ヘビー級最強王者クリチコに無敗王者チャガエフが挑む! …世界プロボクシング
IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ
ウラディミール・クリチコvsルスラン・チャガエフ
日本時間6月21日(日)、IBF・WBO世界ヘビー級王者ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)とWBA世界ヘビー級王者ルスラン・チャガエフが激突する注目の一戦がドイツ、ゲルゼンキルヒェンで行われる。
このカードはまったくの偶然的な出来事が重なって実現することとなった。
本来ならばWBAから「休養チャンピオン」の認定を受けているチャガエフは5月30日、同じWBAチャンピオンのニコライ・ワルーエフ(ロシア)とWBA内の統一戦を行うことになっていた。ところが、試合前日に医療関連の問題が原因でキャンセルに。一方のクリチコは6月20日にデビッド・ヘイ(イギリス)を迎えてIBF・WBOタイトルの防衛戦を予定していたが、6月初旬にヘイが負傷したため、こちらもカードが壊れてしまった。
こうした偶然と両陣営の思惑が一致したことで、急遽決定したのが今回の一戦なのである。試合はクリチコ対ヘイが行われる予定だった日時・場所で開催される。すでにチケットは約6万枚が完売状態と伝えられ、当日は記録的な大観衆の前で試合が行われることになる。
クリチコにとっては今回がIBF7度、WBOとの統一を果たしてからは3度目の防衛戦となる。この4年ほどで徹底的にリスクを排除するために左ジャブを多用して距離を保つボクシングを完成させた感があり、そのため安定感を増した。「スティール・ハンマー」と称される右ストレートも健在だ。
「ルスラン(チャガエフ)はWBAチャンピオンであり、とても経験豊富でタフな相手」とクリチコは警戒心を抱いている。
そのチャガエフは07年4月にワルーエフからWBAタイトルを奪い、これまで2度の防衛に成功している。ワルーエフとの再戦を前にアキレス腱を傷めて「休養チャンピオン」の称号を与ったが、今年2月にはカール・デイビス・ドルモンド(コスタリカ)を6回負傷判定で下して戦線復帰を果たしている。サウスポーの技巧派強打者で、体の入れ替えや位置どりの巧さなど最重量級にしては器用な一面も持つ。ワルーエフ戦に備えて2メートル超の選手を相手にスパーリングをこなしてきたが、その努力が無駄にはならずに済みそうだ。
「ワルーエフ戦がキャンセルになって落胆していたが、クリチコと戦うチャンスが到来して意欲満々だよ。6万人もの大観衆の前で戦えるんだから最高さ。勝ってベルトを持ち帰るよ」と、こちらは自信を口にしている。
身長、リーチの利に加え右ストレートという絶対的な決め手を持つクリチコ有利は動かしがたい。不安があるとすれば、相手のチャガエフが技術面で優れたサウスポーだという点だろうか。6年前のコリー・サンダース(南アフリカ)戦で、十分な対応ができないまま正面から左ストレートを被弾して沈んだクリチコの姿が思い出される。しかし、その後、クリチコは06年に同じ左構えのクリス・バード(アメリカ)、08年にはWBO王者だったスルタン・イブラギモフ(ロシア)をまったく危なげなく下しており、苦手意識は払拭されていると思われる。
勝負のカギを握るのは、やはりクリチコの左ジャブか。このパンチをインサイドから、あるいは相手の肩越しに決めることができれば自然に主導権は手の中に落ちてくるだろう。右ストレートを狙い打つチャンスも出てくるはずだ。
しかし、クリチコがチャガエフの細かい動きに動揺を見せて戸惑うようだと勝負の行方は混沌とするだろう。そこに乗じてチャガエフがサイドに動いて揺さぶり、回転の速い左右を叩きつけるシーンが見られるかもしれない。
この試合の模様は、6月22日(月)夜8時からWOWOWで放送する。
(Written by ボクシングライター原功)
▼「エキサイトマッチ~世界プロボクシング」スペシャルサイトはこちら!
