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社員総会とは?開催の目的・時期・内容と、企業の実施例3選

企業の歩みや業績を振り返る機会である社員総会。企業によって開催目的や開催時期も異なります。近年では、オンラインで開催されることも増えてきました。

社員総会は社員の自社に対する理解を深める場でもあるため、広報PR担当者が関わることもしばしば。本記事では、社員総会を行う目的や時期、その内容などを広報PRの視点でまとめていきます。

社員総会とは?

「社員総会」の正確な定義について調べると、以下のように記述されています。

広くは株式会社における株主総会なども含むが、一般的にはそれより狭い意味に用いられ、主として一般社団法人あるいは相互会社の総会をさす。

引用:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

このように、「社員総会」とは、本来は一般社団法人や株式会社における意思決定の場を指す言葉です。

しかし、一般的には「企業において年度ごと・半期ごとに社員が集まり、業績の振り返りなどを行う場」として認識されていることが多いでしょう。

本来の言葉の意味を考えると堅い印象を受けますが、実際のビジネスシーンでは「従業員をねぎらう」「社内のコミュニケーションを活発にする」という目的でカジュアルな雰囲気のもと開催されることも多くあります。

社員総会を行う主な3つの目的

社員総会を行う目的は、自社の業績を振り返るだけにとどまりません。大きく分けて3つの目的が考えられます。

1.社員のエンゲージメントを向上させる

1つ目は、自社に対する社員のエンゲージメント向上です。転職が一般的な選択肢になっている昨今、優秀な人材の流出防止は企業の重要な課題です。

社員総会を通じてあらためて自社のビジョンや経営理念について周知させることで、自身が自社で働く意味について考えてもらう時間となり、帰属意識を高める効果が期待できます。社員総会は日頃の業務から離れ、社員一人ひとりの目線を上げる時間となります。自社が何を目指して事業を行っているのかを確認し、自社で働く意味や仕事のやりがいをあらためて実感してもらえるでしょう。

2.インナーブランディングを強化する

2つ目は、インナーブランディングの強化です。社員総会ではトップから直々にビジョンや経営理念を伝えられたり、さまざまな社員と交流することができます。そうしたコミュニケーションを通じて自社のビジョンや価値観、自社で働く人々への理解が深まり、共感が生まれます。スターバックス コーヒー ジャパンやAppleなどの企業で知られるように、従業員自身がブランドに強く共感していると、彼らの態度から顧客を含むステークホルダーにブランドの価値が伝わっていくものです。社員総会を機に、社員自身に自社に対して共感や誇りを持ってもらうことで、企業としてのブランド強化につなげることができるでしょう。

3.社内の情報共有やコミュニケーションを円滑にする

3つ目は、社内の情報共有やコミュニケーションの円滑化です。社員総会のコンテンツとして表彰などを用意することで、他部署の功績や取り組みなどを知る機会となり、他部署の社員とコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。

また、懇親会やワークショップなどを通じて普段は関わりのないメンバーと交流することで、社内の「誰が何を知っているか」という情報の共有が進み、業務の効率が上がると考えられます。また、異なる知見を掛け合わせたイノベーションが生まれる可能性も広がります。

社員総会を行う時期

社員総会は企業によって年に1度の開催だったり、半期ごとの開催だったりと回数や開催時期にばらつきがあります。

基本的には繁忙期を避け、上場企業であれば株主総会の終了後や、会社決算終了後に開催するのがよいでしょう。

例えば株式会社PR TIMES(2月決算)の場合、4月に通期社員総会、10月に上期社員総会を実施しています。

おおよその時期が決まったら、経営陣などキーパーソンを中心に日程調整を行い、最終的な日取りを確定します。大規模なイベントとなるため、準備期間や会場の確保にかかる時間を見据え、早めに時期を決定しておくことをおすすめします。

社員総会の主な内容や企画・コンテンツ

社員総会を行うことが決まったら、目的にかなった内容や企画・コンテンツを準備する必要があります。社員総会で実施されることの多い企画やコンテンツの具体例をご紹介しますので、後述する事例と合わせて参考にしてみてください。

社員総会イメージ

1.自社の業績報告や今後の方針共有

社員総会の企画としてまず行われることが多いのは、自社の業績報告です。全体の業績報告だけ行うのか、部門・部署ごとの報告も行うのかなど、おおよその内容については企画段階で経営陣と十分にすり合わせておく必要があります。また、自社の業績報告に合わせ、今後の経営方針や戦略の共有も行えると社員の一体感が高まるでしょう。

業績報告は社員総会の重要なコンテンツとなるため、会の冒頭もしくは前半に組み込むことをおすすめします。

2.企業の代表からの挨拶・メッセージ

社員総会は、企業の代表が社員に向けて直接メッセージを発信できる数少ない機会です。

社員に向けたねぎらいや感謝の言葉、事業に対して抱いている想い、人となりが伝わるエピソードなどを本人の言葉で伝えてもらいましょう。

一方的に話し続けることは話し手・聞き手双方にとって負担になるため、5分以内で手短にまとめるか、近しいメンバーとのトークセッションなどの形式で実施することをおすすめします。

