Interbrand “Japan’s Best Global Brands 2013” 「日本のグローバル・ブランドTOP30」及び「日本の国内ブランドTOP30」を発表

・Nissan, Bridgestone, Subaru がブランド価値を大きくアップ !
・Uniqloのブランド価値は “グローバルランク入りの水準”に増大し、Gapに肉薄。
・KikkomanがTOP30に返り咲き、Calbeeが初ランクイン。
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世界最大のブランドコンサルティング会社であるインターブランドは、日本発のブランドを対象に、“世界基準”によるブランド価値評価ランキング“Japan’s Best Global Brands 2013(日本のグローバル・ブランドTOP30)”を発表します。本ランキングはグローバルな事業展開を行う日本発のグローバルブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするもので、本年で5回目となります。また、この評価結果は1999年より毎年公表するグローバルのTOP100のブランドランキング“Best Global Brands”と比較可能なものとなります。
また併せて、3回目となる「日本の国内ブランドTOP30」も発表します。

 

1.“Japan’s Best Global Brands 2013 (日本のグローバル・ブランドTOP30)”
東日本大震災後から史上空前の円高が続き、領土問題をめぐる隣国との関係悪化が日本企業のアジア展開にブレーキをかけるなど、2012年も日本企業にとって厳しい経済環境の年となり、「日本のグローバル・ブランドTOP30」のブランド価値の合計額は、前年比0.7%の微増という結果となりました。

超円高、株安、デフレという三重苦の中、明暗が分かれたリーディングブランド
自動車業界では、Toyota(+9% 1位)が、2012年に米誌コンシューマー・レポートが発表したブランド別信頼性調査で上位を独占するとともに、インターブランドが発表したグリーンブランドのグローバルランキング“Best Global Green Brands 2012” で世界No.1となり、グローバルにおける環境イメージでも確固たる地位を築いています。2年連続で30%以上のブランド価値の増加を示したNissan(+30% 7位)は、“DATSUN”ブランドの投入を発表するなど新興国への積極的な開拓を進めています。
Nissanに次いで大きくブランド価値を向上させたのが、高い技術力で大きな優位性を持つ戦略商品に注力しているBridgestone(+23% 13位)と、昨年に初ランクインし、最重要市場の米国において3年連続で過去最高の販売台数を更新したSubaru(+24% 23位)です。

Nikon(+19% 10位)は、世界的な景気減速や、高画素カメラ搭載スマートフォンの急速な普及の影響を受けてコンパクトデジタルカメラ市場が低迷する中、海外での売上が堅調に推移しており、安定した存在感やブランド力の高さを誇り、3年連続で二桁成長を示しています。また、Asics(+14% 18位)は、アムステルダムに続くブランド旗艦店をロンドン市内にオープンするとともにインドやシンガポールでの事業展開を強化しており、Unicharm(+14% 21位)もこれまでの東南アジアからインド、南米、アフリカなどへとグローバル展開を加速化させ、ブランド価値を順調に増加させています。

一方で、国内液晶テレビ市場における需要の急減、太陽電池の販売低迷などにより、大幅な赤字を見込んでいるSharp(-57% 19位)は、“Japan’s Best Global Brands 2013” TOP30の中で最も価値を減少させたブランドとなりました。また、中国の景気減速を受けた業績低迷に加えて、防衛省への過大請求に伴う返納金などにも直面し、苦戦を強いられているMitsubishi Electric (-13% 17位)や自動二輪事業で主力市場のインドネシアで導入されたローン規制や新興国の経済成長鈍化などが響いたYamaha(-11% 24位)は、楽器事業でも欧州景気後退や中国景気の減速の影響を受け、ブランド価値を減少させています。

 

2.日本の国内ブランド(海外売上高比率30%未満)TOP30
“Japan’s Best Global Brands” の評価では、「海外売上高比率(2011年度連結ベース実績値)が30%以上」であることを要件の一つとしています。この基準に満たない国内ブランドであっても、近年、海外展開を積極化させるケースが増えています。そこで、2011年より、日本発のグローバルブランドのさらなる可能性を探るため、「海外売上高比率」の枠を外し、海外売上高比率が30%(2011年度実績)に満たない国内ブランドのTOP30のブランド価値を算定しています。

