エイズ・結核・マラリア:三大感染症の克服に向けて引き続き国力に見合った最大限の貢献を
=世界エイズ・結核・マラリア対策基金第4回増資会議に関する日本市民社会の声明=
アフリカ日本協議会
国境なき医師団日本
ストップ結核パートナーシップ日本
日本リザルツ
マラリア・ノー・モア・ジャパン
本年12月2~3日の二日間、米国ワシントンDCにおいて、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の「第4回増資会議」が開催されました。世界では、エイズ・結核・マラリアの三大感染症がいまだに大きな猛威を振るっており、旧来の薬の多くが効かない「多剤耐性結核」のような新たな脅威も出現しています。この会議は、2014年~16年の3年間に世界基金が途上国の三大感染症対策に拠出する資金を集めることが目的であり、対策を大きく前進させるために必要な目標額として、150億ドルという金額が設定されていました。
増資会議で各国が表明した金額の合計は120億ドル。米国は、最大50億ドルの拠出を表明。フランスは15億ドル、英国も最大16億ドルを拠出することを表明しました。また、ナイジェリアが3000万ドルの拠出を表明するなど、一部の途上国も積極的な拠出表明を行いました。我が国は12月3日、安倍晋三総理とバイデン副大統領の共同記者発表および増資会議でのセッションにおいて「当面」8億ドルの拠出を表明しました。
私たちはまず、この拠出表明を、世界基金にかかわるすべてのセクターの努力の結晶ととらえ、感謝の意を表します。日本の市民社会は、我が国がその国力に見合った最大限の責任を果たせるようにするため、政府や国会議員への恒常的な働きかけを行うなど、積極的に取り組みました。特に、10月には、フィリピンで2度の多剤耐性結核を克服したミルドレッド・フェルナンドさんを日本に招聘して集中キャンペーンを行い、三大感染症と闘う当事者の声を直接伝えるとともに、三大感染症対策への日本の積極的な貢献を支持する日本の国民・市民の声を大きく響かせました。8億ドルという拠出は、こうした努力の結晶であるということができます。
一方で、私たちは、この8億ドルという金額が、日本の経済規模や国力に比して必ずしも十分なものではなく、世界の当事者や国際社会・市民社会の期待に100%応えたものとは言えないということも指摘しておかなければなりません。日本のGDPは世界のGDPの8%であるところ、経済規模からいえば、本来、150億ドルの目標額を基準にすれば12億ドルの拠出が必要でした。フランス・英国などが、日本の2倍近い金額の拠出を誓約していることから考えても、私たちは、市民社会として、日本の拠出額は十分ではなかったと指摘せざるをえません。
私たちは、この現実を踏まえ、我が国が今後も、国力に見合った形で世界の三大感染症対策への責任を果たしていくために、我が国政府に対して、以下のことを要請します。
1. 我が国は2010年に開催された世界基金の第3回増資会議において、今回と同じ「当面8億ドル」の拠出を表明していますが、これはまだ完了していません。私たちは、我が国政府が2010年の誓約を早急に完了することを求めます。
2. 我が国の今回の誓約の実施期間は、「2014年以降当面」とされていますが、これについて、暦年2014年~2016年の3年間で確実に完了することを求めます。
3. 三大感染症を中・長期的に克服していくためには、2016年以降、「ミレニアム開発目標」を引き継ぐ新たな開発目標(ポスト2015開発目標)において、感染症対策が引き続き高い優先順位を確保するよう、その策定に向けたプロセスにおいて、感染症対策の優先順位を引き続き高く設定するべく世界に働きかけることを求めます。
4. 2000年のG8九州沖縄サミットにおいて、世界的な感染症対策の必要性と世界基金の設立を提唱した日本として、世界基金等の国際保健外交のさらなる進展のためにも、国家の政治的意思をかけて、ODA予算全体の抜本的な増額に取り組むことを求めます。
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