薬剤耐性結核:よりよい治療実現に向けた「結核マニフェスト」への賛同を呼びかけ

国境なき医師団(MSF)は、通常の治療薬の効かない「薬剤耐性結核(Drug Resistant Tuberculosis、以下DR-TB)」について、よりよい治療の実現に向けた要望を「結核マニフェスト」として掲げ、各国政府や製薬会社などに、優先課題とするよう求める署名運動を世界中で展開している。日本においても、3月24日の世界結核デーを前に、オンライン署名サイトを開設、同マニフェストへの賛同を呼びかける。

結核マニフェスト・ホームページ:
http://www.msfaccess.org/TBmanifesto/index_jp.php

<古い病気の新たな側面>

現在、年間約860万人が結核に感染し、130万人が結核を原因に命を落としている。単一の感染症としてはHIV/エイズに次いで世界で2番目に死亡者数の多い疾患だ(出典WHO)。DR-TBは、結核治療を受けていた人が、完治する前に治療を止めてしまったり、適切な治療を受けられなかったりした場合などに発症する。その場合、治療もDR-TB向けに切り替える必要があるが、検査精度が低い地域や、そもそもDR-TBの知識が普及していない地域では、診断が遅れ、通常の結核治療を受け続けてしまうケースがある。その間に薬剤耐性がさらに強化され、複数の治療薬が効かなくなる「多剤耐性結核(MDR-TB)」や「超多剤耐性結核(XDR-TB)」へと症状が進むこともある。

DR-TBの診断には新しい検査機器の利用が広がり、患者の早期発見に役立っている。しかし、こうした患者も、第一選択薬として使われる通常の治療薬は効かないため、長期にわたる苦しく高額な治療を受けるしか方法がない。患者は2年間にわたって1万錠以上の薬をのみ、8ヵ月間毎日注射に耐えなければならない。また、多くの場合、吐き気、体の痛み、聴覚障害から精神疾患など様々な副作用に苦しめられる。治療費は、薬だけでも患者1人あたり約4500米ドルかかることもある。

<よりよい治療実現に向けた要望>

こうした現状に加え、現在治療を必要としていて実際に受けられている人は5人に1人にとどまり、DR-TBの治癒率も50%程度しかない。MSFは事態の打開に向けて、以下の要望を結核マニフェストとして掲げ、オンライン署名サイトで多くの賛同を募っている。寄せられた署名は、5月にスイス・ジュネーブで開かれる世界保健機関(WHO)総会で提出する予定だ。

1)診断・治療の普及
2)治療法の向上
3)治療の普及を促す資金援助の拡大と、治療法向上のための研究・開発支援

MSFの医療ディレクター、アネット・ハインツェルマン医師は、「DR-TBは世界のすべての人びとに影響があり、国際社会が一刻も早く手を打たなければならない問題です。MSFの活動でも、DR-TBと診断を受ける患者は年々増えていますが、現行の治療法にこの病気の流行を抑える力はありません。より効果的で、治療が短期間ですむ新たな併用療法の開発が待たれているのです」と話す。

近年、約50年ぶりに2つの結核治療薬が承認されたが、医師や患者が待望する革新的な治療法の到来には数年かかる見通しだ。新薬を含めた結核治療薬がその効果を発揮するには、これら結核治療薬を併用療法で用いる必要があり、新薬の併用に関する臨床試験はまだ始められていない。

結核マニフェスト・ホームページ http://www.msfaccess.org/TBmanifesto/index_jp.php

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