アストラゼネカのリムパーザ、第Ⅲ相PROfound試験においてBRCA1/2またはATM遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として、全生存期間を延長

リムパーザはアンメットニーズの高い進行前立腺がん患者さんにおいて新規ホルモン製剤との比較で全生存期間を延長した唯一のPARP阻害剤

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年4月24日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、4月24日、リムパーザ(一般名:オラパリブ)を評価する第Ⅲ相PROfound試験の更なる良好な結果を発表しました。本試験は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんのうち、相同組換え修復関連遺伝子変異陽性(HRRm)であり、かつ前治療として新規ホルモン製剤(NHA)による治療(エンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル)を行い、病勢進行が認められた患者さんを対象に実施いたしました。

今回の試験では、HRRmを有する患者集団のうち、主要な解析集団であるBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性のmCRPC患者さんの患者集団において、リムパーザ投与群をエンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル投与群と比較し、主要副次評価項目である全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。

2019年8月(https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019081902.html)には、第Ⅲ相PROfound試験においてリムパーザがBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異を有する患者集団において、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の有意な延長を示し、主要評価項目を達成したことを発表いたしました。また、本試験では主要な副次的評価項目である全HRRm患者集団におけるrPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長も達成しています。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「mCRPC患者さんにおけるOSの延長は、これまで達成が非常に困難でした。私たちは今回のリムパーザの試験結果に大きな期待を寄せており、この薬剤を1日も早く患者さんにお届けできるように、規制当局と連携してまいります」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「PROfound試験においてリムパーザは、BRCA遺伝子またはATM遺伝子変異を有する患者さんのOSの延長をはじめ、複数の主要な評価項目で統計学的に有意で臨床的に意義のある有効性を示しました。これらの結果から、mCRPC患者さんの標準治療が変わる可能性がより強固なものとなり、リムパーザによってがんに苦しむ患者さんの治療への貢献を探求し続け、MSDとアストラゼネカのコミットメントをより一層推し進めるものです」。

リムパーザの安全性および忍容性は、これまでに行われた試験の安全性プロファイルと概ね一致していました。試験結果の詳細データは、今後の学会で発表される予定です。

リムパーザは、2020年1月に米国でHRR関連遺伝子変異を有するmCRPC患者さんの治療薬として優先審査指定(https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020012801.html)を受け、欧州およびその他の地域においても薬事承認審査が進行中です。アストラゼネカとMSDは、リムパーザをアビラテロン酢酸エステルとの併用療法でmCRPCの1次治療として評価するために実施中の第Ⅲ相PROpel試験など、前立腺がんに関する臨床試験を今後も実施していきます。なお、PROpel試験は2021年に最初のデータ解析を予定しています。

 ※本邦においてmCRPCに対するリムパーザの適応は未承認です。

以上

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転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)について
前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんであり、2018年には世界中で推定130万人が新たに前立腺がんと診断され、高い死亡率を伴います(1)。前立腺がんの発症は多くの場合、テストステロンを含むアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンにより促進されます(2)。男性ホルモンの作用を阻害するアンドロゲン除去療法を行ったにもかかわらず、前立腺がんが増殖し、他の部位に転移した場合、mCRPCと診断されます(2)。進行前立腺がん患者さんの約10~20%は5年以内に去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)へと進行し、そのうち84%以上の患者さんはCPRC診断時に転移を有しています(3)。また、CRPC診断時に転移のない患者さんであっても、そのうちの33%は2年以内に転移が確認されます(3)。mCRPCに対する治療選択肢は増えてきていますが、依然として5年生存率は低く、これらの患者さんの治療において生存期間を延長させることが、引き続き主要な目標となっています(3)。

 
相同組換え修復(HRR)遺伝子変異について
HRR遺伝子変異は、mCRPC患者さんの約20~30%に発現します(4)。正常細胞において、HRR遺伝子はDNAの損傷の正確な修復に関与しています(5,6)。よってHRRが欠損するとDNAの損傷が修復されず、正常細胞の死をもたらします(6)。しかし、がん細胞においてはこれとは異なり、HRR経路の変異が異常な細胞を増殖させ、がんを引き起こします(6)。HRRの欠損は、リムパーザなどのPARP阻害剤の標的となるがん細胞の特徴として立証されています。PARP阻害剤はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォークの停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を引き起こしがん細胞死を誘導します(6)。


PROfound試験について
PROfound試験は前向きな無作為化非盲検多施設共同第Ⅲ相試験で、NHA治療薬であるアビラテロン酢酸エステルまたはエンザルタミドとの比較において、リムパーザの有効性と安全性を評価する試験です。本試験は、NHAによる治療歴のある進行がんで、かつBRCA1/2、ATM、またはその他12のHRRに関連する遺伝子のいずれかに変異が見られるmCRPC患者さんを対象に実施しました。

この試験は、HRRmを有する患者さんを2つの患者集団に振り分けて組み入れ、解析するよう設計されました。主要評価項目はBRCA1/2またはATM遺伝子変異を有する患者さんのrPFSであり、リムパーザが臨床的効果を示した場合、副次的な解析対象集団として、HRRm(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR関連遺伝子)を有する全患者さんを含めた集団も対象に解析を実施しました。


リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復の欠損を有する細胞または腫瘍におけるDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、プラチナ感受性再発卵巣がんの維持療法として、現在EU諸国を含む多くの国で承認されています。プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。また、本剤は化学療法による治療歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む多くの国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国およびその他数カ国においては、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの治療薬としても承認されています。加えて、卵巣がん、乳がん、膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国・地域において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、全世界で3万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザはDDRを標的とした新薬であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。


アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよびMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害剤との併用療法は各々の会社で開発します。


アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。


アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1.  Bray et al. (2018). Global cancer statistics 2018: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA: A Cancer Journal for Clinicians, 68(6), pp.394-424.
2. Cancer.Net. (2019). Treatment of metastatic castration-resistant prostate cancer.
https://www.cancer.net/research-and-advocacy/asco-care-and-treatment-recommendations-patients/treatment-metastatic-castration-resistant-prostate-cancer [Last Accessed: November 2019].
3.   Kirby, M., 2011. Characterising the castration-resistant prostate cancer population: a systematic review. International Journal of Clinical Practice, 65(11), pp.1180-1192.
4.  Mateo, J, et al (2015). DNA-repair defects and olaparib in metastatic prostate cancer. New England Journal of Medicine, 373(18), pp.1697 - 1708.
5. Li et al. (2008). Homologous recombination in DNA repair and DNA damage tolerance. Cell Research, 18(1), pp.99-113.
6. Ledermann et al. (2016). Homologous recombination deficiency and ovarian cancer. European Journal of Cancer, 60, pp.49-58.

 
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