トルクメニスタンで大規模な強制立ち退き 

アジアインドア・マーシャルアーツゲームズのための美化作戦で

室内競技とチェス・囲碁などの頭脳スポーツの総合競技大会「アジアインドア・マーシャルアーツゲームズ」が、2017年にトルクメニスタンで開催される。その影響で、これまでに5万人以上の市民が立ち退きを強制された。トルクメニスタンの人権侵害は、これだけにとどまらない。独裁的な大統領は国を恐怖で支配し、反対意見を抑え込んでいる。日本も含め、政治的・経済的に協力関係にある国や企業は、その影で行われている人権侵害から目をそらさずに、改善に向けた働きかけに努めるべきである。

 

アジアインドア・マーシャルアーツゲームズに先立ち、トルクメニスタンの首都アシガバートの美化促進の名目で、およそ5万人以上の市民が立ち退きを強制された。アムネスティ・インターナショナルは、立ち退きで廃墟となった地域の衛星画像を入手して、この大規模な強制立ち退きを明らかにした。

衛星画像をアムネスティが分析した結果、昨年3月から今年4月までの1年余りで、首都アシガバート近くのチョガンリ地区で、5,000軒が破壊されていたことがわかった。また、9月までには地区の全家屋1万軒以上が完全に取り壊された。首都の他の地域でも次々に同様の事態となっていて、多くの家族がホームレスとなっている。

国際大会は本来、その国の人権状況を改善する機会になるべきところだが、トルクメニスタンでは、住民の生活環境を破壊しただけである。被害家族の多くは、地方から仕事を求めてアシガバートにやってきたか、別の場所で以前、強制的な立ち退きに遭った人びとであった。

この強制立ち退きは、国際人権基準に明らかに違反する。トルクメニスタン政府は直ちに、強制立ち退きと違法な家屋破壊をやめ、被害者に補償を与え、適切な代替家屋を提供しなければならない。冬が到来すれば、彼らはさらに困窮する。

衛星画像は、世界でも特に闇に包まれたこの国の人権侵害を映し出していた。グルバングル・ベルディムハメドフ大統領は、独裁的な前任者同様、国民を恐怖で支配している。市民はあらゆる場所で監視され、反対意見は言えない。あえて発言しようとすれば、自身や身内の安全を危険にさらすことになる。

アムネスティなどの人権団体の監視活動は、禁止されている。しかしアムネスティの調査員は、電話インタビューの証言や極秘情報源から、衛星画像が示す立ち退きの詳細を確認した。チョガンリの元住民らは、警察などの当局が、住民を強制的に退去させた時の様子を「戦車のように突入してきた」と語っていた。人が住んでいてもおかまいなしにブルトーザーで家を壊されたのだ。

トルクメニスタンは国際大会に先立ち、都市の近代化を進める都市開発計画を進めてきた。その陣頭指揮を執るのが、ベルディムハメドフ大統領だった。

強制立ち退きは今も続いている。

同国の経済は豊富な石油とガス資源で支えられており、この大会は、その国際的立場を強化する良い機会と思われる。アムネスティは、各国政府や企業に対し、政治的にも経済的にもトルクメニスタンとの協力関係の中で、人権侵害を助長することのないよう求めている。

日常的な脅迫と抑圧は、残念ながらトルクメニスタンの現実である。国際社会と企業は、同国大統領にあらゆる手立てで働きかけ、この人権侵害に終止符を打たせるべきである。

強制立ち退きは、決して正当化できない。いかなる立ち退きも最後の手段であって、しかも国際人権基準を順守すべきである。


アムネスティ・インターナショナル日本
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