リナグリプチン、腎機能低下リスクが高い患者のアルブミン尿症改善を示す
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国イーライリリー・アンド・カンパニーが6月9日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。また海外の試験であるため、日本の承認内容と異なることがあります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
第72回米国糖尿病学会で発表されたデータにより、腎機能低下リスクが高い成人2型糖尿病患者に対するリナグリプチンの使用について新たな知見が示される
2012年6月9日、ドイツ、インゲルハイム/米国、インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)は、腎機能低下リスクが高い(ベースラインで、アルブミン尿が見られる) 2型糖尿病患者において、リナグリプチンが血糖値を改善させるだけでなく、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に33%(p<0.05)低下させることを示す事後解析結果を発表しました。尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)は、腎機能低下を伴う2型糖尿病患者におけるアルブミン尿症の指標です1。リナグリプチンは、成人2型糖尿病患者の血糖コントロールを目的に、食事療法と運動療法と共に、1日1回服用する錠剤です2。単独療法またはメトホルミンやメトホルミン+スルホニル尿素薬など他の糖尿病治療薬と併用療法で使用されます。
事後解析には、4つの24週間にわたるランダム化臨床試験が組み込まれ、糖尿病性腎症の標準治療である2種類の降圧薬-アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)のいずれかによる安定的な治療を受けている腎機能低下リスクの高い2型糖尿病患者227例が含まれました1。24週時点でプラセボと比べてHbA1c値を0.71%低下させるだけでなく、リナグリプチンはプラセボに比べて尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を29%低下させました1。HbA1c値は糖尿病患者で、過去2~3カ月の血糖コントロールの指標です。
「2型糖尿病患者さんの約65%に腎機能低下リスクがあり、それによって治療選択肢が限定される可能性があるため、 この解析は重要です」と、ヘルシンキ大学中央病院(フィンランド)腎臓内科のPer Henrik Groop教授は述べました。「この解析では、リナグリプチンの治療を受けた患者さんにおいて、血糖値の改善と腎機能障害の徴候である尿中アルブミンの減少が示されました。私たちは2型糖尿病患者さんの治療時に腎機能低下を考慮することの重要性を認識しているため、この領域をさらに研究していきます」。
これら4つの試験の主要評価項目は、24週後におけるベースラインからのHbA1c値の低下でした。
アルブミン尿の事後解析について
事後解析では、リナグリプチンの単独療法、メトホルミン併用療法、メトホルミンとスルホニル尿素薬併用療法、メトホルミンとの併用におけるリナグリプチンの要因試験という4つの24週間にわたるランダム化2重盲検プラセボ対照比較試験から得られたデータが統合され(n=2472)、腎機能低下リスクが高い(ベースラインのアルブミン尿など)2型糖尿病患者のアルブミン尿に対するリナグリプチンの臨床効果が探索されました。これら4つの試験の主要評価項目は、ベースラインから24週までのHbA1c値の変化量を解析することでした1。
4つの試験において、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)は安全性データとして収集されました。評価項目は、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の幾何平均の変化割合でした。この解析では、492例(19.9%)が尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)(30≤UACR ≤3000 mg/ クレアチニン1g) と、糸球体ろ過量 (eGFR) の閾値 (eGFR >30 ml/ 分/1.73m2)を満たし、その46% が安定的なACE/ARB療法 (リナグリプチン n=168; プラセボ n=59)を受けました。HbA1cベースライン平均値と尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)中央値は、リナグリプチン投与群で8.2%(76mg/ クレアチニン1g)、プラセボ投与群で8.5% (78 mg/クレアチニン1g)でした。24週後、HbA1c値のプラセボ調整平均変化量と空腹時血糖値(FPG)の変化量は、それぞれ-0.71%、-26 mg/dL でした (いずれも p<0.0001)。リナグリプチンはベースラインとの比較で尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に33% (p<0.05) 低下させ、群間差は-29% (p<0.05)でした1。
リナグリプチンは、日本では、2011年7月1日に食事療法、運動療法のみで十分な効果が得られない2型糖尿病患者の治療薬(単独療法)として、日本ベーリンガーインゲルハイムが、トラゼンタ®錠 5mg(一般名:リナグリプチン)」の製造販売承認を取得しました。他の糖尿病治療薬との併用についての臨床効果と安全性は確立されていません。
糖尿病について
1型及び2型糖尿病の患者数は、世界で3億6600万人と推定されています4。大半が2型糖尿病で、糖尿病全体のおよそ90~95%を占めます3。糖尿病は、インスリンというホルモンを生体が適切に分泌、利用しにくくなった場合に発症する慢性疾患です5。
References
1 BI/Lilly Data. Groop P, Cooper M, et al. Linagliptin Lowers Albuminuria on Top of Recommended Standard Treatment for Diabetic Nephropathy. Poster No. 953-P. Presented at the American Diabetes Association® (ADA) 72nd Scientific Sessions. June 8-12, Philadelphia, PA.
2 Tradjenta™ (linagliptin) tablets. Highlights of Prescribing Information. Initial US Approval: 2011.
3 Centers for Disease Control and Prevention.Prevention. National diabetes fact sheet:
national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the
United States, 2011. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human
Services, Centers for Disease Control and Prevention, 2011.
