Interbrand “Best Global Brands 2013”「ブランド価値」によるグローバル・ブランドランキングTOP100を発表
Appleが世界No.1の座を獲得、本ランキング史上初の首位交代!!Googleは前年比34%アップで第2位へ躍進 Samsungがアジア最高の第8位、Toyotaが自動車業界第1位を堅守
<“Best Global Brands 2013” – 新しいNo.1ブランドの誕生->
Apple(1位、前年比28%増)がインターブランドの“Best Global Brands”に初めて登場したのは、このランキングが始まった2000年、当時のランクは第36位で、66億ドルのブランド価値にすぎませんでした。今回の評価では、そのブランド価値は2000年の約15倍、983億ドルまで成長を果たしました。Appleがこのような速さでブランド価値を高めることができたのは、製品のみならず、販売チャネル、広告コミュニケーション、デジタル等すべてのタッチポイントにおいて、革新的かつ一貫したブランド体験を、顧客に提供し続けたことに起因していると言えます。Appleは、顧客をすべての企業活動の中心に置き、デザインとパフォーマンスの両面から、新境地を切り開くことに成功しています。その結果、世界に普及している7,200万台のMacとiPhone、iPadの空前のセールスにより、AppleはCoca-Cola(2位、前年比2%増)から首位の座を奪い、世界で最も価値のあるブランドに上り詰める、という歴史的な偉業を成し遂げました。
インターブランドのグローバルCEO ジェズ・フランプトン(Jez Frampton)は「Appleは自らの製品だけでなく、そのエートス(企業理念/精神)をもって私たちの生活を変えた稀有な企業のひとつでしょう。それこそが13年間に渡って“Best Global Brands”ランキング1位であったCoca-Colaに代わって首位の座についた理由なのです。」と述べ、また「Tim Cookは強力な首脳部隊を編成し、Steve Jobsのビジョンを守ったのです―そのビジョンこそが、Appleが幾度にも渡り革新を続け、Appleのプロミスを果たすことを可能にしているのです」とリーダーの果たす役割にも言及しています。
<“Best Global Brands 2013” ハイライト>
ブランド価値の増加率上位5ブランドはFacebook、Google、Prada、Apple、Amazon
Facebook(52位、前年比43%増):
ソーシャルメディアのリーディングブランドであるFacebookは、1年前のIPO以来、ユーザー数を26%増加させ、昨年はウォール街の予想以上に収益とEPSを引き上げることに成功しています。特にアジア太平洋地域で大きな成長を遂げ、モバイルユーザー数は昨年比で51%上昇し、モバイル広告は全広告収益の半分以上を占めるに至っています。Googleの元エグゼクティブ Gary Briggs氏が同社初のCMOに任命され、Instagramをはじめとした企業買収などを鑑みると、Facebookの更なる成長が期待されます。
Google(2位、前年比34%増):
Android、Gmailといったコアなサービスの進化だけでなく、Google Glassや自動運転車といったイノベーションを続けるGoogleのブランド価値は34%上昇し、Facebookに次ぐ増加率第2位を記録しました。検索サービスの域を越え、Googleは今後も世界中の人々の生活に大きな影響を与え続けることが予想されます。
Prada(72位、 前年比30%増):
伝統を尊重しながらもイノベイティブで先鋭的なデザインを創り出す絶妙なバランスを誇り、ブランド価値の増加率でFacebookやGoogleといったテクノロジーブランドに追随し、第3位となりました。デジタルとリアルなタッチポイントをより効果的に結びつけ、またPrada財団によるアート界へのサポートも相まって、Pradaは顧客とより強固なつながりを持つことに成功しています。
Apple:
Samsungとの特許闘争、そしてフォックスコンの工場労働条件問題に直面したものの、最もブランド価値を高めたブランドのひとつとして、回復力の高さを証明しています。Appleが来年も“Best Global Brands” No.1ブランドとしての地位を維持するためには、ライバルであるSamsungのモバイル市場における勢いを制し、自身の強みである「Think different」を決して見失わないことが必要不可欠となります。
Amazon(19位、前年比27%増):
