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献本とは?広報PRの3つの効果・流れ・送付状の書き方・成功させる3つのポイントを解説

書籍を出版すると、必ず検討するのが「献本」です。献本によって、書籍のプロモーションや、ステークホルダーとの関係構築を行うことができます。書籍の準備や送付作業など、多くのコストがかかる施策だからこそ、どうしたら効率よく成果を出すことができるのか気になる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、献本によって期待できる効果や、実際の作業の流れ、気をつけるべきマナーなどを紹介します。献本を成功させるポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

献本とは?

献本とは、書籍を制作したときに第三者にその書籍を進呈することです。進呈された書籍そのもののことを献本と呼ぶ場合もあります。

献本を行う理由はいくつか考えられます。例えば、書籍を作るに当たって、取材をさせてもらったり協力をしてくれた人に対してお礼や報告のために進呈する。メディア関係者に書籍の情報を掲載してもらうため、インフルエンサーに情報発信してもらうために進呈する。献本をきっかけに、これまで接点作りができなかった人とのコミュニケーションを行う。献本とひと言で言っても、目的や誰に送るのかによって、その効果や期待値は異なります。

献本とは?

献本をする3つのメリット・効果

献本をすることで得られるメリットや効果はさまざまです。目的や規模などによっても変化がありますが、大きく考えられる3つのメリットをご紹介します。

メリット1.第三者からの宣伝や口コミを獲得できる

献本することで第三者からの宣伝や口コミを獲得できます。献本によって、実際に書籍に触れて読んでもらう機会を作ると、受け取った人の感想がSNSなどによってシェアされる可能性があります。書籍に関する投稿が増えるほか、自分以外の人が投稿やシェアしてくれることで、自分のフォロワーや近しい属性以外の生活者に対しても情報が目に触れる回数が増加。それにより、たくさんの生活者への宣伝効果を期待することができるのです。

近年では、第三者のSNS投稿などによる宣伝効果を狙って献本先の選定を行うこともあります。その場合は、確実にSNSなどで投稿されるように、投稿のお願いごとなども含めて送付をするようにしましょう。

メリット2.新たなステークホルダーとの関係性を構築することができる

献本をきっかけに、新たなステークホルダーとの関係構築が可能になります。関係作りをしたいけれど、連絡するきっかけがなく、関係が構築できていない人は誰にでもいるはずです。例えば、メディアの担当者、業界や業種の専門家、著名人など、近しいところにはいるけれど、声をかけるきっかけがなかったという人がいるのではないでしょうか。

そういった人たちへのアプローチを行うには、献本は絶好の契機といえます。献本によってコミュニケーションのきっかけを作れるほか、書籍という共通の話題を提供することで、継続的なコミュニケーションのハードルを下げることができるのです。

メリット3.関係者へ感謝を伝えることができる

書籍制作に協力してくれた関係者に対して、完成した書籍を進呈することで感謝を伝えることができます。さらなる関係性の強化のためにも、関係者へは必ず献本を行うようにしましょう。

また、献本された関係者が、自分のSNSなどで告知やシェアをしてくれる場合もあります。関係者による投稿では、一般的な書評などよりも個人的な思いや熱量がこめられた投稿になりやすい傾向があります。生活者の目に触れるときにも、購買行動を促すことにつながるため、献本を行うに当たっても良い関係性を作る仕掛けをすることが大切です。

献本を行う相手

献本は誰に対して行えばいいのでしょうか。献本する候補はいくつかありますが、送付先によって期待できる効果が異なります。それぞれに対してどのようなことをゴールに設定し、献本を行うのかを決めて選定を行いましょう。

ここでは、献本の候補一例と、期待できる効果について解説していきます。

メディア

メディアへ献本を行うことで、さらなる露出につながる可能性があります。メディアには、書評や書籍紹介などのコーナーを設けている媒体があり、その担当者へ献本することで書籍の紹介につながるかもしれません。

