第6回 「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」10名の受賞者決定
資生堂は、自然科学分野において指導的役割を担う女性研究者の育成を目的とした第6回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント※1」の受賞者10名を選出、3月8日(金)「国際女性の日」にちなみ、発表しました。受賞者には、資生堂から各100万円の研究助成金を贈呈します。 また、本グラントの授賞式を2013年6月に資生堂リサーチセンター新横浜で開催予定です。 ※1: グラントとは「研究助成金」の意味
【「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」設立の背景】
資源の少ない日本では、将来にわたり豊かな生活を実現するためには科学技術の振興が不可欠であるとして、「科学技術創造立国」を掲げています。一方で、科学技術分野における優秀な人材の確保が喫緊の課題となっており、その対策の一つとして、これまで少なかった女性研究者をどう活かしていくかに注目が集まっています。
社会における女性の活躍が当たり前となった今日でも、日本の研究者に占める女性の割合は13.8%に留まっており、諸外国(英37.9%、米34.3%など)と比べて大きく下回っています※2。 これにはいくつかの要因が考えられますが、女性は男性に比べ「出産・育児・介護」などの影響を受けやすい一方で、サポートする環境が十分ではないことが一因と考えられます。大学等において研究に従事する女性の専門分野を見ると、工学分野の研究者に占める女性割合は8.8%、理学で13.1%、農学18.9%となっており、講師・准教授・教授と職位が上がるにつれて女性の割合が低くなる傾向があります※2。資生堂はこうした状況を踏まえ、自然科学分野で指導的研究者を目指す女性を毎年10名選出し、支援する「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」を2007年度に設立しました。
※2: 内閣府 平成24年版男女共同参画白書より
【「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」について】
本グラントは、支援対象者を広げるため年齢制限を設けず、研究分野も「自然科学全般」としています。他機関の研究助成が使途を試薬や機器の購入などに限定する中、本グラントは、女性研究者が「出産・育児・介護」などの影響を受けずに研究を継続できる研究環境を整えるべく、研究補助員の雇用費も含め、幅広く活用することができます。
【未来の科学者を育てる「資生堂サイエンスカフェ」】
2011年度からは、未来の科学者を育てる活動として、本グラントの歴代受賞者たちが理系志望の中高生と研究の面白さを語り合う「資生堂サイエンスカフェ」を開催しています。2012年10月には「あいちサイエンスフェスティバル」に参画し、愛知県岡崎市の自然科学研究機構 分子科学研究所で「資生堂サイエンスカフェ in 分子研」を開催しました。第一線で活躍する女性科学者たちが中高生らと科学について気軽に語り合う場を設けることで、理系のロールモデルを示し、市民と科学技術を繋いでいます。
【第6回 資生堂 女性研究者サイエンスグラント 受賞者一覧】
(助成期間:2013年6月~2014年5月)敬称略、氏名五十音順
氏名、所属、職位、研究分野・申請研究テーマ(ひとこと説明)
●天野麻穂(あまのまほ)
北海道大学 大学院 先端生命科学研究院 特任助教 【生化学・糖質科学】
グライコミクスによる昆虫の休眠機構の体系的解明(厳しい環境をしのぐための昆虫の『眠り』に関する研究)
●大澤志津江(おおさわしづえ)
京都大学 生命科学研究科 システム機能学分野 日本学術振興会・特別研究員SPD 【遺伝学・発生生物学】
細胞老化を介した細胞非自律的腫瘍悪性化の分子基盤の解明 (ショウジョウバエを用いてガン化の仕組みを明らかにする研究)
●佐藤敦子(さとうあつこ)
東京大学 大学院 理学系研究科 特任研究員 【環境進化発生学】
環境温度ストレスの神経冠細胞特異的遺伝子発現への影響と動物進化での役割 (環境温度の変化と動物の顔の進化の関係を明らかにする研究)
●白藤梨可(しらふじりか)
帯広畜産大学 原虫病研究センター 助教 【寄生虫学】
マダニの卵形成を制御する分子機構の解明 (ダニが卵を作る仕組みを解明し、新しい殺ダニ剤開発へ繋げる研究)
●城﨑由紀(しろさきゆき)
九州工業大学 若手研究者フロンティア研究アカデミー 准教授 【生体材料化学】
有機−無機ヒドロゲルを用いた薬剤徐放型ミクロ粒子の創製(失った骨の再生を助ける粒子の開発)
●鈴木由美子(すずきゆみこ)
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 准教授 【有機化学】
有機触媒反応を用いた医薬品候補化合物の合成(癌や感染症を治療する新しい薬の研究)
●帯刀陽子(たてわきようこ)
山形大学 大学院 理工学研究科 助教 【物性化学】
動的自己活性化ナノコイルスキャホールドの創製とその機能評価 (再生医療に用いる細胞を機能させるナノ材料の開発)
●西村珠子(にしむらたまこ)
神戸大学 自然科学系先端融合研究環 助教 【生物学】
神経管形成の制御分子Celsr1の背腹軸方向の極性分布を司るシグナル系の探索 (脳や脊髄のもとになる神経管がどのようにしてできるのかを明らかにする研究)
●Huixin Liu(ふいしんりゅう) (木村会欣(きむらふいしん))
九州大学 理学研究院 地球惑星科学専攻 准教授 【気象学・宇宙物理学】
成層圏から超高層まで:成層圏突然昇温に対する超高層大気寒冷化の生成機構の解明(大気で起こる物理現象の研究)
●細川千絵(ほそかわちえ)
独立行政法人 産業技術総合研究所 健康工学研究部門 研究員 【神経工学・生物物理学】
集光レーザービームを用いた神経細胞の局所機能操作(レーザー光で神経回路の仕組みを明らかにする研究)
詳細・プレスリリース掲載ページ
http://group.shiseido.co.jp/releimg/2137-j.pdf?rt_pr=tr024
資生堂グループ企業情報サイト 「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」
http://group.shiseido.co.jp/rd/doctor/grants/science/index.html?rt_pr=tr024
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