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ホテル・宿泊施設の新規獲得、稼働率アップにつながるPR施策10選

ホテル・宿泊施設のPR施策のゴールは、新規獲得や稼働率の向上などです。そのためには通常プランに加えて、季節や年間行事、イベントなどに合わせた特別プランの用意とそのPRが必須です。

広報PR担当者自らがホテルの話題を作り、PRを成功させるためのポイントについて解説します。あわせて、稼働率アップにつながる施策を10個ピックアップ。ホテル・宿泊施設のPR施策を行う際に何から取り組めばよいのか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

目次
  1. ホテル・宿泊施設が取り組みたいPRの方法

  2. ホテル・宿泊施設がPR施策を考える5つのポイント

  3. 課題別にアプローチできるPR施策10選

  4. ホテル・宿泊施設がPR施策を企画する5つのステップ

  5. 多様な利用目的に寄り添ったプランを用意することがホテル・宿泊施設の新規獲得につながる

  6. ホテル・宿泊施設のPR施策に関するQ&A

ホテル・宿泊施設が取り組みたいPRの方法

ホテル・宿泊施設をPRする際の最終的なゴールは「集客力を高め、多くの予約を獲得すること」にあります。ホテル・宿泊施設の利用は商品の購入に比べて金額が高いことが多いため、一般生活者は利用を慎重に検討します。PRを行う際は、そのことを念頭に入れておくことが大切です。まずは、ホテル・宿泊施設が取り組みたいPRの方法をご紹介します。

クラウドファンディングのプレスリリースの書き方

プレスリリースを配信する

PRの方法としてもっとも基本的なのがプレスリリースの配信です。プレスリリースは自社サイトへの掲載に加えて、プレスリリース配信サービスを活用し、メディア各社やメディア関係者に配信することでパブリシティの獲得を狙えます。

SNSを活用する

プレスリリースの配信と掛け合わせて行いたいのがSNSを活用したPRです。共感や話題性を軸にした情報の拡散が狙えるので、商品やサービスの見せ方次第では広告費を抑えながら効果的にサービスの認知拡大や売上向上を狙えます。

地域と連携する

宿泊者に対して、近くの飲食店や買い物ができる店舗情報を展開しているホテル・宿泊施設も多いのではないでしょうか。

ホテル・宿泊施設としてだけでなく、その日の体験をよりよいものにしていただくことが大切です。

それらの店舗との連携はもちろん、地域と連携したPRの方法も検討しましょう。

ホテル・宿泊施設がPR施策を考える5つのポイント

PR施策は闇雲に実行すれば成果が出るというものではありません。施策を成功させるには、ポイントを押さえながら内容を考えることが大切です。ホテル・宿泊施設の集客力を上げるためのPR施策を具体的に考える前に知っておきたい5つのポイントを解説します。

1.年間のイベントのタイミングに合わせる

1つ目のポイントは、年間のイベントのタイミングに合わせることです。例えば、ホテル・宿泊施設に関連する日本の年間行事といえば、クリスマスやバレンタインデー、お正月などがあります。

こうしたイベントのタイミングでは一泊二日や二泊三日など、短期間の宿泊先を探している方が多いため、うまくPR施策を行えば利用者増加が見込めます。

宿泊イメージ

2.トレンドを取り入れる

2つ目のポイントは、PR施策にトレンドの要素を取り入れることです。関連付けられそうなイベントがないタイミングでは、なかなかメディアに掲載されるようなPRを行うことができません。

そうした場合には、トレンドの要素を取り入れるのがおすすめ。若年層・中年層・高齢層ではトレンドが異なるので、どの年齢層に向けてアプローチするのかを絞ってから、ホテル・宿泊施設の色に合ったトレンドを取り入れましょう

トレンドと結びつけたPRを考える場合、その組み合わせに無理がないかをよく検討することが大切です。客観的に見て違和感がなく、納得感の得られるトレンドの取り入れ方になっているかをしっかりと確認しましょう。

3.社会課題に取り組んだ内容にする

3つ目のポイントは、社会課題に取り組んだ内容にすることです。ニュースを取り上げるメディア関係者は、日々さまざまなプレスリリースに目を通しています。そのなかで、掲載するメディアの読者層に合いそうな情報をピックアップし、取材を行ったりニュース記事を作成したりしています。

イベントやトレンドとの組み合わせが難しい場合は、社会課題に取り組んだ内容が可能かどうかを検討しましょう。例えば、SDGsは2030年までに達成すべき目標として期限が設けられています。各社さまざまな取り組みを行っているため、メディア関係者も積極的に情報を探しています。

