終わらぬ紛争が奪う命と希望 ユニセフ・イエメン事務所代表声明 【プレスリリース】

ユニセフ・イエメン事務所代表ジュリアン・ハーネス声明 紛争終結と支援の拡大を訴える

首都サヌアの近郊にある村で、爆発した砲弾の残骸を手にする男の子。© UNICEF_UNI184988_Hamoud

 

※本信は、ユニセフ本部および発信情報をもとに日本ユニセフ協会が作成・配信しています。
※原文は http://www.unicef.org/media/media_89793.htmlでご覧いただけます。
※情勢レポートの原文は http://www.unicef.org/appeals/yemen_sitreps.htmlでご覧いただけます。

【2016年1月12日 サヌア(イエメン)発】
「イエメンの激しい紛争は終わりが見えず、イエメン国内で暮らす1,000万人近い子どもたちは今、新たな苦しみの年を迎えています。

途絶えることのない爆撃や市街戦によって、子どもたちやその家族たちは、暴力や病気、貧困といった何重もの苦しみに晒されています。

紛争が子どもたちに及ぼしている直接的な影響を測るのは困難です。国連が確認している統計数値(昨年3月以来、子どもの死者は747人、負傷者は1,108人、何らかの軍事活動を強いられた子どもは724人)が示すのは、その一部でしかありません。しかし、これらの数値だけでも十分に衝撃的です。
 

爆撃され、瓦礫になった武装グループに使用されていた学校。(タイズ市)© UNICEF_UNI196751_Mahyoob

 

暴力が幼い市民に与える影響は、さらに広範囲にわたります。紛争によって家を追われた推定230万人の、そして水を得ることもままならない毎日を送る1,900万人の、少なくとも半数は子どもです。また、130万人に上る5歳未満児が、急性栄養不良や急性呼吸器感染症の危険に晒されています。学校に行けない子どもは、少なくとも200万人に達しています。

保健、水、衛生といった公共サービスは崩壊し、苦しむイエメンの人々の増え続けるニーズを満たすことはできません。740万人の子どもたちが、暴力の影響に対する心理社会的支援を含む保護を必要としていますが、実際にそうした支援を受けられる子どもはほとんどいません。

こうしたこと全てが紛争以前から既に中東最貧国であったイエメンにもたらす長期的な影響は、推し測ることしかできません。

ユニセフをはじめとする各機関は、非常に危険な環境の中、できる限りの支援をしています。その結果、2015年には、400万人以上の5歳未満児がはしかやポリオの予防接種を受け、16万6,000人の子どもが入院して栄養不良の治療ケアを受けることができました。紛争で被害を受けた350万人以上の人々が安全な水の支援を受け、サヌアとタイズでは最も貧しいコミュニティの6万3,520人が、人道支援給付金の支援を受けました。

しかし、支援はまだまだ足りません。イエメンの子どもたちは、今、一刻も早い支援を待っているのです。 

戦闘地域では、病院が機能せず、医薬品も不足し、人々が命を落としています。子どもたちは予防可能な病気で亡くなる危険に直面しています。もしも全ての紛争当事者が、国際人道法のもとに守るべき責務として、こうした地域への無制限のアクセスを約束するなら、支援機関は活動を拡大させることができます。 

しかし、何より必要なのは、紛争を終わらせることです。それ以外に、イエメンの子どもたちがこの2016年に絶望ではなく希望を見出す道はありません」 

* * * 

水と同様、食べ物を手に入れることも困難になっている。パンを食べる女の子。© UNICEF_UNI196758_Mahyoob

 