ほかにも、特定の分野の専門書であれば、それらの領域を扱う媒体への献本も有効です。書籍自体が取り上げられることはないかもしれませんが、著者が専門家としてメディア露出の機会を得ることにつながる可能性は十分にあります。

書籍の発刊元が、雑誌などの媒体を持っている場合もあります。事前に編集担当者と相談をして、発刊元の媒体への献本についても確認しておくと良いでしょう。

インフルエンサー

SNSなどを通じた認知形成のためには、インフルエンサーへの献本が有効です。自分や出版社のSNSだけでは、リーチできる生活者に限りがあります。しかし、インフルエンサーへの献本を通じて、UGC(User Generated Content)が獲得できるとリーチの幅を拡大することができるのです。

インフルエンサーは、リーチの数を獲得するためにフォロワー数が多い人を選定する場合もあります。フォロワー数は、リーチできる範囲に比例するため、フォロワー数が多いほうが影響力が強いと考えられるためです。

近年では、専門書などの限られたテーマの書籍をマイクロインフルエンサーへ献本することも増えています。マイクロインフルエンサーは、特定のジャンルに特化した情報を発信する人のことです。フォロワー数は多くない場合もありますが、その分フォロワーと親密な関係性を築けていて、エンゲージメントが高い傾向にあります。フォロワーもその専門領域に興味を持っている人が大部分を占めるため、書籍も認知したら購入してくれる可能性が高いです。

図書館や学校などの公共施設

図書館や学校などの公共施設へ書籍を寄贈することで、より多くの人に手に取ってもらう機会を増やすことができます。公共施設への献本は、貸与の形式で生活者が読者をするため、直接的な売り上げへの貢献は見込めません。その分、生活者にもコストがかからず手に取るハードルも低いので、学生や分野に深い興味がない人に対してもアプローチすることができます。

母校や出身地の公共施設に献本することで、ゆかりのある著者としてピックアップしてくれる場合も。献本と併せてトークイベントなどの実施を打診するのもおすすめです。

書店

書店の担当者

書店の担当者も、ぜひ行ってほしい献本先のひとつです。担当者に実際に読んでもらい、書籍の内容への理解を深めてもらうことができます。店頭でのPOP作成などの販促施策を書店側が実施してくれる場合も、担当者の理解度が高ければ、より効果的な施策を実施できるようになります。気に入ってもらえたら、一緒にイベントなどができないか相談・交渉もしやすくなり、販促施策の幅が広がります。

出版社

発刊元とは別の出版社へ献本を行う場合もあります。書籍出版の編集者も常にネタを探しています。自分の書籍を送ることでネタ提供となり、次回以降の書籍出版の可能性が生まれることも

ただし、出版社への献本に関しては、ある程度、編集者との関係性がないとハードルが高いといえます。関係の浅い担当者に突然書籍を送りつけることはやめましょう。

献本する冊数の目安

献本をするときの冊数に決まりはありません。状況などによってさまざまで、10冊以下の場合もあれば500冊以上の場合もあるようです。献本に使う書籍は、献本用のものを用意してもらえたり、サンプル品をもらえたりすることもあります。一方で、自分で購入して送付する場合もあります。献本については出版社によっても考え方がそれぞれ違うため、事前に直接確認をするようにした方が良いでしょう。

書籍制作の関係者に対しては、お礼の意味も込めて必ず献本します。冊数の目安としては、関係者に送る分にプラスして目的に応じた冊数を用意するのが良いでしょう。最近では、献本を断るインフルエンサーなどもいます。事前に送付の可否を確認して、実際の冊数は送付OKの回答をもらえた人数で確定してもいいかもしれません。

献本の流れ5つのステップとマナー

献本をするに当たって、必要な作業と気をつけたいマナーがあります。ここでは、献本の際の5つのステップと、それぞれで失礼がないように気をつけるべきマナーのポイントについて説明していきます。

