フィリピン:国境なき医師団(MSF)活動アップデート(2)

MSFは、台風30号により最も大きな被害を受けた3島で医療・人道援助を続けている。現在の対象地域は、サマ―ル島東部(ギワン周辺)、レイテ島(タクロバン、オルモック、サンタフェ、ブラウエン)、パナイ島(エスタンシア周辺)の5地域。

現在、現地で活動中の外国人スタッフは合計209人、うち日本人スタッフは3人(看護師、外科医、人事財務管理などのアドミニストレーター)が活動している。

【活動概況】

● 全体的に見ると、これまで外部からの援助が一切届いていなかった地域にも援助が届くようになっている。しかし、ギワン周辺など一部の地域には、今も充分な援助は届いていない。MSFは、まだ何の人道援助も受けられずに取り残されている農村地域や孤島に重点を置いた活動を展開している。

● 被災地の地理的な制約もあり、必要とされている地域への救援物資の輸送には依然と困難が伴うものの、現在、MSFは、飛行機や船で物資を輸送できるようになり、被災地へのアクセスも改善されつつある。

● レイテ島タクロバン、ブラウエン、バラサン、サマール島ギワンで保健省管轄の病院を援助しており、産科医療や入院治療など、医療活動の迅速な復旧に向けて取り組んでいる。援助内容は、破壊された建物の修復、医療物資、医薬品、スタッフの提供、救急搬送システムの立ち上げなど。

● 仮設病院として、レイテ島タクロバンにエアーテント病院、ブラウエン、タナウアン、サマール島ギワンに組み立てテント式病院を設置し、暫定的な医療を提供している。

● 孤立した島や沿岸地域での移動診療を優先事項のひとつしている。また、孤立した村々でも診療所や避難所、移動診療を通じて1次医療と心理ケアを提供。さらに、必須救援物資(テント、ビニールシート、調理器具、衛生キット、毛布など)および住宅再建に用いる修復キットの配布や清潔な飲料水の供給も行っている。

【各島における活動詳細】

<サマール島>

ギワンのフェリぺ・J・アブリゴ基幹病院の敷地内に設置したテント式仮設病院を拡大。ベッドは25床から40床に増設された。この病院は、入院病棟、分娩室、産科ユニット、隔離室、滅菌室を備えている。MSFは、1日に約300件の診療、5件~8件の分娩介助、創傷処理などの小規模手術を約80件実施している。倒壊した病院の改修工事に備え、がれきの撤去作業を続けている。

ギワン保健所では、MSF医療チームとフィリピン人医療スタッフが包帯交換や小規模手術の必要な多数の創傷感染症患者に対応。また、同保健所ではMSFの心理療法士3人が心理面の支援活動や、心のケアに関する周知活動を継続している。

陸上・船上の医療チーム各1班がギワンの南に位置する小島を含む遠隔地で移動診療を実施している。

家を失った被災者にテント、衛生キット、調理器具などの配布を続けている。給排水・衛生活動の専門家たちによる現在の給水量は1日2万人分。給水システムが機能していないヘルナニでは活動を拡大する予定だ。給排水・衛生活動チームはさらに、高波で給水設備に海水が混入してしまった海岸線の村の井戸の浄化作業も行っている。

<レイテ島>

タクロバン市ベサニー病院敷地内でエアーテント病院の設置を完了。エアーテント4張が救急処置室とベッド数30床の入院施設として機能し、残るテントが外来部門と隔離棟になっている。外科病棟、産科病棟、新生児ユニット、滅菌ユニットはベサニー病院建物内の施設を使用。約30人の外国人スタッフと135人のフィリピン人スタッフが協力し、負傷、創傷感染症、開放骨折、呼吸器感染症、慢性疾患などの患者に対応している。救急処置室で診療する患者は1日平均35人。同地での活動開始後2日間で、入院受け入れが20件、手術が11件あった。産前・産後ケアもまもなく開始される予定で、心理療法士も心理ケアを提供するために待機している。このエアーテント病院は、公立病院が通常機能を回復するまで、タクロバン地域の基幹病院としての役割を担うことになる。

タクロバン市の南のタナウアンには、小児病棟と産科病棟を備えたベッド数20床のテント式病院を設置した。さらに、外来部門と、近隣のタロサ地域では複数のチームで負傷、呼吸器感染症、下痢などの患者を診療している。

