アストラゼネカのイミフィンジ、第Ⅲ相CASPIAN試験において進展型小細胞肺がんの一次治療薬として持続的な全生存期間の延長を示す

ASCOで発表されたデータでは、治療後2年時点で化学療法群では2.9%であったのに対し、イミフィンジと化学療法の併用療法群では10%以上の患者さんにおいて進行がみられず治療継続可能であった

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年5月29日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第Ⅲ相CASPIAN試験の最新解析の詳細な結果から、アストラゼネカのイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])と化学療法(エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法が、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の成人患者さんの一次治療薬として、持続的かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示したことを発表しました。

CASPIAN試験では、2019年6月 ( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019070501.html ) に主要評価項目であるOSの延長を達成し、死亡リスクが27%低下(ハザード比[HR]0.73に基づく; 95%信頼区間[CI]0.59, 0.91; p=0.0047)することが示されました。この結果に基づき、2020年3月 ( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020040602.html ) に米国FDAにより承認されました。

2年以上(中央値)の追跡を経た最新の解析結果においてイミフィンジと化学療法の併用療法群の持続的な有効性が示され、化学療法群と比較して死亡リスクの25%低下(HR 0.75に基づく; 95% CI 0.62, 0.91; 名目上のp=0.0032)が維持されました。最新のOS中央値はイミフィンジと化学療法の併用療法群では12.9か月であったのに対し、化学療法群では10.5か月でした。また、無作為割付け後24か月時点の患者さんの生存割合は、化学療法群では14.4%であったのに対し、イミフィンジと化学療法の併用療法群では22.2%(事後解析)でした。

無作為割付け後24か月時点で増悪が認められずに生存していた患者さんの割合は、化学療法群では2.9%であったのに対し、イミフィンジと化学療法の併用療法群では11%(事後解析)でした。イミフィンジと化学療法の併用療法群は高い客観的奏効率(ORR)を維持し(化学療法群58%に対して68%)、奏効が24か月時点まで持続している患者さんの割合が化学療法群では3.9%であったのに対し、イミフィンジと化学療法の併用療法群では13.5%(事後解析)でした。無作為割付け後24か月時点で、イミフィンジと化学療法の併用療法群の12%の患者さんが、イミフィンジ治療を継続していました。

Hospital Universitario Doce de Octubre(スペイン・マドリッド)の腫瘍内科部長であり、CASPIAN試験の国際治験調整医師であるLuis Paz-Ares医学博士は次のように述べています。「今回発表された最新結果では、24か月後の時点で22%の患者さんが生存しているという驚くべき結果が示され、イミフィンジと化学療法の併用療法の持続的なベネフィットが裏付けられました。これは、治療アウトカムの改善がこれまでの課題であり、患者さんの5年生存率が極めて低いES-SCLCにおける有効な一次治療となります」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「2年間(中央値)の追跡後も、イミフィンジは、この非常に深刻で悪性度の高い疾患に立ち向かう患者さんの生存期間と治療効果の延長に持続的かつ有意義な改善を示し続けています。これらのデータは、イミフィンジと化学療法の併用療法がES-SCLCの患者さんに対する重要な新規の標準治療であることを強く支持しており、維持療法中の4週間ごとの投与レジメンは患者さんにとって利便性が高いものです。世界中の患者さんにイミフィンジのベネフィットをお届けできることを楽しみにしています」。

また、イミフィンジと化学療法の併用療法に抗CTLA-4モノクローナル抗体であるトレメリムマブを追加したCASPIAN試験のもう一つの投与群では、OS延長の傾向が示されたものの、化学療法群と比較して統計学的に有意なOSの延長は示されませんでした。

最新の試験結果の概要:

イミフィンジと化学療法の併用療法における安全性および忍容性は、これらの薬剤における既知の安全性プロファイルと一致していました。グレード3または4の有害事象が認められた患者さんの割合はイミフィンジと化学療法の併用療法群で62.3%、化学療法群では62.8%でした。治療を中止した患者さんの割合は、イミフィンジと化学療法の併用療法群で10.2%、化学療法群で9.4%でした。

イミフィンジと化学療法(エトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチン)の併用療法は、ES-SCLCの一次治療薬としてEU諸国および日本で承認審査中です。

CASPIAN試験の最新結果は、2020年5月29日~31日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)バーチャル・サイエンティフィック・プログラムにおいて発表されました。会期中に取り上げられたいくつかのプレゼンテーションは、疾患初期から後期までの肺がん領域におけるアストラゼネカのリーダーシップ ( https://www.astrazeneca.com/content/astraz/media-centre/press-releases/2020/astrazeneca-advances-the-science-of-cancer-medicine-with-practice-changing-data-at-the-asco20-virtual-scientific-program.html ) を示したとともに、当社のバイオマーカーを主導とした治療アプローチをさらに強化する発表となりました。

