中央アフリカ共和国:過去最大規模の集団予防接種を開始

2013年より武装勢力の衝突が続く中央アフリカ共和国では、子どもの予防接種率が大幅に低下している。国境なき医師団(MSF)は国内の子どもの25%となる約22万人を対象に、命にかかわる主要な小児疾患のワクチン接種を推進中している。この規模の集団予防接種は、MSF が着手した中で過去最大のものとなる。ただ、対象ワクチンの一つである肺炎球菌ワクチン(PCV)の価格が法外に設定されているため、このような活動は例外にとどまらざるを得ない状況だ。

5歳未満児には最大9種類のワクチン接種を行う

 

治安悪化が接種率を下げる要因に

同国における予防接種活動は保健省との連携で2014年7月に北部から始まり、南西部のマンベレ・カデイ州ベルベラティに場所を移し、今後はMSFの活動する13地区全てへの拡大が見込まれる。活動の完了は2016年末の予定だ。

この集団予防接種活動に加え、すでに活動している医療施設での接種も強化・拡大する。この二つの対策によって、予防接種を完了していない5歳未満児に最大9種類(※)のワクチン接種を行うことが期待される。また、各地区固有のニーズに応じ、ビタミンA剤、蚊帳、寄生虫疾患治療薬の配布や栄養失調の検査といった予防的な対策も講じていく。※ジフテリア、破傷風、百日せき、ポリオ、ヘモフィルス・インフルエンザb型、B型肝炎、肺炎球菌感染症、黄熱病、はしか

2013年に始まった国内の政治・軍事的危機が予防接種率を急降下させる原因であることは保健省の公式な数値も示している。2012~2014年までの間にワクチンを接種した子どもの数は、はしかで64%から25%、急性呼吸器感染症ワクチンで53%から20%まで落ち込んだ。2013年末に一通りの予防接種を完了した1歳未満児は13%に過ぎない。

PCVの価格が障壁に

 

 

MSFワクチン接種アドバイザーを務めるポリーヌ・ルシュヴァリエは、「今回の集団予防接種はMSFが中央アフリカで行うものとしては過去最大規模で、5歳未満児を対象にこれほど多くの疾病のワクチン接種を目指した例はわずかにしかありません。現在の情勢下では、病気の集団感染が起こり、ワクチンで予防可能な感染症で命を落とすリスクがこの上なく高まっています。1人でも多くの子どもをそうした病気から守ることが重要です」と話す。

MSFはこの集団予防接種でPCVも投与しているが、費用が法外なため、すべての人道援助団体が大規模に使用できるわけではない。

ルシュヴァリエによると、2社あるPCVメーカーの一つである製薬企業ファイザーからの寄贈を当面は役立てているという。「寄贈がなければ、ワクチンの購入だけで数百万米ドルの支出を余儀なくされますが、それでも持続的な解決策ではありません。ワクチンは保健医療従事者が必要と見なした時と場所で使用できるよう、公正な価格で入手可能なものでなければならないのです」

MSFが2015年4月に立ち上げた世界規模のキャンペーン「A FAIR SHOT(適正価格の予防接種の意味)」では、PCVメーカーのグラクソ・スミスクラインとファイザーの2社に対して、全ての発売国での設定価格を開示し、開発途上国での肺炎ワクチン接種(全3回)の費用を子ども1人あたり5米ドル(約600円)まで引き下げるよう求めている。これに続き、同年11月には署名活動も開始した。

2013年12月以降、MSFは中央アフリカで続く緊急事態への対応として医療援助を倍増。同国では1996年から活動してきたが、現在は外国人スタッフ約300人と現地スタッフ約2000人を投入している。運営中の活動プログラム15件のうち、数件は隣国のチャド、カメルーン、コンゴ民主共和国の中央アフリカ人難民を対象とした活動となっている。小児科、母子保健、外科、HIV/エイズ・結核治療などの医療を無償で提供するとともに、国連(WHO, UNICEF)の推す「拡大予防接種計画(EPI)」に沿った定期予防接種の支援も行っている。

 

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