『平成28年版 パートタイマー白書』を本日発行 女性活躍の現状と課題に関する調査発表

株式会社アイデム

株式会社アイデム(本社:新宿区新宿/代表取締役社長:椛山 亮)の研究部門である「アイデム 人と仕事研究所」は、この度、企業1,428社と女性労働者1,671名を対象に「女性活躍」に関する調査を行い、『平成28年版 パートタイマー白書』として本日調査結果を発表しました。
当社では1997年(平成9年)から、毎年異なるテーマでパート・アルバイト等の雇用に関する調査を行い、『パートタイマー白書』として発表しています。今年は高まる人材不足感に対する解決策の1つとして、また優秀な人材の確保策として今や欠かせないものとなっている女性活躍をテーマとしました。
今回の調査を、同じく女性活躍をテーマとした2012年の調査結果と比較すると、企業側は「女性が働き続けるため」の環境整備を着実に前進させていることが明らかになりました。その一方、企業と女性の間には「女性活躍の方向性や課題」について、認識のずれがあることも新たにわかっています。本ニュースリリースは、本日発行した『平成28年版 パートタイマー白書』(全95ページ)の中から、調査結果を一部抜粋した内容です。
 
  • 調査からのポイント抜粋
 <企業への調査結果>
1)男女正社員の育児休業取得に対する考え、2012年の当社調査に比べ、男女正社員いずれの取得についても肯定的な回答割合が増加(「女性正社員は育児休業を取得し、復職してほしい」が52.5%、「男性正社員の1年程度の育児休業取得は問題ない」が49.9%でいずれも最多)

2)女性管理職比率は「10%未満」が49.7%で最多に女性管理職が少ない理由、第1位は「女性本人が希望しない」43.3%

3)今後の女性管理職比率、「上げたい/どちらかと言えば上げたい」企業が69.0%

4)女性が意欲を持って働き続けるために必要なこと、
第1位「女性自身の意識の改革」40.2%、第2位「夫や家族の理解や協力」28.9%

<女性労働者への調査結果>
5)短時間勤務者への不満、子供がいない個人の方がより高い割合で「不満あり」の傾向
一方、短時間勤務者自身も「負い目や悩みがある」が78.4%

6)非役職者の69.4%が管理職への「昇進意向なし」

7)女性が意欲を持って働き続けるために必要なこと、
第1位「夫や家族の理解や協力」47.0%、第2位「職場の理解や協力」37.5%

8)夫の家事・育児時間、女性自身が正社員で、かつ子供がいる家庭ほど長く、家庭参加が進んでいる傾向
 
  • 担当者のコメント
アイデム人と仕事研究所
主任 小杉 雅和


平成24年版パートタイマー白書では、「眠っている労働力を掘り起こせ」と題して、女性の年齢別労働力率、いわゆるM字曲線の窪みを浅くすること、またパート・アルバイトの労働時間を増やして、女性労働力の“総量”を増加させることに焦点をあてて、調査・分析を行いました。本年の白書では、さらにその先の「妊娠・出産を経た女性が活躍していくためにはどうしたらよいのか」を、女性活躍の現状と課題を探りながら考えていきます。
調査結果からは、企業の育児支援関連の制度は法定以上に整備されている企業も多く、平成24年調査と比べて、女性のみならず男性の育児休業取得に対しての理解も進んできました。一方の女性正社員も、育児休業復帰後の短時間勤務における企業の配慮に対し、概ね満足しているという結果です。従来から存在している、妊娠・出産を経た女性が働き続けられないという“継続就業”の壁は、以前に比べ低くなっているようです。しかし、さらに調査を通して見えてきたのは、“女性と企業の間に生じている働き方に対する認識や期待感のずれ”という、“2つめの壁”があるということでした。環境整備が進む中、女性が本当に活躍するための課題を提示する結果となっています。
 
  •  調査概要
【企業調査】雇用に関するアンケート調査
調査期間     :2016年6月4日~8日
調査方法     :WEBアンケート調査
有効回答者数:1,428社
調査対象     :従業員規模100人以上で正社員を30人以上(うち、女性正社員は6 人以上)雇用し、直近5年以内に妊娠した女性正社員がいる企業 (回答者は、経営者または人事関連部署の監督職以上の者に限定)

【個人調査】働き方に関するアンケート調査
調査期間     :2016年5月27日~28日
調査方法     :WEBアンケート調査
有効回答者数:1,671名
調査対象     :20歳から49歳までの女性で、現在、正社員またはパート・アルバイトとして就業している者(パート・アルバイトの回答者は、既婚で子供がいる女性に限定)
 
  • アイデム人と仕事研究所について
1971年に設立したアイデムは求人広告事業を展開し、創業以来、求人と求職の双方の視点から市場を見続けてきました。1993年には「アイデム人と仕事研究所」を立ち上げ、パート・アルバイトを中心とした労働力の活用・戦力化に関する研究を進め、企業と労働者双方への調査を毎年行っています。
 
