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インターンシップを採用につなげるための5つのポイント・選考項目などを解説

就職を希望する学生とのコミュニケーションの場として活用される「インターンシップ」。人事や採用広報の担当者なら1度は検討したことがありますよね。株式会社リクルートが発表しているアンケート調査では、2019年卒の内定者1239人のうち62.0%がインターンシップに参加したと回答しています。就職活動をする学生の立場でも、インターンシップは企業選びに欠かせない要素のひとつになっているのです。

しかし、インターンシップを通して実際の採用につなげるにはどうしたらいいのか、頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、採用につなげるためにインターンシップをどのように活用すればいいのか、そのポイントや成功事例をまとめました。

インターンシップの種類

インターンシップとひと口に言っても、その種類は多様です。採用につなげるインターンシップのためには、それぞれの目的やゴールによって、開催形式を選ぶことが大切。今回は、期間、形式、報酬の3つの観点からインターンシップの種類をまとめました。

1.期間

インターンシップは期間によって、3つに分けることができます。

  • 1dayインターンシップ
  • 短期インターンシップ
  • 長期インターンシップ

1dayインターンシップは、1日で完結する数時間のインターンシップです。内容は、企業の説明やセミナー、ワークショップなどが行われます。企業側の企画や運営コストを抑えられる、スケジュールの忙しい学生でも気軽に参加ができるといった点がメリットです。母集団を形成するために多くの学生を集めたいといった目的で活用できます。一方で、時間が短いことから深い企業理解ができないといったデメリットもあります。

短期インターンシップは、数日〜1週間程度の期間で実施されます。採用している企業が多い、もっともスタンダードな形式です。企業説明やセミナーはもちろん、課題解決のためのワークショップや実際の就労体験などを通じて、企業理解を深められます。企業側も学生とコミュニケーション能力や思考力などを見ることが可能です。

長期インターンシップは、1ヵ月から長いところでは半年以上続くものもあります。デザイナーやエンジニアといった制作業務を担当する職種で行われることが多いです。実際に職場のメンバーの一員として参加することが多く、実際に社員とコミュニケーションしながら業務を進めていきます。学生側は、短期インターンシップ以上に社風や業務内容を深く理解できることがメリット。企業側も、時間をかけてこそわかる学生の能力や人柄などを確かめることができます。長期インターンシップは、そのまま卒業後に就職となるケースも多いため、即戦力となる学生が欲しい場合は、新卒採用後のオンボーディング期間として捉えられる場合もあります。

期間が長くなると運営のコストが増えていくというのが、短期、長期インターンシップのデメリットです。しかし、学生の素養を見るという目的であれば、ある程度まとまった期間で実施するほうがよいでしょう。

2.形式

インターンシップの実施形式にもさまざまな種類があります。今回は比較的ポピュラーな4つの形式をご紹介します。

  • 講義型
  • ワークショップ型
  • 職場体験型
  • 就労型 

講義型は、企業の業務内容に関する説明や社会人に必要なスキルに関する講義をセミナー形式で行います。会社説明の場をインターンシップと捉える場合もあります。企業の理念やどのような企業活動を行っているかなど、概要について知ってもらう機会として活用されています。1dayインターンシップではこの形式が多いです。

ワークショップ型は、企業側が用意した課題に対して何かしらのアウトプットを出す体験型のインターンシップです。実際にその職場で就労を体験しなくても、仕事の一部を擬似体験できます。新規事業や企画の立案などを、数人のグループワークでまとめ、最後に発表するといった内容が一般的です。

職場体験型は、職場の見学や一部の業務に対するワークを行う形式です。社員とのコミュニケーションの場を設けるなど、働く人のリアルな声を聞いて疑問や不安を解消できます。短い期間でも社風や業務内容を理解できるため、自社の理解を深めてもらう目的で実施されます。

就労型は、長期インターンシップでもっとも多く採用される形式です。実際に職場のメンバーとして業務を行います。教育担当者やメンターなど、社内からも人員を割く必要があります。期間中に適切な振り返りやフィードバックを繰り返すことで、スキルアップにつながる、実際に社員として働くイメージをしやすい、企業と参加者の相互理解が深まる、など自社へのエンゲージメント向上効果が見込めます。

3.報酬

インターンシップでは、参加者に対して報酬が支払われる有償型と、無償型の2つのパターンがあります。

有償型は、就業型の長期インターンで採用されることが多く、社員と同様の業務を行う対価として報酬が支払われます。無償型は、1dayインターンや短期インターンで行われる、講義型やワークショップ型などが該当します。

インターンシップを開催する3つのメリット

インターンシップを行うと、企業にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは、特に採用活動の中でインターンシップにどのようなメリットがあるのか、を3つの視点から解説します。