3.部署間で交流できるゲームやワークショップ

情報共有やコミュニケーションを活発にするという観点で、ゲームやワークショップなど社員同士が交流できるコンテンツもぜひ実施したいところです。

具体的には、自社に関するクイズを出題するなどが考えられます。チーム戦にし、部署や部門を混合したメンバーを編成することで普段は関わりのない社員との交流も可能になります。モノづくり体験ができるワークショップなども、イベントの記憶を記念品として形に残すことができ、効果的でしょう。

4.チームや個人の表彰

成績優秀者や部署、プロジェクトチームの表彰は、社員総会の代表的なコンテンツです。社員総会での表彰は、従業員が業務に励むうえで大きなモチベーションになり得ます。表彰の時間は長めに確保し、濃い内容になるよう心がけましょう。

表彰者の選定方法は企業によって異なり、事前にプロジェクトチームや役員が選出しておき、当日発表のみ行うケース、候補者が当日ピッチを行って社員の投票によって決定するケースなどがあります。賞の内容も企業によってさまざまなため、自社の評価制度と照らし合わせつつ、「社員のモチベーション向上につながる」という観点で最適な表彰の仕組みを考えてみてください。

賞の例

  • MVP(Most Valuable Player)、MVT(Most Valuable Team)……企業全体でもっとも活躍した個人・部門を表彰
  • 新人賞……一定の年齢や社歴の社員の中で、もっとも活躍した個人を表彰
  • マネジメント賞……マネージャーの中でもっとも活躍した個人を表彰
  • バリュー賞……企業のミッションやバリューをもっとも体現した個人を表彰

5.懇親会

社員総会の終了後、もしくは第ニ部として、食事の席を設けて懇親会を開催しましょう。オンライン開催の場合は、社員の自宅に食品や飲料を事前に配送できるサービスなどを活用できます。

社員総会で全社の一体感が高まった状態でインフォーマルな場を用意することで、活発なコミュニケーションが生まれやすくなるでしょう。

懇親会の最中に会話が盛り上がるよう、社員の様子や企業に関するハイライトなどをまとめた映像コンテンツを流すのもおすすめです。

社員総会の開催に向けて広報PR担当者が行いたい6つのこと

開催までに広報PR担当者が関与する事柄は多くあります。ここからは、社員総会の開催にあたって広報PR担当者が行いたい業務を6つ紹介します。

企画

1.全社への案内

1つ目は、全社への案内です。日頃の情報収集活動などを通じて、広報PR担当者は各部門のメンバーと面識があることが多いでしょう。そのネットワークを活かし、社員総会開催の案内を全社に漏れなく進めたいところです。

社員総会は基本的に全員参加を前提としていることが多いですが、中には諸事情で不参加となる社員もいます。また、オンライン・オフラインのハイブリッド形式で開催する場合などは、参加形態についても事前に把握しておく必要があります。

円滑に参加状況を把握できるよう、GoogleフォームやTayoriなど、回答しやすいアンケートフォームを活用するのがおすすめです。社外のステークホルダーも招待する場合は、紙の案内状などを作成するのもよいでしょう。

全社への案内の際は、参加可否を問うだけではなく、社員総会を開催する目的や趣旨もきちんと共有します。

2.準備の記録・発信

2つ目は、開催までの準備や当日の様子について記録し発信を行うことです。

社員総会の準備は数ヵ月にわたって行われることが多いでしょう。そうした日々の活動記録は、オウンドメディアやSNSを通じて広報PRのコンテンツとして発信することができるほか、運営チームのメンバーに変更があった際の引き継ぎ資料にもなります。広報PRチームが社員総会の運営に関与していない場合でも、積極的にミーティングなどに参加させてもらうようにしましょう。

次項で説明するコンテンツチェックの観点でも、広報PR担当者がオブザーバーとしてミーティングに参加することは望ましいといえます。

3.コンテンツの品質チェック

3つ目は、総会にまつわるクリエイティブやコンテンツの品質チェックです。実施予定のコンテンツや制作予定のクリエイティブが企業の方針や価値観からずれていないか、広報PRの目線でチェックを行いましょう。

  • パンフレットや映像など、制作物のデザインや文言が企業のトンマナ(トーン&マナー)に合致しているか
  • 表彰の内容や理由がすべての社員にとって納得のいく内容になっているか
  • クイズなどのゲーム・ワークショップの内容が自社らしいものになっているか、社員総会の目的にかなっているか

などの観点は注意しておきたいところです。

4.ガイドライン・ポリシーの策定と周知

4つ目は、社内に向けたガイドラインの策定と周知です。社員総会を開催している間の業務対応についてまとめたり、ワークショップやゲームで参加者の個人情報を使用する場合はその扱いを定めたりする必要があります。

