アストラゼネカのイミフィンジとトレメリムマブ、進行肝がんの患者さんを対象とした併用療法において有望な臨床活性および忍容性を示す

ASCOで発表されたデータでは、イミフィンジにトレメリムマブをプライミングとして単回追加投与した患者群で最長の生存期間中央値を達成

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年5月29日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、5月29日、抗CTLA4抗体であるアストラゼネカのトレメリムマブ(遺伝子組換え)をイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])に追加した併用療法を検証する国際共同第Ⅱ相Study 22試験において、進行肝細胞がん(HCC)患者さんへの有望な臨床活性と忍容性を示したと発表しました。肝がんの中では、HCCが最も多くを占めます (1)。

この試験の主要評価項目である安全性評価において確認されたプロファイルは、全ての患者群で許容範囲内であり、新たな安全性シグナルはありませんでした。4週間ごとのイミフィンジ投与にプライミングに必要な量としてトレメリムマブ300mgを単回追加投与(T300+D投与法)した患者群では、主要副次評価項目である全生存率(OS)の中央値は18.7カ月でした。本試験では、イミフィンジ単剤療法、トレメリムマブ単剤療法および2剤を併用した2つの投与法を評価しましたが、T300+D投与法患者群のOSが最長でした。

その他の主要副次評価項目では、独立中央判定により確認された客観的奏効率(ORR)がT300+D投与法で24%、データ解析時点での奏効期間中央値(DoR)は未達でした。T300+D投与群で確認された特異なT細胞プロファイルは治療反応と関連しており、相補的な生物学的活性を示唆しています。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部臨床医学部准教授であり、本試験の治験責任医師であるR. Kate Kelley医学博士は次のように述べています。「Study 22試験では、治療開始時にCTLA-4阻害剤を用い、免疫反応を誘導(プライミング)するという新たな治療アプローチとして、イミフィンジにトレメリムマブを追加投与することにより、進行肝がんの患者さんにおいてより強い免疫反応を誘導し、イミフィンジの臨床活性を高めることができました。今回の素晴らしい結果は、トレメリムマブとイミフィンジによる二重のチェックポイント遮断が、治療が困難で選択肢が少ないがんの新たな治療に繋がる可能性を示しています」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「Study22試験の説得力のある結果から、イミフィンジにトレメリムマブをプライミングとして単回追加投与する併用療法が、治療状況を変化させ、新たな治療が緊急に必要とされる進行肝がん患者さんのアウトカムを改善する可能性があることが明らかとなりました。また、今回のデータにより、今年後半に結果を予定している、肝がんにおけるT300+D投与法を評価する第Ⅲ相HIMALAYA試験にも大きな期待が持てます」。
 


第Ⅱ相Study22試験のパート2およびパート3の安全性および有効性の評価結果の結果は、2020年5月29日(現地時間)に米国臨床腫瘍学会(ASCO)バーチャルサイエンティフィックプログラムにて発表されました。

現在、イミフィンジは、HCCに対する単独療法またはトレメリムマブとの併用療法として、どの国においても承認されていません。なお、2020年1月、イミフィンジおよびトレメリムマブはHCCの治療薬として、米国で希少疾病用医薬品指定 ( https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2020/2020012901.html ) を受けました。

以上

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肝がんについて
肝がんは、がんによる死因の第3位であり、世界で6番目に多く診断されているがんで、その5年生存率は約20%にとどまります (2,3)。HCCは全原発性肝がんの約80~90%を占めます1。2018年には世界中で約70万人がHCCと診断されました (2)。HCC患者さんの80~90%は、主にB型またはC型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる慢性肝疾患を併発しています (4,5)。慢性肝疾患は、関連する炎症が時間の経過とともに免疫抑制をもたらし、HCCの発症につながる可能性があります (6,7)。肝がんの免疫環境は特異であるため、HCCの治療においては免疫系の力を利用する医薬品の研究が必要です (8)。加えて、HCCは、治療選択肢が限られているため、患者さんにとって重大なアンメットニーズが存在する分野です。さらに、患者さんの半数以上は、病期が進行して症状が現れてから初めてHCCと診断されます (9)。