タクロバン市と、その北側の地域、タナウアンおよびタロサの周辺での移動診療も継続している。優先事項は創傷感染症患者の治療。破傷風の患者4人が確認され、そのうち2人が死亡した。この1週間の外来診療における患者数は1日平均300人。

タロサとタナウアンではテント、毛布、調理器具や衛生キットなどの必須救援物資を、自宅の倒壊した人びとに配布した。

島北部のオルモックとサンタフェの避難所や周辺の村では、MSFの3チームが移動診療で1次医療や心理ケアを提供している。まだ援助が届いていない小さな集落でニーズ調査や移動診療を行い、必要に応じて追加治療に再訪する1チームもいる。この4チームのうち1チームは、台風被害の著しい、人口1万8000人のパストラナを訪問。11月25日に行われた診療は4チーム合計150件。11月16日以降の移動診療による診療件数は通算1000件を超える。

サンタフェでは、給排水・衛生活動の専門家が20ヵ所で水源の浄化を行い、飲料水の供給を進めながら、水道システムや廃棄物処理システムの修復など、必要に応じて支援を続けている。11月25日にはサン・イシドロで水質浄化剤4万錠を配布。サンタフェをはじめとする被災地の2000世帯を対象とした衛生キット、ビニールシート、調理器具、蚊帳、毛布など必須救援物資の提供も計画している。

タクロバン市の南にあるブラウエン病院敷地内に小規模手術と帝王切開を行える手術室を備えたテント式病院も設置した。この仮設病院はベッド数50床の入院病棟を備え、ブラウエン病院内の中央棟には8床の救急病棟、5床~6床の産科病棟がある。ここ数日、1日平均約200件の診察と平均3件の分娩介助を行っている。ブラウエン病院は部分的に深刻な被害を受けており、MSFは病院機能の復旧に向けた援助を提供している。

11月24日以降、ブラウエン郊外の山岳地帯で孤立状態にある人びとに、テント、調理器具、衛生キットなどの必須救援物資を配布している。これまでに約1000世帯が対象となった。

フリータやタボンタボンを始めとする周辺の町でも移動診療を提供している。人口5万5000人のブラウエンでは、推定1万人が台風による影響を受けた。

<パナイ島>

台風の影響でエスタンシアの港では石油が流出し、被害を受けた人びとに援助を提供している。被災者1000人以上が一時的に地元の学校に避難できた。MSFは、テント500張を配布するとともに、清潔な水や医療、計画されていた予防接種を提供している。

合計9班の移動診療チームが現在活動中。このうち6チームがパナイ島の東に散在する離島にも船で赴き、移動診療や必須救援物資の配布を行っている。衛生キット、ビニールシート、調理器具、破壊された建物の修繕用の材料を含むキットなどを、1万世帯以上の住民に配布する予定だ。また、残る3チームは島内のエスタンシア、カルレス、サン・ディオニシオ周辺で医療診療を継続。1日の診療件数は9チーム合計で400~500件に上る。

同島では、個人カウンセリングやグループ・セッションなどの心理ケアを継続的に提供している。また、急性情緒反応の見分け方などを教え、患者に適切なサポートを提供し、急性症例は専門医を紹介するなどの対応が出来るよう、現地の医療スタッフの教育にも取り組んでいる。

バラサン地域病院(現在ベッド数50床)に援助を提供している。その内容は、建物修繕用の資機材、医薬品、スタッフの提供、内陸部や離島など遠隔地の患者の救急搬送など、多岐にわたる。

また、ボートやヘリコプターを利用して遠隔地の援助ニーズの調査を続け、援助が到達していない集落の把握に努めている。11月第4週にはパナイ島の東に浮かぶナブヌト島とバルバゴン島に上陸。MSFが両島で援助を行う最初の医療団体となった。食糧配給の十分でない場所もあるため、MSFは約3000世帯への食糧提供を計画中。

以上

 

 

サマール島ギワンで外来病棟を建設するスタッフ

サマール島ギワンの仮設診療所

タクロバンのMSF病院で生まれた最初の新生児

サマール島ギワンで救援物資の荷を降ろすスタッフ

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