4. International Diabetes Federation. Diabetes Atlas 5 th edn. www.idf.org, 2010.
5. World Health Organization: Fact Sheet No. 312 What is Diabetes?, 2010.
6. 厚生労働省2007年国民健康・栄養調査
7. Yokoyama H, et al. Diabetes Care 30: 989, 2007
8. Iimura O: Hypertens Res 19: S1-S8, 1996
第72回米国糖尿病学会で発表されたデータにより、腎機能低下リスクが高い成人2型糖尿病患者に対するリナグリプチンの使用について新たな知見が示される
2012年6月9日、ドイツ、インゲルハイム/米国、インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)は、腎機能低下リスクが高い(ベースラインで、アルブミン尿が見られる) 2型糖尿病患者において、リナグリプチンが血糖値を改善させるだけでなく、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に33%(p<0.05)低下させることを示す事後解析結果を発表しました。尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)は、腎機能低下を伴う2型糖尿病患者におけるアルブミン尿症の指標です1。リナグリプチンは、成人2型糖尿病患者の血糖コントロールを目的に、食事療法と運動療法と共に、1日1回服用する錠剤です2。単独療法またはメトホルミンやメトホルミン+スルホニル尿素薬など他の糖尿病治療薬と併用療法で使用されます。
事後解析には、4つの24週間にわたるランダム化臨床試験が組み込まれ、糖尿病性腎症の標準治療である2種類の降圧薬-アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)のいずれかによる安定的な治療を受けている腎機能低下リスクの高い2型糖尿病患者227例が含まれました1。24週時点でプラセボと比べてHbA1c値を0.71%低下させるだけでなく、リナグリプチンはプラセボに比べて尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を29%低下させました1。HbA1c値は糖尿病患者で、過去2~3カ月の血糖コントロールの指標です。
「2型糖尿病患者さんの約65%に腎機能低下リスクがあり、それによって治療選択肢が限定される可能性があるため、 この解析は重要です」と、ヘルシンキ大学中央病院(フィンランド)腎臓内科のPer Henrik Groop教授は述べました。「この解析では、リナグリプチンの治療を受けた患者さんにおいて、血糖値の改善と腎機能障害の徴候である尿中アルブミンの減少が示されました。私たちは2型糖尿病患者さんの治療時に腎機能低下を考慮することの重要性を認識しているため、この領域をさらに研究していきます」。
これら4つの試験の主要評価項目は、24週後におけるベースラインからのHbA1c値の低下でした。
アルブミン尿の事後解析について
事後解析では、リナグリプチンの単独療法、メトホルミン併用療法、メトホルミンとスルホニル尿素薬併用療法、メトホルミンとの併用におけるリナグリプチンの要因試験という4つの24週間にわたるランダム化2重盲検プラセボ対照比較試験から得られたデータが統合され(n=2472)、腎機能低下リスクが高い(ベースラインのアルブミン尿など)2型糖尿病患者のアルブミン尿に対するリナグリプチンの臨床効果が探索されました。これら4つの試験の主要評価項目は、ベースラインから24週までのHbA1c値の変化量を解析することでした1。
4つの試験において、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)は安全性データとして収集されました。評価項目は、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)の幾何平均の変化割合でした。この解析では、492例(19.9%)が尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)(30≤UACR ≤3000 mg/ クレアチニン1g) と、糸球体ろ過量 (eGFR) の閾値 (eGFR >30 ml/ 分/1.73m2)を満たし、その46% が安定的なACE/ARB療法 (リナグリプチン n=168; プラセボ n=59)を受けました。HbA1cベースライン平均値と尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)中央値は、リナグリプチン投与群で8.2%(76mg/ クレアチニン1g)、プラセボ投与群で8.5% (78 mg/クレアチニン1g)でした。24週後、HbA1c値のプラセボ調整平均変化量と空腹時血糖値(FPG)の変化量は、それぞれ-0.71%、-26 mg/dL でした (いずれも p<0.0001)。リナグリプチンはベースラインとの比較で尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を有意に33% (p<0.05) 低下させ、群間差は-29% (p<0.05)でした1。
リナグリプチンは、日本では、2011年7月1日に食事療法、運動療法のみで十分な効果が得られない2型糖尿病患者の治療薬(単独療法)として、日本ベーリンガーインゲルハイムが、トラゼンタ®錠 5mg(一般名:リナグリプチン)」の製造販売承認を取得しました。他の糖尿病治療薬との併用についての臨床効果と安全性は確立されていません。
糖尿病について
1型及び2型糖尿病の患者数は、世界で3億6600万人と推定されています4。大半が2型糖尿病で、糖尿病全体のおよそ90~95%を占めます3。糖尿病は、インスリンというホルモンを生体が適切に分泌、利用しにくくなった場合に発症する慢性疾患です5。
References
1 BI/Lilly Data. Groop P, Cooper M, et al. Linagliptin Lowers Albuminuria on Top of Recommended Standard Treatment for Diabetic Nephropathy. Poster No. 953-P. Presented at the American Diabetes Association® (ADA) 72nd Scientific Sessions. June 8-12, Philadelphia, PA.
2 Tradjenta™ (linagliptin) tablets. Highlights of Prescribing Information. Initial US Approval: 2011.
3 Centers for Disease Control and Prevention.Prevention. National diabetes fact sheet:
national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the
United States, 2011. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human
Services, Centers for Disease Control and Prevention, 2011.
4. International Diabetes Federation. Diabetes Atlas 5 th edn. www.idf.org, 2010.
5. World Health Organization: Fact Sheet No. 312 What is Diabetes?, 2010.
6. 厚生労働省2007年国民健康・栄養調査
7. Yokoyama H, et al. Diabetes Care 30: 989, 2007
8. Iimura O: Hypertens Res 19: S1-S8, 1996
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