ほかにも、コロナに伴う働き方の多様化や、女性の活躍など、現代には人々の関心が高いさまざまな社会課題があります。PR施策を考える際は、その方向性で話題づくりができないかどうかも検討してみてください。

4.用途ごとに予算を配分する

4つ目のポイントは、用途ごとに予算を配分することです。PR施策を実施するには、企画費・製作費・媒体費・ツール利用料などさまざまな費用がかかります。どの部分に費用を投入するのか、施策実施前には必ず予算配分を行いましょう

ホテル・宿泊施設のPRの場合は、企画費や媒体費に加えてインフルエンサーへのPR依頼のための費用などを多めにし、その他費用を抑えめで考えるのが一般的。利用者増加実現のため、PR戦略に沿って必要な箇所に適切な費用をかけられるように調整しましょう。

5.現場の企画運営フローをしっかりと定める

5つ目のポイントは、現場の企画運営フローをしっかりと定めることです。ホテル・宿泊施設のPR施策では、季節に合わせたイベントプランや特別な宿泊プランを用意することが多くあります。そうしたプランの準備や実行は現場のスタッフが担当するため、実現可能な範囲で実行フローを決めなければなりません。

あらかじめ現場の状況を把握したうえで企画を考えれば、実現可能な案を出しやすく、フロー決定から実行までもスムーズに行えます

課題別にアプローチできるPR施策10選

ホテル・宿泊施設は、比較的話題になりやすい企画を作りやすいのが特徴です。施策を考える際のポイントを押さえつつ、新規層の獲得、稼働率向上、リピート率アップといった、課題別にアプローチできるPR施策10選をご紹介します。施策を考える際の参考にしてみてください。

新規層の獲得|初めてのバー体験プラン

企画内容:初めてのホテルバーでちょっぴり大人な体験を。新学年に上がる季節に、少し背伸びしてホテルのバーを体験したい学生へ。20才以上の学生を対象に、ホテルバーの1杯無料券がついた宿泊プラン
顧客目線:少しハードルが高いホテルのバーを無料で(安く)体験できる
自社目線:新規層の獲得
社会目線:新学年を迎える時期の季節イベント
訴求対象:学生カップル、女子会
使用シーン:問わない

参考:《全国旅行支援対象》「青春って、すごく密なので」全国5ホテルでチェキ付き卒業旅行プラン登場

新規層の獲得|特別な推し活体験ができるプラン

企画内容:本人不在の誕生日。(連泊で)推しとふたりの名前入り南京錠プレゼント。海外からのお客さまには空港まで専用バスでお迎えプラン
顧客目線:そのホテルしかない特典を用意することでその地域に興味がない、距離が離れていても行く価値がある
自社目線:新規層の獲得、単価アップ、話題性(ライブやCD発売などイベントとの相互作用が期待できる、SNSに投稿される可能性が高い)
社会目線:トキ消費(そのときだけの体験が訴求ポイント)
訴求対象:推し活に興味のあるミレニアム世代、海外(日本限定の特典により)
使用シーン:推しのバースデー

新規層の獲得|ルームサービスで特別な一日を過ごせるプラン

ルームサービスイメージ

企画内容:あなただけの究極のレストラン。ホテルのシェフがお部屋で料理をふるまってくれるプラン
顧客目線:自宅で有名シェフに依頼するよりも手軽に特別感が体験できる
自社目線:新規層の獲得、単価アップ
社会目線:トキ消費(そのときだけの体験が訴求ポイント)、イベント・記念日
訴求対象:ホテルのレストランだけを利用していた層
使用シーン:プロポーズ、バレンタイン、記念日、お礼

参考:緊急事態宣言中は1479室すべてがあなただけのレストランに!料理120種、ワイン&カクテル300種をお部屋で楽しむ『スーパールームサービス』
参考:“ホテルお花見”の最上級!「久兵衛」の寿司職人がお部屋で握る、春のおこもりプラン販売開始

新規層の獲得|エリアの特徴を盛り込んだ特別プラン

企画内容:長寿の町で生命力アップ(平均寿命がもっとも高い土地)/夫婦円満を継続(離婚率が低い土地)/日本でもっとも寒い・暑い土地(平均気温、過去最低・最高気温の記録を持つ土地)……エリアの特徴を活かし、その土地の特産品メニューを提供するプラン
顧客目線:記念日などのときにイベント化しやすい、旅行する目的ができる
自社目線:新規層の獲得、稼働率向上、観光地トピックが少なくても自ら作れる
社会目線:地域性、時流季節性、最上級希少性、逆説……などメディアフックの切り口無限
訴求対象:誕生日、結婚記念日、旅行したいが行動に移せていない人
使用シーン:問わない

