Public of The Year 2025 社会を動かし、つなげた。1人の、その行動へ。

1人の、その行動が、できそうにないことを実現していく。
多くの人の希望や力になり、企業や組織や社会を動かしていく。
そして新しい不可能を可能にし、社会をつなげていくーー。

その年を象徴する人物と、その行動を振り返ることで、
世の中を動かしているのは一人ひとりの行動だと、
誰もが体感できる社会を「Public of The Year」は目指しています。

Public of The Year 2025
受賞者

芸能・スポーツ部門

  • ミャクミャク 大阪・関西万博 公式キャラクター

    35億年前に細胞と水がひとつになったことで生まれた、ふしぎな生き物。
    2022年に大阪・関西万博の公式キャラクターに選出され、その後、公募により愛称が「ミャクミャク」に決定。
    赤い部分は「細胞」で、分かれたり、増えたりする。
    青い部分は「清い水」で、流れる様に形を変えることができる。
    特技はだれとでも仲良くなれることで、生き物はみんなともだち。ほかに踊る事と雨上がりに虹を見つける事も得意。

    ©Expo 2025
    山下浩平 デザイナー・絵本作家

    1971年生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。グラフィック・キャラクターデザインを中心に様々な制作を行いながら絵本などの創作を行う。『きょうりゅうゆうえんち』(ポプラ社)、『ミャクミャクと… ミャクミャク誕生ものがたり』(フェリシモ)等著作多数。2025年日本国際博覧会公式キャラクターデザイン最優秀賞受賞。ミャクミャクのデザイン、イラストレーション、コンセプトなどを制作。着ぐるみの設計などにも携わる。

    選考の理由

    2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の公式キャラクター「ミャクミャク」は、当初の「賛否両論」や批判を乗り越え、議論を巻き起こしながらも、唯一無二のキャラクター性によって人々の感情を揺さぶり、結果的に今年の象徴的な出来事である大阪・関西万博の「顔」となる歴史的な存在となりました。この背景には、「ミャクミャク」のデザイン作者である山下浩平氏の、丁寧に魂を込めてつくったものは、時間が経ってもきちんと伝わるという信念のもと、緻密な企画と地道な努力を積み重ねたという行動があります。山下氏が「ミャクミャク」のデザインを生み出すに至るまでの行動と、「ミャクミャク」が周囲と作り上げた熱狂的な「つながり」は、社会に新たな価値を創出しました。

  • HANA アーティスト

    BMSG × ちゃんみな GIRLS GROUP AUDITION「No No Girls」より誕生した、CHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINAからなる7人組ガールズグループ。メジャーデビューから2作連続、異例のスピードでストリーミング1億再生を突破するなど、7人の個性と等身大の姿で、自らの道を切り開く"次世代の象徴"として音楽シーンを席巻している。

    選考の理由

    多様な個性の尊重やルッキズムへの提言、そして「ありのままの自分を愛する」というメッセージを活動を通じて届けたガールズグループHANA。特に若い世代の価値観に大きな影響を与え、社会に新たな価値観を創造するきっかけとなりました。デビュー後もヒットを連発し、「Blue Jeans」が「オリコン週間ストリーミングランキング」で女性グループ史上初の9週連続1位となるなど、その存在感は大きなものとなっています。その行動は、純粋な人気だけでなく、多くの人々の心を動かし、未来へと続く行動の連鎖を生み出しました。

  • 遠藤航 プロサッカー選手

    神奈川県出身のプロサッカー選手。
    プレミアリーグの名門『リヴァプール』に在籍し、2023年6月からサッカー日本代表キャプテンに就任。高い戦術理解力と球際の強さ、リーダーシップを武器に世界最高峰の舞台で活躍。
    リヴァプールではプレミアリーグ優勝(2024-25シーズン)の瞬間をピッチで迎えた。
    日本代表では、来年開催される『FIFAワールドカップ2026』の出場権獲得に尽力し、歴代最強と呼ばれるチームを牽引した。

    ©PUMA JAPAN
    選考の理由

    遠藤航選手は、サッカー日本代表主将として、日本史上最強と言われるチームをまとめ、世界最速でW杯出場権を獲得し、来年に開催される本大会への期待を一層高めました。そして、所属する世界トップのクラブ・リヴァプールでは研鑽を重ね続け、クローザーという新たな形で、リーグ優勝を果たしたチームに大きく貢献しました。デュエルの勝負に絶対的な強さを発揮し、世界トップリーグを舞台に活躍する姿は、日本スポーツ界にパラダイムシフトを起こす存在となりました。