海外展開を推し進めるリテールブランドが躍進
東日本大震災以降、やや立ち直りかけた日本経済も、先進諸国の需要の減退とデフレの進行や所得の減少を要因とする悪循環の中で、上向くきっかけをつかめない状況が続いていましたが、国内ブランドTOP30のブランド価値合計は、前年に比べて6.7%の増加となっています。
このうち最もブランド価値を増加させたのは、昨年に引き続き、アジアを中心にグローバル化を積極的に展開しているMuji(+38% 21位)。同様に海外出店を進めグローバルブランド化を志向しているUniqlo(23% 6位)やRakuten(+12% 10位)も順調にその価値を増加させています。特にUniqloのブランド価値は36億ドルとなり、“Best Global Brands 2012” で100位のGap(37億ドル)に肉薄する水準となっています。また、最も身近な小売店舗としての重要性や社会インフラとしての機能が震災で改めて再認識されるだけでなく、プライベートブランド商品の開発強化や高齢者層への対応も進めているLawson(+29% 12位)とFamilyMart(19% 17位)のブランド価値も、昨年に引き続いて大きく増加しました。
また2011年にIPO(新規株式公開)を実施し、スナックフーズのグローバルブランド化を目指しているCalbeeが29位に初ランクインしています。
これらの国内ブランドの積極的な海外展開は、ブランド価値を大きく向上させる要因の一つとなっています。

 

3.“Japan’s Best Global Brands” TOP30 の5年間のブランド価値の推移
今年は、“Japan’s Best Global Brands” TOP30の発表をはじめてから節目の5回目となります。そこで、この5年間のブランド価値の変遷をグローバルランキングである“Best Global Brands” TOP100の動向と比較し、日本企業のブランドマネジメントにおける課題を探ってみます。

この5年間、日本のグローバルブランドは成長していない
“Japan’s Best Global Brands” TOP30全体のブランド価値は、第1回の2009年の基準とした場合、第5回の今年まで一度も基準を上回る年がない一方で、“Best Global Brands” TOP100全体の5年間(2008年~2012年)のブランド価値は、2008年のリーマンショック後2年の足踏み状態を経て、2011年以降は順調に伸びています。また、“Japan’s Best Global Brands” TOP30に5年連続ラインクインしているブランドは26ブランドあり、その半数の13ブランドが価値を落とす一方、“Best Global Brands” TOP100においては、83ブランドが連続ランクインし、その7割にあたる58ブランドがブランド価値を向上させています。日本においては、東日本大震災等で想定外の経営環境に陥ったことがその理由の一端といえるかもしれませんが、日本有数のブランドの半数以上が過去5年間ブランド価値を伸ばすことができなかったという事実は、看過できない状況といえます。しかしその中でも、Nissan, Nikon, Bridgestoneの3ブランドは、過去5年間でブランド価値を1.5倍以上に向上させ、著しい成長を実現しています。この3ブランドが傑出している主な要素としては、自社の強みや弱み、時代の流れや顧客の変化に合わせて、目指すべきブランドビジョンを柔軟に変化させている点や、経営層のブランディングへの強いコミットメントなどが挙げられます。

 

