リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025総合グランプリが決定|合同会社つみき設計施工社「人間は、つくることをやめない」
~2025年を代表するリノベーション事例が決定!~
一般社団法人リノベーション協議会(東京都中央区・理事長:山本卓也)は、2025年を代表する魅力的なリノベーション作品を決定するアワード「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」(選考委員長:リノベーション協議会 発起人 島原万丈)の授賞式および選考委員による講評会を12月11日(木)に東京大学本郷キャンパス内にて開催し、合同会社つみき設計施工社「人間は、つくることをやめない」が総合グランプリを獲得しました。
本アワードでは、消費者にとって関心の高い施工費別に「800万円未満部門」「1500万円未満部門」「1500万円以上部門」「無差別級部門」の4部門を設けています。全国からエントリーされた計206作品を、リノベーションの楽しさ・魅力・可能性という点にフォーカスしてSNSを活用した一般ユーザーの声を取り入れ一次審査をし、60作品を入賞作品として選出。その後、住宅系メディアの編集者を中心とした8名で構成された選考委員によって最終選考を実施し、総合グランプリ、部門別最優秀作品賞4点、特別賞15点、プレイヤーズチョイスを決定しています。
※以下、本リリースに記載している各賞の講評は抜粋版を掲載しております。全文は下記URLよりご参照ください。
【受賞作品】https://www.renovation.or.jp/oftheyear/award.html
■受賞作品
□総合グランプリ
人間は、つくることをやめない|合同会社つみき設計施工社

選考委員長講評(島原万丈/LIFULL HOME’S総研 所長)
つみき設計施工社はリノベーション・オブ・ザ・イヤー初エントリーで総合グランプリ獲得という快挙ではあるが、同社は自社を「参加型リノベーション専門工務店」と名乗り、2010年の創業から「ともにつくる」を理念とするDIYリノベーションの仕事を続けてきた。だが、この作品は、単に楽しいDIYリノベーションという範疇には収まらない、日本の近代住宅史に照らしても非常に示唆に富むリノベーションである。1971年に登場したセキスイハイムM1は、日本の工業化住宅を象徴する鉄骨ユニット工法の先駆であり、住宅需要が急増した時代に対応するため、安定品質と短工期・低コストを可能にした画期的な住宅であった。ところがプレファブ住宅は、その後の普及の過程で商品として洗練を追求し、型式適合認定制度と相まって、住まい手が手を入れにくい完成品としての住宅となっていく。本作は、その断絶を乗り越える象徴的な試みだと評価できる。専門家が基本的性能を整えた上で、家族と100人以上の仲間が数か月にわたってDIYで仕上げていくプロセスは、まさに箱に新たな意味と感情を与える創造的行為である。
□<800万円未満部門>最優秀作品賞
市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く|株式会社フロッグハウス

選考委員講評(八久保誠子/LIFULL HOME'S PRESS編集長(株式会社LIFULL))
賃貸市営住宅のリノベーションとして、取捨選択をせまられる中、注力ポイントを対面キッチンの新設と窓断熱、換気計画に絞ったプラン。写真からは見えない住宅機能の底上げは「なぜリノベーションするのか」の基本の“暮らす環境の改善”に立ちかえった事例といえる。住宅機能を高めることは、住民の暮らしと社会の双方にメリットがある。光熱費の家計負担の軽減、ヒートショックなど健康リスクの低下、カビの発生を抑えることで建物の劣化が抑えられ、住宅寿命も延びる。結果、性能の良い賃貸市営住宅に安く住めることは、住環境で厳しい思いをする人が減り、街の価値をも高める。多くの公営住宅で広がってほしいリノベーションである。
□<1500万円未満部門>最優秀作品賞
わたしのための、パブリックスペース|株式会社コスモスイニシア

選考委員講評(斉藤アリス/TOKOSIE編集部 ディレクター・モデル)
物件の写真を見た時に「マンションだな」と感じさせる2大要因は、天井の梁と窓枠の金物だと私は思っています。こちらの事例は存在感のある木材の棚を窓際に造作することで、窓枠や構造体の印象がほぼゼロになって、まるで素敵な一軒家の邸宅のようです。また、ミッドセンチュリーを感じさせる赤茶系の木材で、障子、引き戸、縁側、和室など日本式の建て具を造作した「ジャパンディ」感が最高にわたくし好み。買取再販でここまでハイセンスな内装を実践できることにも驚きました。センスの塊!
□<1500万円以上部門>最優秀作品賞
ガリバーを解き放て!|リノクラフト株式会社

選考委員講評(木村駿/日経アーキテクチュア編集長(株式会社日経BP))
4号特例の見直しに伴って、2階建て木造戸建て住宅でも「大規模の修繕・模様替え」に該当する場合は建築確認が必要になった。大規模に当たるかは「主要構造部の過半」を改修するかどうかで決まる。大幅な規制強化であり、リノベ事業者にとっては悩ましい問題だろう。今後は、複雑な建築基準法令を読みこなし実務で使いこなす能力が、これまで以上に求められるようになる。国土交通省のガイドラインなどを読み解き、既存の外壁を新たな外装材で覆うカバー工法などを使って、大手住宅会社が建てた築40年近い住宅を爽やかに生まれ変わらせた本作は、その先駆例といえるかもしれない。断熱性能も十分に確保し新たな住人の生活を支えている。
□<無差別級部門>最優秀作品賞
未踏の集落リノベーション、月見台住宅*|株式会社エンジョイワークス

