えず、各流通段階で生産量や注文量にミスマッチ(予測の誤差)が起こり、廃棄や返品ロスなどのムダが生じる一因となっています。
 そこで、本プロジェクトは日本気象協会が気象情報に加えてPOS(販売時点情報管理)データなどのビッグデータも解析し、高度な需要予測を行ったうえで、製・配・販の各社に提供することで、サプライチェーンの効率化を推進し、食品ロスと不要に発生している二酸化炭素の5%削減を目指す取り組みです。
 事業初年度は、対象商品を「豆腐(日配品)」「冷やし中華つゆ・鍋つゆ(季節商品)」の2品目に絞り、解析を実施しています。

2.委員会での実施内容
  昨年8月に開催した第1回目の委員会では、事業参加者様に対し、本プロジェクトの実施内容を説明致しました。また、昨年12月に開催した第2回目の委員会では、予測手法の検討や、冷やし中華つゆの需要予測の検討結果などを中心に中間報告を行いました。

3.今後の予定
 本プロジェクトの成果の内容については、ニュースリリースや気象庁の説明会などで公表いたします。また、本プロジェクトにより食品ロスを削減することで物流の効率化を促進し、不要に発生している二酸化炭素の削減につながるよう、引き続き検討を進めてまいります。「鍋つゆ(季節商品)」「豆腐(日配品)」に関しては、最終報告時に結果報告を行う予定です。また、次年度の取り組みに向けて、気象感応度の高い商品を扱っている企業様の参加募集を行っていきたいと考えております。
 なお、第3回の委員会(最終報告)は、2月を予定しています。


※1 「平成26年度次世代物流システム構築事業費補助金」
 本事業は経済産業省の補助事業で、補助事業者は公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会、間接補助事業は一般財団法人日本気象協会等です。東日本大震災以降、省エネルギー対策の抜本的強化が必要となる中で、我が国の最終エネルギー消費量の約2割を占める運輸部門の省エネルギー対策を進めることが重要視されています。本事業は、従前の施策だけでは十分に省エネルギー対策を図ることができない物流分野等について、効率化に向けた先行事業を行い、その成果の展開により抜本的省エネルギー対策を進めることを目的とします。補助の対象等は、執行団体である(公社)日本ロジスティクスシステム協会により採択されます。

※2 「アンサンブル予測」
 ある時刻に少しずつ異なる初期値を多数用意するなどして多数の予報を行い、その平均やばらつきの程度といった統計的な性質を利用して最も起こりやすい現象を予報する手法です。

【資料】
<事業参加者 (2015年1月28日時点)>
実施主体: 一般財団法人日本気象協会
事業者:
≪食品メーカー≫「豆腐」                      相模屋食料株式会社(本社:前橋市)
        「冷やし中華つゆ・鍋つゆ」    株式会社Mizkan(本社:愛知県半田市)
≪卸売事業者≫  国分株式会社(本社:東京都中央区)
≪小売事業者≫  株式会社ココカラファインヘルスケア(本社:横浜市)
              国分グローサーズチェーン株式会社(本社:東京都中央区)
              一般社団法人新日本スーパーマーケット協会(事務局:東京都千代田区)
(平成26年度オブザーバー)              株式会社ローソン(本社:東京都品川区)
≪関連事業者≫
(平成26年度オブザーバー)              株式会社アットテーブル(本社:東京都品川区)
(平成26年度オブザーバー)              株式会社シグマクシス(本社:東京都港区)

委員会
学識経験者: 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授 張 輝
       気象庁気候リスク対策官 中三川 浩
       テクニカルソリューションズ株式会社代表取締役社長 勝呂 隆男
       東京都市大学メディア情報学部情報システム学科 教授 大谷 紀子

 

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日本気象協会は、1950年の設立以来、60年以上にわたり、広域予報にとどまらない、より生活に身近な都道府県単位の気象予報やピンポイントの気象予報を、各メディアや自社メディアを通して発表している民間の団体です。国内の民間事業者としては最大の規模で、全国に支社や支店、事業所があり、天気予報のエキスパートである気象予報士265名(2014年7月現在)が多面的に業務に関わり、気象予報の業務に関しては24時間365日体制で最新の情報を発信しております。

また、その事業分野は気象予報にとどまらず、そのノウハウを生かし防災・減災、安全管理、また環境アセスメントや再生可能エネルギーに関する事業分野など、皆様の快適な日常生活や安全確保の支援や、産業活動の発展や環境の保全のために事業を展開しております。
http://www.jwa.or.jp
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