  • ポイント抜粋の詳細
《企業への調査結果》
1)男女正社員の育児休業取得に対する考え、2012年の当社調査に比べ、男女正社員いずれの取得についても肯定的な回答割合が増加

【女性正社員の育児休業取得に対する考え】

 

 

企業に、女性正社員が育児休業を取得することに対してどのように考えているかを聞いた。全体では、「育児休業を取得し、復職してほしい」52.5%、「どちらかと言えば、育児休業を取得し、復職してほしい」37.8%で、女性正社員の復帰を希望する意向が90.3%を占めた。平成24年調査と比較すると、当時は「育児休業を取得せずに、退職してほしい」「どちらかと言えば、育児休業を取得せずに、退職してほしい」の合計が25.3%だったが、今回は大幅に減少して9.7%となった。政府の両立支援の推進や世論の高まりもあったせいか、4年の間に企業側の意識に変化があったことがうかがえる。
 
【男性正社員の育児休業取得に対する考え】

企業に、男性正社員が女性正社員と同様に育児休業(概ね1年)を取得することに対し、どのように考えているかを聞くと、「1年程度の育児休業取得は問題ない」が49.9%で最多となった。平成24年調査と比較すると、「1年程度の育児休業取得は問題ない」が24.3%から49.9%と倍増している。一方、「育児を理由とした休暇の取得は、許容できない」が16.9%から5.5%に大幅に減少しており、企業の意識に変化が生じている。

2)女性管理職比率は「10%未満」が49.7%で最多に
女性管理職が少ない理由、第1位は「女性本人が希望しない」43.3%

 

企業に、管理職以上の役職に就いている女性正社員がいるかを聞いたところ、「いる」が74.9%、「いない」が25.1%となり、7割強の企業に女性管理職がいるとの回答だった。
従業員規模別にみると、規模が大きいほど女性管理職が「いる」割合が高くなっている。「3,000人以上」の企業では86.4%にも上っている。

 


また、女性管理職が「いる」企業に、管理職に就いている正社員のうち女性が占める割合(女性管理職比率/以下同)を聞いた。「10%未満」49.7%、「10~20%未満」23.9%、「20~30%未満」12.8%、「30%以上」13.7%の分布となり、女性管理職比率の平均値は13.2%だった。
従業員規模別でみると、「300 人以上」の企業では、女性管理職比率が「10%未満」の企業が50%を超えている。また、規模の小さい企業の方が、女性管理職比率の平均値は高くなっていた。
さらに、女性管理職が少ない(女性管理職比率50%未満)、または全くいない企業にその理由を聞いた。最も多かった理由は、「女性本人が希望しない」43.3%だった。次いで、「女性の多くが管理職になるまでに退職する」35.7%、「そもそも女性社員の比率が低い」35.4%となっている。

 3)今後の女性管理職比率、「上げたい/どちらかと言えば上げたい」企業が69.0%


企業に、自社の女性管理職比率を今後どのようにしていきたいと考えているかを聞いた、「上げたい」が26.8%、「どちらかと言えば上げたい」が42.2%となり、69.0%の企業が女性管理職比率を上げることに意欲的だった。
従業員規模別にみると、「上げたい」という意向は規模が大きくなるほど強く表れており、「100~299人」の企業で15.5%なのに対し、「3,000人以上」の企業では37.9%と22.4ポイントも高くなっていた。
女性管理職有無別にみると、女性管理職が「いる」企業では、「上げたい」28.2%、「どちらかと言えば上げたい」43.2%となり、7割以上の企業が女性管理職比率を上げたい意向がある。女性管理職が「いない」企業でも、「上げたい」が22.8%、「どちらかと言えば上げたい」が39.3%となり、62.1%の企業にその意欲があった。
女性管理職比率別でみると、現在の女性管理職比率が低いほど、今後の女性管理職比率を「上げたい」「どちらかと言えば上げたい」と感じている割合が高い。一方で、「30%以上」の企業では、「現状がちょうどよい」が46.6%で最多となっている。

4)女性が意欲を持って働き続けるために必要なこと、
第1位「女性自身の意識の改革」40.2%、第2位「夫や家族の理解や協力」28.9%


企業に、女性が意欲を持って働き続けるために必要だと思うことを聞いた。上位には、「女性自身の意識の改革」40.2%、「夫や家族の理解や協力」28.9%、「職場の理解や協力」26.4%、「女性の積極登用」21.9%が挙がっている。「女性が意欲を持って働き続けるために必要なこと」において、個人調査では「夫や家族の理解や協力」が47.0%で最多となっており、次点には「職場の理解や協力」が37.5%で挙がっていた。女性の継続就業にあたって、女性本人が“家庭・職場での理解”など周囲へ意識が向いているのに対し、企業側は“女性本人”の意識に課題を感じており、両者の認識に乖離が生じている。

