プロミュージシャンが始めた合唱団、その裏にはサード・プレイスの提供も。
東京・大森でプロミュージシャンが商店街を活かした新たな試みを目的とした合唱団が始動。
■ポイント１ 学校では体験できない音楽との触れ合い
合唱団を作る目的として、１つ目は合唱というと、決まったメロディを覚え、先生が指揮を執ってそれに合わすというイメージがあるかと思いますが、もっと自由に楽しく、時には踊ったり、手を叩いたり、観客と一緒になったり、誰かが演奏で混じってきたり、もっと自由で予定不調和を楽しめる能力を付ける土壌を作りたいと考えました。
２０２０年の教育改革により、より主体的に感じ、考えることが重要になってくる時代に、そのような予定不調和を楽しめる能力は大事な力であるし、何より音楽に触れることの楽しさを参加する子どもたちと共に感じることができます。
さらに、色々な各々のネットワークを活かした多種多少な表現を職業にしたゲストも招き、様々な出会いが大きな体験になると信じています。
■ポイント２ サードプレイスとしての機能
練習時間帯を１８時３０分〜１９時３０分、その前の３０分で夕食タイムとして、参加する合唱団メンバーでご飯を食べる場を用意することで、楽しく食べるのはもちろん、家での孤立を防ぐことができるのではないか？ということを考えました。食事の提供は商店街という立地を活かし、近隣にあるスーパー（カドヤ食品）にオリジナルメニューを依頼しており、商店街との連携も図っています。
さらに、現在７名の合唱団員はそれぞれ学校も学年も違いますが、合唱はもちろん、一緒に食事をすることで、斜めのつながりも作ることができると考えています。
■合唱団が始まるまでの経緯
会場となる「アキナイ山王亭」にはフリーピアノがあります。これはかつて別所和洋氏の生徒さんが手放すことになったピアノをフリーなスペースに置くことで、街中に生の音が響き渡ることができたら、音楽や人との新しいつながりができるのではないかと設置が決まり、さらに２０１８年２月からはこのフリーピアノを生かした「スケルトーン」という企画を始めました。
「スケルトーン」とは、プロのミュージシャンが練習している風景をオープン化することで、そこをたまたま通った人が音楽に触れ、何かを感じることができたり、練習する側としては、スタジオなど費用がかからず練習ができたり、運営する側としてはマンネリ化しがちな企画の１スパイスとして利用できたりという３方向からのアプローチを目指した企画で、これまで毎月１回、すでに９回実施しております。
（※次回のスケルトーンは１月３１日（木）です。）
様々な職業が変わっていくと言われる中、場所（コミュニティ）としての試みに加えて、ミュージシャンの新しい関わり方という点でも、新しい試みかと考えております。こんな新しい合唱団の形が全国色々なところで増えていけば嬉しいし、好きに真似ていただき、アレンジしていただき、このような活動が広く広まっていくことを期待しております。
■関わるメンバー、それぞれの思い
別所和洋氏
「僕は普段、音楽を生業として生きていますが、これからも自分が糧にしていく音楽という概念の未来を考えた時に、あんな事が足りない、こんな事があったらいいな、と思う事が多いです。幸い、同じような事を考える仲間に恵まれ、この一風変わった合唱団を作ることになりました。型通りの合唱ではなく、自分達で作っていく、それを通じて、子供達が自分で考えて行動できる人に育ってくれればいいな、と思っています。合唱団に来た子供達の未来に、ちょっとだけでも多く音楽がありますように。」
大塚望氏
「私はあまり学校が好きではなかったのですが、家で曲を作ったり、歌ったりする時間がとても好きでした。それがもっといろんな人と一緒に作ったり発表できたりする場所があったらよかったなと今になって思います。
合唱団では子供達が能動的に参加して、一人一人が思う音楽との関わり方を見つけられる場所にしたいなと思っています。」
町田佳路（MobilExSchool合同会社：代表）
「時代が色々と変わる中だからできる挑戦の１つがこの合唱団だと思っています。親の仕事の都合で孤食がちな自分の息子もこの合唱団に入っていますが、毎週練習日を楽しみにしています。それはきっと音楽への楽しみもあると思いますが、先生（皆あだ名で呼んでる）始め、他の生徒さんたちと会えるのが楽しみで、そんな楽しみが先にあって、そこから音楽だったり、主体性だったりを体感できるのであれば何よりだなと感じています。
この活動が広く知れ渡り、この活動を参考に色々な形が生まれていったらと考えています。」
■オーモリストリート合唱団
練習日：毎週木曜日１８：３０〜１９：３０
練習場所：アキナイ山王亭（東京都大田区山王３−１−６）
https://srb.mobilexschool.com/skeletone/omoristreet/
■MobilExSchool合同会社
https://mobilexschool.com/
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