TPP:協定の全文公開に対する声明を発表

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定は5年以上におよぶ非公開の交渉を経て、一般には精査する機会もないまま、11月5日、大筋合意文書が正式に公表された。これから各国内で署名と批准の手続きに回される見通しだ。同協定には国際法で制定されている公衆衛生分野の保護手段を撤廃し、安価なジェネリック薬(後発医薬品)の普及を制限して何百万人もの人に影響を及ぼす危険な条項が盛り込まれているため、国境なき医師団(MSF)は現在も極めて強い懸念を抱いている。
MSF必須医薬品キャンペーン米国マネージャー兼法政策顧問 ジュディ・リウス・サンフアンによる声明

「MSFはTPP協定がもたらす影響を重く見ています。これが発効されたら、安価な薬を手に入れるにあたって何百万もの人が影響を受けるからです。公開されたTPPの大筋合意文書では、今回の協定が医薬品の市場独占を延長・強化して製薬会社を保護することで、価格低下につながるジェネリック薬による競争をさらに遅らせる内容であることが確認されています。

TPPは医薬品の取引にとって有害です。MSFのような医療・人道援助従事者にとっても、米国を含む世界中で安価な医薬品を必要とする人にとっても悪い協定と言えます。

命を救う医薬品とワクチンが高い価格であることは、効果的な治療を行う上での障壁となるということがますます広く知られるようになってきました。それにも関わらず米国政府と製薬会社が厳しい規制の導入に成功し、より長期間医薬品の価格をつり上げ、ジェネリック薬による競争を促すために政府と市民社会がもっている手段が制限される見通しになったことを大変懸念しています。

例えば、もしTPPが発効されれば、国家規制当局は特許がない場合でも生物製剤の安全性と有効性を証す既存のデータを利用することができなくなり、競合他社製品の販売認可を行えなくなります。また、TPPによって各国政府は製薬会社の要請に応じて特許による独占を現行の20年間からさらに延長する義務が生じます。また、どのようなタイプの医薬品が特許に値するかを再定義し、部分的に変更を加えただけで既存の医薬品に新規特許を付与する義務も生じます。

TPP大筋合意条項は医薬品の価格をつり上げ、不要な苦しみを引き起こすばかりでなく、かつて米国政府が『2007年版 新しい通商政策』に盛り込んだ保護手段を始め、国際保健に取り組む姿勢から完全に離れることを意味しています。

TPPによってこれ以上安価な医薬品の普及が制限される事態を防ぐのに遅すぎるということはありません。大筋合意文書が各国国会で最終承認の手続きに回される中、MSFは全てのTPP加盟国政府に対し、大筋合意文書が安価な医薬品の普及や生物医学的イノベーション推進において進んでいきたい方向なのか注意深く検討するように訴えます。もしこの方向と合致していなければ、TPPには変更や却下が必要だということです」
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