27%のブランド価値上昇により、本ランキングにおける増加率トップ5入りを果たしました。イーコマースにおけるイノベーターであるAmazonは、Google Android devices に包括的なモバイル体験を提供するAmazon Appstoreなどで主導権を握り、競合との差別化を図り続けています。また、独自のTVセットトップボックス、オリジナル・プログラミング、3Dスマートフォンの開発、電子書籍リーダーKindleのラインナップ、same-day grocery delivery(食料品の当日配達)など、新しいビジネスやサービスを拡大しています。
スマホ、タブレットなどのモバイル端末、ソーシャルメディア上のタッチポイントでの成否が明暗を分ける
ブランド価値を高めた上位5ブランドのうち4ブランドが、テクノロジー関連のFacebook、Google、Apple、Amazonとなりました。Samsung(8位、前年比20%増) は、スマートフォン市場でリーディングブランドして確固たる地位を築き、他の多くのブランドもテクノロジーセクターにおいて高いパフォーマンスを示したのに対し、かつてはカテゴリーリーダーだったYahoo!やBlackberryがランク外となりました。Nokia(57位、前年比65%減) は、“Best Global Brands”史上最も価値を落としたブランドとなり、Dell(61位、前年比10%減)もブランド価値を下げる結果となりました。今日、すべてのブランドは、めまぐるしく進化するモバイル端末やソーシャルメディアなど、すべてのプラットフォームとタッチポイントで、シームレスなブランド体験を提供することが成功の必要条件と言えます。
9つの自動車ブランドが2ケタ成長を達成
自動車ブランドは、14のランクインブランドのうち9ブランドが2ケタ成長を遂げる結果となりました。業界トップを堅守したToyota(10位、前年比17%増)を筆頭に、Mercedes-Benz(11位、前年比6%増)、BMW (12位, 前年比10%増)、Honda(20位、前年比7%増)、Volkswagen(34位, 前年比20%増)、Ford(42位, 前年比15%増)、Hyundai(43位、前年比20%増)、 Audi(51位, 前年比8%増)、Porsche(64位、前年比26%増)、Nissan(65位、前年比25%増)、Kia(83位、前年比15%増)、Chevrolet(89位、New), Harley-Davidson(96位、前年比10%増)、そしてFerrari(98位、前年比6%増)がブランド価値を高めています。
堅調なパフォーマンスを見せるラグジュアリーブランド
中国のGDP成長が緩やかになり経済的展望が厳しい中においても、Louis Vuitton(17位、前年比6%増)、Gucci(38位, 前年比7%増)、Hermès(54位, 前年比23%増)、Cartier(60位、前年比26%増)、Prada(72位、前年比30%増)、Tiffany&Co.(75位、前年比5%増)、そしてBurberry(77位、 前年比20%増)の7ブランドすべてが昨年に引き続きブランド価値を5%以上高めています。これらのラグジュアリーブランドの主な成長要因は、米国や中国における新規店舗の増加や魅力的なプロダクトポートフォリオだけでなく、各ブランドが伝統をデジタルでのブランド体験につなげ、ブランドの価値を高め続けていることが挙げられます。
信用が回復しつつある金融セグメント
ランクインした11の金融ブランドのうち、8ブランドが価値を上昇させました。American Express(23位、前年比12%増)がカテゴリーをけん引し、HSBC(32位、前年比7%増)、Goldman Sachs(44位、前年比12%増)、Citi(48位、前年比5%増)、AXA(59位、前年比5%増)、Allianz(63位、前年比8%増)、Visa(74位、前年比11%増)、そしてMasterCard(97位、前年比8%増)がブランド価値を高めています。
Discovery とChevroletが初ランクイン、Duracellが3年ぶりに返り咲き
Discovery(70位、New):
世界217の国と地域で視聴可能で、45カ国語に対応し、米国外でも13億人の契約者がいるDiscoveryチャンネルは、David ZaslavがCEOに就任した当時の総利益が7億2,000万ドルでしたが、その後6年間で、米国外のインターナショナルビジネスだけで7億2,100万ドル の利益を生み出しています。Deadliest Catchシリーズの制作や年間恒例のShark Weekなどのプログラムの制作で、グローバルレベルで視聴者とつながることに成功しています。
