新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた意見を提出
生活クラブ連合会は、新しい「エネルギー基本計画」策定についてパブリックコメントを提出しました。
生活クラブ連合会は、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で提示された「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会・エネルギー基本計画に対する意見(案)」を踏まえ、新たなエネルギー基本計画について1月6日にパブリックコメントを提出しました。
全文は以下の通りです。
意見及び理由
a)新しい「エネルギー基本計画」は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の惨事を繰り返さないため、「原子力の放棄」を基本理念にしてください。
b)2013年12月に総合エネルギー調査会基本政策分科会(以下、政策分科会)から提出された「エネルギー基本計画に対する意見」は、2012年に行われた、エネルギー基本計画の全国意見聴取会の結果やパブリックコメント、討論型世論調査の結果など国民参加型で積み重ねられてきたエネルギー基本計画への意見を無視したものです。このような「エネルギー基本計画に対する意見」は、とうてい認めることはできません。
c)政策分科会は、原発利害関係者に偏った構成であり、公正な議論が保障されていません。委員構成を見直し、改めて基本政策策定に向けた議論を行ってください。
理由1)深い反省と原子力の放棄
日本は第二次世界大戦の深い反省から、「戦争の放棄」を戦後の新しい国是と定め、国民の圧倒的な支持をもって日本国憲法を制定しました。
福島第一原子力発電所の事故は、日本国内に新たな焦土を作り、今なお約14万人の人々に困難な避難生活を強いているだけでなく、更なる地下水汚染で海洋汚染を止めることができません。美しい日本の国土は除去不可能な放射能によってひどく汚されてしまいました。この事故の深い反省から、私たち国民は既に「脱原発」を選択しました。しかしながら、政策分科会の作成した「意見」では、今回の事故を教訓にした具体的な方向性は表れていません。人命に優先する政策はないのですから、反省を言葉ではなく態度で示すために、「原子力の放棄」を新しい日本の政策とすべきです。
理由2)原発は高コストで不安定なエネルギー源です。
原発推進のために投入されている様々な国費を、原発の運営コストの一部として計上するべきです。また、使用済み核燃料の最終処分のために従来見積もられている金額では到底足りず、不十分な手当しかできません。子孫の健康と財産を奪うことが、原発のみせかけの低コストのもうひとつの理由です。「7世代先の子供達の為に生きよ」というアメリカ先住民の教えに習い、7世代後の子孫も安心できる核廃棄物処分のためには、原発の使用済み燃料処分にかかるコストとして十分な資産を、後世への贖罪も含めて積み上げておく必要があります。原発推進費と核廃棄物処分費は、原発の運営会社から全額を徴収しなくてはなりません。
また、今回の福島第一原発事故の損害総額は、福島第一原発がこれまで生み出してきた利益を大きく超えることは明らかです。原発事故は起こらないという安全神話は崩壊し、原発を稼働することで将来の事故は必然になると誰もが恐れています。
地震国日本においては、いつ停止してしまうか分からない原発は、最も不安定で信頼できない電源です。そのバックアップのために同じ容量以上の火力発電設備を常備しておかなくてはなりません。そのおかげで、全原発が停止しても日本国内のどこにも停電が起きることはありませんでした。また、地震で停止した火力発電設備はすぐに復帰できますが、柏崎刈羽原発で明らかなように、地震で停止した原発はなかなか再稼働もできません。
経済的にもエネルギー安全保障のためにも、原発推進の理論は破綻しています。
理由3)原発ゼロのエネルギー基本政策は可能です
現時点で稼働している原発はゼロですが、電力は不足していません。将来の化石燃料の使用を減らすための経済モデルのデザインもあり、その実現のために日本の知恵と技術を集中すべきであり、無駄な原子力開発に国家予算を浪費するべきではありません。
膨大な国家予算が投入されてきた原子力行政が止まれば、これまで潤ってきた原子力産業が大きなダメージを受けることでしょう。しかし、全原発の廃炉にこそ、これまでの原子力技術を活かせますし、また、業界の新陳代謝は促進され、新たな再生可能エネルギー産業が発展する素地ができることになります。
理由4)新興国を中心とした世界的な原子力の導入拡大に終止符を打つことが日本の役割です。
日本が原発を推進してきた背景は、原発を扱う技術能力が潜在的な核開発能力であるからです。日本政府は、原爆を作ろうと決断さえすればいつでも作れるようにしておきたいという軍事上の目的を隠してきました。「核の平和利用」というスローガンに国民は騙されてきたのです。
