沖縄海域で新たな2つの海底熱水鉱床の存在を確認

 JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:河野博文)は、沖縄海域で海底観察により、伊平屋島北西方海域と久米島北西方海域の2つの海域に、銅、鉛、亜鉛、金、銀を含む海底熱水鉱床を発見しました。伊平屋島北西沖の鉱床(「田名(だな)サイト」と仮称)は、南北800m×東西600mの範囲に大小多数のチムニー(尖塔状地形)やマウンド(小丘)が群集して存在しています。久米島北西沖の鉱床(「比嘉(ひが)サイト」と仮称)は、直径100m強のカルデラ地形の内壁に鉛・亜鉛鉱物からなる緻密質な塊状鉱石が分布し、さらにカルデラ周縁部にも活動的な熱水噴出が存在しています。

 JOGMECは平成24年から継続して沖縄海域等で地形調査、音波探査、海底観察、サンプリング等による広域調査を実施して、新たな海底熱水鉱床の発見に努めています。今回発見した2サイトでも、海底観察、物理探査、ボーリング調査等を行い、これらの海底熱水鉱床の広がりや金属含有率(鉱石の品位)を把握し、資源量を評価する予定です。

位置図  沖縄海域の新たな2つの海底熱水鉱床

【 経 緯 】
 JOGMECは経済産業省の委託を受け、沖縄海域伊是名海穴でのボーリング調査を主体とする海底熱水鉱床の資源量の把握を実施すると共に、周辺海域で地形調査、海底観察、サンプリング等による広域調査を実施して、新たな海底熱水鉱床の発見に努めています。
 沖縄県の伊平屋島北西沖と久米島北西沖の2つの海域では、平成26年度に海洋資源調査船「白嶺」を用いた地形調査によって水中音響異常域※1を抽出し、この海域に民間船を使用した自律型無人探査機(AUV)による音波調査を実施して海底に大小多数の凹凸の地形の存在を捉えました。
 平成27年10月~11月に民間船の遠隔操作無人潜水機(ROV)を用いて実施した海底観察により、伊平屋島北西沖の鉱床(「田名(だな)サイト」と仮称)において、南北800m×東西600mの範囲に大小多数のチムニー(尖塔状地形)やマウンド(小丘)※2が群集して存在することを確認しました。チムニーやその倒壊物、裾野の沈殿物等から、亜鉛、鉛、鉄等を含む鉱石(5試料)を採取し、品位(金属の含有量)分析を行ったところ、銅 3.70%、鉛 8.14%、亜鉛 24.01%、金 3.9g/t、銀 525g/tでした。
 また、久米島北西沖の鉱床(「比嘉(ひが)サイト」と仮称)において、直径100m強のカルデラ地形の内壁に鉛・亜鉛鉱物からなる緻密質な塊状鉱石が分布し、さらにカルデラ周縁部にも活動的な熱水噴出が存在することを確認しました。カルデラ内壁の塊状鉱石(2試料)を採取し、品位分析を行ったところ、銅 0.27%、鉛 29.00%、亜鉛 33.41%、金 0.05g/t、銀 212g/tでした。
 これまで発見されている伊是名海穴「Hakureiサイト」※3、伊平屋小海嶺周辺「野甫サイト」※4、久米島沖「ごんどうサイト」※5に続く海底熱水鉱床の発見であり、今後、海底観察、物理探査、ボーリング調査等を行い、これらの鉱床の広がりや金属含有率を詳しく調査します。
 これらの海底熱水鉱床の存在域は、それぞれ最寄りの伊平屋島と久米島の島内の地名にちなみ、「田名サイト」、「比嘉サイト」(仮称)と呼んでいます。
 

図1 「田名サイト」の3D海底地形イメージ 大小多数の凸地形が群集して分布 (等深線は10m間隔)

写真1 「田名サイト」における硫化鉱物、硫酸塩鉱物からなるチムニー(柱状構造物) チムニーとその崩壊物からなるマウンド(品位分析結果は表の鉱石④)

