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株式会社帝国データバンク
会社概要

公益通報の窓口を設置・検討している企業は24.1% 公益通報者保護制度の浸透、道半ば

公益通報者保護制度に関する企業の意識調査

TDB

中古車販売大手による保険金不正請求や、雇用調整助成金の不正受給など、コンプライアンス違反が外部からの指摘を受けて発覚する事件が目立っている。こうした企業では、事情を知っている社内の従業員などが早くから声をあげれば被害を抑制できたケースが多い。

そのため、刑事罰や過料の対象となる法令違反について内部または外部に通報(以下、「公益通報」)した従業員等を解雇などの不利益な取扱いから保護する目的で作られた消費者庁が所管する公益通報者保護法がある。2020年6月の改正では、公益通報の受付窓口の設置など、対応体制の整備が求められるようになった。
改正した同法が2022年6月に施行されて1年以上が経過しているなか、大手企業であっても十分に対応できていない実態が社会全体で注目されている。

そこで、帝国データバンクは、公益通報者保護制度に関する企業の見解について調査した。本調査は、TDB景気動向調査2023年10月調査とともに行った。

<調査結果(要旨)>

  1. 改正公益通報者保護法に関して、「内容を理解し、対応している」企業は8.8%にとどまり、「言葉も知らない」(18.8%)は2割近くにのぼった

  2. 『公益通報の窓口を設置および検討している』企業は24.1%だった

  3. 設置のきっかけは、「社内のコンプライアンス強化」(78.8%)が8割近くに(複数回答)

  4. 設置の効果は、「経営上のリスクの未然防止・早期発見」が69.8%でトップ(複数回答)

  5. 設置しない理由、「窓口がなくても法令違反などの問題があれば社内で共有される」(51.9%)企業が半数を超えた(複数回答)

※  調査期間は2023年10月18日~31日、調査対象は全国2万7,052社で、有効回答企業数は1万1,506社(回答率42.5%)

※  本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している

※調査機関:株式会社帝国データバンク



改正公益通報者保護法について、内容を理解し、対応している企業8.8%にとどまる    

2022年6月に施行した改正公益通報者保護法に関して、自社の理解や対応状況について尋ねたところ、内容を一定程度理解したうえで『対応している』企業は19.7%となった。その内訳は「内容を理解し、対応している」が8.8%、「内容をある程度理解し、対応している」が10.9%だった。


他方、『対応していない』[1]は66.4%となり、とりわけ「言葉も知らない」(18.8%)企業は2割近くにのぼった。


『対応している』企業を業界別にみると、『金融』が56.5%と最も高く唯一半数を超えた。次いで、『農・林・水産』、『製造』(ともに21.9%)、『サービス』(21.8%)、『運輸・倉庫』(21.2%)が2割台で続いた。

また、従業員数別にみると、「1,000人超」(70.0%)の企業で7割、「301~1,000人」(57.4%)の企業で5割台となったが、規模が小さくなるほどその割合は低下していた。企業からも「零細企業には関係がないと思っている」(建設、愛媛県)や「全く知らなかったため、今後検討する」(飲食料品卸売、宮崎県)といった声が聞かれた。

 


公益通報の窓口を設置および検討している企業は24.1%でおおむね4社に1社

   

                 

 

自社における従業員等からの公益通報への対応体制について尋ねたところ、改正公益通報者保護法が施行される前である「(2022年5月以前)公益通報の受付窓口を設置している」企業は10.0%だった。また、改正法の施行後となる「(2022年6月以降)公益通報の受付窓口を設置している」企業は3.2%にとどまり、「公益通報の受付窓口の設置を検討している」企業は10.9%だった。


これらを合計すると『公益通報の窓口を設置および検討している』企業は24.1%で、おおむね4社に1社となった。

他方、「小規模企業のため、必要性を感じていない」(不動産、宮城県)といった声にもあるように、4割を超える企業で公益通報の受付窓口を「設置する予定はない」(41.2%)と考えていた。

 


企業の約8割は、 社内のコンプライアンスの強化をきっかけに公益通報の窓口を設置

         

              

『公益通報の窓口を設置および検討している』企業に対して、設置したまたは設置を検討するきっかけについて尋ねたところ、「社内のコンプライアンス強化」が78.8%と8割近くにのぼった(複数回答、以下同)。


次いで、「法律の施行」(44.9%)をきっかけにあげた企業が4割を超えている。

以下、「犯罪行為や不正行為が発生」(5.6%)や「取引先からの要請」(3.9%)が続いたほか、自社の所属するグループの方針で設置しているといった声も複数寄せられた。

 


