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機能するマニュアルを作成する6つのコツとは?運用時のポイントも解説

業務の効率化や標準化を図るため、また属人的な運用を避けるために必要なマニュアル。特に、複数の部署や人と連携が必要な場合、携わる人の入れ替わりが頻繁な場合には必要不可欠です。

今回は、マニュアルを作成するメリット、そして機能するマニュアルを作成するコツと運用時のポイントを解説します。

マニュアルの役割や作成するメリットとは?

社内にマニュアルがあることで、業務の標準化、業務の流れや役割を明確に示すことができます。

企業に属する人の作業を効率化させるだけでなく、業務全体の整理にもつながるうえ、企業ナレッジを共有しやすい組織づくり、新入社員の指導などにも役立ちます。

ここでは、マニュアル作成を作成することで得られる3つのメリットをご紹介します。

マニュアル作成

1.業務を標準化できる

マニュアルがあることで、業務の意義や完遂するためにどのような行動が必要かなどの社内の知識に偏りをなくし、標準化できます。

業務のクオリティを担保するためにも、業務内容や流れをわかりやすく整理し作成するようにしましょう。

また、業務の責任の所在を明文化しておくことで、従業員が安心して業務に取り組めます。

2.   不測の事態に備えることができる

業務の指揮系統および行動判断の基準がマニュアルに示されていれば、従業員が安心して業務に取り組め、対応のバラつきも最小限に抑えることができます。

マニュアル内にあらかじめ想定されるトラブルに関するFAQを設けておくことも有効です。

不測の事態に備えた内容を盛り込めば、業務に業務に関わる人を守るだけでなく、取引先やお客さまに対するサービスの担保にもなります。

3.業務の属人化を回避できる

社内マニュアルを作成することで、業務が属人化しないようにできます。

さまざまな経験を持った人が集まる企業では、それぞれの知見に基づき業務の進め方や判断にバラつきがでてしまうこともあります。

また、同じ情報を全員が共有することで、特定の担当者に依存しなくても済み、思わぬトラブルが発生したとしても、途中から担当者を替えるなどの対策をとることができます。特定の人に責任が集中しないようにするためにも、社内で業務の共有ができるようにマニュアルを作成しておくことは、組織全体の安全性を保つことにつながります。

マニュアルは、不測の事態に対する対応力の強化にもなるでしょう。

機能するマニュアルを作成するための6つのコツ

続いて、機能的なマニュアルにするために、必要な6つのコツをご紹介します。マニュアルをアップデートする際にも、これらのコツは有効です。

コツ1.マニュアルの目的を宣言する

このマニュアルは誰に向けたもので、何を解決するためのものかということをはじめに宣言しましょう。表紙や最初の項目に明記することで、社内の管理もしやすくなり、マニュアルを見直す際にも効果的です。

宣言する目的は、ひとつのマニュアルにつき、ひとつに絞り込みましょう。「あらゆる目的を解決する最強のマニュアル」は存在しません。本当に必要なとき、どのマニュアルを読めばよいかが明確にわかるよう、細分化することが大切です。

コツ2.   細かく章立てする

業務の対象者を明確にしたうえで、実際の行動に対応するよう、細かく「章立て」をしましょう。

細かく定義することで、読み手が求める答えを最短距離で示すマニュアルとなり、実際の業務に即した活用へとつながります。

特に認識のズレや見落としの起こりやすい行程については、ステップ・バイ・ステップ形式で記述していくとよいでしょう。マニュアルの制作担当者と、実際にマニュアルを使用する現場担当者が異なる場合は、入念にすり合わせを行い、現場の肌感覚に沿ったマニュアル作りを心掛ける必要があります。

コツ3.読み手の目線で書く

誰が行う業務かを明確にし、その読み手が想像しやすいよう、実際の業務フローを忠実に再現した構成を心掛けましょう。業務を疑似体験できるように、読み手を主体とした目線で作成することが秀逸なマニュアル作りのコツです。

