【セミナーレポート】「グローバルリーダーシップ~文化の違いを超えるコミュニケーション力を身につけるには~」
講師:ロッシェル・カップ氏 主催:BBT実践ビジネス英語講座
ビジネス・ブレークスルーが運営する「実践ビジネス英語講座(PEGL)」(http://www.ohmae.ac.jp/ex/english/)は「グローバルリーダーシップ~文化の違いを超えるコミュニケーション力を身につけるには~」と題するセミナーを2014年10月23日に、ビジネス・ブレークスルーセミナールームにて開催いたしました。
講異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍起業の海外進出とグローバル人材育成を支援しており、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングの社長を務めるロッシェル・カップ氏を講師に迎え、ビジネス上の異文化コミュニケーション時に起こりがちな問題点とその対策についての講義と活発なディスカッションが行われました。以下はそのセミナーレポートとなります。
講異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍起業の海外進出とグローバル人材育成を支援しており、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティングの社長を務めるロッシェル・カップ氏を講師に迎え、ビジネス上の異文化コミュニケーション時に起こりがちな問題点とその対策についての講義と活発なディスカッションが行われました。以下はそのセミナーレポートとなります。
【セミナーレポート】
同時に注意しなければならないのが、個々人の違い。文化についてはある程度一般化しないとギャップを埋めるための対策を考えることは難しいが文化のステレオタイプに縛られすぎてしまうのはよくない。どの文化に属していても、ひとりひとりはユニークな個人であるということを忘れてはならない。その上で、文化も含めたその人のバックグラウンドや個性を加味して自分の行動を調整していく姿勢が大切なのである。
【文化ごとの特徴一例】
●北欧 ・・・ 非常に直接的、ストレートな表現をする傾向にある
●アメリカ ・・・ ストレートに言うが、必ずソフトな部分で包む。それがアメリカ人とのコミュニケーションが難しいとされる理由にもなっている。ストレートなコミュニケーションを行う一方、ストレートすぎるのはよくないという考えもあるためソフトな言い方を付け加え、結果的に言葉が多くなってしまう。
●イギリス、インド ・・・ ストレートと控えめのミックス。特にイギリス人はソフトで有名。
●南アフリカ ・・・ 日本人よりソフト。日本人の言い方さえ強く感じてしまう
自分が接している外国人と自分の関係を、図1のスケールの位置でまずは確認してみるのが有効といえる。自国の文化と相手の文化との比較からスタートし、相手に応じて対応の仕方をフレキシブルに変えることが外国人とのコミュニケーションにおいては大切である。
また、文化的背景により言葉の持つ意味も異なってくる。例えば、日本語で反対意見を言うと、相手の意見だけでなく、相手の人間性も否定してしまっているように感じられることが多いが、左側に位置する文化圏の言語の場合、反対意見で否定するのは相手の意見のみで、人間性や相手との人間関係を否定するという意味合いは全く含まない。
まずは自分が接する相手と自分、それぞれの文化的背景の関係性を把握することが大切。先ほどの図で考えると、どちらが左側にくるのかを考えてから、相手とのコミュニケーションを調節するのが効果的であると言える。
人前で反対意見を言ったり指摘をしたりすることは好まれないということを理解する。また、自分の言い方に気を付けることも重要。相手のメンツを傷つけないように言葉を選択し、声のトーンなどにも気を配ることが重要。相手が不快を感じているかどうか、相手の話を良く聞いて観察することも大切である。右側に位置する文化圏では、本当は反対でも「賛成」と言ってしまうことがよくあるため、こちら側の意見を押し付けないように気を付ける必要がある。
・自分の文化より左側の文化の人と接するとき
ディベート好きだとよく言われているように、言葉で自分の意見を主張することを大切にするということをまず理解する。彼らの反対意見は自分という人間に対する否定ではない、侮辱ではない、ということもあわせて理解しておくことが大切である。自分より左の文化の人とコミュニケーションする場合には、フィードバックが重要なスキルとなる。相手の発言や行動に対して自分がどう感じているのか、まめにフィードバックすることが大切。
世界中に学校を作るという国際的な慈善事業をアメリカが立ち上げ、リベリアに学校を作ることになったので、アメリカ人担当者が建設予定の学校について街の人に説明したところ、街の人は「素晴らしい学校だ、うれしい」、と答えた。そして、「屋根には心配がありますが。」と控えめに付け加えた。この地方は台風等が多く、気候的に重い屋根は危険だということを現地の人は知っていたからだ。しかし、わざわざ自分たちのために学校を作りに来てくれたアメリカ人にはっきりとそれを伝えることをしなかった。アメリカ人には、控えめな言い方が伝わらず「いつもこのような屋根にするから、大丈夫ですよ」、と気にせずそのまま工事を進めた。学校は無事完成したが、その後、結局台風が来た時に屋根が重すぎて落ちてしまうという事故があって被害者が出てしまった。
〈事例2〉