メリットとは

1.多くの学生を集めて母集団形成できる

インターンシップを開催すると、一度に多くの学生を集められます。新卒の就職活動では学生側もわからないことが多く、直接企業側から話を聞ける機会や、職場を体験できる機会を求めています。インターンシップは、企業や業界の情報を収集するためにもちょうどよい機会。自社への就職を希望している学生以外も参加しやすいので、幅広く学生を集めることができ、母集団形成に役立ちます。求人広告や採用サイトの掲載に加えて、インターンシップを開催するとより大きな母集団を形成できます。

2.自社での活躍イメージを持ってもらえる

インターンシップは、学生が企業活動を体験できる機会です。学生は、企業や職種に対して抽象的なイメージを抱いています。インターンシップは、イメージと実態のギャップを体感できる場所です。業務内容や実際に働いている社員に触れることで、イメージを具体化できるのです。

学生と社会人との差を感じることができるのもインターンシップの醍醐味。自分のできること、まだできないことを把握して、自分の現在地を知ることができます。自己理解を通じて、企業の中でやるべきことや自分ができるようにならなければならないことがわかり、働くイメージや活躍イメージを抱いてもらいやすくなります。

3.企業と学生の相互理解を深められる

インターンシップは、企業と学生が相互理解を深められる機会です。学生は、企業のメディアなどで露出している部分しか知り得ません。しかし、それは氷山の一角。インターンシップを通じて、内側ではどのような企業活動や文化があるのかを知ることで、より自社のことを理解してもらえます。企業にとっても、新卒として採用する世代がどのようなことを求めているのか、リアルな声を聞くチャンスです。

特にBtoB企業においては、提供しているサービスや商品、それらを誰が作り広めているか、など日常の生活ではわからないことも多いです。インターンシップによって知ってもらう機会を作れるため、学生に自社を知ってもらう入り口にもなります。

インターンシップの面接での選考ポイント

インターンシップのために、面接を実施して選考を行う場合があります。参加者を選考するに当たっての観点は多種多様です。今回は、採用につなげるために面接の段階から確認しておきたい3つのポイントをご紹介します。

ポイント1.自社の社風へのマッチ度

採用を見据えたインターンシップでは、自社の社風にマッチする人物か、その素養があるかを確認しておきましょう。直接の採用面接ではないので、人となりの細部までは不要です。どうして自社に興味を持ったのか、どうしてインターンシップに参加したいのか、など、自社と接点を持とうと考えた動機から、学生が求めているものと自社が提供できるものがマッチしているかどうかを判断します。

【質問例】

  • なぜ弊社のインターンシップに参加したいのですか
  • インターンシップを通じてどんなことを経験したいですか
  • インターンシップに期待することは何ですか

ポイント2.コミュニケーション能力

インターンシップに参加するに当たって、コミュニケーション能力も大切です。インターンシップは、接する人も場所も取り組むこともすべてが初めてのことばかり。その環境の中で、情報共有や意思疎通ができるかどうかを面接で確認しましょう。

【質問例】

  • 自己紹介をしてください
  • 苦手なタイプはどんな人ですか、その人に対してどのように対応しますか
  • 自己PRをお願いします

実際の採用を見据えた場合には、高いコミュニケーション能力を必要とするでしょう。面接でそこまで見抜くことは難しいですが、インターンシップを通じて共同作業をすることで見えてくる部分もあります。まずは、誰とでもどんな環境でも意思疎通ができるかどうか、を確かめましょう。

ポイント3.行動力・実行力

学生の本来持っている行動力や実行力も、確認しておきたいポイントです。主体性を持って課題解決のために取り組めるかどうか、自ら考えて行動することができるかどうかを、過去の経験などを聞くことで確認しましょう。

【質問例】

  • サークルやアルバイトでは、どのような経験をしてきましたか
  • 大学ではどのようなことを勉強していますか
  • 大学生活の中で苦労したエピソードを教えてください

インターンシップから採用につなげるための5つのポイント

インターンシップを実施して終わりではなく、採用につなげるためには気をつけるべきことがあります。そのポイントを5つにまとめました。

インターンシップイメージ

ポイント1.学生のニーズを満たす設計にする

インターンシップを設計するときには、参加する学生のニーズを満たす設計にすることを心掛けましょう。たくさんの学生に自社に興味を抱いてもらう、就職先として自社を候補にあげてもらうことがひとつのゴールです。自社の魅力を一方的に伝えるのではなく、業界についてもっと知りたい、実際に就業してみて適性があるか知りたい、といった参加する学生の欲求にも応えるプログラムが必要です。

ポイント2.“体験型”のプログラムを設計する

インターンシップのプログラムは、体験型の設計にします。会社説明を聞いて、事業内容や制度などの情報は理解できたとしても、それだけでは自社に対するエンゲージメントを上げることはできません。エンゲージメントを向上して、入社したいと思ってもらうためには、少しの時間でも「一員として関わった」という体験があるとよいでしょう。長期の就業型インターンシップのような形である必要はありません。短時間のワークショップや座談会などでも十分です

