夢を発信するに至ったきっかけ

私には、学生時代から15年以上にわたって、「障害者雇用に一石を投じる」という職業人としての壮大な夢があり、その実現にむかって国内外で研究と実践を繰り返し、その過程においてConnecting Pointという会社を一人で起業しました。これまでの時間は、試行錯誤の連続であり、「夢を実現する」という言葉もその難しさを理解しているからこそ発することが少なくなりました。しかし、起業して6年が経過し、障害者雇用現場はもちろん、特別支援教育や人材開発領域の専門家、産業組織心理学の研究者の方々の知見に触れ、ようやく私自身が「障害者雇用に一石を投じる」という「夢」の解像度をあげ、そこに達するためのアプローチともなる1つのプロジェクトを世に送り出すことが出来ました。それが、昨年のApril Dream内でご紹介させて頂いた「障害のある人の『成長ステップ』見える化プロジェクト」(以下、本プロジェクト)であり、April Dreamへの参加により、会社としての新しい一歩を踏み出そうと決意しました。April Dreamをきっかけに久しぶりに会社としての「夢」を発信し、障害のある人、一人ひとりが自分らしさを大事にしながら働き続けられるように、その環境づくりに職業人として、そして、会社として引き続き勇往邁進します。

夢を発信して変化があったこと

2021年9月、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が発行している障害者雇用の全国版啓発紙「働く広場」(月5万部発行)に、本プロジェクトを取り上げて頂き、プロジェクトはもちろん、当社のミッションに興味関心を寄せて頂く機会が広がりました。これを契機に、法定雇用率を達成する為だけの障害者雇用を卒業し、障害者雇用の取組みを「すべての社員にとって働きやすく、成長出来る職場づくり」に繋げていこうと奮闘する方々に新しく出会え、夢の実現にまた一歩近づくことが出来ました。また、弊社の取組みが、社会福祉士として活躍することを目指す大学生や大学の先生方にも興味を持っていただき、講演活動を通じて、社会福祉士としての可能性をこれからの福祉を担う学生に伝える機会にも恵まれました。April Dreamへ参加し、会社としての夢を発信したことにより、障害のある人が働く環境の改善に近づけただけでなく、多様性を尊重する社会づくりに不可欠な社会福祉士をはじめとする社会福祉領域の職業威信向上に少しでも貢献できたことは大きな成果でした。

発信をきっかけに生まれた、夢の実現に向かう行動

April Dreamをきっかけに、改めて「夢」を考え、言語化したことにより、新たな出会いに多く恵まれました。その中で妥協することなく、されど意固地になることもなく、本プロジェクトを一段高いところから柔軟に見つめ直す行動を繰り返しました。例えば、これまでは「個を活かす障害者雇用の実践」に必要な障害に関する知識の獲得や、職場における成長支援スキルの習得に重きをおいていましたが、本プロジェクトの実装を繰り返す中で、障害のある人が組織の中で活躍するためには、当事者だけでなく、上司をはじめとする周囲の人が、可能性に蓋をしない姿勢で障害のある社員と接し、社員の成長を願うような関係性と安心感のある場作りこそが個を活かす上で最も重要であると分かりました。そこで、本プロジェクトでは、人の「成長」という普遍的なテーマから、プロジェクトに参加するすべての人が、障害のある社員の可能性を信じ、自分事として成長支援に関わって頂けるような“仕掛け”を大切に、改良を重ねました。今後も障害のある社員のキャリア開発と上司や関係者の意識・行動変容を通じて、「個を活かす障害者雇用」の実践が持続可能な取組みとなるよう研究と実践を重ね、障害者雇用支援における唯一無二な会社へと成長していきます。