メキシコに進出する日系工場が増えているが、日本人の現場の監督者が人前で仕事のやり方などの問題を指摘したりすることが多いようだ。実はメキシコは日本よりもさらに右に位置する、対立を嫌い間接的なコミュニケーションを好む文化圏であるため、メキシコの方は直接的な表現による日本人の問題指摘に気持ちを害することが多くなり、離職率が高くなってしまうというケースが相次いだ。
上記のようなケースを避けるためにも、異文化間でのコミュニケーションを行う際には相手と自分のバックグラウンドの関係性を理解しておくことがまず必要なのである。
ハンバーガーの要素となる、パン、ピクルス、具、レタスとトマト、パンの要素を持つ言葉をこの順番で使うことを心掛けると良い。
まずはソフトに切り出す。例えば「提案してくれてありがとう」など、相手に感謝の気持ちを伝える表現等を使う。
・ピクルス
次に、本題を和らげるための前置きの言葉を使う。例えば「残念だけど」等が適切。
・肉
そして本題。ここでははっきりと自分の意志を伝える。例えば、「それはできません」等。
・レタスとトマト
次に背景理由の説明。上記のような回答の理由、なぜそう判断したのかを説明する。
・パン
最後にもう一度ソフトにしめる。次のいい展開につなげるポジティブ な発言。例えば、「また何かあればいつでも提案してください」等。
言葉の量が多くなってしまうが、文化が異なる人同士のコミュニケーションの場合は、きちんと細かく説明する必要がある。以上を意識して、異文化の相手とのコミュニケーションをより良くスムーズに変えていってほしい。
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長
異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍起業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部、シカゴ大学経営学院卒業。『新ビジネスミーティングの英語表現』(ジャパンタイムス)、『ソフト・マネージメントスキル』(日本経団連)や「外国人と交渉に成功するビジネス英語」(語研)など、著者は多数。現在、日本の朝日新聞globeをはじめ、多数のコラムを連載し、世界で活躍している。
ロッシェル・カップ氏も登場!
異文化環境でリーダーシップを発揮するための“人を動かす英語力”を習得します!
オンラインとリアル集合研修を効果的に組み合わせた独自のカリキュラムで、圧倒的な“実践力”を身に付けることに特化したプログラムです。英語力強化に加え、グローバルリテラシーや異文化コミュニケーション、Cultural Intelligenceなどの文化的な科目とリーダーシップに関する科目をバランス良く学びます。実際にアウトプットすることを重視しており、実践力が身に付きます。
●Encourage
大きな成果を生み出すために目標と価値観を明示し、英語を使って相手の潜在能力を引き出せる力。
●Analogy
国籍の異なるメンバーとの共通点・問題の解決法を見出し、チームで最大限の成果を生み出すことができる力。
●Cross Culture
多様性(ダイバーシティ)で混じり合う価値観・考え方や、他者を取り巻く規律・文化を理解できる力。
リーダーシップ力トレーニングコースURL http://www.ohmae.ac.jp/ex/english/campaign/leadership
- ◆今までの異文化体験について
同時に注意しなければならないのが、個々人の違い。文化についてはある程度一般化しないとギャップを埋めるための対策を考えることは難しいが文化のステレオタイプに縛られすぎてしまうのはよくない。どの文化に属していても、ひとりひとりはユニークな個人であるということを忘れてはならない。その上で、文化も含めたその人のバックグラウンドや個性を加味して自分の行動を調整していく姿勢が大切なのである。
- ◆文化の多様性を理解する
【文化ごとの特徴一例】
●北欧 ・・・ 非常に直接的、ストレートな表現をする傾向にある
●アメリカ ・・・ ストレートに言うが、必ずソフトな部分で包む。それがアメリカ人とのコミュニケーションが難しいとされる理由にもなっている。ストレートなコミュニケーションを行う一方、ストレートすぎるのはよくないという考えもあるためソフトな言い方を付け加え、結果的に言葉が多くなってしまう。
●イギリス、インド ・・・ ストレートと控えめのミックス。特にイギリス人はソフトで有名。
●南アフリカ ・・・ 日本人よりソフト。日本人の言い方さえ強く感じてしまう
自分が接している外国人と自分の関係を、図1のスケールの位置でまずは確認してみるのが有効といえる。自国の文化と相手の文化との比較からスタートし、相手に応じて対応の仕方をフレキシブルに変えることが外国人とのコミュニケーションにおいては大切である。
また、文化的背景により言葉の持つ意味も異なってくる。例えば、日本語で反対意見を言うと、相手の意見だけでなく、相手の人間性も否定してしまっているように感じられることが多いが、左側に位置する文化圏の言語の場合、反対意見で否定するのは相手の意見のみで、人間性や相手との人間関係を否定するという意味合いは全く含まない。
まずは自分が接する相手と自分、それぞれの文化的背景の関係性を把握することが大切。先ほどの図で考えると、どちらが左側にくるのかを考えてから、相手とのコミュニケーションを調節するのが効果的であると言える。
- ◆ギャップを埋めるための良い方法を探る