ポイント3.社員とコミュニケーションする機会がある

既存社員と学生がコミュニケーションする機会を作ることも大切です。学生の疑問や不安を現場の人の声で解消する、という目的で座談会などを設置しているインターンシップもよく見かけます。疑問や不安解消はもちろんですが、インターンシップ中のメンターやフィードバック担当として社員とコミュニケーションする機会を設けることも効果的です。学生にとって社員は、自社で働くときのロールモデル。自分が組織の中で活躍する姿や、将来のキャリアについてイメージしやすくなります。

ポイント4.参加者個人の振り返りやフィードバックを行う

インターンシップの最後や日程が終了したあとに、参加者の振り返りやフィードバックの場を設けるようにしましょう。インターンシップを通じて学生は、初めてのことに触れたり、学んだりとたくさんの経験をしています。中でも重要なのが、自分の社会人としての現在地を把握できる、ということではないでしょうか。インターンシップは、既存社員との大きな差を実感する機会です。振り返りやフィードバックによって、自分がやるべきことに気づける、というのも学生にとってはメリットです。しかし、それ以上に目指したいのは、現在地を把握した上でこの会社なら自分は成長できそうだ、と思ってもらうこと。アドバイスなども交えながら、入社後の成長や活躍のイメージを具体的に抱いてもらえるようにしましょう。

ポイント5.インターンシップ終了後も定期的にフォローする

インターンシップ終了後も、参加者を定期的にフォローしましょう。インターンシップに参加してくれた学生には、自社への志望度や熱量をキープしてもらうことが必要です。そのためには、インターンシップの期間だけのコミュニケーションではなく、定期的なコミュニケーションをとってリテンションを行います。具体的な施策はさまざまですが、一般的には、社員との座談会や食事会を行う、クローズドのインターンシップに参加させる、選考を一部優遇する、などです。

採用に直結するインターンシップ事例

インターンを採用に活かしている企業では、どのような取り組みをしているのでしょうか。個性的な取り組みをしている3社を事例としてご紹介します。

事例1.株式会社サイバーエージェント

インターネットメディア運営や広告事業を行う株式会社サイバーエージェントは、多種多様なインターンを実施しています。期間も2日間という短期のものから半年間という長期のものまでさまざまです。中でも特徴的なのが、クリエイター向けの内定直結型のインターンです。参加する学生は、3日間で実際にアウトプットを出したり、社員からの本気のフィードバックを受けることができます。インターン参加者は本選考での一部選考が免除される、インターン期間中の成績が優秀だった参加者はクローズドの特別インターンに参加できる、など採用に直結する仕組みを取り入れています。

事例2.第一生命保険株式会社

生命保険サービスを提供している第一生命保険株式会社は、短期インターンを実施しています。第一生命の多岐にわたる業務分野を体験する、統計学を用いて保険料などの算出などを体験する、テクノロジーを用いた生命保険領域のイノベーションを体験する、という3つのコースが用意されています。グループワークを通じて実際の業務に触れながら、短期インターンでも生命保険業界の理解を深められる設計です。ほかにも、実際の社員や内定者との座談会も実施しています。業界理解に加えて、入社した場合の疑問も解決できる機会を作っています。

事例3.株式会社キュービック

デジタルメディア事業などを提供している株式会社キュービックでは、100名以上の学生インターンが働いています。”「超」実践型の長期インターン”を掲げて、積極的に有給の長期インターンを行っている企業です。インターンの業務内容も多岐にわたり、広告企画、デザイン、経営企画など社員と同じ業務を経験することができます。スキルアップサポートやインターンのMVP表彰制度などの各種制度も整えられており、学生が職務内容だけでなく、社風を含めた実際の働くイメージを抱きやすい環境です。

インターンシップを活用して、採用の幅を広げよう

インターンシップの開催を、その後の採用につなげるという観点からご紹介してきました。新卒採用では、求人広告や大学に求人票を出すことなどに加えて、インターンシップを活用すると、母集団形成や希望者の質を高めることにつながります。

ただ単にインターンシップを開催するのではなく、目的やゴールに応じた形式で行えば、効果を最大限に引き出すことができるでしょう。ぜひ、採用活動の中で活用してみてください。

インターンシップに関するQ&A

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この記事のライター

長瀬 みなみ

長瀬 みなみ

ITベンチャーにて広報PRを担当したのち、ヘルスケアベンチャーにて広報PR部門の立ち上げ、ブランド責任者として取締役就任。YouTubeチャンネル運営など、さまざまなメディアを活用した分ランディングや広報活動を行う。独立後は、広報PR・ブランディング・コミュニティ運営など幅広く活動している。これまでの経験から広報・ブランディングに関する戦略立案からプレスリリース執筆まで幅広くカバーしたコンテンツを作っています。

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