日本は、原発のコスト計算をきちんと算出して、原発が採算の合わない技術であることを証明して「原子力の放棄」を宣言し、新興国が核開発を進める口実として原発導入を進めるのを止めさせることが必要です。その活動こそが日本がなすべき国際貢献であり、将来の核戦争の脅威を減らすことにつながります。
以上
全文は以下の通りです。
意見及び理由
a)新しい「エネルギー基本計画」は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の惨事を繰り返さないため、「原子力の放棄」を基本理念にしてください。
b)2013年12月に総合エネルギー調査会基本政策分科会(以下、政策分科会)から提出された「エネルギー基本計画に対する意見」は、2012年に行われた、エネルギー基本計画の全国意見聴取会の結果やパブリックコメント、討論型世論調査の結果など国民参加型で積み重ねられてきたエネルギー基本計画への意見を無視したものです。このような「エネルギー基本計画に対する意見」は、とうてい認めることはできません。
c)政策分科会は、原発利害関係者に偏った構成であり、公正な議論が保障されていません。委員構成を見直し、改めて基本政策策定に向けた議論を行ってください。
理由1)深い反省と原子力の放棄
日本は第二次世界大戦の深い反省から、「戦争の放棄」を戦後の新しい国是と定め、国民の圧倒的な支持をもって日本国憲法を制定しました。
福島第一原子力発電所の事故は、日本国内に新たな焦土を作り、今なお約14万人の人々に困難な避難生活を強いているだけでなく、更なる地下水汚染で海洋汚染を止めることができません。美しい日本の国土は除去不可能な放射能によってひどく汚されてしまいました。この事故の深い反省から、私たち国民は既に「脱原発」を選択しました。しかしながら、政策分科会の作成した「意見」では、今回の事故を教訓にした具体的な方向性は表れていません。人命に優先する政策はないのですから、反省を言葉ではなく態度で示すために、「原子力の放棄」を新しい日本の政策とすべきです。
理由2)原発は高コストで不安定なエネルギー源です。
原発推進のために投入されている様々な国費を、原発の運営コストの一部として計上するべきです。また、使用済み核燃料の最終処分のために従来見積もられている金額では到底足りず、不十分な手当しかできません。子孫の健康と財産を奪うことが、原発のみせかけの低コストのもうひとつの理由です。「7世代先の子供達の為に生きよ」というアメリカ先住民の教えに習い、7世代後の子孫も安心できる核廃棄物処分のためには、原発の使用済み燃料処分にかかるコストとして十分な資産を、後世への贖罪も含めて積み上げておく必要があります。原発推進費と核廃棄物処分費は、原発の運営会社から全額を徴収しなくてはなりません。
また、今回の福島第一原発事故の損害総額は、福島第一原発がこれまで生み出してきた利益を大きく超えることは明らかです。原発事故は起こらないという安全神話は崩壊し、原発を稼働することで将来の事故は必然になると誰もが恐れています。
地震国日本においては、いつ停止してしまうか分からない原発は、最も不安定で信頼できない電源です。そのバックアップのために同じ容量以上の火力発電設備を常備しておかなくてはなりません。そのおかげで、全原発が停止しても日本国内のどこにも停電が起きることはありませんでした。また、地震で停止した火力発電設備はすぐに復帰できますが、柏崎刈羽原発で明らかなように、地震で停止した原発はなかなか再稼働もできません。
経済的にもエネルギー安全保障のためにも、原発推進の理論は破綻しています。
理由3)原発ゼロのエネルギー基本政策は可能です
現時点で稼働している原発はゼロですが、電力は不足していません。将来の化石燃料の使用を減らすための経済モデルのデザインもあり、その実現のために日本の知恵と技術を集中すべきであり、無駄な原子力開発に国家予算を浪費するべきではありません。
膨大な国家予算が投入されてきた原子力行政が止まれば、これまで潤ってきた原子力産業が大きなダメージを受けることでしょう。しかし、全原発の廃炉にこそ、これまでの原子力技術を活かせますし、また、業界の新陳代謝は促進され、新たな再生可能エネルギー産業が発展する素地ができることになります。
理由4)新興国を中心とした世界的な原子力の導入拡大に終止符を打つことが日本の役割です。
日本が原発を推進してきた背景は、原発を扱う技術能力が潜在的な核開発能力であるからです。日本政府は、原爆を作ろうと決断さえすればいつでも作れるようにしておきたいという軍事上の目的を隠してきました。「核の平和利用」というスローガンに国民は騙されてきたのです。
日本は、原発のコスト計算をきちんと算出して、原発が採算の合わない技術であることを証明して「原子力の放棄」を宣言し、新興国が核開発を進める口実として原発導入を進めるのを止めさせることが必要です。その活動こそが日本がなすべき国際貢献であり、将来の核戦争の脅威を減らすことにつながります。
以上
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