設置効果は、「経営上のリスクの未然防止・早期発見」が7割近くでトップ

『公益通報の窓口を設置および検討している』企業に対して、設置による効果について尋ねたところ、現場のリスク管理強化を含む「経営上のリスクの未然防止・早期発見」が69.8%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「法律上の義務を遵守できる」(59.5%)、「従業員が安心して通報ができる」(53.7%)が5割台で続いた。


他方、「通報が少なく、特に効果を感じていない」(5.0%)とする企業も一定数存在した。

また規模別にみると、「大企業」は「中小企業」より、リスクの未然防止や従業員が安心して通報できることに対して、効果を実感している様子がうかがえた。

 

 

設置しない理由、「窓口がなくても法令違反などの問題があれば社内で共有される」が半数を超えた

         

              

公益通報の受付窓口を「設置する予定はない」企業に対して、設置しない理由について尋ねたところ、「窓口がなくても法令違反などの問題があれば社内で共有される」(51.9%)が半数を超えた(複数回答、以下同)。企業からも、「家族経営のため、必要性がないと考えている。また、法令違反をしないよう皆で気を付けている」(繊維・繊維製品・服飾品小売、岐阜県)などの意見が多数あげられている。


以下、「ノウハウがない」(34.5%)と「適切な人材を確保できない」(30.4%)が3割台で続き、「法律上の義務とされていない」(25.5%)が2割台となった。




本調査の結果、公益通報者保護制度について、内容を理解し対応している企業が1割程度にとどまるなか、言葉も知らない企業は約2割にのぼった。「このアンケートで初めて知った」(肥料・飼料卸売、兵庫県)というようにそもそも本調査で初めて同制度を認識したという企業も散見された。また、社内のコンプライアンス強化を中心に公益通報の窓口を設置・検討する企業は4社に1社となる一方で、4割を超える企業で設置を予定していないとしていた。


他方、設置企業の多くは「経営上のリスクの未然防止・早期発見」や「従業員が安心して通報ができる」などの効果を実感している。


ただし、同制度は大企業が対象で中小企業は必要ないと考える企業が多く、さらに、「公益通報者保護制度の周知がまだ出来ていないと感じる」(旅館・ホテル、神奈川県)や「従業員数50名程度の企業が何をしなければいけないかなど、周知されていないと思う。企業として重要なことであるという認識がほとんどない」(家電・情報機器小売、大阪府)といった声が寄せられ、国や行政からの積極的な主旨の説明や情報提供、啓蒙活動が必要といえるだろう。


現在、企業のコンプライアンス問題に起因する諸問題がたびたび報道されている。会社内部で十分な自浄作用が働いていない点が重要な問題といえる。企業はこの制度の内容を正しく理解し、ルールに沿った運用ができていることが自社の対外信用を高めることにつながる。それと同時に、国や行政は制度に関する丁寧な説明や中小企業にとって参考となるサンプル集などの情報提供を行うことが求められよう。



[1] 『対応していない』は「内容は理解しているが、対応していない」と「内容はある程度理解しているが、対応していない」、「言葉だけは知っているが、対応していない」、「言葉も知らない」の合計


   

企業からの主な声

  •   多国籍企業で企業側における内部告発者への報復措置の禁止などを従業員に対してeラーニングでの社内教育を10年以上前から行っている(化学品卸売)

  • 自社は親会社の仕組みに組み込まれる形で通報窓口の設置ができたが、中小企業では自前での設置は難しい。行政による窓口設置やボランティアによる対応など、コストがかからず、専門知識を持つ相談者を行政として無料もしくは低料金で提供するサービスがあれば有難い(メンテナンス・警備・検査)

  •  通報による事件等の早期発見・未然防止に効果があると思われる。一方で、情報の正確性や真実性について確認も必要で、悪用するケースも想定した対応が必要(金融)

  •  このアンケートに回答しながら思ったことは、窓口について従業員に認知されていない可能性がある(機械・器具卸売)

  •  不正を働く企業の従事者に通報窓口、守秘義務等の責任を設けて機能するのか?公的窓口を設けた方が通報しやすいのではと思う(医療・福祉・保健衛生)

  •  大事なことだとは思うが、インボイス制度や電子帳簿保存法対応で手一杯で何もしていない(看板・標識機製造)

  •  自社は少数精鋭の体制で経営しているため、公益通報の窓口がなくても情報の共有ができている。法令違反等があればすぐに改善できる体制を築いている(機械・器具卸売)

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本社所在地
東京都港区南青山2-5-20
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代表者名
後藤 信夫
上場
未上場
資本金
9000万円
設立
1987年07月
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