  • 村竹ラシッド 陸上男子110mハードル選手

    2002年、千葉県生まれ。松戸国際高校から順天堂大学へ進学、2024年に日本航空(JAL)へ入社。
    2024年、パリオリンピックでは、日本人として初めて男子110mハードル決勝に進出し、5位入賞を果たす。
    2025年、日本グランプリシリーズ・福井大会で12秒92を記録し、日本人初の12秒台を達成し日本記録を更新。東京世界陸上では5位入賞。

    ©JAL
    選考の理由

    今年8月に男子110メートルハードルで12秒92の日本新記録を樹立した村竹ラシッド選手。2025年東京世界陸上では、世界の表彰台に0.06秒差まで肉薄した走りで、日本中に大きな興奮と感動をもたらしました。レース直後に感情があふれ出す姿は、「ここまで本当に必死にやってきた者だけが示せる姿」であり、当たり前のことを高いレベルで実践する尊さを実感させ、社会をつなげ感動を呼び、「今年」のスポーツを彩る一つの象徴的なシーンでありました。村竹選手の行動が社会に感動と共感をもたらしました。

学術・文化部門

  • 鈴木俊貴 動物言語学者

    東京大学准教授(東京大学卓越研究員)。1983年東京都生まれ。野鳥の一種・シジュウカラに言語能力を発見。動物たちの鳴き声やしぐさの意味や文法構造を探究する新しい学問、『動物言語学』を創出。文部科学大臣表彰若手科学者賞、Tinbergen Lecturer Awardなど受賞多数。2025年、自身の研究の歩みを綴った『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)を刊行。本作にて、書店員が選ぶノンフィクション大賞、新潮ドキュメント賞、河合隼雄学芸賞などを受賞。

    選考の理由

    長年鳥類の研究に取り組まれている鈴木俊貴氏は、シジュウカラの言語能力の証明という衝撃的な発見を成し遂げました。長年の自然観察から仮説を立て、それを検証した、まさにナチュラリストの本道ともいえる研究で、その内容を記述し、今年刊行されたエッセイを通じては、多くの人が科学本来の面白さを改めて認識する機会を生み出されています。鈴木氏の行動によって、「動物言語学」という新しい学問の創設、その新たな価値を生み出し、社会に広げられました。

  • 王谷 晶 作家

    1981年、東京都生まれ。2020年刊行の『ババヤガの夜』は、第74回日本推理作家協会賞候補に選出。2024年刊行の同作の英訳版(英国版)は翌2025年、日本人初の快挙となるCWAダガー賞翻訳部門を受賞。米国版はラムダ文学賞LGBTQ+ミステリー部門の最終候補となった。他に『完璧じゃない、あたしたち』『君の六月は凍る』『父の回数』、エッセイ集『カラダは私の何なんだ?』。

    選考の理由
    王谷晶氏の著書である小説『ババヤガの夜』は、世界最高峰のミステリー文学賞である英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門を日本人として初めて受賞する快挙を成し遂げました。ご自身の哲学である「曖昧」で親密な登場人物を描き、その独自の作家性と、はっきりとしたラベリングできない関係や人生を描く普遍的なメッセージが評価されました。また、同作がLGBTQ+文学の権威あるラムダ文学賞の最終候補に選出されるなど、作品のメッセージは言語や国境を超え、世界中の多様な読者の共感を獲得しました。
  • 袴田ひで子 再審無罪を実現した元死刑囚・袴田巖氏の姉

    1933年2月静岡県浜名郡雄踏町(現・浜松市中央区)生。6人兄弟の三女。1966年8月33歳の時3歳年下の末弟巖氏が、いわゆる袴田事件の犯人として逮捕され、その後死刑判決が下される。両親亡き後、獄中の巖さんを献身的に支え、2014年3月再審開始、昨年10月巖氏の無罪が確定する。現在、死刑判決の後遺症が続く巖氏と共に浜松で生活。巖氏の苦労を活かしてほしいと再審法の改正や死刑廃止を訴えている。

    選考の理由

    袴田ひで子氏は、58年前の一家4人殺害事件で死刑が確定していた弟、巖氏の無実を信じて潔白を訴え続けてきました。その活動が実を結び、2024年10月、巖氏の無罪判決が確定しました。このことは個人の救済にとどまらず、遅遅として進まなかった日本の再審制度のあり方を見直す議論を促しました。また事件当時、巖氏を犯人視する報道をしたメディアの責任を問うことにもなりました。半世紀にわたり、巖氏のために諦めず戦い続けたその行動は、多くの人を勇気づけ、社会を動かしました。