また、社員総会中に業務や会場でインシデントが発生した場合など、緊急事態に備えて危機管理マニュアルの準備も進めます。社外の関係者も招待している場合は、社外向けにポリシーとして作成し事前に共有しましょう。

5.イベント終了後のアンケート調査

5つ目は、社員総会終了後のアンケート調査です。社員総会の目的がどれほど達成されたかをアンケート調査し、今後の事業運営や次回の総会のコンテンツ設計に活かすため、必ず行いたいところです。

イベント終了後なるべく早い段階で、良い点と悪い点どちらも忌憚(きたん)なく意見をもらえるよう、匿名で調査を行うことをおすすめします。

余裕があれば、開催当日だけでなく、1ヵ月後・3ヵ月後などにも追跡調査を行い、長期的な影響も見られるとよいでしょう。

6.社員総会のレポート

6つ目は、社員総会当日の様子をイベントレポートとしてまとめることです。

広報PR担当者として、社員総会当日のレポートは必ずオウンドメディアやSNS、プレスリリースを通じて発信したいところです。イベント開催日から時間が空くと新鮮味が薄れてしまうので、1週間以内の掲載を目指しましょう。

イベントレポートの書き方には2種類あります。ひとつは広報PR担当者が自ら執筆するパターン。社員の目線で熱量の高いレポートを書くことができますが、日々の業務の合間に行うので掲載までに時間がかかるのがデメリットです。

もうひとつは、社外のライターに執筆をお願いするパターンです。当日参加してもらう必要があり費用もかかりますが、精密なイベントレポートを迅速に発信することが可能です。

自身の業務量や広報PRチームの予算と照らし合わせながら、最適な方法でイベントレポートを発信しましょう。

実際に開催された社員総会の事例

ここからは、実際に企業が開催した社員総会の事例を紹介します。自社らしさを社員総会の企画やコンテンツにどう落とし込むか、ぜひ参考にしてみてください。

書き初めを起点に社員と会社の志を見直す

建設業を手がける株式澤村は、全従業員参画型の経営方針発表会『SAWAMURA VISION』を開催。

同社は過去3年で従業員が1.5倍に増加しており、拠点の分散が進む中、経営層や従業員の間のコミュニケーション減少が課題となっていました。

社員総会では、グループごとに自社の強み・課題・伸びしろポイントを整理するワークショップや、「書き初め」体験を実施。自社の将来像を自分事として一人ひとりに書いてもらう社員総会となりました。

参考:会社と個人の未来を「書き初め」で見つめ直す社員総会『SAWAMURA VISION』開催

審査を勝ち抜いた社員がプレゼンテーションを実施

株式会社デジタルホールディングスは、グループ全体の社員総会『New Value Forum 2022』を、リアルとオンラインとのハイブリッド形式で開催しました。

2020年に商号を変更し、2021年には新たにパーパスを制定するなど、企業として変化点を迎えている同社。社員総会では、約150件の応募の中から2回の審査を勝ち抜いた5名の社員が、コンセプトでもある「新しい価値創造」につながる取り組みをプレゼンテーションする企画を行いました。

また、イベントのためのロゴや2分半にわたるオープニング映像などビジュアル要素もコンセプトに沿った形で準備し、会全体の盛り上がりにつなげています。

参考:デジタルホールディングス、「新しい価値創造」への情熱と挑戦を讃える社員総会『New Value Forum 2022』を開催

完全VRで実施し、先進性を社会にアピール

NPO法人バーチャルライツはメタバースプラットフォームである「NeosVR」を利用し、VR空間のみで社員総会を開催しました。
VR文化の発信とユーザー・クリエータの権利擁護を目指し活動する同団体は、メタバース空間が法人レベルでも活用できることの周知を目的にこの取り組みを実施。総会招集通知には「開催場所:NeosVR」と記載され、VRアバターの挙手で議決が採られたほか、VRサインによる議事録署名が行われるなど、新しい法人運営の形を提示する社員総会となりました。

参考:VR社員総会にVRサイン『メタバース』が生み出す法人業務の形/NPO法人バーチャルライツ総会報告

一体感を高める場として社員総会をフル活用しよう

社員総会は、企業の歩みや業績を振り返る重要な機会です。近年ではオンラインで開催されることも増えてきていますが、開催の基本的な目的は「社員のエンゲージメント向上」「インナーブランディングの強化」「社内の情報共有やコミュニケーションの円滑化」に大別されます。

社員総会は社員の自社に対する理解を深める場でもあるため、広報PR担当者が関わることもしばしば。全社への案内や、開催までの準備の記録・発信、コンテンツの品質チェック、ガイドラインやポリシーの策定など、各ステークホルダーに配慮し、最適な形で開催できるよう注意深く準備を進めましょう。イベント終了後も気を抜かず、アンケート調査やイベントレポートの発信などを行います。

社員総会という場を存分に活用し、企業のさらなる成長をサポートしましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

社員総会に関するQ&A

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この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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