ユニセフ 『子どもたちのための人道支援報告書2016』発表 63カ国の人道危機に28億米ドルを要請 【プレスリリース】

危機下の教育支援の需要増大、2015年 日本は民間部門で最大の拠出国

© UNICEF_UNI185027_Cherkaoui ユニセフが提供した手動ポンプで足を洗うダルエスサラーム難民キャンプで暮らす男の子。(チャド)

 

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※原文はhttp://www.unicef.org/media/media_89952.htmlからご覧いただけます。
※報告書(英語)はhttp://www.unicef.org/publications/index_89673.htmlからダウンロードいただけます。

【2016年1月26日 ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)は本日、人道支援に関する年次報告書である『子どもたちのための人道支援報告書(Humanitarian Action for Children-HAC)2016年』を発表し、世界の人道危機下にある4,300万人の子どもたちを支援するために、28億米ドルの資金が必要であると訴えました。

この資金から各支援分野に充てられる分野別資金配分のうち、最大の25パーセントが、今回初めて、緊急事態に置かれている子どもたちの教育に充てられる予定です。今年ユニセフは、人道危機下にあっても教育を受けられる子どもの数を、2015年初頭の490万人から、2016年には820万人へと、大幅に増加させることを計画しています。その半数以上を占めるおよそ500万人が、シリア国内または周辺国にいるシリアの子どもたちになると見込まれます。 

ユニセフ緊急支援プログラム部 部長のアフシャン・カーンは「数百万人に及ぶ子どもたちが、教育の機会を奪われています」と述べています。「学んだり遊んだりする機会を提供する教育は、銃弾や手りゅう弾が飛び交う只中にいる子どもたちにとって、命を守る手段なのです。今年、緊急支援のための資金の4分の1は、教育支援に充てられます。子どもたちや若者のこころの教育を通して、私たちは希望を築いています。そうすることで、子どもたちは、自分自身や家族、社会に対し、よりよい未来への期待を持つことができ、慢性的な危機の連鎖を断ち切る一助となることができるのです」 

ユニセフの2016年の資金要請額は3年前と比較して倍増しています。紛争と異常気象という2つの要因により、ますます多くの子どもたちが自宅からの避難を余儀なくされ、さらに数百万人の子どもたちが深刻な食糧不足、暴力、病気、虐待に直面し、教育の機会を脅かされています。 
 

© UNICEF_UN08242_Madhok ユニセフの「子どもにやさしい空間」でサッカーをする、爆弾で8歳の親友と片足を失った男の子。(イエメン)

 

現在、世界の子どもたちの約9人に1人が紛争地帯で暮らしています。2015年には、紛争の影響を受けている国や地域に住んでいる子どもたちが5歳になるまでに予防可能な要因で命を落とすリスクが、それ以外の国の子どもたちに比べて2倍になりました。 

気候変動の脅威も高まっています。5億人以上の子どもたちが、高い頻度で洪水が生じる地域に住んでおり、また1億6,000万人近くが、干ばつの深刻度が高いあるいは極めて高い場所で暮らしています。史上最大規模のエルニーニョ現象が、さらにリスクを高めています。 

自宅からの避難を余儀なくされた人の数は増え続けています。2015年には、ヨーロッパだけでも、100万人以上の難民・移民を受け入れています。 

「過去数カ月の間、ブルンジ、ナイジェリア北東部、ヨーロッパの移民・難民ルートにおいて、苦しみから逃れてきた子どもたちを、この目で見てきました。世界中で、多くの子どもたちが暴力や紛争によって家を追われています。世界規模での難民危機は、高まる虐待や搾取、人身売買の危険に直面している移民・難民の子どもたちの保護に対する危機でもあるのです」(カーン部長) 

ユニセフの2016年の子どもたちのための人道支援計画は、63カ国の計7,600万人を対象としています。支援要請額の内訳となる、主な危機に対する必要資金額は以下の通りです。
  • シリア国内と周辺国でのシリア難民危機:11.6億米ドル(要請額のうち最大の割合)。シリア国内及びエジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、トルコで、命を守る支援に必要な額として。支援ニーズが高い分野は、安全な水、予防接種、教育、及び子どもの保護。
  • ヨーロッパでの難民・移民危機:約3,080万米ドル
  • イエメン: 1.8億米ドル。まもなく1年が経過しようとしている紛争のなか、約1,000万人の子どもたちが緊急人道支援を必要としている。
  • ブルンジ:2,550万米ドル。世界の最貧国の一つであるブルンジの子どもたちへの支援、及び、ルワンダやタンザニアに避難したブルンジ難民への支援として。
  • ナイジェリアと周辺国:1億8,890万米ドル。ナイジェリアやカメルーン、ニジェール、チャドにおける人道支援や、ナイジェリア北東部の暴力の影響の対応に必要な資金として。 
 

 

ユニセフの今回の要請額には、深刻な資金不足にある危機の支援ニーズに対応するための資金が含まれています。いずれの危機も長期化しており、2015年に財源確保が40パーセントに満たなかったアフガニスタン、コンゴ民主共和国、スーダンなどで発生しています。 

