難民・移民の子どもたちを狙う密航ビジネス 50万人の子どもたちが利用か【プレスリリース】

ユニセフ、支援と調査の必要性を指摘

 

 

イドメニの難民・移民のための一時受け入れセンターで休息をとる子どもたち。(2016年2月撮影)© UNICEF_UN011186_Georgievイドメニの難民・移民のための一時受け入れセンターで休息をとる子どもたち。(2016年2月撮影)© UNICEF_UN011186_Georgiev

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文は、 http://bit.ly/2chOFad からご覧いただけます。

【2016年9月2日 ジュネーブ 発】
2015年1月以降、約50万人の難民・移民の子どもたちが密航業者を利用しているとするデータが明らかになりました。手続きの遅れや絶望が、子どもたちを、その弱さを搾取しようとする犯罪者に向かわせることになっているのです。

ヨーロッパへ移民を密航させる闇の地下世界に光をあてるため、またよりよい対策をもたらすため、ユニセフは、欧州刑事警察機構・国際刑事警察機構、子どもたち自身からの証言、国連機関やNGOの資料及び報道を含む幅広い情報を収集しました。

難民・移民の子どもたちを狙う密航ビジネス

今週ユーロスタットが公表した数字によれば、2015年1月以降、ヨーロッパにおいて、58万人以上の子どもが保護を申請しています。欧州に入る難民・移民の90%以上が、犯罪ネットワークにつながる密航業者によって手助けされたとする、最近の欧州刑事警察機構・国際刑事警察機構の発表と合わせると、少なくとも50万人の子どもたちが、移動のどこかの時点で、密航業者を利用したと推定することができます。10万人近い同伴者のいない子どもたちは、特に密航業者の手に陥りやすいのです。

「国境を閉鎖するということは、扉には鍵をかけながら窓を開けておくようなものです。子どもたち、特に同伴者がいない子どもたちは、その窓からさらなる高いリスクを冒して出て行ってしまうのです」とユニセフのヨーロッパ難民危機特別コーディネーターであるマリーピエール・ポワリエールは言います。「各国は、子どもたちを保護する制度を強化すべきなのであって、より高い壁を建設するべきではありません」

難民・移民の波は一時よりは落ち着いたものの、国境の閉鎖、移民政策の強化やEU―トルコ合意は、犯罪組織が、これまでに築いてきた麻薬や武器の密輸のためにルートを利用して、難民・移民を移送することにつながってしまったのです。

「各国はしばしば、難民・移民の子どもたちが実際にかつ切実に求める権利とニーズへの対応ではなく、移民管理政策の観点から対応をとっています。もし、安全で合法的なオプションがあれば、子どもたちとその家族は、密航業者や人身売買業者が用意する危険な非正規のルートに向かうことを余儀なくされることはないのです」とポワリエールは言います。

人の密航及び人身売買は年間50億~60億米ドルの規模に上っていると推定されます。危険な旅をする人の数が減少する中、欧州刑事警察機構は、犯罪者たちは価格を3倍に上げ、多くの移民は片道3,000ユーロ支払っているとしています。

密航のために借金を抱える子どもたち

子どもたちの多くは密航のために借金を抱え、その借金の返済のために、密航業者からのさらなる搾取の危険におちいります。フランスやイタリアでは、借金返済のために、同伴者のいない子どもたちが性的行為や労働、犯罪行為を強制されたという事例が報告されています。

ユニセフは、難民・移民の子どもたちを保護するために、以下のようなことを緊急に呼びかけています。
・子どもたちを狙った密航および人身売買に関するさらなる調査・報告
・難民・移民が通過する国々、特にギリシャとイタリアでは、子どもの保護の関係者がすべての脆弱な難民・移民 の子どもたち、とくに同伴者のいないか離ればなれになってしまった子どもたちに対して、個別のカウンセリングや支援が提供できるようにする
・ヨーロッパ諸国の難民・移民の子どもたちへの対応に関連した、より徹底した質的データの収集

対応の質が向上し、72時間以内に個別インタビューが実施され、情報へのアクセスが改善され、おとなの保護者が指名され、個々の進捗状況が定期的に共有され、法的支援へのアクセスが改善されるなら、子どもたちが人知れず密航業者による旅に出る危険を大幅に減らすことができます。

ユニセフは、主要地域に子どもの保護の専門家による巡回チームを立ち上げ、移動する子どもたちに対してサービスを提供し、密航や人身売買の被害を受けている可能性のある子どもたちを早期に発見するための支援を行っています。例えば、アテネや周辺地域及びイタリアのランペドゥーサ島の港にある同伴者のいない子どもたちのための施設において、ユニセフの専門家スタッフとパートナー団体は、性的搾取の被害にあった可能性のある女性と女の子を見分ける手助けと彼女たちへの支援を行っています。また、ユニセフは、現在実施している、難民・移民の子どもたちが密航や人身売買によって受けている影響についてのモニタリングや調査を、今後も続けていきます。

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■ ユーロスタットによるデータ
ユーロスタットによるデータは、過去19カ月の子どもの保護申請者の数は、全てのヨーロッパ諸国において合計58万6,645人に上り、そのうち56万140人はEU諸国への申請であると公表しています。合計の数字は、子どもたちが複数国に保護申請することもあるため重複を含む可能性があるものの、保護申請をしていない、あるいはできない難民・移民の子どもたちの数は含まれていません。
http://ec.europa.eu/eurostat/tgm/table.do?tab=table&init=1&language=en&pcode=tps00189&plugin=1

■ 本件に関するお問い合わせ
日本ユニセフ協会  広報室 
TEL:03-5789-2016  FAX : 03-5789-2036  Eメール:jcuinfo@unicef.or.jp
または、
Sarah Crowe, UNICEF・ジュネーブ,   TEL:+41 79 543 80 29、Eメール:scrowe@unicef.org
Greg Jones,  UNICEF・ジュネーブ,  TEL:+44 77 92 154 497、Eメール:gregj@unicef.org.uk

 
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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