人前で反対意見を言ったり指摘をしたりすることは好まれないということを理解する。また、自分の言い方に気を付けることも重要。相手のメンツを傷つけないように言葉を選択し、声のトーンなどにも気を配ることが重要。相手が不快を感じているかどうか、相手の話を良く聞いて観察することも大切である。右側に位置する文化圏では、本当は反対でも「賛成」と言ってしまうことがよくあるため、こちら側の意見を押し付けないように気を付ける必要がある。
・自分の文化より左側の文化の人と接するとき
ディベート好きだとよく言われているように、言葉で自分の意見を主張することを大切にするということをまず理解する。彼らの反対意見は自分という人間に対する否定ではない、侮辱ではない、ということもあわせて理解しておくことが大切である。自分より左の文化の人とコミュニケーションする場合には、フィードバックが重要なスキルとなる。相手の発言や行動に対して自分がどう感じているのか、まめにフィードバックすることが大切。
- ◆文化的なギャップによって生まれた悲しいストーリー
世界中に学校を作るという国際的な慈善事業をアメリカが立ち上げ、リベリアに学校を作ることになったので、アメリカ人担当者が建設予定の学校について街の人に説明したところ、街の人は「素晴らしい学校だ、うれしい」、と答えた。そして、「屋根には心配がありますが。」と控えめに付け加えた。この地方は台風等が多く、気候的に重い屋根は危険だということを現地の人は知っていたからだ。しかし、わざわざ自分たちのために学校を作りに来てくれたアメリカ人にはっきりとそれを伝えることをしなかった。アメリカ人には、控えめな言い方が伝わらず「いつもこのような屋根にするから、大丈夫ですよ」、と気にせずそのまま工事を進めた。学校は無事完成したが、その後、結局台風が来た時に屋根が重すぎて落ちてしまうという事故があって被害者が出てしまった。
〈事例2〉
メキシコに進出する日系工場が増えているが、日本人の現場の監督者が人前で仕事のやり方などの問題を指摘したりすることが多いようだ。実はメキシコは日本よりもさらに右に位置する、対立を嫌い間接的なコミュニケーションを好む文化圏であるため、メキシコの方は直接的な表現による日本人の問題指摘に気持ちを害することが多くなり、離職率が高くなってしまうというケースが相次いだ。
上記のようなケースを避けるためにも、異文化間でのコミュニケーションを行う際には相手と自分のバックグラウンドの関係性を理解しておくことがまず必要なのである。
- ◆おすすめのコミュニケーションの方法は「ハンバーガー方式」
ハンバーガーの要素となる、パン、ピクルス、具、レタスとトマト、パンの要素を持つ言葉をこの順番で使うことを心掛けると良い。
まずはソフトに切り出す。例えば「提案してくれてありがとう」など、相手に感謝の気持ちを伝える表現等を使う。
・ピクルス
次に、本題を和らげるための前置きの言葉を使う。例えば「残念だけど」等が適切。
・肉
そして本題。ここでははっきりと自分の意志を伝える。例えば、「それはできません」等。
・レタスとトマト
次に背景理由の説明。上記のような回答の理由、なぜそう判断したのかを説明する。
・パン
最後にもう一度ソフトにしめる。次のいい展開につなげるポジティブ な発言。例えば、「また何かあればいつでも提案してください」等。
言葉の量が多くなってしまうが、文化が異なる人同士のコミュニケーションの場合は、きちんと細かく説明する必要がある。以上を意識して、異文化の相手とのコミュニケーションをより良くスムーズに変えていってほしい。
- 【講師プロフィール】
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング 社長
異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍起業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部、シカゴ大学経営学院卒業。『新ビジネスミーティングの英語表現』(ジャパンタイムス)、『ソフト・マネージメントスキル』(日本経団連)や「外国人と交渉に成功するビジネス英語」(語研)など、著者は多数。現在、日本の朝日新聞globeをはじめ、多数のコラムを連載し、世界で活躍している。
- 【実践ビジネス英語講座(PEGL)新プログラム】
ロッシェル・カップ氏も登場!
異文化環境でリーダーシップを発揮するための“人を動かす英語力”を習得します!
オンラインとリアル集合研修を効果的に組み合わせた独自のカリキュラムで、圧倒的な“実践力”を身に付けることに特化したプログラムです。英語力強化に加え、グローバルリテラシーや異文化コミュニケーション、Cultural Intelligenceなどの文化的な科目とリーダーシップに関する科目をバランス良く学びます。実際にアウトプットすることを重視しており、実践力が身に付きます。
●Encourage
大きな成果を生み出すために目標と価値観を明示し、英語を使って相手の潜在能力を引き出せる力。
●Analogy
国籍の異なるメンバーとの共通点・問題の解決法を見出し、チームで最大限の成果を生み出すことができる力。
●Cross Culture
多様性(ダイバーシティ)で混じり合う価値観・考え方や、他者を取り巻く規律・文化を理解できる力。
リーダーシップ力トレーニングコースURL http://www.ohmae.ac.jp/ex/english/campaign/leadership
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