参考:首都圏からの誘客を目指す第一弾「京丹後“長寿のおすそ分け旅”」を発売! ~来年度より、地域の魅力をさらに深掘りした旅行商品の開発を目指す

稼働率向上|ミレニアルの思い出づくり応援プラン

企画内容:ミレニアルの思い出づくりを応援。定額で利用でき、アメニティを簡素にするなど環境にも配慮したプラン
顧客目線:平日はいつも同じ価格で、通常より少し安く宿泊できる
自社目線:平日の稼働率向上、新規層の獲得、〇%オフではなく定額
社会目線:エコへの取り組み、卒業旅行に行けなかった若年層
訴求対象:友人、同僚
使用シーン:問わない

参考:【釧路プリンスホテル】【20代限定】定額でご利用いただけ環境にも配慮したプランを販売

稼働率向上|親子三世代限定の貸切〇〇プラン

企画内容:我が家の行きつけ。思い出が増え続けるホテル。親子三世代の特別貸切◯◯プラン
顧客目線:親子三世代で思い出づくりができる、家族でゆったりと過ごせる
自社目線:新規層の獲得、単価アップ、長期的な顧客の創出
社会目線:イベント・記念日
訴求対象:毎年家族旅行に行っている親子三世代
使用シーン:家族のお祝い

参考:年末年始の家族旅行が充実するコンテンツを多数ご用意!「焚き火カフェ」や「薪ストーブつき宿泊棟プラン」、「日本最古のデニムオーバーオールを着てブッシュクラフト体験」など

稼働率向上|特定エリアでの朝活応援プラン

企画内容:地元の朝を観光客気分で満喫。平日朝・休日朝の時間を有意義に使うための朝食なしプラン。部屋には朝活のしおりが設置されており、過去の宿泊客の朝の過ごし方が書かれている
顧客目線:近場で旅行気分を味わいたい、たまには家以外の場所で一人でゆっくり過ごしたい
自社目線:稼働率向上、リピート率アップ
社会目線:地域還元
訴求対象:県内のホテルに宿泊したことがない人、日常の非日常感を楽しみたい人
使用シーン:特にイベントがない通常日

リピート率アップ|ホテルでアート体験ができる親子向けプラン

企画内容:夏休み限定企画!親子で楽しむアート体験プラン。夏休みのアート体験。ホテルで幼稚園〜小学生向けに夏をテーマに画用紙にイラストを描くお絵描きイベントを実施。期間内に描いた絵は、館内の宿泊者しか入れない場所に展示することで宿泊を促す
顧客目線:子どもとの夏の思い出づくり
自社目線:リピート率アップ
社会目線:季節イベント(夏休みの自由研究)
訴求対象:全員
使用シーン:夏休み時期

参考:『アパ川柳2023』一般応募 アパホテル社長賞・優秀賞・入選作品発表!

リピート率アップ|日本の四季を楽しめる限定客室プラン

企画内容:季節ごとにガラリと雰囲気が変わる変幻自在プラン。春は桜、夏は海や花火など季節に応じて雰囲気が変わる部屋を用意する。アーティストや有名デザイナーに監修してもらい、監修者を替えることでリピート率アップを狙う
顧客目線:同じホテルでも毎回違った楽しみ方ができる、話題性がありおしゃれなホテルを楽しめる
自社目線:リピート率アップ、単価アップ、話題性(アーティスト、有名デザイナーに監修してもらうことでSNSでの拡散が狙える)、新規層の獲得(監修者のファンが宿泊してくれる可能性がある)
社会目線:時流季節性、希少性
訴求対象:日本各地のホテルを泊まり歩いている人、特別感のある内装の部屋に泊まりたいと考えている人、季節ごとに旅行に行くのが好きな人
使用シーン:問わない

売り上げの安定|グループホテル利用し放題プラン

受付イメージ

企画内容:全国に自分のお家ができる〇棟の家が自分のものに。全国のグループホテルの泊まり放題プラン
顧客目線:ひとつのエリアにいることが少ない(家にいる時間が少ない)人の、家の固定費の懸念が解消できる
自社目線:稼動率向上、売り上げの安定(長期ロック)
社会目線:シェア利用、サブスク
訴求対象:ワーケーション希望者、キャンピングカー生活者、ミニマリスト
使用シーン:問わない

参考:定額制回遊型住み替えサービス「Tsugi Tsugi」説明会のご案内

ホテル・宿泊施設がPR施策を企画する5つのステップ

PR施策を考えるときのポイントやPRの方法を把握したら、実際にプランを企画していきます。その際、基本的な流れを把握しておくと施策立案から実行、効果測定までスムーズです。最後に、ホテル・宿泊施設がPR施策を企画する際の5つのステップについて解説します。