http://www.wowow.co.jp/sports/excite/
※ウラディミール・クリチコ(IBF・WBO世界ヘビー級チャンピオン 33歳)
1996年11月 アトランタ五輪スーパーヘビー級で金メダル獲得後、プロ・デビュー
2000年10月 WBO世界ヘビー級タイトル獲得(防衛計5度)
2003年3月 コリー・サンダースに2回TKO負けでWBOタイトルを失う
2006年4月 IBF世界ヘビー級タイトル獲得(防衛計6度)
2008年2月 WBO王者スルタン・イブラギモフに12回判定勝ちで2団体の王座統一
(WBOタイトル 防衛計2度)
戦績:55戦52勝46KO3敗
※ルスラン・チャガエフ(WBA世界ヘビー級チャンピオン 30歳)
1997年8月 アトランタ五輪出場後、プロ・デビュー(※その後、アマ復帰)
2006年3月 WBOインターコンチネンタル・ヘビー級タイトル獲得
2006年7月 WBOアジア・パシフィック・ヘビー級タイトル獲得
2007年4月 WBA世界ヘビー級タイトル獲得(防衛計2度)
戦績:26戦25勝17KO無敗1引き分け
ウラディミール・クリチコvsルスラン・チャガエフ
日本時間6月21日(日)、IBF・WBO世界ヘビー級王者ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)とWBA世界ヘビー級王者ルスラン・チャガエフが激突する注目の一戦がドイツ、ゲルゼンキルヒェンで行われる。
このカードはまったくの偶然的な出来事が重なって実現することとなった。
本来ならばWBAから「休養チャンピオン」の認定を受けているチャガエフは5月30日、同じWBAチャンピオンのニコライ・ワルーエフ(ロシア)とWBA内の統一戦を行うことになっていた。ところが、試合前日に医療関連の問題が原因でキャンセルに。一方のクリチコは6月20日にデビッド・ヘイ(イギリス)を迎えてIBF・WBOタイトルの防衛戦を予定していたが、6月初旬にヘイが負傷したため、こちらもカードが壊れてしまった。
こうした偶然と両陣営の思惑が一致したことで、急遽決定したのが今回の一戦なのである。試合はクリチコ対ヘイが行われる予定だった日時・場所で開催される。すでにチケットは約6万枚が完売状態と伝えられ、当日は記録的な大観衆の前で試合が行われることになる。
クリチコにとっては今回がIBF7度、WBOとの統一を果たしてからは3度目の防衛戦となる。この4年ほどで徹底的にリスクを排除するために左ジャブを多用して距離を保つボクシングを完成させた感があり、そのため安定感を増した。「スティール・ハンマー」と称される右ストレートも健在だ。
「ルスラン(チャガエフ)はWBAチャンピオンであり、とても経験豊富でタフな相手」とクリチコは警戒心を抱いている。
そのチャガエフは07年4月にワルーエフからWBAタイトルを奪い、これまで2度の防衛に成功している。ワルーエフとの再戦を前にアキレス腱を傷めて「休養チャンピオン」の称号を与ったが、今年2月にはカール・デイビス・ドルモンド(コスタリカ)を6回負傷判定で下して戦線復帰を果たしている。サウスポーの技巧派強打者で、体の入れ替えや位置どりの巧さなど最重量級にしては器用な一面も持つ。ワルーエフ戦に備えて2メートル超の選手を相手にスパーリングをこなしてきたが、その努力が無駄にはならずに済みそうだ。
「ワルーエフ戦がキャンセルになって落胆していたが、クリチコと戦うチャンスが到来して意欲満々だよ。6万人もの大観衆の前で戦えるんだから最高さ。勝ってベルトを持ち帰るよ」と、こちらは自信を口にしている。
身長、リーチの利に加え右ストレートという絶対的な決め手を持つクリチコ有利は動かしがたい。不安があるとすれば、相手のチャガエフが技術面で優れたサウスポーだという点だろうか。6年前のコリー・サンダース(南アフリカ)戦で、十分な対応ができないまま正面から左ストレートを被弾して沈んだクリチコの姿が思い出される。しかし、その後、クリチコは06年に同じ左構えのクリス・バード(アメリカ)、08年にはWBO王者だったスルタン・イブラギモフ(ロシア)をまったく危なげなく下しており、苦手意識は払拭されていると思われる。
勝負のカギを握るのは、やはりクリチコの左ジャブか。このパンチをインサイドから、あるいは相手の肩越しに決めることができれば自然に主導権は手の中に落ちてくるだろう。右ストレートを狙い打つチャンスも出てくるはずだ。
しかし、クリチコがチャガエフの細かい動きに動揺を見せて戸惑うようだと勝負の行方は混沌とするだろう。そこに乗じてチャガエフがサイドに動いて揺さぶり、回転の速い左右を叩きつけるシーンが見られるかもしれない。
この試合の模様は、6月22日(月)夜8時からWOWOWで放送する。
(Written by ボクシングライター原功)
▼「エキサイトマッチ~世界プロボクシング」スペシャルサイトはこちら!
http://www.wowow.co.jp/sports/excite/
※ウラディミール・クリチコ(IBF・WBO世界ヘビー級チャンピオン 33歳)
1996年11月 アトランタ五輪スーパーヘビー級で金メダル獲得後、プロ・デビュー
2000年10月 WBO世界ヘビー級タイトル獲得(防衛計5度)
2003年3月 コリー・サンダースに2回TKO負けでWBOタイトルを失う
2006年4月 IBF世界ヘビー級タイトル獲得(防衛計6度)
2008年2月 WBO王者スルタン・イブラギモフに12回判定勝ちで2団体の王座統一
(WBOタイトル 防衛計2度)
戦績:55戦52勝46KO3敗
※ルスラン・チャガエフ(WBA世界ヘビー級チャンピオン 30歳)
1997年8月 アトランタ五輪出場後、プロ・デビュー(※その後、アマ復帰)
2006年3月 WBOインターコンチネンタル・ヘビー級タイトル獲得
2006年7月 WBOアジア・パシフィック・ヘビー級タイトル獲得
2007年4月 WBA世界ヘビー級タイトル獲得(防衛計2度)
戦績:26戦25勝17KO無敗1引き分け
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