<Japan’s Best Global Brands 2013のブランド価値評価について>
■CRITERIA FOR CONSIDERATION 評価対象基準
グローバルに展開される日本発のブランドについて、そのブランド価値を明らかにし、“世界基準”でそのポジションを相対比較することを目的に、弊社が毎年グローバルで発表している“Best Global Brands” と同様の条件にて、以下の基準を満たす企業を抽出し評価します。
・日本発のブランドであること
 日本の企業によって生み出されたコーポレートおよび事業ブランドであること
・ 各種財務情報が公表されていること
 2012年10月31日現在で上場しており、アナリストレポートが入手可能な企業であること
・ 日本以外での海外売上高比率が30%超であること(2011年度実績)
 (「国内ブランド」については、「海外売上高比率が30%未満」)
・ BtoB企業であっても、グローバルで一般に認知されていること
 インターブランドのグローバル各オフィスのコンサルタントの認知が10%以上あること
※昨年に続き、Best Global Brands 2012ランクインブランドは2012年度の「ブランド価値金額」を採用します。
■Methodology 評価方法
インターブランドのブランド価値評価手法は、財務力、ブランドが購買意思決定に与える影響力、そしてブランドによる将来収益の確かさ、という観点からみたブランド価値の評価です。証券アナリストが事業の価値を分析・評価するのと同じように、「将来どれくらい収益を上げると予想されるか?」という視点に基づいて、ブランドの価値を分析・評価します。その手法は、ブランドの金銭的価値測定のための世界標準として、国際標準化機構(ISO)からISO 10668の認定を受けています。評価は、具体的に以下の3つの分析によって構成されています。
「財務分析」 - 企業が生み出す利益の将来予測を行う
まず、ブランドが冠された事業の現在及び将来の収益を予想します。そして、その売上から営業費用、税金、そして投下資本に応じた資本コストを差し引き、将来の経済的利益を算出します。本分析は公開されている企業情報を基にしており、将来予想は、アナリストによる業績予想をベースとしています。 (※本評価におけるアナリストの業績予想は、株式会社アイフィスジャパンの発表しているIFISコンセンサスと呼ばれる主要アナリストの予想平均値を用いています。 http://www.ifis.co.jp/index.htm
尚、IFISコンセンサス・データは、2012年11月21 日現在のものを採用しています。
「ブランドの役割分析」 - 利益のうち、ブランドの貢献分を抽出する
財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析します。本評価においては、ブランドが消費者の購買動向に果たす役割について、弊社が過去25年にわたり実施してきたブランド価値評価実績のデータ・ベースを活用し、業界別にベンチマーク分析を行います。そして、業界ベンチマークを基にして、独自の調査・分析により個別ブランドの“ブランドの貢献分”のスコアを算出します。
「ブランド力分析」 – ブランドによる利益の将来の確実性を評価する
ブランド力の分析は、市場でのロイヤリティ、消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測り、ブランドによる収益を割り引いて現在価値に換算するものです。この評価は、ブランドのリスクを判断する体系的な手法であり、市場でのブランドのポジション、消費者の認知・好感度、イメージ、ブランドに対するサポートといった、ブランドに関わるさまざまな観点で評価しています。 評価されたスコアは、それに対応した割引率へと変換されます。その割引率で将来のブランド利益を割り引くことで、ブランド価値が算定されます。
※「ブランドの役割分析」、「ブランド力分析」は、公表されているさまざまな報告書等を使用して行っており、弊社グローバル各オフィスの専門コンサルタントの多面的な評価を踏まえ算定されます。

 

<インターブランドについて>
インターブランドは、1974 年、ロンドンで設立された世界最大のブランドコンサルティング会社です。ブランドを“Living business asset”(常に変化するビジネス資産)と定義し、世界27カ国、約40のオフィスを拠点に、グローバルでブランドの価値を創り、高め続ける支援を行っています。
インターブランドの「Brand Valuation TM (ブランド価値評価)」は、ISOにより世界で最初にブランドの金銭的価値測定における世界標準として認められました。インターブランドは、グローバルブランドの価値を評価したブランドランキングである“Best Global Brands”や、生活者の環境イメージ(環境パーセプション)と企業の環境活動の実態(環境パフォーマンス)とを総合的に評価した“Best Global Green Brands” のレポートを広く公表しています。
インターブランドでは、創造的なコンサルタントと、世界レベルのクリエイティビティを誇るクリエイターが、一つのチームとなりプロジェクトを推進します。ブランド価値評価・ブランド戦略構築をリードするコンサルタント、ブランドロゴ・パッケージ・空間・デジタルデザインを開発するデザイナー、ネーミング・スローガン・メッセージングを開発するコピーライターが在籍し、分析から実行、全ての流れを自社のリソースで完結します。

<インターブランドジャパンについて>
インターブランドジャパンは、ロンドン、ニューヨークに次ぐ、インターブランド第3の拠点として、1983年に東京で設立されました。日系企業、外資系企業、BtoB 企業、BtoC企業、政府・官公庁など様々な企業・団体に対し、トータルにブランディングサービスを提供しています。

インターブランドについての詳しい情報はhttp://interbrand.comをご覧ください。

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マーケティング・リサーチ
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会社概要

URL
https://www.interbrandjapan.com
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門3-2-2 虎ノ門30森ビル 4F
電話番号
03-6632-5300
代表者名
並木 将仁
上場
未上場
資本金
2000万円
設立
1983年10月