Duracell(85位、New):
2010年に“Best Global Brands”から脱落して以来のカムバックを果たしたDuracellは、世界のバッテリー市場における25%のシェアを占めており、P&Gのリーディングブランドの一つとして知られています。米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)をはじめとした 、マーケティングパートナーシップによってブランドに対する信頼度を高めています。
Chevrolet(89位、New):
GMの総販売車両の約70%を占めるChevroletは、グローバルCMOのTim Mahoneyおよび Senior Vice President であるAlan Bateyのリーダーシップの下、コミュニケーションプラットフォーム「Find New Roads」に基づき、エンジニアリング、デザイン、そして、リテールオペレーションを統一しました。勢いが増す米国市場に加え、中国、インド、タイなどにおいてもこのコミュニケーションプラットフォームが活動の基軸となっています。
<アジアブランドのハイライト>
グローバルで躍進する韓国ブランド
アジアのブランドは、昨年と同様に、韓国勢が高成長を維持し、大幅にブランド価値を高めています。世界のスマートフォン市場で30%以上のシェアを誇るSamsungが昨年に続きアジアNo.1ブランドに輝き、Hyundaiは、洗練されたラインナップ展開とスポーツ・スポンサーシップをはじめとする積極的なブランド投資によって、そのイメージの強化と忠実なファンの獲得を続けています。また、Kiaは、新興国、先進国ともに存在感を強め、独自性の強いデザインで若年層からの支持も集めています。
自動車と家電で明暗が分かれた日本ブランド
Toyota、Honda、Nissanの自動車ブランドが大幅にブランド価値を伸ばす中、Canon(35位、前年比9%減) 、Sony(46位、前年比8%減)、Nintendo(67位、前年比14%減)、Panasonic(68位、前年比1%増)は、いずれもランクダウンし、ブランド価値は微増もしくは減少となっています。
Canonにとって、昨年1年間は、新製品発表、新市場への進出、セールスおよび製造拠点の海外への拡大など、激動の時期であったと言えます。ハイエンド・カメラの市場は成長を続けていますが、スマートフォンの台頭によりコンパクトデジタルカメラ市場が縮小傾向にある中、コアであるカメラ市場の技術および消費者行動は圧倒的なスピードで進化しており、より一層スピード感をもって顧客とのコミュニケーションを図ることが求められます。Sony(46位、前年比8%減)は、「One Sony」がSonyの統一されたマネジメントと、迅速な意思決定への献身を象徴しており、5年間ぶりに純利益の黒字化を達成しています。様々な改革が進み業績は回復傾向にありますが、新CEOのもとでSonyとはどのようなブランドであるのかが消費者に伝わるまでには至っていません。Nintendoは、Nintendo 3DSの日本での成功を海外で再現できておらず、スマートフォンの浸透によるオンラインゲーム市場の拡大の影響を受け、ブランド価値を下げる結果となりました。Panasonicは、収益性の高いB2B顧客への戦略的なシフトを明らかにしました。今後は、特に日本以外の国において、顧客のパーセプションを変え、B2Bブランドとしての認知度の向上が重要になります。ホームエンターテインメントの枠を超えた事業ポートフォリオによるパナソニックの潜在力は高く評価できますが、事業部間のシナジーとグローバルなターゲット顧客を魅了する製品サービスを提供していくことが今後の課題と言えます。
<Best Global Brands 2013 のブランド価値評価について>
■CRITERIA FOR CONSIDERATION 評価対象基準
本ランキングはグローバルな事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするもので、その上位100ブランドを公表しています。
その評価対象として、以下の基準を満たす企業・商品を抽出し、評価をしました。
• 各種財務情報が公表されていること
• グローバルに展開していること(2012年度実績)
起源国以外での海外売上高比率が30%以上であること
少なくとも3つの主要な大陸に進出しており、新興国もカバーしていること
• B to Bブランドであっても、グローバルで一般に認知されていること
• ブランドが顧客の購買行動に影響を与えていること
■Methodology 評価方法
