リムパーザ、相同組換え修復(HRR)遺伝子変異を伴う転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第3相 PROfound試験で主要評価項目を達成

アストラゼネカとMSDのリムパーザ、標準治療との比較においてBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性の患者さんの画像診断に基づく無増悪生存期間を有意に改善し、主要評価項目を達成

4つのがん腫(卵巣がん、乳がん、膵臓がん、前立腺がん)において第3相試験で良好な結果が得られた唯一のPARP阻害剤
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD、以下MSD)は、2019年8月7日、リムパーザ(オラパリブ)の第3相PROfound試験における良好な結果を発表しました。本試験は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんのうち、相同組換え修復関連遺伝子変異陽性 (HRRm)であり、かつ前治療として 新規ホルモン薬による治療(エンザルタミド、アビラテロン酢酸エステル)を行い、病勢進行が認められた患者さんを対象に行ったものです。 

今回の試験では、HRRmを有する集団の一部であるBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性のmCRPC患者さんにおいて、リムパーザ投与群と、エンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル投与群で比較し、主要評価項目である、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。なお、リムパーザの安全性および忍容性は、これまでに行われた試験の安全性プロファイルと概ね一貫していました。 

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「転移性去勢抵抗性前立腺がんは致死的な疾患であり、特に新規ホルモン薬が効かなかった患者さんの予後は不良です。PROfound試験は、より効果的な治療に対するニーズが高い転移性去勢抵抗性前立腺がんを対象としたPARP阻害剤の試験のなかで、良好な結果が得られた唯一の第3相試験です。また、本試験は、リスクを有する患者集団において、ゲノム検査の価値の可能性を示しています。私たちはこの結果について、世界の薬事当局と早急に議論を進めていきたいと考えています」。

 MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「転移性去勢抵抗性前立腺がんは致死率が高く、アンメットニーズの高い疾患です。PROfound試験は、がん患者さんの長期アウトカムを改善するというMSDとアストラゼネカの共通のコミットメントを示す好例です。今回の試験結果は、患者さんたちに新たな経口標的治療オプションの可能性を示すものです」。

アストラゼネカとMSDは、今後の学術集会において、当試験の全データを提示する予定です。さらにリムパーザをアビラテロン酢酸エステルとの併用療法でmCRPCの一次治療に用いる第3相PROpel試験など、前立腺がんに関する臨床試験を今後も実施していく予定です。

 ※転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対するリムパーザの適応は未承認です。

以上

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PROfound試験について

PROfound試験は前向き多施設共同無作為化非盲検の第3相試験で、新規ホルモン薬による治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、CDK12などの相同組換え修復(HRR)に関連する15の遺伝子のうちのいずれかに変異が見られるmCRPC患者さんを対象にリムパーザの効果と安全性を評価する試験です。

転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんであり、2018年には世界中で推定130万人が新たに診断され、高い死亡率を伴います (1)。前立腺がんの発症は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます (2)。男性ホルモンの作用を阻止するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます (2)。進行前立腺がん患者さんの約10-20%は5年以内で去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%の患者さんはCPRC診断時に転移を有しています (3)。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%が2年以内に転移を発現します (3)。mCRPCに対する治療選択肢は増えてきていますが、依然として5年生存率は低いままです (3)。

リムパーザについて
リムパーザ (オラパリブ)は、ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組み換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のがんの種類において開発が進行中です。

 リムパーザは、現在EU域内の国を含む64カ国で、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず「プラチナ製剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」の適応症で承認されています。また、米国、EU、日本、およびその他数か国において、「プラチナ製剤ベースの化学療法で奏効が維持されているBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣癌における初回維持療法」の適応症で承認を受けています。さらに、米国、日本を含む40カ国では、「化学療法後のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳癌」の適応症で承認を受けており、EUではこれに加えて「化学療法後のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の局所進行性乳癌」の適応症でも承認を受けています。その他の国においても、卵巣がん、乳がん、膵臓がんに対する適応症について、規制当局による審査が進行中です。

アストラゼネカおよびMSDが共同で開発と製品化を行っているリムパーザは、進行卵巣がん、転移性乳がんの適用症で承認を受け、世界中で2万5千人以上の患者さんに使われています。また、リムパーザに対しては、PARP阻害剤のなかでも幅広く最も進んだ臨床試験開発プログラムが行われています。アストラゼネカとMSDは協業して、リムパーザが様々ながんのタイプにわたり、単独療法および併用療法で、複数のPARP依存性腫瘍に奏効する仕組みを解明しようとしています。 アストラゼネカにとってリムパーザは、がん細胞のDDRメカニズムを標的とする潜在的新薬における業界トップのポートフォリオの基盤です。

アストラゼネカは2016年1月、米国食品医薬品局(FDA)が、TOPARP-A第2相試験の良好な結果に基づいて、前治療としてタキサン系製剤ベースの化学療法を受け、かつ新規ホルモン薬治療(アビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミド)を受けているBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対する単独療法の画期的治療薬(Breakthrough Therapy Designation)にリムパーザを指定した、と発表( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2016/20160202.html# )しました。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがんの種類における共同開発・製品化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は共同で、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1医薬品との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたオンコロジーをアストラゼネカの4つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

 アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. World Health Organisation. International Agency for Research on Cancer. Global Cancer Statistics 2018 estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries https://gco.iarc.fr/ [Accessed July 2019].
2. Cancer.Net. (2019). Treatment of metastatic castration-resistant prostate cancer. 
https://www.cancer.net/research-and-advocacy/asco-care-and-treatment-recommendations-patients/treatment-metastatic-castration-resistant-prostate-cancer [Accessed July 2019].
3. Cancer.Net. (2019). Prostate Cancer - Statistics. Available at: www.cancer.net/cancer-types/prostate-cancer/statistics [Accessed July 2019].
 
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