もちろん、ここに書いてあることだけがすべてではありません。書籍やジャンルに関係する業界の特徴や独自の文化があります。せっかくの献本も失礼に当たることがあってはマイナスに働いてしまいます。紹介するステップをベースに、編集担当者と相談しながら準備を進めるようにしてください。

STEP1.献本先の選定

まずは、献本先の選定を行います。献本の目的や狙いを明確にして、それらが達成できる候補者のリストを作成しましょう。リストが完成したら、全員に送付する書籍の数を用意できるかどうかを確認してください。不可能な場合は調整を行います。

献本先の候補者リストができたら、すぐに送付作業を始めるわけではありません。その前に、リストの送付先に献本しても良いかどうかを確認するようにします。連絡先を知っている場合はメールなどで連絡を取るのが良いでしょう。インフルエンサーなど、連絡先を知らない人に対して確認を行う場合は、SNSのDMなどを活用します。返信があり、送付の許諾をもらえた人の数で最終的なリストを確定します。

STEP2.送付先の確認

送付する人が確定したら、送付先に間違いがないように確認作業を行います。以下は必ず確認するようにしましょう。

  • 送付先住所
  • 宛先
  • 受け取り担当者
  • 電話番号

これらの情報の収集を、メールへ返信の形で送ってもらう、記入フォームを用意して入力してもらうなど、管理がしやすい方法で行います。Step1の返信があったらあらめて送付先の確認をしても良いのですが、送付先が多くコミュニケーションに時間がかかるような場合は、送付可能であれば、送付先を返信してもらう立て付けのメールを送っても良いでしょう。

送付先の情報は個人情報です。複数人の目に触れる場合は、情報漏洩のリスクがないように管理体制を確認しておきます。特に、発刊元から直送をする場合は、発刊元の個人情報の取り扱いに関しても事前に確認しておくのが安心です。

STEP3.送付状などの同梱物の準備

書籍を送付するときは、同梱物を用意して一緒に入れます。書籍だけを単体で送るのはマナー違反。送付された側に、何の書籍なのか、誰から送られてきたのかなどの情報がすぐにわかるような配慮が必要です。最低限、送付状は同梱するようにしましょう。

特に注意したいのが、発刊元から直送される場合です。送付元も出版社からで、送付状も出版社の名前で送られてしまうことがあります。同梱物に関しても、事前に発行元と連携するようにしたほうが安心です。

送付状以外にも、目的や送付先によって同梱したいものは変わります。予算などと相談して効果的な献本ができる同梱物を検討してください。例えば、関係者に対しては、協力してくれたことに対してのお礼のメッセージカードを入れると、感謝の気持ちが伝わりやすくなります。

注意したいのが、インフルエンサーに情報拡散を目的として献本を行う場合。写真映えする送付状など、シェアしたくなるような工夫を行うのはもちろんですが、それだけではなく、拡散される情報が目的通りに広がるように、シェアするときの注意点やお願い事項などを併せて送付します。書籍の写真を利用するときに、目次の写真はNG、内容の文字が見えるのは1ページ分まで、などの決まりを作っておきます。せっかく情報拡散をしてくれたにもかかわらず、トラブルになってしまうことは、送付した人に対しても失礼になってしまいます。お互いを守るためにもルールは明確にしておくと良いでしょう。

同梱物は、事前の準備に時間がかかるものもあります。制作が必要なものがある場合は、送付先の選定をしている段階から準備を進めておくのがおすすめです。

STEP4.送付

送付を行うときも、ただ袋に入れて送るだけというのはやめましょう。せっかくの書籍に傷がついたり、折れたりしてはもったいないです。書籍をきれいな状態で相手に届けるために、梱包にも工夫をするようにします。封筒の中に緩衝材がついているものを利用する、ビニールなどで書籍を包んでから梱包するなど、最適な方法を検討してください。

