『おりものシート』活用で自宅検査の実用化へ。新たな検査手法の可能性を「日本性感染症学会」で発表

〜日常使いのシートで細菌性腟症のスクリーニング。女性の未病ケアに貢献〜

小林製薬株式会社

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:豊田 賀一 以下、小林製薬)と、女性向けオンライン医療サービスを提供する株式会社LDHD(ルナドクターホールディングス)(本社:神奈川県川崎市、CEO:近都 真侑 以下、ルナドクターHD)は、2022年より業務提携を継続しています。このたび、両社による共同研究の成果として、おりものシートを活用した細菌性腟症(BV)*¹のスクリーニング検査手法開発に関して、「日本性感染症学会 第38回学術大会」で発表しました。

研究成果のポイント

おりものシートでの郵送検査の可能性検討

本研究によりスワブ法ではない、おりものシートでの郵送検査(細菌性腟症検査)の可能性が示されました。

スワブ検体とおりものシート検体の菌叢解析による比較

おりものシートで採取した検体について菌叢解析も実施し、BV関連菌の有無についてスワブ検体と同傾向であることを評価できました。

研究背景〉

小林製薬とルナドクターHDは“帯下(おりもの)”をきっかけとした女性のセルフケア・健康を支援するという両社の想いが一致し、2022年より業務提携しています。この提携に基づき、社会課題を解決し、女性の心身の負担を軽減できる新たな検査手法を開発するための研究を進めてまいりました。(https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2022/post_59/

当社調査により、女性の約30%がおりものの量や臭い等に不安を抱えている一方で婦人科受診率は20%にとどまることが分かりました*²。また、郵送検査に関しては、自宅で腟スワブ(長い綿棒状の器具)を用いて腟内から検体を採取することに抵抗がある女性が49%と半数近く存在する結果となりました*³。

そこで、今回は日常的に使用する「おりものシート」に着目し、自宅で気軽に実施できるスクリーニング検査手法を確立するため、研究を行いました。対象疾患としては、性感染症関連疾患の中で最も罹患率が高いとされているBVを選定しました。

*2出典:2022年6月実態調査、女性、N=3,000

*3出典:2025年10月実施調査、女性、N=30,000

研究内容〉

1.ニュージェントスコア法*⁴の応用

本研究では、BV検査の客観的検査指標であるニュージェントスコア法に着目しました。ニュージェントスコア法は本来、腟スワブによって検体を採取しますが、本研究ではおりものシートでの検体採取を検討し、スワブ検査法とシート検査法との一致率向上を目指しました。

2.臨床試験でおりものシートでの検体採取・検査の可能性が示唆された

事前アンケートと被験者が自己採取したスワブ検体のニュージェントスコア結果より、健常群、中間群、BV群に該当する被験者計16名を選定しました。被験者16名を対象に、医師が採取したスワブ検体と、被験者がシートを着用して採取した検体の比較評価を実施しました。また、郵送検査の実用化に向け、シート採取検体とそれを輸送した後の検体間の比較評価も行いました。

医師採取スワブ検体とシート検体間では、健常群およびBV群で約70%、中間群で約60%の一致率を認めました。また、着用当日シート検体と採取後郵送したシート検体間では、健常群で100%、中間群およびBV群で約70%の一致率を示しました。

3.スワブ検体とおりものシート検体での菌叢解析

さらにスワブ検体とおりものシート検体それぞれについて、菌叢解析も実施し、BV関連菌の有無について比較しました。シート検体では、おりものシート着用時に付着してしまったと考えられる、皮膚常在菌等が検出されましたが、検査対象菌の有無については同傾向という結果が得られました。

〈まとめ〉

本研究により、おりものシートを用いた細菌性腟症郵送検査の有用性が当社で初めて示されました。本研究は、日用品を活用して、誰もが自宅で手軽にBV検査を実施できる郵送検査の仕組みを通じて、女性の未病ケアを促進します。この活動は、一人ひとりの健康に寄り添う社会の実現に向けた一歩であると考えます。

今後は本検査の精度向上と実用性の検証をさらに進め、より女性の健康支援に貢献できることを目指して活動してまいります。


*1 細菌性腟症(BV)

罹患者数が10%とも言われ、性感染症関連疾患の中で最も罹患率が高いとされています。体調不良やストレスなどが原因となり、乳酸桿菌(善玉菌)が減少し、ガードネレラ菌・モビルンカス菌などの悪玉菌が増えることで発症するため、誰にでも起こりうる疾患です。 放置することで腟炎に繋がったり、流産・早産のもととなったりするリスクがあります。

*4 ニュージェントスコア法(NS法)

ニュージェントスコア法はBV検査のゴールドスタンダードです。腟分泌物をグラム染色して顕微鏡で観察し、乳酸桿菌(善玉菌)の少なさや悪玉菌(ガードネレラ菌、モビルンカス菌)の多さを10点満点で評価する検査法です。0〜3点を健常群、4〜6点を中間群、7〜10点をBV群とされています。

【研究成果の発表先】

本研究成果は、「日本性感染症学会 第38回学術大会」(2025年12月20日~21日、愛知)にて口頭発表しました。

タイトル:おりものシートを使用した細菌性腟症スクリーニング手法開発の試み

発表者名:松本眞歩

<小林製薬について>

小林製薬は、「“あったらいいな”をカタチにする」をコーポレートブランドスローガンとし、これまでにない新市場を創造することで、人と社会に「快」を提供してまいりました。1988年発売の日本初のおりものシート『サラサーティ』は、恥ずかしくて周りに相談できない、当たり前に我慢してきた悩みに着目して誕生し、30年以上に渡り女性の声に寄り添い続けています。『サラサーティ』はおりものの専門家として悩みを解決し、女性の毎日をサポートするブランドとして、幅広い活動に取り組んでいます。

<ルナドクターHDについて>

ルナドクターHDは、オンラインでの医療システムの開発など、テクノロジーの力で医療現場の課題解決に取り組むヘルステックカンパニーです。従来の婦人科系医療は面倒なこと・煩わしいことが多く、女性たちの病気が見過ごされてきたことが課題と捉え、誰もがもっと身近に、もっと気軽に、安心して利用できる婦人科医療システム・サービス・商品を提供することを目指しています。2021年12月には婦人科に行かず自宅で簡単におりもの異常を検査できるサービス『FemCHECK(フェムチェック)』の発売を開始しています。

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会社概要

小林製薬株式会社

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URL
https://www.kobayashi.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
大阪府大阪市中央区道修町4丁目4番10号 KDX 小林道修町ビル
電話番号
06-6231-1144
代表者名
豊田賀一
上場
東証プライム
資本金
34億5000万円
設立
1919年08月