Study 22試験について
Study22試験は、進行HCC患者さん433例の初回治療または2次治療を対象に、複数の治療法の安全性および有効性を評価する非盲検多施設共同国際第Ⅱ相試験で、4つのパートに分かれています。パート1では、トレメリムマブとイミフィンジの併用療法の安全性を評価しました。その後、パート2およびパート3ではイミフィンジ単剤療法、トレメリムマブ単剤療法およびトレメリムマブとイミフィンジの併用療法を評価し、パート4ではベバシズマブとイミフィンジの併用療法を評価します。今回発表された結果は、パート2およびパート3に参加した332名の患者さんにおける、2020年2月28日時点のデータ解析での安全性および有効性の評価です。本試験は、米国、欧州、アジアを含む9カ国45施設で実施されています。主要評価項目は、有害事象および重篤な有害事象を発現した患者数および用量制限毒性を発現した患者数で、副次的評価項目は、全生存期間、客観的奏効率、奏効期間です。

HIMALAYA試験について
HIMALAYA試験は、切除不能な進行HCC患者さんのうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法が適さない患者さん1,324例を対象とした、第Ⅲ相無作為化非盲検国際多施設共同試験です。本試験では、イミフィンジ単剤療法、4週間ごとのイミフィンジ投与に加えてプライミング量としてトレメリムマブ300mgを単回追加投与するT300+D投与法と、マルチキナーゼ阻害薬である標準治療薬のソラフェニブを比較しました。この試験は、米国、カナダ、ヨーロッパ、南米、アジアなど16カ国189施設で実施されています。主要評価項目は全生存期間であり、主要な副次評価項目は客観的奏効率および無増悪生存期間です。また、このHIMALAYA試験は、進行HCC患者さんの初期治療として二重の免疫チェックポイント遮断を検証する初めての第Ⅲ相試験です。

イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、国際共同第Ⅲ相臨床試験(PACIFIC試験)に基づき、切除不能な局所進行(ステージⅢ)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治的化学放射線療法後の維持療法として、米国、日本、中国、ヨーロッパ諸国をはじめ、多くの国々で承認されています。また、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の一次治療として、標準治療である化学療法との併用療法が米国およびシンガポールで承認されました。さらに、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国を含む複数の国で承認されています。

イミフィンジは、広範な開発プログラムの一環として、NSCLC、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん、頭頸部がん、肝がん、胆道がん、子宮頸がんおよび他の固形がんの患者さんに対する治療薬として、単剤療法および新薬候補である抗CTLA-4モノクローナル抗体のトレメリムマブとの併用療法でも検討されています。

トレメリムマブについて
トレメリムマブは開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強して、がん細胞死を引き起こします。トレメリムマブはイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、および肝がんに対する臨床試験プログラムが進行中です。

がん免疫療法(IO)に対するアストラゼネカの取組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療薬により支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブとの併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保持しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてOncology治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca. (英語のみ)をフォローしてご覧ください。


References
1. ASCO Cancer.net. Liver Cancer: Statistics. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/liver-cancer/statistics Accessed May 2020.
2. World Health Organization. IARC Globocan 2018 World Fact Sheet. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf Accessed May 2020.
3. National Cancer Institute. Cancer Stat Facts: Liver and Intrahepatic Bile Duct Cancer. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/livibd.html Accessed May 2020.
4. Dos Santos P, et al. Incidence of hepatocellular carcinoma in patients with chronic liver disease due to hepatitis B or C and coinfected with the human immunodeficiency virus: a retrospective cohort study. World J Gastroenterol. 2018 February 7; 24(5): 613-622. DOI: 10.3748/wjg.v24.i5.613.
5. Hiotis SP, et al. Hepatitis B vs. hepatitis C infection on viral hepatitis-associated hepatocellular carcinoma. BMC Gastroenterol 12, 64 (2012) doi:10.1186/1471-230X-12-64.
6. Makarova-Rusher OV, et al. The yin and yang of evasion and immune activation in HCC. J Hepatol. 2015; 62 (6): 1420-1429.
7. Del Campo JA., et al. Role of inflammatory response in liver diseases: Therapeutic strategies. World journal of hepatology. 2018; 10(1), 1–7. doi:10.4254/wjh.v10.i1.1.
8. Han Y, et al. Human CD141CTLA-41Regulatory Dendritic Cells Suppress T-Cell Response by Cytotoxic T-LymphocyteAntigen-4-Dependent IL-10 and Indoleamine-2,3-Dioxygenase Production in Hepatocellular Carcinoma. Hepatology. 2014 Feb; 59 (2): 567-79.
9. Bupathi M, et al. Hepatocellular carcinoma: Where there is unmet need. Molecular Oncology. 2015;9(8):1501–1509. doi:10.1016/j.molonc.2015.06.005.
 
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