日本初!農作物の開花に影響しないLED光による防蛾照明技術を開発
減農薬栽培に貢献する農薬を使用しない防除技術
幼虫が多くの農作物に甚大な被害を及ぼす夜行性蛾類(夜蛾類)に対しては、産卵のために圃場へ飛来する成虫をいかに防ぐかが重要となります。
夜蛾類成虫の活動を抑制する防除法の一つに夜間照明(防蛾照明)がありますが、これまで光に敏感な農作物では開花が遅れるなどの悪影響があるため、使用できませんでした。
そこで、県立総合技術研究所は平成18年度からシャープ株式会社と共同でこれらの課題解決に取組んだ結果、特定の波長とパターンで点滅させることで、光に敏感な農作物の開花にも悪影響を及ぼすことなく利用可能な防蛾照明技術を開発しました。
1 開発技術の特徴
① 点灯応答性に優れるLEDにより実現した黄色点滅光
ヤガによる露地ギクの被害茎率の推移周波数2Hz (0.5秒間隔)の黄色点滅光により、
優れた防蛾効果と農作物への影響抑制を両立。
② 低消費電力を実現
10a当たりの消費電力は既往の40W黄色蛍光灯の約1/13。
③ 優れた防蛾効果を発揮
防除対象害虫:オオタバコガなどの夜蛾類
被害抑制効果:85%以上
④ 照明の影響を受けやすい作物を含む多様な農作物に適用可能
キク、イチゴ、ホウレンソウなどこれまで防蛾照明が使用できなかった農作物にも使用可能。
⑤ 広島県とシャープ株式会社が共同で関連特許を保有
国内2件、海外2件(中国,マレーシア)の特許を取得。
2 技術の活用
この技術はシャープ株式会社により製品化され、来春販売予定です。
3 取材対応について
農業技術センターで技術に関する取材の対応をいたします。また、実際に試験使用している農家へ
取材を希望される場合は、収穫時期等の都合があるためお早めに農業技術センターまでお問い合わせください。 電話:082-429-0522
※シャープ株式会社URL http://www.sharp.co.jp/corporate/news/151013-b.html
【参考】
①夜蛾類について
花き、野菜、果樹など幅広い作物に被害を及ぼす夜行性の蛾類の総称。
成虫は夜間に飛来して農作物に産卵し、幼虫は花き、野菜、果樹等を食害する。
また、一部の種類の成虫は吸汁し果実に傷をつける。
夜間に飛来する成虫への農薬散布は難しく、また、幼虫も農薬がかかりにくい花や芽などの隙間に入り込むため 防除が難しい。
②被害抑制効果について
【キクの例(被害抑制効果:85%以上)】
切り花1000本のうち、夜蛾類幼虫により300本の被害が発生する場合を例にとると、開発技術を使用すること で、その被害は45本以下に抑えることができる、ということ。
③光が植物の開花へ及ぼす影響
植物は、1日の日の長さが一定以下になると開花する「短日植物」、一定以上になると開花する「長日植物」、 日の長さの長短が開花に影響しない「中性植物」がある。連続光の防蛾照明を使用すると、短日植物では開花が 遅れ、長日植物では早まる。開発した防蛾照明は中性植物のほか、これら短日・長日植物のいずれの開花にも影 響を及ぼさずに使用することができる。
短日植物:キク、大豆、イネの一部の品種など
長日植物:ダイコン、ホウレンソウ、ネギなど
中性植物:バラ、トマト、アスパラガスなど。
④特許情報
県立総合技術研究所とシャープ株式会社の共同特許は次のとおり。
国内:特許第5158660号,特許第5077889号
中国:CN102159062Bマレーシア:MY-1520 32-A
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