企業・事業部門

  • 藤本壮介 建築家、藤本壮介建築設計事務所 代表取締役

    1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年藤本壮介建築設計事務所を設立。2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞をはじめ、国内外での受賞経験多数。2025年日本国際博覧会では会場デザインプロデューサーを務める。2024年には「(仮称)国際センター駅北地区複合施設基本設計業務委託」の基本設計者に特定。主な作品に、House of Music Hungary、白井屋ホテル、L’Arbre Blanc、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013等がある。

    ©︎ David Vintiner
    選考の理由

    2025年日本国際博覧会の会場デザインという国家的な大事業において、藤本壮介氏は多様な人々が集まる場の「公共性」と「一体感」を徹底的に追求し大屋根リングを設計しました。当初の設計から、「多様性を分断につなげない」という強い意志のもと、世界のパビリオンを円環の中に収めることで、交流が生まれる設計を確立しました。藤本氏は、2025年を象徴する万博のシンボルである大屋根リングを通じて、社会を包括的につなぐという公共的な価値を創出しました。

  • 河合祐子 株式会社高知銀行 取締役頭取

    京大法学部を卒業後、ケミカルバンク(現JPモルガン・チェース銀行)入行。その後、日本銀行、三菱UFJフィナンシャルグループ子会社のJapan Digital Designを経て、2023年7月、高知銀行副頭取、2025年6月より頭取に就任。ペンシルバニア大ウォートン校卒業(MBA)。

    選考の理由

    今年、高知銀行の新たな頭取として河合祐子氏が就任。行内向けの発信や行員一人ひとりとの対話を重ねて組織の垣根を取り払い、高齢化や人口減少を始めとした地方の社会問題の改善に向けて力強いリーダーシップを発揮しました。また、全国で初めての地方銀行の女性頭取という、これからの日本社会における女性のロールモデルという意味でも、変革の先頭に立ち行動を重ねる河合氏の姿は、多くの方に勇気と希望をもたらしました。

  • 井田奈穂 一般社団法人あすには 代表理事

    会社員の傍ら、2018年選択的夫婦別姓の法制化を⽬指す当事者団体を創設、2023年法⼈化。千⼈を超えるメンバー登録者、経済・法曹団体などとロビー活動を協働。2024年国連⼥性差別撤廃条約に基づく⽇本審査にNGOとして参加。同年、団体はForbes JAPAN「いま注目のNPO50」、Think Name Projectでは世界三大広告賞に選出。2025年6月17日衆議院法務委員会で参考人に。

    選考の理由

    「選択的夫婦別姓」について、国民の意識・社会の環境が変容しつつあるその背景には、あすにはの活動と、それらをけん引されてきた井田奈穂氏の行動の積み重ねがあります。意識調査レポートの発表や署名活動、様々な団体との連携など、積極的な活動を通じた社会への働きかけは、制度見直しの機運を高め、社会が前に進むための確かな土台を築くものとなりました。

2025年司会

  • 江口洋介
    / メインMC

    1986年俳優デビュー以降、テレビドラマ「ひとつ屋根の下」「救命病棟24時」など数々のドラマ、映画に出演。近年の作品に、 Netflix「忍びの家 House of Ninjas」、WOWOW「連続ドラマW 誰かがこの町で」、 EX「誘拐の日」などがある。映画『TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション』、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が公開中。

  • 中川安奈
    / 司会進行

    2016年NHK入局。サンデースポーツやオリンピック・W杯中継などで活躍。2025年3月に退局し、4月よりフリーアナウンサーとして多方面で活動中。

審査員

企業・事業部門

  • 久保田政一
    / 日本経済団体連合会
    副会長・事務総長

    1953年、東京都生まれ。76年東京大学経済学部卒業後、社団法人経済団体連合会(現・一般社団法人日本経済団体連合会)事務局入局。
    2000年国際経済本部長、06年常務理事、09年専務理事、21年6月より副会長・事務総長。

  • 春日芳晃
    / 朝日新聞東京本社 ゼネラルエディター
    兼 東京本社編集局長

    1997年に朝日新聞入社。社会部記者、ニューヨーク特派員、イスタンブール支局長、国際報道部長などを 経て、2024年4月から現職。海外特派員時代には国際連合やシリア内戦を担当し、テロの現場や紛争の前線を現地で取材した。歴史の流れの中で「いま」を位置づける報道、世界の中で日本を相対化させる報道をめざしている。

  • 滝田恭子
    / 読売新聞東京本社
    執行役員 メディア局長

    1989年上智大学外国語学部卒業、読売新聞社入社。2000年カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院修了。
    2002年より科学部で科学技術政策、IT、宇宙開発、災害などを担当。論説委員、科学部長、編集局次長を経て2025年より現職。