STEP1.課題の洗い出し

ホテル・宿泊施設はそれぞれ個別の課題を抱えています。観光地であれば新規顧客は獲得できるがリピート率が上がらない、非観光地であれば新規顧客の獲得が難しいなどが考えられます。

課題の洗い出しは、PR施策を成功させるために重要なポイント。たとえPR活動がうまくいったとしても課題解決に結びついていないのではあまり意味がありません。現状どんな課題を抱えていて、なぜ解決する必要があるのかをデータを見ながら洗い出しましょう

STEP2.ターゲットを設定する

次にPR施策を誰に向けてアプローチするか設定します。施策を成功させるには、ターゲットを絞ることも意識したいポイントです。多くの層にアプローチすればより多くの顧客が利用してくれると思いがちですが、実はそうではありません。

アプローチできる層が少なくても施策内容がピッタリとハマる人たちに絞り込むことで、施設の利用向上や用意したプランの予約率向上などをしっかりと狙えるようになります。具体的には年齢・性別・行動特性に加えて、普段どんな休日の過ごし方をしているのかなど細かな部分まで設定しましょう。

STEP3.企画内容を決定する

自社の課題を洗い出し、アプローチする層を決めたら、企画の案出しと実施する内容の決定を行います。内容は企画書としてひとつの資料にまとめるのが基本です。

まずは企画開始時期を決めましょう。季節に合わせるのか、年間行事に合わせるのかなどホテル・宿泊施設と親和性が高そうな時期を見定めます。期間が決まった後は、具体的な内容を詰めていきます。

具体的には、企画名やプラン詳細、プランの利用料金などを決める必要があります。その際には、企画の打ち出し方や見せ方なども決めてしまいましょう。

STEP4.PR計画を立てる

次に企画のPR計画を立てます。PR計画とは、PRの活動計画のことです。情報の解禁日やメディアへのアプローチを行う時期、Web広告を実行するタイミングなどを記載した活動ロードマップともいえる資料のことを指します。

PR計画を立てる際、実施する施策内容を記載するほか、施策ごとのKPIやアプローチする層、掲載メディアなども決めておきましょう。特にKPIは効果測定を行う場合に重要なポイントとなります。目標達成と同時に成果が出たのかを知るためにも、各施策の目標・目的の設定は必須です。

効果測定のイメージ

STEP5.効果測定を行い、次のPR施策を考える

ホテル・宿泊施設の効果測定は通常のPRと同様に、アクション・アウトプット・アウトカムの指標をそれぞれ立てて行います

アクションとは、PR活動の数字のこと。プレスリリース配信やPR資料の作成などの数を見ます。アウトプットとは、メディアへの掲載数。そしてアウトカムは、アウトプットを通じて一般生活者へ与えた影響のことを指します。

なかでも重要なのはアウトカムの指標。来店・来訪データや新規率・リピート率・口コミなどがアウトカムに該当します。アクションとアウトプットが課題解決にどの程度結びついたのかを確認します。アウトカムの結果を基に、次のPR施策を考えましょう。

多様な利用目的に寄り添ったプランを用意することがホテル・宿泊施設の新規獲得につながる

ホテル・宿泊施設の利用目的は、施設側が想像しているよりも多岐にわたります。イベントや季節的なタイミングだけでなく、週末にふらっとホテルを利用したいと考える方やルームサービスだけ利用したいと考える方などさまざまです。そうした多様なニーズを予測しプランを用意することは、ホテル・宿泊施設の新規獲得につながります。利用者の心に寄り添った特別なプランを楽しめるホテルとしての認知拡大も狙えるでしょう。

本記事では、以下の内容をお届けしました。

  • ホテル・宿泊施設のPRで効果的なPR方法を押さえる
  • PR施策は、顧客目線・メディア目線・予算面・運営面の4つの視点で考えるのがポイント
  • 課題別のPR施策10選を参考に、一般生活者の利用目的に寄り添ったプランを考えよう
  • PR施策を考える基本の流れを知っておくと企画立案・実行・効果測定までがスムーズ

ホテル・宿泊施設のPR施策を行う際、ぜひ参考にしてみてください。

ホテル・宿泊施設のPR施策に関するQ&A

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この記事のライター

佐藤 杏樹

佐藤 杏樹

フリーのライター・編集者。PR TIMESに新卒入社しメディア事業部にてコンテンツ編集者・SNS運用・イベントなど担当。現在も執筆業に携わりながら広報・PRの仕事もしています。広報実務を通して得た知見や実践しやすい広報ノウハウ、最初に知っておきたい広報の基礎など、みなさまに分かりやすくお伝えします。

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