イノセントにパワフルに――ウィーン少年合唱団、来日60周年記念公演をWOWOWで独占放送。4年前に約束した贈り物を、再び届けてくれた天使たち。

ウィーン少年合唱団 来日60周年記念公演  6月27日(土)夜6:00[WOWOWライブ]

 

舞台袖から、カペルマイスター(楽長)のマノロ・カニン氏の先導で、歌いながら登場する団員たち。客席は不意を突かれたようにどよめいた。グレゴリオ聖歌「サルヴェ・レジーナ」の無垢な歌声が、ステージを教会の空間に変える。続く「カルミナ・ブラーナ」では、一転して悲壮感が支配した。わずか2曲で、光と影を見せつけられた思いがする。

ウィーン少年合唱団は4つの組に分かれており、それぞれに縁の深い作曲家の名を冠している。今年の日本ツアーは「ブルックナー組」が担当し、この日は「軌跡~初来日へのオマージュ~」と題するプログラムが披露された。

モーツァルトの教会音楽「ラウダーテ・ドミヌム」は、60年前の初来日時にも披露された曲。ソロを歌うフィリップ君は14歳。どこまでも透き通った歌声が、聴衆を天上の世界へ誘う。高音ばかり注目されがちだが、少年らしい地声のユニゾンも溌剌としていた。団員による日本語の曲紹介に、思わず顔がほころぶ。J.シュトラウスⅡ世のポルカ「雷鳴と稲妻」を一気呵成に歌い上げると、第1部はあっという間に終了した。
 

 


第2部のスタート……でも、ステージ上の団員が足りない!? 遅れて、民族衣装姿の4名がヴァイオリンなどの楽器を持って現れる演出だ。この他にもプログラム全体に、団員による楽器伴奏曲がいくつも組込まれていた。中盤では、誰しも聴き覚えのある名曲、ウェルナーの「野ばら」が披露された。幼き日の思い出がよみがえり、ふと時が止まったような感覚を覚えた。

と、ステージ中央に白い花瓶が置かれる。日本人団員のリュウセイ君によるリコーダー演奏――聴こえてきたメロディは、「花は咲く」だ。悲しみの大地に光射す歌を、団員たちは心を込めて合唱し、一輪ずつ花を捧げる。ブルックナー組は、東日本大震災の影響で、2011年の公演中止を余儀なくされていた。その歌声を聴いて確信する。彼らはみな、4年前の約束を果たすため、再びこの地に来てくれたのだと。

ウィーン少年合唱団は、紛れもないプロだ。舞台度胸は満点。歌声を自在に操り、照明や音響効果がなくとも、ステージの景色を一瞬で変えられる。人生の中で、ほんのわずかな期間しか得られない歌声――その研ぎ澄まされた美しさ、かけがえの無さが、聴く者の心を打つのだろう。イノセントでパワフルなプログラムだった。



■■■WOWOW番組情報■■■
ウィーン少年合唱団 来日60周年記念公演
放送日:6月27日(土)夜6:00[WOWOWライブ]
収録日:2015年6月11日
収録場所:東京 東京芸術劇場
http://www.wowow.co.jp/music/wsk/

写真 (c)www.lukasbeck.com
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