ほかの担当者や部署などと連絡や連携が必要である場面は、その人の責任の境目を明確に示すことが可能となります。

コツ4.テキストは簡潔に、図表や写真・動画も活用する

文章はできる限り簡潔な表現を心がけ、一文が長くなりすぎないようにすることも大切です。業務のマニュアルにおいては、専門用語や社内での独自用語を用いる必要のある場面も出てきますが、その場合も読み手の習熟度に応じて、必要であれば注釈をつけたり、一般的なわかりやすい表記に変えるといった配慮を心掛けましょう。

また、より具体的なイメージがわくように、ビジュアルを入れ、行動を頭の中で映像として再現してもらえるよう工夫しましょう。

特に、新入社員やはじめてその業務に携わる人を対象にしたマニュアル作りでは、文字だけではなく図表や写真などを入れてわかりやすく作成するようにします。

コツ5.イレギュラーな対応事項をカバーする

想定外のイレギュラー対応もマニュアルに記載しておくと、いざという対応のヒントになります。

例えば、よく起こりがちなトラブルをあらかじめ想定し、具体的な対処法を示しておきましょう。そうすると似たような事態が発生した場合も、読み手はそれを参考に行動を決めることができ、恣意的な判断のブレや対応のバラつきを最小限に抑えることができます。また、責任者の連絡先や関連部署などを明確にしてあれば、対応に迷う心配がなくなります。

コツ6.FAQを記載する

マニュアルには、業務時に「こういうとき、どうすればよいかを知りたい」という疑問を解決できるよう、一問一答のFAQ形式で記述し「困ったときの辞書」として活用してもらえるように作成します。

ベースとなるFAQ作りは、実際の業務にあたる現場担当者にヒアリングをし、日々の業務で実際に起こったこと、または起こりうるケースを盛り込んでいくことが大切です。何かあったとき、手に取ってもらいやすい存在となれば、マニュアルの価値は大きく向上し、本来の意味で「生きたマニュアル」として機能するでしょう。

マニュアルを作成するときの流れ

マニュアルは、ただ単に作成すればよいというものではありません。誰を対象としているのか、どのくらいの習熟度を持った読み手を対象とするのかで、その作り方は大きく変わっていきます。ある意味、制作する前の準備、構成作業で、マニュアル作りの9割は占められるといっても過言ではないでしょう。

以下では、マニュアルの制作工程を4つのステップに分け、それぞれの段階で大切にするべきポイントをまとめていきます。

ポイントをまとめるイメージ

STEP1.対象者を明確にし、情報の粒度を決定する

まず、対象者を明確にします。同じ業務のマニュアルでも、新入社員など業務そのものへ初めて触れる人向けと、すでに業務を熟知したベテラン向けは伝えるべきことが変わるように、対象者によってマニュアルで伝えるべき情報の粒度が大きく異なります。

業務そのものを理解するためのものか、すでにある業務の行動基準を統一するためのものなのかなど、目的は何かをはっきりと定義しましょう

STEP2.項目を洗い出し、章立てを行う

網羅性、客観性を持たせるためにも、執筆に取り掛かる前にまず、マニュアルで説明したい項目を箇条書きにして整理し「章立て」を行いましょう

説明したい業務のカテゴリーを定義する大見出しを設定、その後、業務の内容を示す中見出し、具体的な個々の業務内容を示す小見出しの順番に記述していきます。見出しを読み進めるだけで、マニュアルで説明したいことの概要がだいたい伝わるよう、情報の粒度や順序を吟味していくことが大切です。

章立てをした段階で、読み手となる人に見てもらうのもよいでしょう。その人が項目を読み上げ、おおよその内容を把握できれば、マニュアル作りはほぼ完成したといっても過言ではありません。

STEP3.章立てした項目に沿って、本文を作成する

章立てが完了したら、執筆に取り掛かりましょう。読み手が実際の業務フローを頭の中で想像できるよう、行動を台本のように書いていきます。誰でもわかるように、専門用語はなるべく使わず、やむをえず使う必要がある場合は、注釈を設けるか、説明用の項目を設定するなどして対応しましょう。反対に、対象者間で普段使用する用語がある場合も添えておくと親切です。