インターブランドのブランド価値評価手法は、財務力、ブランドが購買意思決定に与える影響力、そしてブランドによる将来収益の確かさ、という観点からみたブランド価値の評価です。証券アナリストが事業の価値を分析・評価するのと同じように、「将来どれくらい収益を上げると予想されるか?」という視点に基づいて、ブランドの価値を分析・評価します。その手法は、ブランドの金銭的価値測定のための世界標準として、国際標準化機構(ISO)からISO 10668の認定を受けています。評価は、具体的に以下の3つの分析によって構成されています。
「財務分析」 - 企業が生み出す利益の将来予測を行う
まず、ブランドが冠された事業の現在および将来の収益を予想します。そして、その売上から営業費用、税金、そして投下資本に応じた資本コストを差し引き、将来の経済的利益を算出します。本分析は、公開されている企業情報を、将来予測は、2013年6月末時点でのアナリストによる予測値を基にしています。
「ブランドの役割分析」 - 利益のうち、ブランドの貢献分を抽出する
財務分析で算出された将来の経済的利益のうち、ブランドによってもたらされた利益を抽出するために、ブランドがどの程度顧客の購買意思決定に影響を与えているかを分析します。
本評価においては、ブランドが消費者の購買動向に果たす役割について、インターブランドが過去20年にわたり実施した5,000を超えるブランド価値評価実績のデータベースを活用し、業界別にベンチマーク分析を行います。そして業界ベンチマークを基にして、独自の調査・分析により個別ブランドの“ブランドの貢献分”のスコアを算出します。
「ブランド力分析」 – ブランドによる利益の将来の確実性を評価する
ブランド力の分析は、市場でのロイヤリティ、消費者の継続購入や囲い込みといったクライアントのニーズを喚起する力(将来の収益を維持する力)を測り、ブランドによる利益を割り引いて現在価値に換算するものです。この評価は、ブランドのリスクを判断する体系的な手法であり、ブランドの活力を見る10の項目から評価され、100をパーフェクトブランドとする0から100までのスコアで表されます。これらの項目における評価は同業種の他のブランドと比較して行われ、上位ブランドについては他業種の世界レベルのブランドと比較して行われます。次にこのブランド力スコアは、インターブランド独自の計算手法により、割引率に変換され、その「割引率」で将来のブランド利益を割り引くことで、ブランド価値が算定されます。
※「ブランドの役割分析」、「ブランド力分析」は、公表されているさまざまな報告書等を使用し、弊社グローバル各オフィスの専門コンサルタントの多面的な評価を踏まえ算定されます。
<インターブランドについて>
インターブランドは、1974 年、ロンドンで設立された世界最大のブランドコンサルティング会社です。ブランドを“Living business asset”(常に変化するビジネス資産)と定義し、世界27カ国、約40のオフィスを拠点に、グローバルでブランドの価値を創り、高め続ける支援を行っています。
インターブランドの「Brand Valuation TM (ブランド価値評価)」は、ISOにより世界で最初にブランドの金銭的価値測定における世界標準として認められました。インターブランドは、グローバルブランドの価値を評価したブランドランキングである“Best Global Brands”や、生活者の環境イメージ(環境パーセプション)と企業の環境活動の実態(環境パフォーマンス)とを総合的に評価した“Best Global Green Brands” のレポートを広く公表しています。
インターブランドでは、創造的なコンサルタントと、世界レベルのクリエイティビティを誇るクリエイターが、一つのチームとなりプロジェクトを推進します。ブランド価値評価・ブランド戦略構築をリードするコンサルタント、ブランドロゴ・パッケージ・空間・デジタルデザインを開発するデザイナー、ネーミング・スローガン・メッセージングを開発するコピーライターが在籍し、分析から実行、全ての流れを自社のリソースで完結します。
<インターブランドジャパンについて>
インターブランドジャパンは、ロンドン、ニューヨークに次ぐ、インターブランド第3の拠点として、1983年に東京で設立されました。日系企業、外資系企業、BtoB 企業、BtoC企業、政府・官公庁など様々な企業・団体に対し、トータルにブランディングサービスを提供しています。
インターブランドについての詳しい情報はhttp://interbrand.comをご覧ください。
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