10月10日「いい夫の日」に「秘密結社　主夫の友」のアワード2016を受賞するのは、小説『主夫のトモロー』

 

体育の日が10月の第2月曜日になったいま、10月10日は「いい(1)、夫(010)の日」。そう定めているのは「秘密結社　主夫の友」。NPO法人ファザーリング・ジャパンに所属する主夫が立ち上げ、政府が「2020年に女性管理職比率を30％に高める」目標を掲げているのに対し「全国の男性30％を主夫にする」という「野望」を掲げている。「主夫の認知拡大」と「男性の家事育児参画」の促進に貢献した人を表彰するのが「主夫の友アワード」で、2016年は第2回となる。この文化人部門で表彰を受けるのが、小説『主夫のトモロー』を書いた朱川湊人さんだ。

小説『主夫のトモロー』は結婚、出産、育児を描いた「主夫」小説で、著者・朱川湊人さんの作家デビュー前の十数年間の半自伝的な小説でもある。「秘密結社　主夫の友」構成員の主夫たちも、「そうそう、そうなんだよ」と読みながら激しくうなずいたに違いない。

「そういえばパパさん、仕事はしてないの」
「いえ、まぁ……してないってことはないです」
トモローが口ごもると、女性は豪快に笑った。
「ごめん、ごめん。答えにくいことを聞いちゃっ たかな。でも専業主婦が当たり前にいるんだから、男の専業主夫がいたって、何の問題もないわよね」　　　　　　　　　　『主夫のトモロー』トモローが若干メゲたワケより

　小説『主夫のトモロー』は結婚、出産、育児を描いた「主夫小説」は、著者・朱川湊人さんの作家デビュー前の十数年間の半自伝的な小説である。朱川さんは次のように語ってくれた。

「タイトルに「主夫」とありますが、あくまでも主夫の目線から描いた家族小説であり、特に「主夫」を強調したかったわけでも、僕の主夫体験を主張したかったわけでもありません。個人的には「主夫」というあり方を特別視していなくて、そもそも育児は男性・女性関係なく、親として当然のことくらいに当時から考えていました。だから僕は、何の違和感もなく主夫として育児に携われたと思っていますし、当時を思い返すととても楽しんで過ごせました」
NHK出版WEBマガジン　インタビューより
https://www.nhk-book.co.jp/pr/magazine/interview/56.html

　「「主夫」というあり方を特別視していなくて」というのは、全国の男性30％が主夫に……が実現したあかつきには、世間一般の普通の感覚になっているに違いない。老舗出版社・主婦の友をもじった「秘密結社　主夫の友」と、やはり同じもじりの『主夫のトモロー』はネーミングの共通性だけではない。主夫が普通の存在となるという点でこの小説『主夫のトモロー』は、「秘密結社　主夫の友」の「野望」を具現化する書、予言の書といえ、その点でも受賞は必至といえるだろう。

なお、「主夫の友アワード」2016受賞者は以下のとおり。

■アスリート部門 水谷隼氏（27）リオオリンピック卓球メダリスト
■行政部門 﨑田恭平氏（37）宮崎県日南市市長
■文化人部門 朱川湊人氏（53）
■女性部門 SHEILA氏　 タレント、モデル、スポーツキャスター

表彰は下記の予定で行われる。
10月6日（木）14時30分～15時30分
日本財団　（東京都港区赤坂１－２－２）大会議室 
主催：秘密結社　主夫の友  協力：NPO法人ファザーリングジャパン　日本財団
http://主夫.com/ 

『主夫のトモロー』　朱川湊人　著
ＮＨＫ出版発行　　発売　2016年5月26日
定価　1,728円（税込）仕様　四六判並製 352ページ　ISBN　978-4-14-005676-9

朱川湊人 （シュカワミナト ）
1963年生まれ、大阪府出身。慶應義塾大学文学部卒。出版社勤務を経て、2002年、「フクロウ男」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。03年、「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短篇賞を受賞。初の著書『都市伝説セピア』が直木賞候補、05年『花まんま』で直木賞受賞。『わたしの宝石』（文藝春秋）、『箱庭旅団シリーズ』（PHP研究所）ほか、著書多数。