写真2 閃亜鉛鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱からなる硫化鉱石 (品位分析結果は表の鉱石①)

図2 「比嘉サイト」の3D海底地形イメージ 中央の直径100m強のカルデラ地形の内壁に塊状鉱石が分布 (等深線は10m間隔)

写真3 「比嘉サイト」における鉛・亜鉛鉱物からなる緻密質な塊状鉱石 カルデラ内壁に連続して露出 (品位分析結果は表の鉱石⑦)

写真4 閃亜鉛鉱、方鉛鉱からなる硫化鉱石 (品位分析結果は表の鉱石⑦)


【用語の説明】
※1:水中音響異常域
 調査船の船底にあるマルチビーム音響測探装置から海底に向けて発射された超音波の反射音データを解析処理し、海水中からの反射音のイメージを作成して解釈します。
 海水中からの反射は、熱水による“ゆらぎ”などを示し、大きさや形状などから熱水活動の存在を推定します。

※2:マウンド、チムニー
 海底熱水活動によって海底に生成される硫化物の柱状の構造物を「チムニー」と呼びます。熱水が海底面から噴出し、その周辺に金属成分等が沈殿することにより煙突状の構造物がつくられたものとされています。チムニーは、成長、活動停止、倒壊を繰り返すことで、周辺に礫状の鉱石塊や沈殿物を堆積させ、長年の間に硫化物からなる丘状の地形「マウンド」を形成します。

※3:伊是名海穴 「Hakureiサイト」
 沖縄本島北西約110kmに位置し、北北西-南南東方向に伸びる、長軸6km、短軸3kmの楕円形の窪地地形からなり、窪地の中にHakureiサイトとJADEサイトと呼ばれる2つの海底熱水鉱床が確認されています。JOGMECが平成24年度までにHakureiサイトで実施した資源量調査の結果、海底表層部の資源量は340万トン、全体の平均品位(金属の含有量)は、銅0.33%、鉛2.52%、亜鉛7.25%、金2.6g/t、銀216g/tであり、金の品位は、陸上の金鉱山と同等程度の値を得ています。
(掲載日:平成25年7月5日)「海底熱水鉱床開発計画第1期最終報告書」の取りまとめ
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_000021.html?mid=pr_160217_01

※4:伊平屋小海嶺周辺 「野甫サイト」
 沖縄本島北西沖の伊平屋小海嶺周辺に位置し、南北1km×東西600mの範囲に、大小20個以上のマウンドと呼ばれる円錐状の高まりが確認されています。「野甫サイト」中央には最大規模の高さ約30m、直径約100mのマウンドがあり、全体(6試料)の平均品位銅0.53%、鉛7.81%、亜鉛12.03%、金3.3g/t、銀911g/tを含む海底熱水鉱床を形成しています。マウンド分布域の広がりは、伊是名海穴「Hakureiサイト」の海底熱水鉱床に匹敵します。
(掲載日:平成26年12月4日) 沖縄本島北西沖に新たな海底熱水鉱床の存在を確認
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_000169.html?mid=pr_160217_01

※5:久米島沖 「ごんどうサイト」
 沖縄県久米島沖に位置し、南北1,500m、東西300mの範囲に多数のチムニーやマウンドが確認されています。「ごんどうサイト」中央には直径300mに及ぶマウンドがあり、全体(6試料)の平均品位銅 13.0%、鉛 5.2%、亜鉛 12.3%、金 1.7g/t、銀 326.0g/tであり、銅の品位が高いことが特徴です。水平的な広がりや鉱石品位は、伊是名海穴「Hakureiサイト」や伊平屋小海嶺周辺「野甫サイト」の海底熱水鉱床に匹敵するものと期待されます。
(掲載日:平成27年1月28日) 沖縄県久米島沖に有望な海底熱水鉱床の存在を確認
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_000184.html?mid=pr_160217_01

→全文を読む
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_06_000097.html?mid=pr_160217_01

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