■参考:数字で見る内戦の被害状況
  • 緊急に人道支援を必要とする人: 2,110万人(内、18歳未満の子どもは990万人)
  • 内、国内に避難している人々: 250万人(但し、昨年3月の紛争激化以前から避難していた人数も含む)
  • 死者: 5,950人*  (内、子ども:747人)
  • 負傷者: 2万8,111人*  (内、子ども:1108人)※8カ月前(2015年4月)時点で死傷した子ども287人(死者115人、負傷172人)から6倍以上の被害数に増加
  • 誘拐された子ども:189人(2015年3月26日以降)
  • 武装勢力に徴用された子ども: 729人
○安全であるべき学校や病院が攻撃の被害に(2015年3月26日から12月までに)
  • 攻撃の被害を受けた学校: 60校
  • 攻撃の被害を受けた病院: 60施設
○人道活動のアクセス拒否
  • 2015年3月26日から12月まで、人道支援活動を行う場所までへのアクセスを阻まれたケースが15件発生。
  • 空爆、爆撃、地上戦が続くために、市民インフラや国の保健、水・衛生といった基礎的な公共サービスが破壊。これにより・・
  • 1,520万人が基礎的な保健サービスへのアクセスが困難。
  • 1,930万人以上が日常的に水の支援を必要としている。
  • ユニセフとパートナー団体が、最も支援を必要としている人たちに支援を届けるのは極めて危険で困難な状況。
○内戦に加え、11月に2回発生したサイクロンが地滑りを引き起こし、3,322世帯が現在も避難中。
○優先すべき支援分野は水と衛生
  • 基礎的な保健サービスの崩壊と燃料不足が深刻。
  • 生活サービス: 水、燃料(供給率46%)、保健サービス、医薬品、電力が不足。
  • 輸入食糧は12月に11月より24%増加したものの、商業用の食糧は不十分なままの状況。

ユニセフの活動(分野別)

給水支援を実施し、安全な水を提供している。© UNICEF Yemen

 


<保護>
  • 暴力に直面し、740万人の子どもが保護を必要としている一方で、心理社会的分野の支援を受けた子どもはわずか2万人。イブやタイズ、マリブ、サヌア、ホデイダ、アムラン、ハジャなどで地域や学校、移動型の『子どもにやさしい空間』を通じて心理社会的ケアを実施。
  • 地雷への危険性が高まっている。ムカラとハジャにおいて地雷から身を守る地雷教育を子ども2万8,000人とおとな7,400人に実施。
  • サダアで学校へ3件、病院へ13件の砲撃が報告されている。
<保健・栄養>
  • 1,520万人が基本的な保健ケアを必要としている。
  • 32万人が重度の急性栄養不良、100万人が中度の急性栄養不良の危機に晒されると推計されている。
  • 子どもの栄養不良に対する予防・治療ケアのために編成された93の移動チームを派遣。子ども3万5,000人と妊産婦4万3,000人に保健と栄養のパッケージ支援を実施。
  • 5歳未満児4万人以上にはしかとポリオの予防接種を実施。16万6,000人が栄養不良の入院治療ケアを受けた。
<水と衛生>
  • 少なくとも1,930万人が水の支援を必要としている一方で、燃料不足と安全面での危険が支援活動を制限している。
  • 報告期間(2015/12/16~29)の14日間だけで、ユニセフは200万人近くが水インフラを利用できるように支援、そのほかにも避難民を受け入れているホスト・コミュニティに、トラックで飲料水や生活用用水を運搬している。
  • 基本的な衛生キットの提供や、衛生に関する啓発を続けている。
<教育>
  • 衝突が激化したことにより、2014-2015年度において、学校3,584校が2カ月以上閉鎖され、少なくとも180万人の学齢期の子どもたちが学校に通えず、教育の機会を失った。
  • 加えて、紛争が起きる以前から既に160万人が学校に通えておらず、依然として就学できていない。
  • 最も紛争の影響を受けている地域であるハジャ、マリブ、タイズでは就学率が35%に留まっている。
  • このような状況のなか、『バック・トゥ・スクール(学校へ戻ろう)』キャンペーンの一環として、2万7,000個のかばんと文具をイブとサナアで提供。
  • 11月以降、1万4,500校が再開した一方、1,500校で安全面の問題により閉鎖が続いている。これにより、38万3,000人の子どもたちが依然として学校に通えていない。
 <情報元:ユニセフ・イエメン情勢レポート(2015年12月15日発行、29日発行)、但し*はOCHA Humanitarian Snapshot Jan. 3, 2016>

* * *

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.org/
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