シリア:アレッポ北部で戦闘と爆撃が激化――人道援助も困難な状況に

シリア北部、トルコ国境に近いアレッポ県アザーズ郡ではこの1週間で戦闘と爆撃が激化し、現在も稼働を続ける数少ない医療施設の業務を脅かし、国境なき医師団(MSF)の病院も閉鎖に追い込まれかねない状況となっている。周辺地域に住む約50万人のための人道援助は、これまでもすでに制限された状態ではあったが、武力衝突の高まりによって一層難しくなっている。MSFは改めて、紛争の全当事者に対し、民間人・民間インフラの保護、医療施設への攻撃の停止、物資提供の確保を求めている。

 

爆撃の影響により活動を縮小

シリア北部でMSFプロジェクト・コーディネーターを務めるカルロス・フランシスコは「アザーズ郡では最近、東西の両地域で戦闘が発生、爆撃が次第に病院の近くまで迫っており、患者と医療スタッフの安全確保ももはや予断を許さない水準です。武力衝突のせいで、過去数ヵ月で他の医療施設が閉鎖されてしまい、MSFの病院では来院患者数は増え続けています。12月の第1週末には、病院の活動も縮小を余儀なくされました。この病院では周辺の約5万人を対象としていますが、次は閉鎖も覚悟しなければなりません」と話す。

アザーズ郡のMSF病院は、アレッポ市とトルコ国境間の地域で今でも機能を保っている主要な医療施設の1つで、救急外科、入院治療、分娩介助を提供している。

MSFは10月、MSFが支援する6軒の病院を含む、北部にある12の病院の爆撃被害を報じた。また、直近2週間のうちに、ホムス県ザファラーナとダマスカス郊外のエルビンで支援している病院が空爆に遭っている。医療施設がこれほど頻繁に爆撃されるとなると、患者と医療スタッフの安全が極めて懸念される。

援助物資の配布も中止に

トルコのキリス市からアレッポ市への幹線道路は、アレッポ県東部への物流の要だが、爆撃の悪化で現在は人道援助提供者もほとんど通過できない。12月第1週末には、MSFもアレッポ市東部の約4万人を対象とした物資配布をやむなく中止した。フランシスコは、「ここ何日かで複数の輸送車両が爆撃を受け、12月3日には家族向けの冬季用物資をアレッポ市に運ぶトラック1台が標的となりました。アザーズ郡とアレッポ市東部に住む約60万人のための食糧、燃料、人道援助は、全てこの道を通ります」と話す。

MSFは、民間人と、病院や救急車等を含む民間のインフラを保護するため最大限の努力を注ぐよう、シリア紛争の全当事者に改めて求める。また、昨今増加傾向にある医療施設への攻撃も差し止められなければいけない。それにより女性や子ども、医療従事者を含む大勢の民間人の命が奪われている。地域の人びとが保護され医療を受けられるようにするのと同時に、食糧・水などの最低限の物資を提供するためのあらゆる手だても高じられなければならない。

2015年6月から10月にかけて、アザーズ郡のMSF病院でスタッフが提供した診療は2万3000件、受け入れた急患は少なくとも1万1000人、外科手術は約1000件に及ぶ。MSFはまた、アザーズ郡とアレッポ市東部にある合計35の病院と小規模医療施設を支援している。シリア北部全域では、合計6ヵ所の医療施設を運営するほか、主に政府群包囲下の地域の医療施設150ヵ所を直接支援。その大半がシリア人医師の取り仕切る仮設施設で、MSFはスタッフの派遣はしていないものの、実践的な支援と通信研修を通して、膨大な医療ニーズへの対応を後押している。
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