ユニセフが調達する資金は、緊急人道支援のほか、各国が将来的な災害に備えるためのより長期的な取り組みにも使われる予定です。 

2015年、ユニセフは多数の子どもたちに人道支援を届けました。2,260万人に対して安全な水を提供し、1,130万人の子どもたちにはしかの予防接種を行い、最も深刻な栄養不良の状態にある200万人の子どもたちに治療ケアを実施し、200万人の子どもたちに重要な心のケアを提供し、400万人の子どもたちに基礎教育を受けられるよう支援しました。

* * *

© UNICEF_UNI195222_Khuzaie ユニセフのテントの仮設学校で、夏の補習授業を実施。先生の質問に手を挙げて答える国内避難民の子どもたち。(イラク)

 

<2016年人道支援計画>
□ 全体概要
  • 人道支援要請額総額 : 28億米ドル
  • 支援対象人数 : 子ども4,300万人を含む7,600万人
  • 支援対象国 : 63カ国
  • 主要対象国(アルファベット順)アフガニスタン、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、ジブチ、北朝鮮、コンゴ民主共和国、エリトリア、エチオピア、ヨーロッパの難民・移民、ハイチ、イラク、ケニア、リビア、マラウイ、マリ、ミャンマー、ニジェール、ナイジェリア、太平洋諸国、フィリピン、サヘル地域(ブルキナファソ、ガンビア、モーリタニア、セネガル)、ソマリア、南スーダン、パレスチナ、スーダン、シリア、シリア周辺国(エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、トルコ)、ウガンダ、ウクライナ、イエメン、ジンバブエ、ほか

 □ 必要資金上位地域・国
  • 中東・北アフリカ地域:16億3,000万米ドル このうち、約11億6,000万米ドルが、シリアとその周辺国で起きている最大の人道危機への対応資金。シリア国内では約1,350万人が緊急の命を守る支援を必要としており、国外で逃れた人々は既に400万人以上に上る。そのほか、2015年3月以降激化している紛争で、人口の82%が人道支援を必要としているイエメン(1億8,000万米ドル)や、320万人の避難民を出す一方、シリアからの難民も受け入れているイラク(1億119万米ドル)も、必要資金が1億米ドルを超える。
  •  西部・中部アフリカ地域;4億7,000万米ドル 紛争に加え120万人以上が緊急レベルの食糧危機に直面している中央アフリカ共和国(5,569万米ドル)、2014年以来ボコ・ハラムによる暴力行為が加速し、避難民が増え続けているナイジェリア(5,555万米ドル)、今年2,350万人が食糧危機に直面すると推定されているサヘル地域(4,222万米ドル)を含む。
  • 部・南部アフリカ地域:4億4,590万米ドル 2013年以来紛争が続く南スーダン(1億5,446万米ドル)をはじめ、深刻な干ばつに襲われているエチオピア(1億600万米ドル)は、エルニーニョ現象の影響で厳しい状況が続くことが見込まれている。

□ 分野別資金割合上位5分野
  • 教育(25%)、水と衛生(21%)、栄養(15%)、保健(12%)、子どもの保護(12%)

© UNICEF_UN08241_Madhok ユニセフの「子どもにやさしい空間」で、歌や工作のアクティビティに参加する子ども。(イエメン)

<2015年の成果>

□2015年の人道支援概要
ユニセフは、エボラ出血熱の猛威に襲われた西アフリカ3カ国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)に、ユニセフにとって史上最大となる8,000トンの支援物資を届けました。19万1,200人の子どもに心理社会的支援を実施し、360万以上の家庭にエボラ予防のための情報提供や啓発活動を行い、64カ所にケアセンターを設置しました。

その他、2015年1月~10月の間の実績として、2,260万人に安全な飲料水を、1,130万人の子どもにはしかの予防接種を、400万人の子どもに教育の機会を提供しました。

2015年資金実績
2015年、ユニセフは必要としていた要請額33億米ドルに対し、その68%に相当する22億米ドルの支援を受けました。多くを占めたのは、大地震で被災したネパール、エボラ出血熱が拡大した西アフリカ、イラク、南スーダン、シリアとその難民、イエメンなどへの支援です。一方、危機が長期にわたり、世界の関心が低いアフガニスタンやチャド、コンゴ民主共和国、ニジェール、スーダンなどは、確保できた資金は40%に満たず、マリとウガンダはそれぞれ17%と14%でした。

各国政府・機関、民間からの拠出では、民間部門では日本が最大の2,640万米ドルとなり、日本政府からの拠出1億1,370万米ドルと合わせ、日本が世界の人道危機に大きく貢献したことが報告されています。

<政府/機関間協力 2015年主要ドナー>
1. 米国政府:       3億6,390万米ドル
2. 独国政府:     3億    540万米ドル
3.   EU:             1億4,640万米ドル
4. OCHA:       1億3,990万米ドル
5. 英国政府:       1億1,690万米ドル
6. 日本政府:       1億1,370万米ドル

<民間部門 2015年主要ドナー>
1.   日本ユニセフ協会:            2,640万米ドル
2.   英国ユニセフ協会:            2,400万米ドル
3.   米国ユニセフ協会:            2,400万米ドル
4.   独国ユニセフ協会:            1,670万米ドル
5.   ベルギー・ユニセフ協会:   1,140万米ドル

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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/
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