 
《女性労働者への調査結果》

5)「短時間勤務者への不満」、子供がいない個人の方がより高い割合で「不満あり」の傾向
一方、短時間勤務者自身も「負い目や悩みがある」が78.4%

【短時間勤務者に対する不満】

子供がいない、または出産後や育児休業復帰後に正社員として短時間勤務で働いた経験がない回答者に、職場で一緒に働く短時間勤務の正社員に対して不満を感じたことがあるかを聞いた。結果は、「不満を感じたことがある」が58.6%に上った。
さらに、「不満を感じたことがある」と回答した者に具体的な内容について聞くと、「急な休みが多い」53.7%、「短時間勤務者が行えない分の業務負担が増える」39.5%、「急ぎの仕事を頼めない」38.0%、「仕事が途中でも時間がくれば先に帰ってしまう」37.8%が回答を集めた。
これを、子供の有無別でみると、「子供なし」の者の方が各項目に対する回答割合が高い傾向にあり、短時間勤務者に対してやや厳しい見方をしているようだ。

 【短時間勤務で働いている際の負い目や悩み】

出産後や育児休業復帰後に正社員として“短時間勤務”をしたことがある者、または育児のため残業が免除されている者に、職場や同僚に対して負い目や悩みがあったかを聞いた。「負い目や悩みがある」と回答した者は78.4%と、約8 割に上る。
また、「負い目や悩みがある」と回答した者に具体的な内容について聞くと、「急に休みをとることが発生する」が52.8%で最多となった。以降は、「皆が働いている中で、先に帰りづらい」が38.3%、「他の人に業務のしわ寄せがいっている」が30.6%となっている。

 6)非役職者の69.4%が管理職への「昇進意向なし」

正社員として働いている者に、現在の勤務先でどのような役職に就いているかを聞いた。結果は、「役職には就いていない」70.7%、「係長・主任クラス」23.6%、「課長クラス」4.9%、「部長クラス」0.7%、「役員以上」0.2%と、役職に就いている者が約3割だった。
さらに、どの役職まで昇進したいと思っているか昇進意向を聞いた。現在就いている役職と同じままで(役職に就いていない者は役職に就かなくても)よいと回答した者を“現状維持派”、より上位の役職のいずれかを回答した者を“昇進意欲派”とすると、既に役職に就いている者の方が、役職に就いていない者よりも昇進意欲派の割合が高い傾向にあった。

7)女性が意欲を持って働き続けるために必要なこと、
第1位「夫や家族の理解や協力」47.0%、第2位「職場の理解や協力」37.5%


回答者全員に、女性が意欲を持って働き続けるためには、何が必要だと思うかを聞いた。最も回答が多かったのは、「夫や家族の理解や協力」で47.0%に上る。次点には「職場の理解や協力」が37.5%で挙がっており、女性の継続就業には家庭と仕事の両面において、関係者の理解が不可欠であることがうかがえる。
グループ別にみると、「パート・アルバイト」は、「夫や家族の理解や協力」「職場の理解や協力」「保育・介護サービスや施設の充実」において、他のグループよりも回答割合が高く、一方、「女性自身の意識の改革」においては、回答割合が低くなっているのが特徴である。
また、正社員役職別にみると、現在「課長クラス以上」に就いている者は、他の者よりも「夫や家庭の理解や協力」「職場の理解や協力」「企業における育児・介護休業制度の充実」といった女性の周辺環境の整備に関する項目の回答割合が低くなっている。半面、「女性自身の意識の改革」「女性の積極登用」「仕事に関する自己啓発」の回答割合が高く、その職務ゆえ企業に近い目線で考えている傾向がある。
 
8)夫の家事・育児時間、女性自身が正社員で、かつ子供がいる家庭ほど長く、家庭参加が進んでいる傾向


既婚の回答者に、仕事がある日における自身と配偶者の家事・育児時間について聞いた。回答者である女性本人の家事・育児時間についてみると、「子供なし」では平均2.10時間、「子供あり」では平均3.96時間となり、子供の有無で差が大きい。また、子供の年齢が低いほど家事・育児に費やす時間が増加する傾向があった。正社員として働いている者の家事・育児時間は平均3.12時間、パート・アルバイトとして働いている者では平均4.58時間となっており、約1.5時間の差が生じている。
さらに、それぞれの配偶者である夫の家事・育児時間をみると、子供の有無別で「子供なし」家庭の配偶者は、1日の家事・育児時間が0.77時間と1時間を切っている。「子供あり」家庭でも、子供の年齢が小さいうちは家事・育児時間が長くなるが(平均1.59時間)、成長するにつれ費やす時間は短くなっていく。また、正社員で働く女性の配偶者の方が、パート・アルバイトで働く女性の配偶者よりも、家事・育児時間が長く、家庭への参加がなされているようだ。



当ニュースリリースは、発表内容の一部を抜粋しています。調査発表の全文をご希望の方は、以下よりダウンロードいただくか、広報担当までご連絡ください。
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椛山 亮
上場
未上場
資本金
-
設立
1971年02月