封を閉じる前には、同梱物がすべて中に入っているか確認するのも忘れずに。

STEP5.送付後のフォローアップ

献本は送付して終わりではなく、献本をきっかけとしてコミュニケーションを取ることが大切です。しっかりとフォローアップを行い、関係性を構築していきましょう。

送付作業完了後は、送付した旨をメールなどで連絡すると丁寧です。その際には、ぜひ感想を教えてほしい、とお願いをするとコミュニケーションが継続しやすくなります。感想をもらうことができたら必ずお礼の連絡をしてください。

献本をするときの送付状の書き方

献本の際に必ず同梱する送付状ですが、送付状には掲載したい必須情報があります。以下の内容は必ず記載するようにして、場合によってはアレンジしましょう。

  • 送付した年月日
  • 送り先(会社名/個人名)
  • 送付元の名前
  • 送付元の連絡先
  • 挨拶
  • 送付したものの内容と詳細

体裁はA4サイズの用紙を使い、パソコンのテキストソフトを利用して作成するパターンが一般的です。

献本を成功させる3つのポイント

献本を目的に応じて成功させるために、意識したいことは広範囲にあります。せっかくコストをかけて献本をするならば、効果を最大化させたいですよね。ここでは、献本の成功のために意識したいポイントを3つに絞りました。これだけはぜひ意識をしてみてください。

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ポイント1.情報が拡散される仕組みを作る

献本した相手が情報を拡散したいと思えるような仕組みを作りましょう。書籍用のハッシュタグを作る、書籍の情報が投稿されたら自身のSNSアカウントでRTやシェアを行うなどが、コストをかけずにすぐにできる方法です。

それ以外にも、「ついSNSでシェアをしたくなる」仕組みも検討してみると良いでしょう。ただ封筒に書籍を入れて送るだけではなく、梱包材や同梱物へこだわることも成果を出しやすくしてくれます。

ポイント2.献本をきっかけに継続したコミュニケーションを行う

献本は、書籍を送って終わりではありません。献本はあくまでコミュニケーションのきっかけです。その後も継続して関係を築いていくようにしましょう。メールなどのオンラインで連絡を取るだけでなく、アポイントメントを取ることで対面コミュニケーションの場を設けるなど、関係性をより深めていく活動も併せて行いたいです。

ポイント3.目的に合った献本先を選定する

献本先は目的に合った人を選定するようにします。むやみに数をばら撒いても、成果を得ることは難しいです。また、コストもかかる施策のため、効率的に成功を収めるためには送付先の選定がすべてを決めると言っても過言ではありません。

目的によって献本先は変わってくるため、リストの精度も重要になってきます。特にインフルエンサーへの献本の場合は、インフルエンサー選定に時間がかかる場合もあるので早めに動き始めるようにしましょう。

献本を通じて今後の活動のための仲間を増やそう

書籍を作ったときに行いたい献本の施策について紹介してきました。私自身も出版を行った際に、さまざまな方へ献本を行い、紹介してきた成果を出すことができています。献本をきっかけに関係構築できた方とのつながりで、新たな露出や新たな出版の機会を得ることもできました。

書籍の売り上げを伸ばすことばかりを考えてしまいますが、長期的な目線で見ると献本による効果や影響は非常に大きなものです。献本をきっかけにたくさんの仲間を増やして、今後の広報PRをはじめとした活動へ貢献できる状態を作り出してくださいね。

献本による効果に関するQ&A

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この記事のライター

長瀬 みなみ

長瀬 みなみ

ITベンチャーにて広報PRを担当したのち、ヘルスケアベンチャーにて広報PR部門の立ち上げ、ブランド責任者として取締役就任。YouTubeチャンネル運営など、さまざまなメディアを活用した分ランディングや広報活動を行う。独立後は、広報PR・ブランディング・コミュニティ運営など幅広く活動している。これまでの経験から広報・ブランディングに関する戦略立案からプレスリリース執筆まで幅広くカバーしたコンテンツを作っています。

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