基本的には、ひとつのオペレーションに対し、ひとつの章で完結するように書いていきます。メールの返信や受け答えなど、毎回同じ対応を求められるタスクやフローに関しては、文面のテンプレートやスニペット(雛形・文例)を用意すると、人によって対応にバラつきが出ることを防ぎ、業務のクオリティを一定に保つことができます。

STEP4.実際の対象者の目を通し、磨きをかける

マニュアルの文章作成を終えたら、内容を口頭で読み上げ、実際にそれを使用する人に聞いてもらいましょう。意図した内容がきちんと伝えられるかを確認するためです。

伝わりにくい箇所あれば、言葉を平易な話し言葉に近づけるなどして修正しましょう。相手にきちんと内容が伝わるまで磨きをかけることで、「生きたマニュアル」ができあがっていきます。

マニュアルを作成するのにおすすめのツール

文章の構成から執筆、管理にいたるまで、効率的なマニュアル作りに有効活用できるツールが多く存在します。アプリやソフトをインストールすることなく、ブラウザ上で使用できるクラウドサービスや、ライセンス料のかからない無料のツールもありますので、この機会にぜひ活用を検討してみてください。ここでは、代表的なツールを4つ取り上げ、その特徴を紹介していきます。

Tayori

Tayori(タヨリ)は、PR TIMESが提供するクラウド情報整理ツールです。フォームやFAQ、アンケート、チャットの機能が標準搭載されているので、マニュアルに対する質問や要望をフォームで受け付けたり、使い勝手についてのフィードバックをアンケートでもらうなど、マニュアル作成後のアフターケアに役立てることができます。

FAQ機能は、業務上頻出する対応や疑問に対して、シンプルなドキュメントで回答文を設置することができ、さらにフリーワードによる検索もできます。あらかじめ定義されたカテゴリーに依存せず、気になったキーワードを手軽に検索できるため、作成したマニュアルを知識データベースとして活用することも可能です。作成したFAQはネット上に公開することもできるため、BtoCにおけるユーザーマニュアルの作成・管理にも便利です。

カスタマーサポートツール「Tayori」

Google ドキュメント

Googleが提供する、文書作成ツールです。一般的なワープロソフトと変わらないインターフェースを持ち、ブラウザからも利用することができます。編集内容はGoogleドライブに自動保存されるため、Webが閲覧できる環境であればどこでも操作できるほか、複数人での編集に対応しています。

コメントや校閲機能など、チーム単位で分担してマニュアルを作成するのに便利な機能のほか、編集履歴も自動で管理されるため、修正をしたい場合など、特定のタイミングの編集状態へ簡単に戻すこともできます。また、文章の「章」を定義、管理できるアウトライン機能もあり、章立ての作業に活用することができます。作成したドキュメントは、指定したメールアドレスやグループ単位で閲覧・編集権限を設定できるほか、URLを用いた共有も可能です。

Google スライド

Googleが提供する、プレゼンテーション作成ツールです。一般的なプレゼンテーションソフトと変わらないインターフェースを持ち、ブラウザからも利用できるほか、こちらもGoogleドキュメント同様、複数人での同時編集に対応しています。プレゼンテーション用ツールという性質上、図表や画像などを自由に配置できるため、より直感的なマニュアルを作成するのには最適です。

さらには動画や音声も埋め込むことができるため、デジタルコンテンツとしてマニュアルを展開する場合には、よりリッチな表現を追い求めることもできます。デザインテンプレートも豊富に用意されており、誰でもスタイリッシュなデザインのスライドを作り上げることができます。インパクトのある見た目で、見てもらいやすいマニュアルを作りたいときに、心強い存在です。

StackEdit(Markdownエディタ)