選考委員講評(池本洋一/SUUMO編集長(株式会社リクルート))
不動産投資型クラファンを組成し、総勢367組の投資家が参加。単なる利回り追求の投資ではなく、まちづくりにコミットできる点、投資家自身もDIY参加できる点が評価。国土交通省の次の10年の住生活基本計画の素案の中でも、「公営住宅等を含むエリアにおいて、公民連携によるアセットマネジメントの観点が入った整備、所有、管理・運営がなされることで、地域活力の維持・向上が進む」と書かれている。本件はその先駆け好事例として、広く知られ学ばれるべき存在である。
<特別賞>
□シングル+1ハウス・リノベーション賞
猫と私の『Purrfect Meow-zy』|株式会社しわく堂
□オンリーワンクリエイティブ・リノベーション賞
異彩と異才|株式会社grooveagent
□サーキュラー賃貸リノベーション賞
賃貸ビジネスにおけるサーキュラーエコノミーへの取り組み|株式会社アトリウム
□弓の協奏リノベーション賞
となりあう囲い|株式会社シンプルハウス
□オートクチュール・トランジション賞
「衣」の美で、「住」の美を仕立てる|G-FLAT株式会社
□未来プレゼンテーション賞
4D設計で実現した「子どもと成長する家」|株式会社はぴりの
□シングルマキシマム・リノベーション賞
地方空き家、これからのかたち|株式会社アルフレッシュ
□新スタンダード提案リノベーション賞
ふつうの賃貸|株式会社NENGO
□今を遊ぶリノベーション賞
心、躍るいえ。〜退屈を、リノベーションする〜|株式会社sumarch
□スマートコストダウン・リノベーション賞
工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーム|株式会社はぴりの
□快適ゾーン断熱リノベーション賞
「棲み分け断熱」という、暮らし方|paak design株式会社
□ヴィンテージアップデート・リノベーション賞
健康な建築|株式会社NENGO
□ワークエンゲージメント・リノベーション賞
ワークエンゲージメントと採用を変えた工場オフィスの大転換|株式会社シンプルハウス
□アップサイクル&アタッチメント・リノベーション賞
時をかける部屋 リノベ再販だからこそ愛着が持てる住まいへ|株式会社リビタ
□オープンアクティビティ・リノベーション賞
センシュアスな街づくり〜こころをうたう〜|株式会社エコラ
<プレイヤーズチョイス>
わたしのための、パブリックスペース|株式会社コスモスイニシア

■選考委員長総評

選考委員長:
島原 万丈/株式会社LIFULL
LIFULL HOME'S総研 所長
2025年のリノベーション・オブ・ザ・イヤーの審査を通して強く印象付けられたのは、四半世紀の歴史を重ねた日本のリノベーションが、これまでのリノベーションの既成概念を自ら乗り越え、リノベーションをアップデートし続けている状況である。冒頭ではこれを「リノベーションのリノベーション」と呼んだが、そのようなリノベーションの再帰的な振る舞いの核にあるのは、「遊び心」のような基本的態度ではないだろうか。
人口減少と少子高齢化で衰退する地域社会、ストックの劣化と増え続ける空き家、伸び悩む所得に反して高騰する住宅価格、地球規模では気候変動などなど、リノベーションの基本的役割は「住むこと」にかかわる社会課題の解決にある。しかしその解法は、総合グランプリの「人間は、つくることをやめない」が象徴するように、いつだって明るく楽しい。「遊び心」は既存の常識や規範を笑い飛ばして相対化し、まったく未知の領域を楽しむ好奇心を持っているからだ。リノベーションの「遊び心」は、自らの常識・セオリーをも疑うことができる。そしてその小さな「遊び心」こそが、リノベーションの未来を私たちの想像よりも少し面白くするのだ。
■選考委員
選考委員長:
株式会社LIFULL LIFULL HOME'S 総研所長 島原 万丈
選考委員(五十音順・敬称略):
株式会社リクルート SUUMO 編集長 池本 洋一
SUVACO 編集担当 君島 喜美子
株式会社日経BP 日経アーキテクチュア 編集長 木村 駿
TOKOSIE編集部 ディレクター・モデル 斉藤 アリス
ルームクリップ株式会社 RoomClip住文化研究所 特任フェロー 徳島 久輝
株式会社LIFULL LIFULL HOME'S PRESS 編集長 八久保 誠子
ゲスト選考委員(五十音順・敬称略):
星崎 真紀/ 漫画家「魔法のリノベ」作者
一般社団法人リノベーション協議会について
消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体です。現在、業界・業種の枠を超えた744社(正会員552社、賛助会員173社、特別会員5名・9法人・5自治体)が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅」を定め、建物タイプ別に品質基準を設定、普及浸透を推進しています。区分所有マンション専有部に関する品質基準を満たす「R1住宅(アールワンジュウタク)」、区分所有マンション共用部も含む品質基準「R3住宅(アールスリージュウタク)」、戸建住宅の品質基準「R5住宅(アールファイブジュウタク)」が運用されており、適合リノベーション住宅発行件数は、累計81,223件(2025年3月31日現在)。2022年6月からは、R1住宅エコ基準も運用開始し、地球環境にもやさしいリノベーションの普及を目指します。
また、2022年より中古住宅流通とリノベーションの提供に必要な知識を総合的に学ぶことができる新たな資格制度「リノベーションコーディネーター資格制度」を創設。リノベーション業界に関わる人材の知識や技術の底上げや、他業界からの転職、新卒採用等、採用機会の拡大や人材定着につなげ、中古住宅の流通とリノベーションの活性化に寄与してまいります。
名称:一般社団法人リノベーション協議会
理事長 :山本 卓也
設立:平成21年5月20日
住所:東京都中央区京橋1-1-5 セントラルビル13F
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