学術・文化部門

  • 篠田謙一
    / 国立科学博物館
    館長

    1955年生まれ。京都大学理学部卒業。博士(医学)。佐賀医科大学助教授を経て、現在、国立科学博物館長。
    専門は分子人類学。『人類の起源』(中公新書)は新書大賞2023第2位となったベストセラー。
    他の著書に『DNAで語る日本人起源論』(岩波書店)『江戸の骨は語る――甦った宣教師シドッチのDNA』(2019年科学ジャーナリスト賞、岩波書店)、『新版 日本人になった祖先たち――DNAが解明する多元的構造』(NHK出版)、編著に『化石とゲノムで探る――人類の起源と拡散』(日経サイエンス社)などがある。

  • 坂口佳代
    / 毎日新聞社
    執行役員 編集担当

    1967年生まれ。1990年、毎日新聞社入社。記者として19年間、大阪本社社会部、政治部などで主に事件事故、行政、選挙、政治を取材。
    2011年、大阪本社社会部副部長。和歌山支局長、大阪本社地方部長、東京本社編集局次長、編集局長を経て2025年4月から現職。

  • 田島 朗
    / 株式会社マガジンハウス
    執行役員 BRUTUS編集長

    1974年生まれ。97年マガジンハウス入社、「BRUTUS」に配属となり約18年間在籍。2016年に「Hanako」編集長に就任してリニューアルに着手。雑誌作りに加え、デジタルや読者組織、商品開発、BtoB事業などを幅広く展開。21年12月に第11代BRUTUS編集長に就任、2024年1月に創刊1000号、今年創刊45周年を迎えた。動画事業や海外事業、アプリ事業などにも参入し、従来の雑誌という枠を超えたブランドビジネスを拡げ続ける。第三編集局長として「BRUTUS」と「Tarzan」の発行人も務める。

芸能・スポーツ部門

  • 三宮恵利子
    / 日本スポーツ協会
    副会長

    釧路星園高等学校卒業後、1993年に富士急行に入社。スピードスケートのトップアスリートとして1998年長野、2002年ソルトレークシティと2度の冬季五輪に出場し、2001年世界スプリント選手権で総合2位に輝く。現役引退後はモータースポーツへの参戦やスケート解説者の傍ら、龍谷大学大学院で社会学修士号を取得。日本スケート連盟理事などを歴任し、2025年度より日本スポーツ協会副会長兼代表理事に就任。

  • 松井一晃
    / 株式会社文藝春秋 執行役員
    Number局、ライフスタイル編集局、局長

    慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、1992年文藝春秋入社。
    「Sports Graphic Number」編集長、「文藝春秋」編集長を経て、2021年7月より「Number」発行人。本年7月より「CREA」発行人を兼務している。

  • 木村恵子
    / 株式会社朝日新聞出版
    AERAブランドプロデューサー

    1999年に朝日新聞社に入社。新潟、千葉支局で新聞記者として5年間勤務の後、2004年にAERA編集部に異動し、20年以上AERAに携わる。記者、副編集長のあと、ジュニアエラ・AERA with Kids編集長を経験したのち、2022年から雑誌AERA編集長。2025年からAERAブランドプロデューサーとして、AERAのブランド価値を高め、様々なイベントや企画をプロデュースしている。

  • 西田二郎
    / 一般社団法人「未来のテレビを考える会」代表理事
    兼 静岡新聞社・静岡放送CCIO

    日本テレビ系列の準キー局・読売テレビ入社後、「11PM」「EXテレビ」を経て、「ダウンタウンDX」「松紳」「ガリゲル」などのバラエティコンテンツを演出、プロデュース。
    その後、営業企画、編成企画やビジネスプロデュース局事業開発、DX推進などに携わり、2025年3月読売テレビを退社。
    「水曜どうでしょう」の藤村忠寿氏とともに一般社団法人「未来のテレビを考える会」の代表として、放送局の垣根を超えてメディアの未来の為の活動や未来のメディア人材を育成。

1人の、その行動が、
できそうにないこと、
想像もしていなかったことを実現し、
その事実に多くの人が励まされ、
多くの人の希望や力になり、
企業や組織や社会を動かしていく。
そして新しい不可能を可能にしていく。

1人の、その行動が、
人を越えて、業種を越えて、国を越えて、
世の中にひろがっていくような手応えを多くの人が感じ、
同じ時代につながって生きていることの
意味を確かめられる。

1人の、その行動が、
つぎの1人の行動を生み、
さらに新たな行動を生み続けていく。
その年、その時代を象徴する人を、その行動をたたえたい。