StackEdit(スタックエディット)は、Benoit Schweblin氏が開発・公開するクラウドベースのMarkdown(マークダウン)エディタです。Markdownとは、見出しや箇条書き、文章の装飾などをシンプルな記号で記述できる言語のことで、ウィキペディアなどでも用いられている書式。Confluence(コンフルエンス)などの社内Wikiを用いている環境においては、とくに親和性の高いツールです。

これを使うと、ワープロなどの装飾機能を用いることなく、手軽かつ柔軟に文章構造を入れ替えたり、編集したりすることができます。書式を覚えるためには若干の手間がかかりますが、いったん慣れてしまえば、これなしでは文章が書けないほどに便利な存在となります。章の定義が非常に楽なので、章立ての際に活用するのもよいでしょう。

マニュアルを運用するときの3つのポイント

マニュアルは、作成して終わりではありません。機能するマニュアルであり続けるためにはこまめな見直しとアップデートが欠かせません。

また、ひとりの担当者が専任状態でマニュアル作りに携わり続けることも、網羅性を担保する観点からはあまり望ましくありません。マニュアル管理業務はできる限り複数人で行い、さまざまな視点からチェックがなされるよう、体制を整えるとよいでしょう。

ポイント1.複数人で運用する

網羅性、客観性を保つため、マニュアル作り、運用においては特定の人物の主観だけに依存しない体制作りが重要です。業務に関わる複数のメンバーで共同して制作・運用するようにし、複数の目線を取り入れることで、内容の漏れや解釈の穴が生まれないようにしましょう。可能であれば、現場で実際にマニュアルを読む立場のメンバーにもチェック役として入ってもらうのも、有効な方法です。

クラウドベースの文章管理ツールなどを活用し、編集過程を共有できるようにすれば、ブラックボックス化が防げるだけでなく、作業の引き継ぎも行いやすくなり、常に情報の新鮮さが担保された状態をキープすることができます。特定の人に依存せず、できる限り多くの人が目を通すことのできる状態にし、機能するマニュアルとしての品質を維持できるようにしましょう

運用イメージ

ポイント2.定期的にメンテナンスする

整理されたマニュアルでも、そこに記載されているのが何年も前の古い情報では、意味がありません。いったんマニュアルを作成したあとも、引き続き定期的なメンテナンス期間を設け、現在の業務フローに沿っているか確認し、必要に応じて追加や編集、削除を行うなど、アップデートする体制を整えましょう

担当者の入れ替わりが比較的多い現場などは、現場の実態とマニュアルが、知らず知らずのうちに乖離している可能性もあります。これを未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンスの一環として、人事異動のタイミングなどで新たな担当者にマニュアルを読んでもらい、現場の実態に沿ったものであるかどうか確認するなど、マニュアルの妥当性をチェックする習慣作りが重要といえるでしょう。

ポイント3.バージョン管理をする

マニュアルの情報を管理するために有効なのが、「バージョン管理」という考え方です。シンプルな方法としては、表紙やヘッダー、フッターなどわかりやすい位置にマニュアルの作成日を明記しておくことで、どの時点における実態を反映して作られたものであるかを確認することができます。

なお、人力でのバージョン管理は、ケアレスミスや認識違いによってズレが生じる可能性も否めません。前述のGoogleドキュメントや文章管理ツールなど、更新されたタイミングごとに文章のバージョンを管理できる仕組みを用いれば、こうしたリスクを心配することなく、安心してバージョン管理を行うことができるほか、過去のバージョンから具体的に変更された箇所もわかりやすく確認することができます。

使ってもらってこそマニュアル。作成するだけでは意味がない

読み手の立場に立って作られ、適切に管理されたマニュアルは、いざというときに現場の担当者を守る強力な味方となります。

少なくない労力をかけて作られるものだからこそ、読んだ人が行動をイメージできるマニュアル作りを目指したいものです。業務全体のクオリティを担保するためにも、現場の人々にとって役立つマニュアルを作りましょう。

業務のマニュアル作成に関するQ&A

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