エボラ出血熱:リベリアで終息宣言――地域全体での終息まで引き続き監視を

リベリアでエボラ出血熱の新規症例が42日間にわたり記録されなかったことを受け、世界保健機関(WHO)は5月9日、同国でのエボラ流行終息を宣言した。国境なき医師団(MSF)もこの宣言を前向きに受け止める一方で、隣国のギニアとシエラレオネではいまなお新規症例の報告があり、西アフリカ地域の流行が終息したわけではないため、国境をまたいだ疫学的監視の維持を呼び掛けている。

モンロビアのエボラ治療センター「ELWA 3」

医療システムの再建支援が求められる


リベリアでMSF活動責任者を務めるマリアテレーザ・カッチャプオティは「流行3ヵ国全てが新規症例を出さず42日間を過ごすまでは、油断できません。リベリアでは政府と市民の努力により流行終息に至りましたが、一瞬で元に戻りかねないからです」と話す。MSFは、リベリアでエボラ流行を再発させないためにも、国境をまたいだ疫学的監視を強化する必要性を指摘している。

リベリアでは約200人の医療従事者がエボラに感染し、亡くなった。もとより脆弱だった保健医療システムは、今回の集団感染で壊滅状態に陥っている。カッチャプオティは「今こそ医療ニーズへの取り組みを優先し、リベリアの人びとが再び安心して病院に通えるようにすべきでしょう。国際社会もリベリア、ギニア、シエラレオネが、十分な人的・物的資源を備え、一般の人びとが無理なく受けられるしっかりとした公的保健医療システムを再建できるよう支えなくてはなりません」と訴える。

あまりに遅かった初動

MSFは、エボラ流行発生から1年を機に発行した報告書『史上最大のエボラ流行の1年』(http://www.msf.or.jp/library/pressreport/pdf/MSF1YearEbolaReport_23031.pdf)の中で、今回の流行は「途上国の保健医療体制が抱える弱点と、国際援助活動の行き詰まりや停滞」を白日のもとにさらしたと指摘。また、“無策だった世界的連合体”と呼ぶべき国際社会がエボラの脅威に目を向けるまで数ヵ月を要した事態も明らかにした。その間、MSFはたびたび助力を呼び掛けていた。

MSFベルギーでエボラ対応を指揮するヘンリー・グレイは「私たちはただもう、あまりに遅かったのです。MSFを含む全世界の初動が緩慢でした。大勢の命と引き換えに得たこの教訓が、今後の同様の事態の再発防止に活かされることを願うばかりです」と述べている。

リベリアでのMSFの活動

リベリアは今回のエボラ流行で、感染者数(疑い例含む)1万564人、死者数4716人という深刻な被害を受けた。国内で流行がピークに達した2014年8~10月の間に、MSFはモンロビアで世界最大のエボラ治療センターとなる「ELWA 3」を開設。同施設の受入能力は最大400床にまで及んだ。リベリア各地のMSFエボラ治療センターで合計1663人の感染確定患者が治療を受け、910人が回復した。

MSFが西アフリカ全体で受け入れた患者は合計9470人。そのうち5170人の感染が確認され、2553人が回復した。また、西アフリカ地域全体で合計14人のMSFスタッフがエボラに命を奪われた。

MSFは現在、首都モンロビアで小児入院施設を運営しており、エボラ流行終息後のリベリアにおける保健医療ニーズへの対応を支援。また保健省との協力のもと、モンロビア市内3地区ではしかの集団予防接種も行っている。
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