※ES-SCLCに対するイミフィンジの適応は本邦では未承認です。

以上

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小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています (1)。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、約15%がSCLCに分類されます (2)。SCLCは悪性度が高く増殖の速いがんであり、化学療法で奏効が認められたとしてもしばしば再発し、急速に進行します (3,4)。SCLC患者さんの約3分の2は、がんが肺の大部分または体の他の部位に広範囲に拡がっている進展型と診断されます (5)。SCLCの5年生存率はわずか6%であり、予後は特に不良です (5)。

CASPIAN試験について
CASPIAN試験は、ES-SCLC患者さん805名が参加し、その一次治療を対象とした、無作為化非盲検国際多施設共同第Ⅲ相試験です。本試験では、イミフィンジと化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法、またはイミフィンジと化学療法に免疫チェックポイント阻害剤であるトレメリムマブを追加した併用療法と、化学療法を比較しました。イミフィンジを投与している2つの群においては、化学療法を最長4サイクル実施しました。化学療法群においては最長6サイクルの化学療法および予防的頭蓋内照射の実施が認められていました。本試験は、米国、欧州、南米、アジア、中東の23カ国200以上の施設で実施され、イミフィンジを投与しているどちらの群においてもOSを主要評価項目としました。

イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、国際共同第Ⅲ相臨床試験(PACIFIC試験)に基づき、切除不能な局所進行(ステージⅢ)の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法として、米国、日本、中国、ヨーロッパ諸国をはじめ、多くの国々で承認されています。また、ES-SCLCの一次治療として、化学療法との併用療法が米国およびシンガポールで承認されました。さらに、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国を含む複数の国で承認されています。

イミフィンジは、広範な開発プログラムの一環として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、肝がん、胆道がん、子宮頸がんおよびその他の固形腫瘍患者さんの治療薬として、単剤療法、および抗CTLA4モノクローナル抗体で新薬候補のトレメリムマブとの併用療法においても検討されています。

トレメリムマブについて
トレメリムマブは開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強し、がん細胞死を引き起こします。トレメリムマブはイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムが進行中です。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、さまざまな病期における異なる組織型の肺がん、治療法、作用機序に対して、承認済みおよび後期臨床開発段階の新薬候補を含め、包括的なポートフォリオを有しています。欧米では10~15%、アジアでは30~40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しており、既承認薬イレッサ®(ゲフィチニブ)およびタグリッソ®(オシメルチニブ)の提供や、現在進行中の第Ⅲ相試験であるLAURA、FLAURA2によって得られる新たなエビデンスを通じて、遺伝子変異を持つ患者さんのアンメットニーズに応えることを目指しています (6-8)。当社はまた、タグリッソとc-Met受容体チロシンキナーゼの選択的阻害薬であるサヴォリチニブ、および他の新薬候補との併用療法を評価する、現在進行中の第Ⅱ相SAVANNAHおよびORCHARD試験を通じて、耐性の腫瘍メカニズムを解き明かそうとしています。

また、当社の広範ながん免疫治療の後期開発プログラムは、すべての肺がん患者さんのおよそ75%にあたる既知の遺伝子変異を持たない患者さんを対象にしています (9)。免疫療法ポートフォリオには、PD-L1抗体であるイミフィンジ単剤療法、およびトレメリムマブおよび/または化学療法との併用療法が含まれ、病勢進行が認められた患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(POSEIDONおよびPEARL)、治癒の可能性がある初期段階の患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(MERMAID-1, AEGEAN、ADJUVANT BR.31、PACIFIC-2、PACIFIC-4、PACIFIC-5、およびADRIATIC)が現在進行中です。さらに、イミフィンジは、エンハーツを含むまだ開発パイプラインの初期段階にある新薬候補との併用療法を評価する第Ⅱ相併用投与試験(NeoCOAST、COASTおよびHUDSON)においても検討されています。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫系を刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブとの併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca. (英語のみ)をフォローしてご覧ください。


References
1. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf Accessed May 2020.
2. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer Accessed May 2020.
3. National Cancer Institute. NCI Dictionary - Small Cell Lung Cancer. Available at
https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/small-cell-lung-cancer Accessed May 2020.
4. Kalemkerian GP, et al. Treatment Options for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: What Progress Have We Made? Journal of Oncology Practice, 2018:14;369-370.
5. Cancer.Net. Lung Cancer - Small Cell. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/33776/view-all Accessed May 2020.
6. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
7. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
8. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
9. Pakkala, S, et al. Personalized therapy for lung cancer: striking a moving target. JCI Insight. 2018;3(15):e120858.
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